小塚明朝のバージョンによる'jp04'サポートの違い

  • 'jp04'タグ用のグリフは、以下の164文字。小塚明朝 Pro-VI Rの(知る限りにおいて最も古いバージョンである)6.003では、正しい実装となっていた。


  • ところがこれより新しいバージョン6.005では、不正な置換が6つ追加され、必要な置換が1つ削除された。そしてAcrobat 8に付属するバージョン6.010では、'jp04'タグ用のテーブルは6.003と同じ(正しい)ものに戻っているようだ。というだけならまあいいのだが、問題は小塚明朝 Pro-VI Rのバージョン6.010とともにAdobe CS3に付属する小塚明朝 Pro Rのバージョン4.001である。どうしてこっちは直さないのか、また、どうして変な直し方をするのか、理解できない。
  • 6.005の'jp04'には「芦」が置換されないという問題があった。これは、4.001でも直っていない(下図)。以下、図における黄色地は、正誤とは無関係に、単にグリフの変化を強調するために用いる。一方、赤い三角矢印は、不正な置換(あるいは置換されるべきなのにされない例)を示す。


  • 6.005の'jp04'には「稽荊腔脆卉」を不正に置換する問題があった。下図黄色地のグリフは、JIS X 0213:2004の例示グリフではない。この問題は、4.001で一応修正されている(下図)。


  • が、修正方法に問題がある。必要のない置換は、単に置換テーブルから外せばよいと思うのだが(実際に6.010ではそうしているわけだし)、なぜか置換テーブルに残したまま置換方向を逆にするという、不思議な直し方をしている。このため、逆方向の不要な置換が生じている。下図における黄色地のグリフはJIS X 0213:2004の例示グリフであり、この置換は「間違い」とは言い切れない(むしろ「正しい」ように見えるかもしれない)が、置換のロジックの整合性を損なうものである。


  • モリサワPr5と小塚Pro-VIの'jp04'」で指摘した以外に、6.005の'jp04'には「靭」を不正に置換する問題があった。これは、4.001でも直っていない。下図における黄色地のグリフはJIS X 0213:2004の例示グリフには違いないが、「靭」ではなく「靱」の'jp04'グリフである。