ヒラギノでは全角でデザインされていない文字

  • たとえば「○か×か」というテキストをヒラギノで表示した際、「×」だけが小さく見えて困惑したといった経験を、多くのMac OS Xユーザが持っていると思う。これは、ヒラギノがU+00D7 MULTIPLICATION SIGN(乗算記号)をプロポーショナルでデザインしているためである。そんなわけで、JIS X 0208の範囲内のいわゆる「全角文字」のうち、ヒラギノでは全角でデザインされていない文字のリスト(ヒラギノ丸ゴ Pro W4、バージョン7.11で表示)を作成してみた。目で見て拾っただけなので、漏れなどがあるかもしれない。


  • このうちセント記号(U+00A2 CENT SIGN)、ポンド記号(U+00A3)、否定記号(U+00AC)がプロポーショナルなのは、Unicodeの範囲内には他に全角バージョン(U+FFE0 FULLWIDTH CENT SIGN、U+FFE1 FULLWIDTH POUND SIGN、U+FFE2 FULLWIDTH NOT SIGN)が存在するためであり、「Mac OS X上のUnicodeアプリにおけるOpenTypeフォントの振る舞い」という条件であれば、ヒラギノ以外も同様であると思われる。たとえば、以下の画像はモリサワのフォント(A-OTF リュウミン Pro R-KL、バージョン1.001)で同じ文字のリストを表示したもの(黒い文字が全角)。



  • Adobeの定義しているAdobe-Japan1-5のCMapテーブルは、概ねAPGS(Apple Publishing Glyph Set)を追認したものだが、プロポーショナル・グリフの採用に関しては、ヒラギノと一線を画している(単なる幅の違いではあるが、全角のグリフとプロポーショナルのグリフではCIDが異なる。つまり、ヒラギノAdobe-Japan1-5のCMapテーブルとは異なる独自のcmapを採用している)と言える。