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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2016-08-11 がん検診による絶対リスク減少はどれくらい?

[]がん検診による絶対リスク減少はどれくらい? がん検診による絶対リスク減少はどれくらい?を含むブックマーク



ワクチンは有効性を過小評価されやすく、がん検診は過大評価されやすい

公衆衛生についてあまりなじみのない方にはあまり知られていないようだが、一般的にワクチンはがん検診と比較して有効性が高い。たとえば、おたふくかぜワクチンはおたふくかぜの罹患を85%減らす。一方で、乳がん検診は乳がん死を20%しか減らさない。

また、ワクチンは一次予防であるのに対し、がん検診は二次予防である。ワクチンは疾患そのものの発症を抑制するが、一方で検診は病変が見つかったら何らかの治療介入を要する。検診には偽陽性や過剰診断についての問題もある(なお、乳がん検診は乳がんの罹患を減らすどころか増やす)。子宮頸がん検診の受診割合が十分に高い海外でなぜ、HPVワクチンが開発され、接種が推奨されているのか、ここらあたりに理由がある。

ワクチンと比較して検診の利益が過大評価されやすく、害が過小評価されやすいのには理由がある。主観的には、検診の利益は実感しやすいのに対し、ワクチンはそうでもない。

韓国では成人の甲状腺がん検診が広く施行され、がんの罹患率は15倍になったが死亡率は変わらなかった。増えた甲状腺がんの多くは過剰診断で、結果的には必要のない治療を受けたのであるが、その「害」は統計的な数字をみなければわからない。検診で甲状腺がんを発見され、手術を受けた人は、過剰診断であったとしても、「検診のおかげで早期発見でき、いまも再発も起こっていない。助けてもらった」と考えているだろう。

一方、ワクチンによって「助けられた」ことは自覚しにくい。統計的な数字をみれば多くの人がワクチンによって助けられたのだが、誰が助けられたのかを同定することはできない。いっぽう、ワクチンによる「有害事象」は容易に同定できる。因果関係の有無に関わらず、ワクチン接種後になにか好ましくない症状が起きれば、ワクチンのせいであると自覚しうる*1。これが、検診と比較してワクチンの害が過大評価されやすい構造的な理由である。



がん検診の有効性と「副作用」はどの程度か

有効であると証明されているがん検診ですら、多くの「副作用」が生じる。たとえば、乳がん検診では、1人の乳がん死を防ぐために4人の過剰診断が生じるという報告がある。1人の乳がん死を防ぐために必要な検診数は720人であるので、検診を受けた人の中に過剰診断という「副作用」が起こる割合は約0.5%である。因果関係は明確だ。この「副作用」には、10日程度の入院と、必要だと判断されたら化学療法と、そして乳房を失ったことや再発への不安などの著しいデメリットがある。

これほどの大きなデメリットのある副作用が0.5%も生じるワクチンはとうてい容認されない。それどろかワクチンでは、因果関係があるかどうかも明確でない何万人に1人、何十万に1人という有害事象ですら問題にされる。「もともと健康な人に対する医学介入なので高い安全性が要求される」という理屈には一定の合理性があるが、だとするならば、同じくもともと健康な人に対する医学介入であるがん検診にも同様の安全性を要求するべきであろう。

乳がん検診や子宮頸がん検診はまだいい。有効であるという臨床的証拠があるからだ。問題は福島県の小児の甲状腺がん検診である。小児の甲状腺がん検診の有効性は証明されていない。成人の甲状腺がん検診の結果を外挿すると、小児の甲状腺がん検診も、害だけあって有効性はない可能性が高い。



なぜ甲状腺がん検診は容認するのに、HPVワクチンは容認できない人がいるのだろう?

さて、ツイッターで、HPVワクチンは「(前がん状態(CIN2/3)の)絶対リスクをわずか 0.7%減らせるだけのこと」という言葉を好意的に引用する一方で、福島県の甲状腺がん検診は「25年ほどは現在と同等かより強化した検診を続けなくてはならない」と主張している人がいた*2。「絶対リスクを0.7%減らす」というのは、1000人にワクチンを接種すると、前がん病変になる人が7人減るという意味である*3。絶対リスク0.7%減、というのはけっこう良い介入である。

有効性が確認されている乳がん検診であっても、そんなには絶対リスクを減らさない。先に挙げた報告では、乳がん検診による乳がん死の絶対リスク減少は約0.14%である*4。検診の害については先に述べた通りである。「絶対リスクをわずか 0.7%減らせるだけのこと」といってHPVワクチンに反対する人は、より強く乳がん検診に反対するはずである*5

私がわからないのは、HPVワクチンの絶対リスク減少がわずか0.7%と言っている一方で、小児に対する甲状腺がん検診を推奨している理由である。いったい、甲状腺がん検診による絶対リスク減少をどれぐらいだと推定しているのであろうか?乳がん検診ですら、0.1%強といったところだよ?どんだけ甲状腺がん検診の有効性を過大評価しているのか興味がある。尋ねてみたところ、言を左右して明言していただけない。


よしんば被ばくによって甲状腺がんのリスクが高くなっているとしても、小児甲状腺がんはもともとのリスクがきわめて小さいので、検診の有効性はあったとしても小さい*6。「ハイリスク集団には検診したほうがいいでしょ」ということであるが、仮に被ばくによって甲状腺がんリスクが100倍になっていたと仮定しても、成人の一般集団よりも小さいのだ。そもそも、リスクが高いとしても、甲状腺がん検診が、がん死やそのほか有害なアウトカムを減らすという臨床的証拠は存在しない。一方、検診が過剰診断そのほか害をもたらすという確固たる証拠ならある。そのような医学介入を推奨するなんてとんでもないと私は考える。これがワクチンだったら異常さがわかるであろう。

「甲状腺がんワクチンを開発し、海外の成人集団に接種したところ、がん死亡率は減らさなかったばかりか副作用が頻発した。けれども、海外の成人と、日本人の小児は違う。日本人の子どもに効果があるかもしれない。福島県の小児はハイリスク集団なので甲状腺がんワクチンをどんどん接種しよう」。

福島県での甲状腺がん検診を推奨している人は、効果があるという臨床的証拠がないばかりか、他の集団においては害しかないであろう医学介入を子供たちに勧めているわけだ。



対照群がなくても、検診群において絶対リスク減少の「最大値」はわかる

実は、福島県で行われている甲状腺がん検診による絶対リスク減少の「最大値」はわかる。最大値だけなら、検診を受けない対照群は要らない。「がん検診によって臨床的な利益を得るのは、検診を受けてがんが発見され、治療を受けた人だけである」という単純な事実さえ理解すればいい。

検診で甲状腺がんを発見された治療介入された小児のすべてが、検診によって利益を得たと仮定しよう(後述するように、このような仮定はありえないが、現在求めるのは絶対リスク減少の最大値なので)。つまり、検診で発見されたがんの全例において、検診がなければ、いずれ転移したり死亡したりしたはずだったのを、100%検診で防ぐことができたとする。検診の対象者は30万人程度、甲状腺がんと診断されたのが百数十人である。検診がなければ発生したであろう30万人中百数十人の有害アウトカムを検診が防いだのであるから、絶対リスク減少は約0.05%である。

HPVワクチンについて「絶対リスクをわずか 0.7%減らせるだけのこと」として反対する人は、最大でわずか0.05%しか絶対リスクを減らせない甲状腺がん検診についてはどう考えるのだろうか*7

なお、0.05%というのは「最大で」の話である。検診で発見され治療介入されたがん患者のすべてが利益を得る、というようながん検診は存在しない。がん検診で発見されたがんは、検診で発見されても予後が変わらないもの、検診によって予後が改善するもの、過剰診断のいずれかである。予後が改善するものは、検診で発見されたがんの一部である。がん検診とはそういうものである*8

成人での甲状腺がん検診で発見された甲状腺がんについては、大半が過剰診断、残りが検診で発見されても予後が変わらないもので、検診によって予後が改善するものはほとんどないか、ゼロである。「小児の甲状腺がん検診は、がん検診の中で例外的に有効性が高い」と考える合理的理由は存在しない。



関連記事。

■韓国における甲状腺がんの過剰診断

■乳がん検診の利益とリスクを図で説明してみる

*1:検診で発見されたがんに対する治療に伴う合併症は、検診との因果関係が明らかな「副作用」だが、主観的には「がんの治療だから仕方ない」、あるいは「(検診ではなく)治療のせいだ」とされる

*2:URL:https://twitter.com/ROKKASHO/status/699112778699649024

*3:この発言がなされた時点で、絶対リスクを0.7%減らすという研究があったのだろう。おそらく観察期間は数年。観察期間が長くなると0.7%という数字はもっと高くなる。一方で、浸潤子宮頸がんやがん死の絶対リスク減少はもっと小さい

*4:大まかな目安に過ぎないが、がん死の絶対リスク減少が0.1%以上なら有効だとされている

*5:実際、近藤誠氏の主張に影響を受けて、ワクチンだけでなく、がん検診にも反対している人たちもいる

*6:がん検診に詳しい人は、30歳台の乳がん検診が推奨されていないことを思い出すかもしれない

*7:「0.05%と少数だからといって無視するのか、なとろむはそれでも医者か」という的外れな批判が予測されるのであらかじめ反論しておく。そもそも、わずか0.7%を無視したのは誰だったのか。あるいは、過剰診断そのほか検診による害を無視したのは誰だったのか。医療介入の是非は、原則として医学的損得から判断するべきである。「東京電力の責任を追及するためには、甲状腺がん検診で害を被る福島県の子どもなんてどうでもよい」と考えているようにしか思えない事例を散見する。ついでに言うなら「検診を続ければ0.05%より増える」という批判もすでに反論済みである。HPVワクチンの「わずか0.7%」も観察期間が長くなると増える

*8:医療とはそういうものである、と言ったほうがいいかもしれない。

2016-07-24 若年性脳梗塞が増えているというのは本当か?

[][]若年性脳梗塞が増えているというのは本当か? 若年性脳梗塞が増えているというのは本当か?を含むブックマーク

日刊ゲンダイDIGITALに若年性脳梗塞についての記事が載った。「若年性の患者数はこの10年で5割も増えている」のだそうだ。



■患者数は10年で5割増 ゆとり世代で「突然死」急増のナゼ | 日刊ゲンダイDIGITAL

 脳梗塞といえば中高年以上の病と思いがちだが、最近20、30代に増えているという。テレビ東京アナウンサーの大橋未歩(発症時34)など、30代前半の発症例も珍しくないが、ここ数年、ゆとり世代の脳梗塞患者が目立つというのだ。

「いわゆる『若年性脳梗塞』は医学的定義では50代未満です。ただ近年、ストレス要因を中心とした20代の発症例は増えています」(山野医療専門学校副校長で医学博士の中原英臣氏)

 年間7万人が死亡する脳梗塞のうち、若年性は約1割。若年性の患者数はこの10年で5割も増えている。



臨床的な感覚では若年性脳梗塞が「10年で5割増加」しているようには思えないので調べてみようとしたが、日刊ゲンダイDIGITALの記事には根拠となる文献や数字が挙げられていない。ネット上で検索すると「最近10年間に1.5倍に増えているとの研究もあるそうだ」などいう記載は見つかるが、やはり文献にたどり着けない。

若年性脳梗塞の発症ではなく死亡数であれば、政府統計のサイト*1で調べることが可能である。現時点で最新の平成26年、および、10年前の平成16年の年齢(5歳階級)別の脳梗塞による死亡数を比較してみた。



f:id:NATROM:20160724164538j:image

「保管統計表 死亡 死因  第5表 15歳以上の死亡数,性・年齢(5歳階級)・死因(選択死因分類)・配偶関係別」より作成。



少なくとも若年性脳梗塞の死亡者数はここ10年では増えていない。むしろやや減少気味である*2。記事タイトルの「突然死」とは、記事本文からは脳梗塞による死亡だとしか読めないのだが。なお、脳梗塞に限らず脳血管障害全体であっても、あるいは急性心筋梗塞や不整脈および伝導障害でも、若年層の死亡数は「急増」していない。

「突然死」というところには目をつぶって、日刊ゲンダイDIGITALの記事の「10年で5割増加」というのは死亡数ではなく患者数であるとしよう。「脳梗塞を発症する患者数は5割増えたが、治療法や診療制度が改善された結果、発症しても死亡に至ることが減り、結果的に死亡数は微減した」という可能性はなくもない。一方で、実質的な若年性脳梗塞の患者数はあまり変わらないが、検査方法や診断機会が増えたため、見かけ上の患者数が増えたという可能性もある(韓国の甲状腺がんの「急増」はそのパターンである)。

脳梗塞治療の進歩や若年性脳梗塞のリスク因子を考えるに、見かけ上の患者数が増えただけである可能性が高いと私は考える。脳梗塞治療は、他の医療分野と同様に少しずつ改善はされてきているが、「発症は5割増しだが死亡数は変わらない」ほどのブレイクスルーは聞かない。また、若年性脳梗塞の原因は、通常の脳梗塞と同じく動脈硬化のほか、動脈解離、もやもや病、抗リン脂質抗体症候群などであり*3、やはり10年で5割増加は考えにくい*4

日刊ゲンダイDIGITALの記事には、心理学博士だという鈴木丈織氏のコメントも載っている。



 20代半ば〜後半のゆとり世代がなぜ突然死するのか。心理学博士の鈴木丈織氏が言う。

「ゆとり世代の特徴として、親に甘やかされてきたこと、学校の規則も緩く伸び伸び育てられてきました。ストレス耐性が身に付かなかったのです。社会に出て、上下関係や厳しい規則を持った上司、先輩とのやりとり、存在そのものがストレスになっています。同僚と比較されたり、失敗をとがめられるたびに血管の萎縮を加速させているのです」



私が調べた範囲内では、鈴木丈織氏の主張を裏付けるような医学的根拠はまったく発見できなかった。いったいどのような方法で「同僚と比較されたり、失敗をとがめられるたびに血管の萎縮を加速させている」ことがわかったのか、たいへんに興味がある。



関連記事

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■むしろ自然塩のほうが体に悪い?

*1■政府統計の総合窓口 GL01010101

*2:厳密に言えば死亡者数ではなく死亡率で比較するべきであるが、死亡率でも増えていないことは確認した

*3:若年者脳卒中診療の現状に関する共同調査研究若年者脳卒中共同調査グループ(SASSY-JAPAN)、 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/26/2/26_2_331/_article/-char/ja/

*4:あるいは、「全年齢の脳梗塞の発症/死亡に占める若年性脳梗塞の割合が5割増えた」という報告を、「若年性脳梗塞の患者数が5割増えた」と誰かが誤って伝えたものが広がっている、という可能性もありそうだ。マスコミ報道の際に、もともとの数字の意味が誤って伝えられることはよくある。

うにうに 2016/07/24 20:22 http://jaha.ahajournals.org/content/5/5/e003158

aXisaXis 2016/08/05 21:41 ゲンダイは基本的に定説を覆せるなら、信ぴょう性に乏しい「個人的見解」でもあたかも真実であるかのように報じるスタイルですね

アクリルアクリル 2016/08/10 19:00 何というか、所謂ゆとり世代と呼ばれる人達に対する攻撃的な意思を感じ取れる内容ですよね…
ゲンダイDIGITALさんには、いい加減な根拠を元にした記事掲載を控えて貰いたいものですね

2016-06-27 「個々の症状ごとに比べても意味がない」という批判の解説

[]薬害オンブズパースン会議の「個々の症状ごとに比べても意味がない」という批判の解説 薬害オンブズパースン会議の「個々の症状ごとに比べても意味がない」という批判の解説を含むブックマーク

名古屋市がHPVワクチン(いわゆる子宮頸がんワクチン)の接種者と非接種者を対象に行ったアンケート調査において、「社会的影響が大きく、市だけで結論は出せない」として最終報告書では評価を示さなかったことが報じられた。



■子宮頸がんワクチン調査で名古屋市が結論撤回:朝日新聞デジタル

 調査は、ひどく頭が痛い▽簡単な計算ができなくなった▽手や足に力が入らない、といった接種の副反応にみられる24の症状の有無などを尋ねるもの。その結果、接種者に「多い症状」はなかった。一方、接種者に「少ない症状」は、関節やからだが痛む▽杖や車いすが必要になった、など15症状あった。

 これを受け、市は昨年12月、「接種者に有意に多い症状はなかった」との評価を発表したが、薬害監視の民間団体「薬害オンブズパースン会議」が「副反応の症状は複合的で、一人が複数の症状を持っている。個々の症状ごとに接種者と非接種者との有意差を比べても意味がない」と批判していた。



ブックマークコメントで、薬害オンブズパースン会議による批判の意味がよくわからないという意見が散見されたので解説する。別に薬害オンブズパースン会議の肩を持つわけではないが、合理的な批判である(むろん批判に対して合理的な反論も可能である)。

「副反応の症状は複合的で、一人が複数の症状を持っている」という主張の意味するところは、HPVワクチンの被害者とされている患者さんは、単に「計算ができない」「手や足に力が入らない」という症状を単独ではなく、多様な症状を一度に発症しているということだ。

「個々の症状ごとに接種者と非接種者との有意差を比べても意味がない」という主張については、(「有意差を比べる」という表現はおかしいが)おそらく「個々の症状ごとに接種者と非接種者とを比べて有意差検定を行っても意味がない」という意味であろう。

ワクチンによって重篤な副作用が生じているにも関わらず、個々の症状ごとに接種者と非接種者とを比較しても有意差がみられないケースはありうる。極端なケースを例示するのがわかりやすいだろう。ワクチン接種者と非接種者それぞれ100万人ずつを対象に、10の症状について調査した結果、以下のような結果が出たとしよう。「個々の症状ごとに接種者と非接種者とを比べて」も有意差はない。



(説明のための仮想データです)
接種群 非接種群
症状1 10010 10000 有意差なし
症状2 50010 50000 有意差なし
症状3 100010 100000 有意差なし
症状4 5010 5000 有意差なし
症状5 7010 7000 有意差なし
症状6 30010 30000 有意差なし
症状7 200010 200000 有意差なし
症状8 150010 150000 有意差なし
症状9 8010 8000 有意差なし
症状10 300010 300000 有意差なし



しかし、この仮想上のデータにおいて、10の症状をすべて持っている重症者の人数は、接種者で10人、非接種者で0人であった。これは明らかにワクチン接種者に多い。



(説明のための仮想データです)
接種群 非接種群
症状1〜10 10 0 有意差あり



個々の症状ごとに比べても、接種者群に重症者が多いことはわからない。これは説明のための極端なケースを仮想したものであるが、個々の症状がありふれていると、ワクチン接種者に「複数の症状を持っている」患者さんがより多くいたとしても、個々の症状ごとの検定では背景に埋もれてしまって差が見えなくなりうることが伝われば幸いである。

そもそも、名古屋市の調査は7万人強にアンケートを送付し回収できた3万人強が対象であり、たとえば10万人に1人といった稀な副作用については差が検出できない。また、ランダム化されていないので選択バイアスは避けられない。健康に不安がある人ははじめからワクチンを受けない傾向にあるし、健康に問題がなければアンケートに回答しない傾向がある。前者はワクチンの副作用を小さく、後者はワクチンの副作用を大きく見積もる方向に働く。名古屋市の調査では限定的な情報しか得られない。

とはいえ、まったく意味がないわけではない。一般的に、疾患は重症例が少なく、軽症例が多いものである*1。HPVワクチンが複数の症状を呈する「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群」といった重篤な疾患を引き起こしているとしたら、単一の症状しか呈さない軽症例(いわば「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群・不全型」)が多く潜んでいるのではないか、というのは合理的な推測である。軽症例はわざわざ病院を受診しないので、アンケート調査でないと掘り起こせない可能性がある。

名古屋市の調査は10万人に1人の重篤な副作用は捉えられなくても、1000人に1人の軽症例を捉えることはできたかもしれない。薬害オンブズパースン会議は「個々の症状ごと比べても意味がない」と言っているが、もし個々の症状で有意差が出ていたとしたら、「重大な結果だ。これだけの数の軽症例は、重症例の存在をも示している」とか絶対に言うに決まっている。

名古屋市は結論を出すことを放棄したが、生データを出したので、その気になれば誰でも解析は可能だ。症状の数(症状を3つ以上有する人の割合に差はあるか?)や組み合わせ(症状7と症状12の両方を持つ人の割合に差はあるか?)で有意差検定を行うこともできるだろう。ただ、そうやって試行回数を増やすと、ワクチン接種と症状発生が無関係でも、偶然によって有意差が出てくる可能性が増す。

特に組み合わせの数は膨大になる。たとえば、アンケートで調査された24症状のうち任意の3症状を選ぶ組み合わせの数は(私の計算が正しければ)2024通りである。2024回有意差検定を行って、いくつか有意差が見つかったとして、別のデータセットで再現性を確認しない限り、意味がない。

つまるところ、現状ではHPVワクチンと「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群」といった重篤な副作用の間に因果関係があるかどうか、わからない。少なくとも「軽症例がバンバン起きている」ということはなさそうだとは言える。

どうしても副作用が心配であれば、無理にHPVワクチンを打たなくてもよい。日本人の子宮頸がんの生涯罹患率は1%強である。つまり、ワクチンを打たなくても99%弱の人は子宮頸がんにならない。ワクチンとはそういうものである(ついでに言えば、がん検診もそう)。

メリット次第では稀な副作用を許容できるなら、HPVワクチンを打ったほうがいい。HPVワクチンが前がん病変を減らすことは質の高いランダム化比較試験で証明されている。前がん病変を減らすなら子宮頸がんも減らすというのは合理的な推測であるし、子宮頸がん検診を受けるつもりなら前がん病変の減少は円錐切除術などの治療介入を減らすことができる。HPV-DNA併用検診を受けるつもりなら、HPV感染を防ぐことで検診間隔を空けることができる。

HPVワクチンは日本人の子宮頸がんの原因のうち50-70%にあたるタイプのHPV感染を防ぐ。1%の子宮頸がん罹患を0.5%に減らすことができるとすれば、ワクチン接種者の200人に1人が恩恵を受けることになる。ワクチンの効果を半分と見積もっても400人に1人である。一方、重篤な副作用は3万人規模の観察研究でも因果関係が明確にならないぐらい稀である。



関連記事

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■薬害タミフル脳症被害者の会という名称の妥当性

■Bonferroni の補正

*1:「説明のための仮想データ」で示したような重症例のみで軽症例がない疾患は、まったくありえないとはまでは言えないが、あまり一般的ではない

AGAG 2016/07/15 22:15 HPVワクチンの副反応の話題をするときに、円錐切除時の麻酔の副作用、手術前後は妊娠できない事などのデメリットの話があまり出てこない気がします。
その辺りも踏まえた議論が為されると良いのでしょうが。

MTMT 2016/07/26 07:59 セキュリティの方面から、今回の処置は大問題なようです。
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20160716.html
これで研究して論文書いても、そっちの観点からリジェクトされそうですね。

あれあれ 2016/08/09 17:01 >MTさん
リンク先を見ると、「 もっとも、このアンケート調査は無記名方式であるので、元データからして、日本の個人情報保護法では(名古屋市個人情報保護条例でも)「個人情報」に該当しない」とあります。
ですのでセキュリティ面?からも問題ないのではないでしょうか?

NATROMNATROM 2016/08/09 17:47 日本の個人情報保護法には抵触しなくても、研究倫理に抵触する可能性があるのだと思います。

反NATROM反NATROM 2016/08/11 20:35 こんな奴氏ねばいいのに。

aXisaXis 2016/08/12 16:55 自分もオンブズ会議の主張の意味がよく分かりませんでしたが、ああなるほど、つまりは「都合が悪いデータは隠せ」という単なる圧力だったのかな、と納得しました

そろそろ訴訟が開始されるとは思いますが、原告側がどのようなデータを提示するのかはある意味興味深いですね
被告側はデンマーク(だったかな)の調査やこの名古屋市のデータを持ち出すでしょうが

2016-06-21 クロロフィルが予防する謎の疾患「月琴炎」とは何か

[][]クロロフィルが予防する謎の疾患「月琴炎」とは何か クロロフィルが予防する謎の疾患「月琴炎」とは何かを含むブックマーク

約10ヶ月前につぶやいた■三宅洋平氏についてのツイートが最近になってまたリツイートされはじめた。ミュージシャンである三宅洋平氏が、参議院議員選挙に立候補することを表明したためらしい。ちなみに、三宅洋平氏はこんな感じの方。





この三宅洋平氏が店主である「三宅商店」では、「正しい知識と実践」に基づいてさまざまな商品が販売されているというわけ。たとえば「まこも茶 粉末 150g (宮崎産)」は6,480円。去年の8月の時点では、「腸内の大腸菌を減らして慢性疾患を予防」「血圧の上昇を抑制して脳障害を予防」「がんを予防するといった効果」と書かれていたが、さすがに現在は修正されている。



■まこも茶 粉末 150g (宮崎産) - 三宅商店 世界を変えるお買い物 三宅洋平 おすすめの良品!



ただ、まこもの成分であるクロロフィルについて興味深い記述が残っていた。


f:id:NATROM:20160621164838j:image

クロロフィル・・脳障害、肝炎、腎炎、月琴炎の予防・改善。抗がん作用が期待できると言われています。



クロロフィルが月琴炎の予防・改善させるそうである。そうなんだ。ところで月琴炎って何?そんな病気ないよ?でも、Google先生に聞いてみたらすぐわかった。




f:id:NATROM:20160621164839j:image

月琴炎, 腸炎, 性. 肺炎 月華炎発症年 初発時勝炎合併例は 3 ... - 新潟大学



つまりPDFファイルの「膵炎(すいえん)」を自動で読み取ったときに「月琴炎」に誤変換されたのであろう。引用事例では「月華炎」「勝炎」とも誤変換している。読み取りソフトウェアが「膵」という字を知らなかったのだろうか。

クロロフィルの効用だとまったく見当がつかなかったけど、医学文献中にあれば、文脈でわかるものである。 高アミラーゼ血症あたりから容易に連想できた。

「"月琴炎" and マコモ」でもいくつかのページが引っかかる。マコモの効用についての文章を誰かが誤変換したまま書き、コピペされているのだろう。



関連記事

■ホメオパシーはまた人を殺すだろう

■はたともこ氏(民主党)の主張を紹介してみる

■安保徹氏の反ワクチン論を信じてしまった衆議院議員


外部リンク

■幻影随想: アトピー患者が素人判断でステロイド治療を止めマコモ風呂を始めた場合の最悪のケース

bamboobamboo 2016/06/23 09:28 「棒の手紙」みたいなものですね。

雷神雷神 2016/06/27 03:38 「ラフ病」ってのもあります(^^)。

とげとげとげとげ 2016/08/26 18:14 なんだか必殺技か何かっぽい神秘的な名前の病気ですねー(てけとう)

2016-05-29 サンデー毎日での丸山ワクチンの記事について

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サンデー毎日2016年6月5日号にて『丸山ワクチンはやはり「がん患者」に光明』という記事が掲載された。ジャーナリストの森省歩(もり・せいほ)氏による。プロフィールによると、もともとは政界ものに定評があり、2012年に自身が大腸がんの手術を受けて以降は医療ものも手掛けているそうである。週刊文春に『乳製品をやめたらがんが治った』という記事や、文藝春秋に『川島なお美氏さんはもっと生きられた』という近藤誠氏のインタビュー記事を書いている。

森氏は2012年にstage IIIAの大腸がんと診断され、手術後に再発予防のための経口抗がん剤の服用を勧められるも辞退し、丸山ワクチンを選択したそうである。stage IIIの大腸がんの術後補助化学療法は現在の標準的な治療法である。大雑把には、術後補助化学療法によって再発やがんによる死亡を3分の1から4分の1減らすことができる*1。おおむね、日本の大腸がんの術後成績は海外と比較すれば良好でstage IIIAだと5年生存率は70%ぐらいである。術後補助化学療法をしなくても100人中70人ぐらいは再発しないところに、術後補助化学療法を加えることで100人中75〜80人が再発しないようにになる、という感じである。

「抗がん剤を使わないと高い確率で死ぬ」というならともかく、大腸がん術後補助化学療法であれば、副作用とのトレードオフを考えて治療を受けないという選択肢もありだ*2。丸山ワクチンが大腸がんに効くというエビデンスは皆無と言ってよいが、それでも害はなさそうで、かつ、比較的安価であるので、丸山ワクチンを受けるのも悪くない。というわけで、森氏自身の治療法の選択に異論を唱えたいわけではない。丸山ワクチンの歴史的経緯や効果についての補足である。



効果の証明されていない治療法を受けられないことは理不尽なのか

森氏は、日本医科大学の丸山ワクチン外来を受診するが、患者本人が受診したことを受付係に驚かれる。



聞けば、患者本人が手続きのために来院するケースは少なく、実際にやって来るののはほとんどが患者の家族や身内などの代理人なのだという。私はこの事実にハッとさせられるとともに、あらためて丸山ワクチンを取り巻く現状の厳しさを痛感させられた。

一言で言えば、手術、放射線、抗がん剤などの標準がん治療をやり尽くし、歩くこともままならない打つ手なしの最末期にならない限り、事実上、がん治療医は丸山ワクチンの使用を認めようともせず、患者やその家族らも使用したい旨を医師に言い出せない、という悲しい現実が、いまだに存在しているのである。

言うまでもなく、治療選択の決定権は患者にある。にもかかわらず、このような理不尽な状況がなぜ続いているのか。その構造的理由を知るには、丸山ワクチンをめぐる「受難の歴史」に迫る必要がある。


現時点では、丸山ワクチンががんに効くというエビデンスはない。にも関わらず、有償治験薬という例外的な制度によって使用可能である。代替医療としては優遇されているほうである。治療選択の決定権は患者にあるので、丸山ワクチンを使用してくれる医師を選ぶ自由はある。しかしながら、標準的医療を行っている医師が同時にエビデンスのない治療法も併せて行ってくれないからといって、理不尽であるとは私は思わない。丸山ワクチンを併用してくれる医師もいるだろうが、書類書きや薬剤の管理という手間を好意で負担してくれているのである。

丸山ワクチンが使いづらい状況が理不尽である言うなら、他の代替医療、たとえば、細胞免疫療法や高濃度ビタミンC療法が使いづらい状況も理不尽であるというのだろうか。これらの治療を他の医療機関で受けるのは患者の自由である。基幹病院でこうした治療を受けられない状況が続いている理由は単純である。効果が証明されていないからである。

森氏は、丸山ワクチンによって「利権が脅やかされる」ことを恐れた「厚生省ムラ」との闘争の歴史が影響していると考えているようだ。1970年台から1980年台にかけては、もしかしたらそういうこともあったかもしれないが、現在ではそんな昔のことは無関係である。



最初の障壁は、患者が丸山ワクチンの6文字を口にした瞬間に立ち現れる。おそらくは厚生省ムラとの闘争の過去が暗い影を落としているのだろう。標準治療の現場では主治医から次のように冷たく突き放されるケースも少なくない。

「あんなもの、『ただの水』なんだから、効くはずがない。どうしてもやりたいと言うのなら、ウチの病院ではもう診ない」



患者さんに対する言い方や態度に問題はあるだろうが、こういう医師は「高濃度ビタミンC療法を受けたい」と言っても、同じ反応をするであろう。「厚生省ムラとの闘争」ではなく、エビデンスの有無の問題である。



歴史的ニューエビデンスって何だろう?

そもそも、丸山ワクチンを製造しているゼリア新薬は、エビデンスの構築に消極的である。記事の見出しには「治験患者延べ40万人超!」とあるが、「そんだけ治験患者がいて、いまだにまともなエビデンスが存在しないってどういうことよ?」と私は考える。積極的に臨床試験を行って効果を証明できれば日本だけでなく海外にも売ることができるし、なによりも患者さんのためになるのに、なぜゼリア新薬は臨床試験を行わないのか。現在でも有償治験薬として年間1万人前後の患者さんが丸山ワクチンを使用しているという。ゼリア新薬としては、別に臨床試験をしなくても現在の売り上げを維持できればよい、ということなのではないか。

しかし、森氏によれば、「歴史的ニューエビデンス」が登場したそうである。



実は、例の政治的決着以降も、丸山ワクチンの新たな製造承認申請に向け、多くの医師や研究者らが、「著効例」や「どのように効くのか」「なぜ効くのか」などについての研究報告を精力的に続けてきている。



「著効例」については、治験患者が「延べ40万人超!」もいるのであるから、丸山ワクチンにまったく効果がないと仮定しても、著効したように見える事例は出てくる。2006年の日本医事新報に、進行胃がんと進行大腸がんについてのケースシリーズが発表されている*3。何も発表しないよりはましであるが、丸山ワクチンの効果については何もわからない。

「どのように効くのか」「なぜ効くのか」については、まず「効くのかどうか」をはっきりさせてからにしたほうがいいだろう。

森氏もこれらの研究報告がエビデンスが弱いことを認めている。実は、がんに対する効果を丸山ワクチンとプラセボとで比較した、質の高いランダム化比較試験が1件だけある*4。これは「効くのかどうか」を評価した研究である。おそらくこれが森氏のいう「歴史的ニューエビデンス」の一つであろう。

stage IIBからIVAの子宮頸がん患者(計249人)をランダムに丸山ワクチン群(論文では"the lower dose (0.2 µg) of immunomodulator Z-100"で、丸山ワクチンB液と同じ)とプラセボ群に分けた。どちらの患者さんも放射線療法を受けた。つまり、「放射線療法+丸山ワクチン」対「放射線療法+プラセボ」を比較した。主要エンドポイントは全生存、二次エンドポイントは無再発生存および毒性。

結果は、丸山ワクチン群の5年生存率が良い傾向はあったものの、有意差なし。つまり、丸山ワクチンに効果があるとは言えない。まともな比較試験が行われてこなかった丸山ワクチンにしてみれば、これでも「歴史的ともいうべきニューエビデンス」であるのかもしれない。

ゼリア新薬によれば、新たにフェーズIII(アジア共同治験)の途中である*5。数を増やしたり、試験対象を絞ったりすると*6、今度は有意差が出るかもしれないし、出ないかもしれない。私の知る限り、他に丸山ワクチンの臨床試験は行われていない。ゼリア新薬としては、もしこの臨床試験で有意差が出なくても、「子宮頸がんに対する放射線療法+丸山ワクチンの効果が証明できなかっただけで、他のがんに対する効果が否定されたわけではない」「そもそも丸山ワクチンはA液とB液を交互に皮下注射するのが一般的な使い方であって、B液のみを使用した臨床試験で結果が出なくても、効果が否定されたわけではない」などという言い訳ができる。

私がもし「丸山ワクチンの有効性を検証することは、公私にわたる大命題」だと考えるジャーナリストであったら、ゼリア新薬に取材する。「どうして、丸山ワクチンの効果を証明する臨床試験をもっと積極的に行わないのですか?本当に御社は、丸山ワクチンに効果があるとお考えなのでしょうか?」と。



関連記事

■丸山ワクチンに期待できない理由

■進行胃癌に対する丸山ワクチンの比較試験

■丸山ワクチンをおとしめる週刊ポストの記事

*1http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11596588 , "For patients with node-positive (stage III) disease, adjuvant treatment with fluorouracil and levamisole reduces the risk of death by one third, as compared with surgery alone." 海外の研究。日本人集団に対する手術単独vs手術+術後補助化学療法の比較試験は見つけることができなかった

*2:ただし、読者らが抗がん剤を使うかどうかの選択肢を迫られたときは、必ず専門家による説明を受けること。副作用対策が不十分であったころに抗がん剤治療を受けた知り合いの体験、ドラマや小説の描写、ニセ医学本による不適切な主張などにより、実際よりも副作用の程度を過大評価していることが多い。私ならstage IIIAの大腸がんの術後補助化学療法は迷わず受ける。やってみて副作用がきつければ薬剤を変更したり、化学療法を止めたりすればいい

*3■論文・資料 アーカイブス│丸山ワクチンとがんを考える会(NPO)から全文が読める。「専門性の高い資料」だそうで

*4http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24569914

*5http://www.zeria.co.jp/deve/de02.html

*6:死亡のイベントが生じやすい進行した患者を対象する、など

CoralReefCoralReef 2016/05/31 13:42 効果がないと分かっていながら有償治験薬として科学的リテラシーの低い客をカモに売り続けるつもりなのでしょうね
癌霊一号のように大逆転劇を見せてくれれば科学の発展として喜ばしいのですが、ダメでみたいですね
残念です

antant 2016/06/02 11:04 ゼリア新薬さんのSSMの生産ライン更新時期が来たらどうなるんでしょう。少なからぬお金をかけてラインを更新して、果して元がとれるのかどうか。昔と違って今じゃ基準も厳しくなり、新しいラインを立ち上げるのにもかなりの費用がかかると思いますし。株式会社として株主に対する責任を考えれば、投入した資金を回収し利益を出せる目処が立たないと。あと何年後にその時が来るのかは知りませんが、どうなるんでしょう。
もし更新するのであれば、ひょっとすると期待してもいいのかもしれませんが。