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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2017-11-01 ニセ医学に騙されているのに境界線上の事例を検討できようか

[][]ニセ医学に騙されているのに境界線上の事例を検討できようか ニセ医学に騙されているのに境界線上の事例を検討できようかを含むブックマーク

コレステロールは心筋梗塞などの動脈硬化性の心疾患の原因だ。より正確には、コレステロールの中でも、いわゆる「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが原因である。また、スタチン(商品名ではメバロチンやリピトールなど)をはじめとしたコレステロールを低下させる薬剤は心疾患を抑制する。日本のみならず海外を含め、このことを否定している公的機関は存在しない。

LDLコレステロールと心疾患の因果関係やスタチンの有用性を否定するのは、いわば、喫煙と肺がんの因果関係やがんの標準医療の有用性を否定すると同レベルの「ニセ医学」である。ニセ医学を主張する少数の医師のグループは存在するが、ニセ医学を支持する論文は査読のある医学雑誌にはほとんど掲載されない。

スタチンが心疾患を抑制するとは言え、どの患者にスタチンを投与すべきかは別途議論すべき問題である。糖尿病や高血圧などのリスク因子を複数持っていたり、心筋梗塞の既往があったりする患者に対するスタチン投与は利益が害より勝る。一方、心疾患のリスクの低い患者(たとえば高LDLコレステロール血症以外にリスク因子のない日本人女性)に対するスタチン投与については、利益と害のバランスが微妙なところにある。治療には金銭的なコストのみならず、副作用のリスクが付きまとう。スタチンは比較的安全性の高い薬剤であるがそれでも筋障害や糖尿病の発症といった副作用がある。

低リスク者に対するスタチン投与の是非を検討するには、標準的な見解をきちんと踏まえる必要がある。標準的な見解に立った上で低リスク者に対するスタチン投与に反対することもできる。というかむしろ、ニセ医学に騙されているようでは、とても境界線上の事例は検討できないだろう。

今回、このような話をしたのは、ツイッターにて富山大学の林衛氏と議論になったからである。『「スタチン投与に効果はない」「コレステロールが高いほど長生きなので下げるほうが危険」というトンデモな主張をしなくても低リスク者に対するスタチン投与の是非は議論できる』という私のツイート*1に対し、「スタチンの効果や副作用がいかほどか,コレステロール原因説で説明がつくのか,それ抜きに議論できるのはなぜなのか,機会があれば,ご教示ください!」とリプライ*2が林衛氏からあった。上記説明したようにスタチンの効果や副作用がいかほどか、標準的な見解抜きでは議論できない。要らないのはニセ医学的な主張である。



f:id:NATROM:20171031174239j:image

「議論の余地のある論点」と「ニセ医学」との区別



「ニセ医学」と境界線上の「議論の余地のある論点」とを混同してはならない*3。たとえば、「がんもどき理論」の近藤誠氏が主張するような「がん検診は無効である」というニセ医学的な主張と、「40〜49歳に対する乳がん検診は有効か?」という論点は別である。40歳台女性に対する乳がん検診が無効であることを公的機関が認めたとしても、「がん検診は無効である」というニセ医学が正しいことにはならない。

抗がん剤治療が固形がんにも有効であることはいまや議論の余地はないが、それでも全身状態が悪かったり、高齢であったりする境界線上の事例はある。抗がん剤治療を全否定したいニセ医学論者は、これを意図的にか無意識にか混同して、「全身状態が悪いのに無理に抗がん剤治療を行ってかえって命を縮めた事例がある。よって抗がん剤は有害無益である」という間違った論理を振りかざすかもしれない。

「40〜49歳に対する乳がん検診は有効か?」を論じたいならばがん検診についての標準的な知識が、「高齢者や全身状態の悪い患者に対する抗がん剤治療をどこまで行うべきか?」を論じたいならば抗がん剤治療についての標準的な知識が、それぞれ必要である。同様に、低リスク者へのスタチン治療を論じたいならば、LDLコレステロールと心疾患の因果関係やスタチン治療の有用性についての標準的な知識が必要である。現実の臨床の現場において、不適切ながん検診、不適切な抗がん剤治療、不適切なスタチン使用はあるかもしれない。不適切な医療に対抗できるのは、ニセ医学ではなく、正当な知識である。



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山田山田 2017/11/02 03:52 はじめまして、山田といいます
糖尿でごはんのかわりに中国産のピーナッツを主食に毎日200gを1年ほど食べてしまいアフラトキシンについて知って肝臓癌の不安が出てきて2008年のこのブログにたどりつきました。昨日検査にいってエコーで癌はありませんでしたがこれから肝臓癌になる可能性もあるのでしょうか?アフラトキシンは摂取を止めたあとも体に蓄積され悪さをし続けるのでしょうか?不安でおかしくなりそうです

NATROMNATROM 2017/11/02 08:12 山田さん、コメントありがとうございました。

アフラトキシンのリスクは一定量を一生涯食べ続けた仮定で計算されていますので、1年間ほど食べたぐらいでは気にしなくてもよいと思います。「摂取を止めたあとも体に蓄積され悪さをし続ける」ことはありません。そもそも日本に輸入された食品はほぼチェックされています。心配いらないと思います。

山田山田 2017/11/02 09:14 早速のお返事ありがとうございます、不安なのは今年基準値以上アフラトキシンで回収していた岐阜のメーカーのバターピーナッツだったのも大きいです、回収していたのと別商品とはいえ同じメーカーのものですので
それと肝ぞう癌以外にも発ガン性の可能性はありますかね?例えば肺癌とか胃ガンとか…

おるおる 2017/11/02 11:16 いつも貴重な情報をありがとうございます。
リスクが0と1で判定できる世界は哲学かSF的な世界になるんでしょうね。

男性50代、血圧110/70、肝機能・腎機能問題なし、喫煙歴なし、お酒少々、運動
習慣ありだけど、検診を受けるとLDLが170〜190となるので毎年、先生とスタチン
治療をする/しないの攻防になっていますw
ここで「・以外にリスク因子のない日本人女性」とありますが、女性より男性の
方が心疾患のリスクが高いため、あえて「日本人女性」と限定されているので
しょうか?

フォーチュンフォーチュン 2017/11/03 21:04 いつもコメント欄を含め楽しく読ませてもらっています。(^-^ )

私は代替医療らしきものを細々とかじるものですが、「ぜんそく」の標準医療に関する境界線上の「議論の余地のある論点」はどのあたりにあるのでしょう?( ̄〜 ̄;)

個人的には以下の点は十分になりうると考えておりますがNATROM先生の見解はいかがでしょうか。

1)吸入ステロイドによる標準医療がぜんそく死を大幅に改善したというデータはもう少しいろんな可能性を加味して結論付ける必要があるのではないのか?

吸入ステロイド治療が第一選択肢ではなかった20年以上前においては、短時間作用型吸入β2刺激薬が治療の第一選択肢であった思いますが、喘息死亡者のほとんどは65歳以上の高齢者であることを考え合わせると、それらのお薬の使用過多や標準治療量あっても、もともと心臓の弱い高齢者がそれが原因で心不全で亡くなったとき、喘息死といえるものなのかという問題です。(;-_-;)

現実的には相当数がカウントされていると思っています。その理由は、1995年に厚労省が死亡診断書に心不全、呼吸不全の記載を制限した年に急に、ぜんそく死亡者が2000名も増加していることから、それ以前も含めて、例えはっきりした原因を特定できないような心不全に対しても、ぜんそくに起因しているだろうと思われるものに対しては、ぜんそく死とすることができたと思えるからです。

しかしこの部分においては、吸入ステロイドによる炎症のコントロールができ、短時間作用型吸入β2刺激薬の使用量が減り、結果ぜんそくにまつわる死亡者が減ったのであれば本当に良かったと思います。y(^ー^)

ただ、ぜんそく治療において、患者のQOLは大きく損ねるかもしれませんが、大発作の時にしか短時間作用型吸入β2刺激薬を使用せず、小発作では呼吸法等を駆使して薬を使わず対応した場合に果たしてどれほどのぜんそく死亡者数がカウントされるのか気になるところであり、死亡者数の推移だけではなく、治療法によるぜんそくと診断されてからの平均余命も重要な治療法選択の要因と思いますが、これにはまだまだ時間が必要で現段階での死亡者数だけをもってして結論付けるのはいささか乱暴であるように感じます。

また近年肺疾患による死亡者が増えておりますが、吸入ステロイドの影響による誤嚥性肺炎の短期間における重症化や肺炎球菌による肺炎の感染率上昇や重症化の問題はないのでしょうか?
少し考えればそれらは十分考えられうる可能性であると思いますが、問題はそれらがぜんしくにまつわる死亡者増にもかかわらず、決してぜんそく死にカウントされないということです。
以前の治療法に起因するぜんそくにまつわる死は、一部がぜんそく死にカウントされ、近年増えつつあるかもしれないぜんそくにまつわる死に対しては全くカウントされないのではデータとして・・・?と思ってしまいます。┐( ̄ヘ ̄)┌

またそれ以外にも長期の吸入ステロイドステロイドの使用により増加するのではないかと懸念される食道がんや肺がんに対する影響を考えると、今後の推移として20年後にはぜんそく死の数はわかりませんが、ぜんそくにまつわる死亡者数の増大を危惧してしまいます。

やはりぜんそく死というからには、壮絶な窒息死だけをカウントしたほうが分かり易いのではないでしょうか。

私は、強硬な子宮頸がんワクチン推進論者ですが、その15年後の危惧をこの吸入ステロイド療法にも感じてしまうのです。(ー"ー )

2)この20年間におけるぜんそく患者数の急激な増加には、吸入ステロイド療法が大きくかかわっているのではないかという疑念についてです。

この20年でぜんそく患者の割合は3倍ほどに増加しておりますが、ぜんそく以外にもほぼぜんそくに近い咳喘息やアトピー咳嗽などの疾患概念が出てきています。
これらは一部は以前ならばぜんそくと診断されてもおかしくはなかったのものですので、実質は3倍以上に増加している可能性があります。
そのような状況がなぜ作られてきたのか?吸入ステロイド療法が普及しだした時を同じくして、徐々に増加しているのは単に偶然なのか?( ̄〜 ̄;)??

ぜんそくが治ることがあるのかどうかはわかりませんが、ほとんどの治ったと感じる状況は自然寛解したと考えていますが。
では自然寛解が進みやすい身体的状況とはどのようなものでしょう?いろんなことが考えられますが、私は恒常性が発揮しやすい状況ではないかと勝手に思っております。本当にそうかどうかは知りませんが、少なくとも恒常性が発揮しにくい状況で自然寛解が進むとは思えません。

では長期に吸入ステロイドにより曝露され、薄く柔軟性が損なわれた気管支粘膜層になってしまった状況では、自然寛解が期待しにくいものとなっているのではないですか?以前なら自然寛解していた多くの人たちが(本当は多いかどうか知りませんが・・・)自然寛解せずに疾患者として残っていれば当然患者数の割合を押し上げます。

また、長期に吸入ステロイド療法で局所的な免疫を下げることが、全身的な影響を与えないものなんでしょうか?

また、こんな扁桃に近い場所の免疫を下げて大丈夫なの?

一般にはぜんそく患者には、多くの医者が生活上免疫を高める生活指導をしていると思いますが、私にはその整合性の乖離が気になって仕方ありません。

3)吸入ステロイド療法により、大幅な死亡数の減少が達成されたが、この今の状況はまだこの療法の成果の一部であり、まだまだ予断は許さないのではないのか?

先ほど述べたように、吸入ステロイドの長期暴露は気管支粘膜層を薄くし柔軟性を落とします。
その結果、発作を回避するための吸入β2刺激薬の薬のランクが上がり、より心臓に負荷をかけていきます。また吸入ステロイド剤の超長期化(ぜんそく治療における早期介入によりより促進されると思いますが)が心配される中、この先、一部にステロイドの感受性低下が起きた時にそのリバウンドを合併した炎症の激増にどのような対応をしていくのか、これからがむしろこの療法の真価が問われるときと思います。

これらの問題は全て、どうしてぜんそくが生まれるのかという根源的な問題へのアプローチが少なく、行き当たりばったりの対処療法に終始しているからにほかなりません。
もっと医療者側も代替医療を行っている者も他の免疫疾患との整合性を考えて、ぜんそく発生のメカニズムの仮説を立てそれに沿って治療原理を確立して、自然寛解に誘導する方法を見つける努力が不足しているように思います。

ちなみに私、ぜんそくやがんに関する代替医療はやっておりません。
だって、死んじゃったら大変だもんね!<(; ^ ー^)

長文になってしまい、大変申し訳ありませんでした。m(_ _)m

NATROMNATROM 2017/11/07 15:28 山田さん。コメントありがとうございました。

私の調べた範囲内では、アフラトキシンの経口摂取の発がん性は肝臓以外には影響しないようです。消化管で吸収されたアフラトキシンはまず肝臓に運ばれ、そこで分解されるので肝臓以外の臓器への影響は考えにくいと思います。

NATROMNATROM 2017/11/07 15:29 おるさん。コメントありがとうございました。

ご指摘の通りで、心疾患のリスクが低いとスタチン内服によって得られる利益も小さくなります。他にリスクのないLDL-Cが170〜190の日本人男性も、スタチンを使うべきかどうか議論が分かれるところだと思います。

NATROMNATROM 2017/11/07 15:30 フォーチュンさん、コメントありがとうございました。

気管支喘息に対する吸入ステロイドの効果は十分に確立されていると私は考えています。吸入ステロイド対プラセボのガチ比較試験はおそらくないと思いますが、観察研究では吸入ステロイドが喘息死を予防していることを示しています(PMID:10922423、PMID:11398069)。死因を誤分類すると結果がゆがむというご指摘はごもっともですが、それを言いはじめたら、あらゆる研究にケチをつかることができてしまいます。合理的な批判であれば査読のある医学雑誌に掲載されますが、吸入ステロイドによる喘息死の減少は死因の誤分類による見かけ上のものであることを指摘した論文があれば教えてください。

喘息患者数の増加に吸入ステロイド療法が大きくかかわっているのではないか、という疑念についても、自然増および治療介入される割合の増加で説明可能な範囲内だと私は考えます。気管支喘息に限らずアトピー性皮膚炎や花粉症といったアレルギー性の疾患は先進諸国で増加傾向にあります。原因は明確になっていませんが、一因として過度な衛生環境があるのではないかと思われます(http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20060614#p1)。自然増のほか、以前は治療介入されなかった軽度の気管支喘息が治療介入されるようになっても、喘息患者数は増えます。

「この今の状況はまだこの療法の成果の一部であり、まだまだ予断は許さない」というのはその通りだと思います。

フォーチュンフォーチュン 2017/11/10 17:58 私のコメントにお返事をして頂き、大変恐縮です。m(__;)m

ご指摘の、気管支喘息に対する吸入ステロイドの喘息死における効果については、当然否定するものではありません。

ただ、その貢献の度合いが決して少ないものとは思いませんが、その最高7000名強あった喘息死を2000名弱にしたことをもってして、この吸入ステロイド療法に疑義をとなえることは、人の命を軽視する輩であるかのような発言を多くの(ほとんど大多数と言っていいかもしれませんが)医師のサイトに見ることができます。ヽ('ー`)ノ

確かに人命は唯一無二のものであるので、軽視するような発言は厳に慎まなければならないものと考えております。それ故、吸入ステロイド療法の持つ負の側面を議論することのハードルが高くなってしまっています。
私の喘息死に関する疑問は、このハードルを少しでも下げ、吸入ステロイド療法が持つ負の側面を議論の俎上に載せ易くするためのものです。

今ある多くの医師のサイトに見られるような言説により、人の死の尊厳を盾に自分たちにとって不都合な意見を抑え込み、強力にこの吸入ステロイド療法を推し進めようとする構図が、私には、子宮頸がんワクチンに対する反対派のやっている、悲惨な健康被害の訴えとそれに関する言論の抑圧によって、事実上ワクチン接種が凍結されてしまっている現状がダブって見えます。┐( -"-)┌

だからたとえこの療法に大きな優位性があったとしても、将来出てくるかもしれない負の側面が多少なりとも理屈上存在するのであれば、それを推し進める医療者自身の中で、例え一部であったとしても目を光らす存在が必要だと思いコメントしました。またNATROM先生の役目の一つがそうであったらと私的に期待しております。

次に吸入ステロイドによる喘息死の減少は死因の誤分類による見かけ上のものであることを指摘した論文があるのか?ということですが、それは私は知りません。(( ̄_ ̄ )(  ̄_ ̄))

ただ私が言いたかったのは、誤分類による問題というよりは、今と昔では喘息死のカウントに関する状況がちょっと違ってきている可能性があるので、このあたりについても議論の俎上に載せ、もう少し喘息死に対する認識を整理することが、今後のより良いぜんそく療法の選択を妥当なものとするうえで有効になるのではないかという指摘です。

もともと今回のNATROM先生のエントリーは境界線上の「議論の余地のある論点」ということでしたので、論文のあるなしも大切かもしれませんが、私のこの割と平易な知見を基にした疑問の積み重ねによる予見なども、どこかに大きな飛躍がない限り、境界線上の「議論の余地のある論点」と言えるのではないでしょうか。

つまりは、私の持つこの疑義は、少しの問題意識で誰にでも生まれる可能性があるものと思っております。
そんな問題を議論すら押しとどめていたら、仮に不幸にも私の予見に近いことが起きた時には、多くの子宮頸がんワクチン推進派の人たちやトンデモ代替療法実践者に(こう書くと、なにか私はトンデモ代替医療実践者ではないという印象を持たせてしまうかもしれませんが、ある一つの疾病に対し大胆な仮説を立て、それに沿ってトレーニング、意識改革、身体の恒常性を高めようと努力することで、自然寛解に導こうとする御手伝いをしておりますので、見る人によればまさにトンデモ代替医療実践者そのものかもしれませんが・・・(f^^))この吸入ステロイド療法に対する対応が、お決まりの製薬会社を中心としての厚生労働省と医師が結託した陰謀論に反論し難くなってしまわないか心配です。

最後に喘息患者数の増大は、自然増および治療介入される割合の増加で説明可能な範囲内であるとする指摘については、まさにその通りであると思っております。先生の指摘した過度な衛生環境はもとより、格差社会や価値観の多様化の容認による軋轢の増大、権利意識の増大による自己肥大化と現実とのギャップ、などなど多くの社会的変化により喘息は増加してきたのでしょう。

でも、それらを全て同一線上で捉えてしまうのはどうでしょうか。( ̄〜 ̄;)??

それらの中でも、回避が困難なものと、努力や意識、選択次第で多少なりとも改善が可能な要因に分けて考えることには合理性を感じていますが、私の認識不足なのでしょうか。

だから、喘息患者数の増大は、自然増および治療介入される割合の増加で説明可能な範囲内であることと、吸入ステロイド療法による喘息患者数の増大の可能性に関する問題は、分けて考えるべきものと考えております。

これも今回のエントリーが境界線上の「議論の余地のある論点」という点を鑑みれば、他の要因による説明の可能性のあるなしで、指摘した要因の議論そのものが必要なしとされることには、大変残念なことと言わざるおえません。(;-_-;)

今回も大変長文になってしまいました、申し訳ございません。m(_ _)m

mushimushi 2017/11/12 16:53 「将来出てくるかもしれない負の側面が多少なりとも理屈上存在するのであれば」って、そんなこと言ったらほぼありとあらゆる医療行為ができなくなりますよ・・・。

「最高7000名強あった喘息死を2000名弱にした(原文マ)」って、すさまじいまでの効果じゃないですか。
これほどの効果を、「将来でてくるかもしれない負の側面」とかいうあやふやなもので「議論の余地がある」ものにされてたまるものか。

おるおる 2017/11/14 19:59 NATROMさん、ありがとうございます。

心疾患の男女差を調べると、心疾患が起きたときの出方が男女で違うためリスクの捉えかたも違うんですね。
後悔しないように生きて生きたいものです。

att460att460 2017/11/14 21:00 多分、常連の方はご存知でしょうけど、医薬品は、発売開始後も、再評価が行われます。

再評価 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/review-services/reexamine-reevaluate/re-evaluations/0009.html

副作用情報の収集、分析も行われます。

安全対策業務 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/safety/index.html

2017-10-07 二重盲検法でオーリングテストの効果を実証したと称する「文献」?

[]二重盲検法でオーリングテストの効果を実証したと称する「文献」を読んでみた 二重盲検法でオーリングテストの効果を実証したと称する「文献」を読んでみたを含むブックマーク

オーリングテストはもはや由緒正しいニセ科学と言っていいだろう。指をアルファベットの"O"の字にして指が離れるのに抵抗する力から、薬を選んだり、病気を診断したりできると主張されている。詳細は■『謎解き超科学』のナカイサヤカさんの『「オーリングテスト」とはなにか?【筋肉の反応でなんでもわかる診断法】』の章か、拙著■『「ニセ医学」に騙されないために』の「オーリングテストは科学的? 」の章を参照していただきたい。

オーリングテストが機能することを証明するには二重盲検法による検証が必要である。たとえば、すでに対象となる患者の胃が悪いことを試験者が知っている場合、意図的にあるいは無意識に、胃を指したときに指が離れるようにしてしまうかもしれない。あるいは被験者が知らなくても患者の反応を読み取れば同じことが起こりうる。意図的/無意識に筋肉を動かすことによって、超能力のように未知の情報がわかるように見えてしまう現象は、「こっくりさん」やダウジングと同じ原理である。二重盲検法によってオーリングテストが機能することを証明した研究はほとんどない。

オーリングテストを信じている論者が「こちらの知る文献では、2重ブラインドテストで効果か実証されてます」*1と出してきた「文献」がひどかった。



■O−リングテスト反応の意味とスタンダード医学検査の比較



タイプ1エラーだってあるから、中にはオーリングテストが有効であったことを示す二重盲検試験の結果があってもおかしくはないのだが、それにしてもこれはひどい。日本補完代替医療学会の学術集会のシンポジウムの抄録のようである*2。他にもホメオパシーのシンポジウムも行われていた。

人間ドックの結果とBDORT(バイ・ディジタルO−リングテスト)の結果を突き合わせることで、オーリングテストを検証しようという趣旨はよろしい。ただし、上記したような理由で二重盲検下で行うことが望ましい。この文献では英文部分では"double blind check between BDORT and Standard Laboratory Test"(BDORTと標準的臨床検査の間の二重盲検チェック)とあるが、日本語部分に盲検についての記載がない。盲検化の方法について詳細な記載がないとかではなく、盲検にしたかどうかの記載すらないのだ。どういうこと?

試験者を盲検下に置くのは比較的容易だが、患者(被験者)を盲検下に置くのはどうやったのだろう?人間ドックの結果を開封せずにオーリングテストを受けてもらったのだろうか。それともオーリングテストを受けてから人間ドックを受けた?どちらにしろいろいろと問題があるけど、詳細は不明である。

結果もすごい。

【結果】

BDORT による異常出現率の高いものは、大腸(82%)、前立腺(70%)、心臓(65%)だった。スタンダード医学検査による健康診断(人間ドック)による異常出現率は肝臓(61%)、胃(55%)、心臓(45%)に高かった。

これだけ。オーリングテストは機能してないじゃん。オーリングテストで「大腸が異常だ」と指摘された人の多くが標準的臨床検査では大腸の異常を指摘されていないわけでしょう。だいたい、感度(標準的臨床検査の陽性者の中のオーリングテスト陽性者の割合)とか特異度(標準的臨床検査の陰性者の中のオーリングテスト陰性者の割合)とかを出してないのはどういうことですか。感度と特異度の数字を出すとオーリングテストが役に立たないのがばれてしまうからか、論者が感度と特異度の重要性を理解していないのか、どちらかまたは両方であろう。

結論もすごい。

【結論】

BDORT で異常なしとした中で、人間ドックで異常が発見される割合が極めて低い傾向にあった。また、BDORT で異常を早期に発見するので、著者がガンの自然史で発病予測をするように、ガンが発見されるまで5〜10 年かかる。定期的に BDORT で検査して異常なしとなるようにしていれば、病気に罹患する確率が低いといえる。BDORT の診断・治療及び有効薬剤の決定方法等についても解説する。

「BDORT で異常なしとした中で、人間ドックで異常が発見される割合が極めて低い傾向」とあるけど、具体的な数字は示されていない。【結論】で言及するなら【結果】に記載しなければならない。それに、有意差検定がされているかどうか不明である。「BDORTで異常ありとした中で人間ドックで異常が発見される割合」との比較をすべきである。

「ガンが発見されるまで5〜10 年かかる」という部分は、おそらくは「オーリングテストで異常あり、人間ドックで異常なしだとしても、オーリングテストが間違っているのではなく、5〜10年後にがんが発見されるのかもしれない」と言いたいのであろう。以前、■高価な「先端医療検査」の実力は?でも指摘したが、インチキ検査の常套手段である。インチキ検査で「異常」が出なくなる治療とセットになっていることが多い。

「定期的に BDORT で検査して異常なしとなるようにしていれば、病気に罹患する確率が低いといえる」と言いたいのであれば、「定期的にBDORTで検査して異常なしとしている群」と「そのような処置を行っていない対照群」を5年から10年間追跡して、病気に罹患する確率を比較しなければならない。そのような研究をしていない以上「病気に罹患する確率が低いといえる」と結論で述べてはいけない。

以上のように、この「文献」は医学生のレポートの水準にも達していないが、なんと「日本バイ・ディジタルO−リングテスト協会副会長」によるのだそうである。自分たちで作った学会内で発表したり論文にしたりすることで、お墨付きがあるかのように誤認させるニセ科学があるので注意する必要がある。



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■服に薬理作用があるから服用という?

■オーリングテストが明らかにした身体に悪いものリスト

*1:URL:https://twitter.com/ahare_asayaka/status/916254369632231425

*2:URL:http://www.jcam-net.jp/data/2010.html

aetos382aetos382 2017/10/08 18:31 オーリングテストで異常なしだからと標準医療を軽視して、症状が出た時には手遅れ…という様がありありと想像できますね

Zigk69Zigk69 2017/10/09 16:37  電子書籍サイト forkNより、出版された。
『医学革命の論理あるいは磁気医学の探究』
磁気療法はニセ科学ではない。健康であるためには、生体分子機械といわれ生命現象を進行させるタンパク質の立体構造が正常でなければならない。構造変化が起きると病気になるが、可逆的に復元させると健康を取り戻せる。それは量子力学に基づく「構造相転移」という物理現象であり、そのための最強の方法が磁気制御である。

NATROMNATROM 2017/10/09 16:59 Zigk69さん、コメントありがとうございました。

どのような患者さんに、磁気療法を行うと、行わない場合と比較して、どれぐらい良くなるか、臨床試験が行われていたら教えてください。臨床試験なしに、構造変化とか構造相転移とか言っているだけであれば、それはニセ医学です。

Zigk69Zigk69 2017/10/09 17:40 まだ、そんなことを言っているのですか。例えば、呼吸が苦しくてのたうち回る喘息の大発作中に磁気を作用させるだけで完治するのですから、比較なんてするまでもないでしょう。それだけで20年以上発作ゼロですから。過敏性腸症候群なんかも、その場で症状が解消される。事実を認めるか、認めないか、2つに1つですよ。まあ、私が行わなくても、皆さんが追実験、つまり治療を行ってみれば納得されるでしょう。

NATROMNATROM 2017/10/09 18:22 Zigk69さん、コメントありがとうございました。

症例報告はありますか。併用した標準医療が効いただけではないでしょうか。標準医療を併用していないとしたら、「呼吸が苦しくてのたうち回る喘息の大発作中に磁気を作用させる」という事例は倫理的に問題があります。

Zigk69Zigk69 2017/10/09 19:23 このような研究が通常の臨床実験で行えるはずがないだろう。すべては自己実験に決まっているだろう。

Zigk69Zigk69 2017/10/09 19:32 標準医療など併用しない。磁気以外に用いたものは何もない、磁気だけで10分もすると解消である。

NATROMNATROM 2017/10/09 23:00 Zigk69さん、コメントありがとうございました。

コメントありがとうございました。すべて自己実験ということは症例報告すらないのですね。また、Zigk69さん以外の人に効くかどうかの証拠もないわけですね。Zigk69さん自身に効いたかどうかすら客観的な証拠はない(自覚症状が改善したという主観的な所見のみ)のではないですか?

さすがにそれでは、他人に信用してもらうのは難しいと思います。私も信用しません。

Zigk69Zigk69 2017/10/09 23:43 苦笑、まあ、いいでしょう。特に反論しようとも思いません。
それが現代医学というものでしょう。ところで、誰だか知らないが、先程脅迫コメントが書き込まれた、これだけはちょっと困る。警察に届けておかなければ。

27162716 2017/10/16 16:42 こういうのをあちこちで見かけますが、「主観」と「客観」という概念って中学生くらいまでで学習しているはずですよねえ…。違いましたかねえ…。

hisahisa 2017/10/17 08:54 困ったことに、それ以前の感覚の方みたいですけど。

BL41XU userBL41XU user 2017/10/18 14:42 タンパク質の立体構造というときの「構造」と構造相転移というときの「構造」はまったく違う概念であるのに同じように使っているようですね。
今まで同時に語られなかった分野は対象や概念が異なることが多いのですが「新発見」される方は漢字や語感の類似性でよく混同されるようですね。
昨年のノーベル賞で話題となったオートファジーは構造異常タンパク質を分解することができますが、病気を引き起こす構造変化はまた別の概念なんでしょうか?
専門用語の取り扱いって本当に難しいですね。
「自分が使う〇〇という単語は今までとはまったく違う新しいもの(概念)だ」っておっしゃる方もいるのがさらに難しいところですね。

2017-10-03 乳がん術後の「抗がん剤ストップ」のリスクはどれぐらい?

[]乳がん術後の「抗がん剤ストップ」のリスクはどれぐらい? 乳がん術後の「抗がん剤ストップ」のリスクはどれぐらい?を含むブックマーク

女優の南果歩さんが、ステージIの乳がんの手術および放射線治療後の抗がん剤をストップしていることを明かしたという報道があった。



■南果歩「見本にして」抗がん剤ストップ中と明かす (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

 南はステージ1の乳がんと診断され、昨年の3月11日に手術を受けた。転移はなく、現在までに再発の兆候もないという。

 現状について聞かれると「今、ハーセプチンという抗がん治療をストップしています。抗女性ホルモン剤の投薬もストップしています。これは俗に言う、代替治療に切り替えたということです」と打ち明けた。続けて「私のやり方はひとつの症例であって、皆様に当てはまるものではないかもしれません。こういう考え、治療法があるんだと、表に出る仕事をしているので、分かりやすい見本になると思うんです」と、現状を明かした理由について語った。



ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)は、HER2と呼ばれる蛋白質に対するモノクローナル抗体である。HER2を発現しているがん(特に乳がん)に対する抗がん剤として使われる。一般の方々がイメージする抗がん剤(細胞障害性抗がん剤)のように髪の毛が抜けたり血球減少が起こったりはしにくい。

HER2陽性の乳がんの手術後に、再発リスクを下げることを目的にハーセプチンを使うのは標準医療である。術前に使ったり、他の抗がん剤と組み合わせて使ったりすることもある。ハーセプチンを使うことで、再発や乳がん死をだいたい3分の1減らすことができる。よってハーセプチンをストップすることで再発や乳がん死のリスクは上がると思われる。

とは言え、ハーセプチンを中止したことが間違った選択だとは言えない。医療にはメリットと同時にデメリットもあり、メリットとデメリットを比較する必要がある。報道からは限定的な情報しかないが、ステージIでもともと再発や乳がん死のリスクは高くない。また、血圧が「100くらいだったのが160に」になったという。収縮期血圧のことだと思われる。ハーセプチンには心毒性という副作用があり、高血圧は心不全のリスク因子になりうる。私は乳がんの専門家ではないが、降圧薬を併用しながら注意深くハーセプチンを継続することを勧めるが、患者さんが降圧薬に対して消極的ならば乳がん再発リスクを承知でハーセプチンを中止するという選択肢も十分にある、といったところではないかと思う。

リスクを正確に定量するのは難しい。日本人女性のステージIのHER2陽性の乳がんの手術後にハーセプチンの有無でどれぐらい予後が変わるかを示した直接の研究は発見できなかった。代わりにコクランの早期乳がんに対するハーセプチンを含んだレジュメのレビューを紹介する。■Trastuzumab containing regimens for early breast cancer - Moja - 2012 - The Cochrane Library - Wiley Online Libraryによれば、HER2陽性の乳がんの手術後の患者1000人に、ハーセプチンなしの治療を行うと、おおよそ数年間の間に900人が生存し5人が心不全を起こす。一方、ハーセプチンありの治療だと933人が生存し(33人がハーセプチンのおかげで助かった)、26人が心不全を起こす(21人がハーセプチンの副作用)。ただし、心毒性の副作用はハーセプチンを中止すると多くが元に戻る。

乳がん再発予防の効果(1000人中95人がハーセプチンのおかげで再発しない)も合わせると、メリットはデメリットを上回ると言える。だから、ハーセプチンはHER2陽性乳がんに対する標準医療として採用されている。ただし、これはステージIのみではなくより再発のリスクの高いステージの乳がんを含んだ数字である(局所進行乳がんまで含む)。また、高血圧という心不全のリスク因子を持たない人が大半であろう。

乳がん死や再発リスクが小さいステージIに対してはハーセプチンのメリットは相対的に小さくなるし、高血圧があると心不全のリスクは高くなる。患者さんの価値観次第ではハーセプチンを使わないのも十分に合理的である。コクランのレビューでも冒頭に"there are potential cardiac toxicities which need to be considered, especially for women at lower risk of recurrence, or those at increased cardiovascular risk.(再発リスクが低いまたは心血管系リスクの高い女性については特に、考慮を要する潜在的な心毒性が存在する)"とある。

南さんはサプリメントや糖質制限などの代替医療を行っているという。「代替医療を行うからハーセプチンを止めた」のであればリスクを十分にご理解していたのか心配だが、主治医ともじっくり話し合って、セカンドオピニオンやサードオピニオンも受けたというから、その点は問題はないであろう。

将来、南さんの乳がんが再発しないとしても代替医療のおかげではない。代替医療を行わなくても、もともとステージIの乳がん術後の予後は良いからだ。また、(そうならないように願っているが)運悪く再発したとしてもハーセプチンを中止したからだとは必ずしも言えない。ハーセプチンを使っていても再発するときはするからである。

がん手術後の抗がん剤のメリットやリスクは人それぞれである。薬を飲むのを好まない人もいるだろうし、がんの再発リスクが減るなら多少の副作用は我慢できるという人もいるであろう。それは個別に対応するべきである。



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■丸山ワクチンをおとしめる週刊ポストの記事

kashinkashin 2017/10/03 14:22 「抗がん剤ストップ」の選択とその結果は、患者さんの自己責任にするしかないのですが。それがベストの選択だったかを事後に検証するのは不可能に近いですからね。将棋などの感想戦のようにはいきませんからね。

あまおうあまおう 2017/10/03 22:54 非常にためになる解説でした。
標準医療はデータを元にメリットとデメリットを天秤にかけることができるからこそ、最も誠実な医療手段だと思うのですが、それゆえに、デメリットがないと謳う代替医療には漬け込まれやすいんですかね。
元記事を読むと、南香穂さんがわりあい理性的な話し方をされる方で良かった、という思いと、そのような方でさえも代替医療に魅了されてしまうのか、という歯がゆさとを同時に感じてしまいます。。

JA50JA50 2017/10/04 10:30 ハーセプチンを中止したのが問題ではなく、ハーセプチンを代替医療に切り替えたってことが(表現が)駄目なのでは?
代替医療は標準医療の代替にはならない。

NATROMNATROM 2017/10/04 10:58 やたら高価だとか、あきらかにそれは害があるやろといった代替療法ならともかく、サプリメントやらエミューオイルやらぐらいならまあいいんじゃね、というのが私の感想(ふだん酷すぎるニセ医学を見慣れているから感覚がやや麻痺しているのかもしれませんが)。ハーセプチンを中止するとなると、何か代わりのものがあったほうが安心するというのは患者さんにとってごく普通の感情です。メディアの伝え方に問題があるのはご指摘の通りです。注目すべきはそこ(「こんな代替医療やってるよー」)じゃないでしょう。

代替医療の広告塔になるかもという危惧はもっともですが、現時点では南果歩さんの語り口は十分に抑制的です。「味方にする」というのも変ですが、「標準医療でも個々の患者さんの症状に注意して抗がん剤治療を中止することもある」「抗がん剤を中止したり、代替医療を行っているからといって、患者さんを見放したりしない」ことをアピールする「広告塔」になっていただける可能性があるのではないかと思います。

育野育野 2017/10/15 01:18 先週NHKニュース9でがん代替医療の小特集(?)をやってました.
屋外のテントに人が集まっている映像が出ていたので何かイベントを取材したのかも.
医療関係者(両サイド?)のコメントもあったようですが,夕飯作りながらだったので内容は未確認です(半端ですみません).

2017-09-12 高価な「先端医療検査」の実力は?

[]高価な「先端医療検査」の実力は? 高価な「先端医療検査」の実力は?を含むブックマーク

研究途上にある医療を高額な対価をとって提供する医療機関がある。記憶に新しい例では■クリニックで行われた臍帯血投与に意味がない理由で紹介した臍帯血投与である。ある種の血液疾患に対する臍帯血投与は標準医療だし、臍帯血由来の幹細胞を利用した再生医療はきちんとした研究の対象である。しかし、クリニックで提供された臍帯血投与にはまったく意味がなかった。

研究途上の、言い換えればまだエビデンスに乏しい医療は、治療のみならず診断にもあてはまる。具体的には、



■高城剛氏が語る「最先端医療の衝撃」(高城 剛) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)



にて紹介されている「先端医療検査のひとつ」であるところの「血中エクソソーム内のマイクロRNA検査」がそうである。医療機関によっては保険外診療(全額自己負担)として数万円から数十万円で提供されている。

血液中のマイクロRNAを調べることでがんの早期発見ができるのではないかと期待されているのは事実である。国立がん研究センターでも研究されている。しかし、研究中であるということは、いまのところは実用化はされていないわけである。もしかしたら研究の結果、実用には耐えられないことが将来判明するかもしれない。研究とはそういうものである。

未だ実用化されておらず臨床的意義は不明であることを十分に情報提供し同意を得た上でなら、数万円の対価を取って検査を提供する自由もあるだろう。しかしながら、高城剛氏が話を盛ったり独自解釈をしたりせず正確に伝えているのならば、上記リンクした『現代ビジネス』で紹介されている事例はインチキである。高城剛氏によれば、マイクロRNAが膵臓がんの『ステージ−1(マイナス1)』という状態で、遅くとも1年以内にすい臓がんが発症する確率が9割以上ということを示していたそうである。



「僕のマイクロRNAは、早ければ数ヵ月、遅くとも1年以内にすい臓がんが発症する確率が9割以上ということを示していました。本当にびっくりした。もちろん自覚症状はないし、その前に人間ドックで受けた腫瘍マーカー検査でもまったく問題はなかったのに、です」

(中略)

「同時期に『マイクロアレイ』という遺伝子の損傷状態を調べる先端検査を受けましたが、遺伝子レベルでの損傷は見られなかった。さらに高性能のMRCP(胆嚢・すい臓に特化したMRI)やエコーなど、視覚化できる先端技術でもがんは発見できなかった。

一般的にがん細胞が上皮細胞内にとどまっている初期の状態をステージ0と言いますが、僕の場合はいわば『ステージ−1(マイナス1)』という状態だったわけです」



画像診断が不可能なほど小さい膵臓がんをこのような精度で診断できる技術は現在の地球上には存在しない。ある検査が陽性だと「1年以内にすい臓がんが発症する確率が9割以上」であると、どうやったら証明できるかを考えてみればよい。すでに膵臓がんを発症している人をいくら集めて検査しても証明できない。まだ膵臓がんを発症していない人をかたっぱしからマイクロRNA検査をして、マイクロRNA検査陽性かつ画像検査で陰性だった人を1年間追跡調査しなければならない。確率が9割以上と言うからには最低でも10人は必要だろう。

では、どれぐらいの人数にマイクロRNA検査を行う必要があるだろうか。50歳台の日本人男性の膵臓がんの発症率は人口10万人年あたり約20人強ぐらいである*1。5万人検査してやっと膵臓がんの症例が10人ちょっと得られる計算になる。膵臓がんの発症率の高い高齢者を対象にしても数千人を検査しなければ、「1年以内にすい臓がんが発症する確率が9割以上」などという結果は得られない*2。そのような大規模な研究を行っておきながら未発表なんてことがあるだろうか。

既に膵臓がんと診断された人(当然、画像検査で陽性)をたくさん集めてどのぐらいがマイクロRNA検査で陽性になるかという研究であればすでになされている。がん患者を対象にした検査で正しく検査陽性となる割合を「感度」と呼ぶが、報道によれば、95%以上が陽性になるという*3。結構いい感じだと思うじゃん?ところがそうでもないんよ。同じく報道によれば、がんでない人を正しくがんでないと診断する割合「特異度」は83%である。つまり、がんでない人100人に検査すれば83人は正しく陰性という結果になるが、17人は誤って陽性になってしまうわけ。

そこで問題です。感度95%・特異度83%の検査を一般集団に行って、陽性と出た人の中で実際にがんである人の割合(陽性反応的中割合)はどれくらいでしょうか。

これは一般集団における膵臓がんの有病割合にもよる。今後1年間に発症する人をがんの有病者とすると、先に述べたように高城剛氏の年齢ではだいたい20人/10万人ぐらいである。つまり10万人にかたっぱしからマイクロRNA検査をすると、本当に膵臓がんである20人中19人が検査陽性となる。一方で膵臓がんでない人9万9980人のうち、誤って検査陽性と出る人は約1万7000人だ。

50歳台の日本人男性のマイクロRNA検査で陽性と出た人の中で実際に膵臓がんである人の割合は、約1万7020人中の19人、約0.11%である。高城剛氏が受けたマイクロRNA検査が、現在の地球上に存在しないオーパーツ的な検査ではなく、国立がん研究センターで研究されているのと同程度のものであれば、高城剛氏が遅くとも1年以内に膵臓がんが発症する確率は9割ではなく0.11%程度である*4。ちなみに感度99%、特異度99%まで改良したとしても、陽性反応的中割合は1.94%である。

高城剛氏は、高濃度ビタミンC点滴をされた上で、3ヵ月後にマイクロRNA検査を受けた。「がん発症リスクは大幅に下がっていました」とのことで高濃度ビタミンCが効いたと高城剛氏は解釈したようだが、実際のところは、もともと膵臓がんでもなんでもなく、平均への回帰によってマイクロRNA検査の結果が変わっただけのように、私には思われる。

日常診療において、保険外の検査が必要になることはあるが、あくまでも例外的な事例である。自費診療の治療を行っているような医療機関が提供する「先端医療検査」のほとんどが臨床的意義に乏しい。検査だけならお金を失うだけで健康被害に遭うことはないだろうが、異常が出たと不安を招いてエビデンスのない高価な治療に誘導する手法もよく見られる。高額な医療を受けるときには「すごく効果があるとしたらいったいなぜ普及していないのか?」と考えてみよう。



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■特異度と偽陽性率と陽性反応的中割合と

■がんSTOP音頭/細胞カラーチェッカー

*1:がん情報サービスグラフデータベースより

*2:細かいことを言うと血液検体を採取、保存しておいて、膵がんを発症した人と対照群のみを検査する方法はある。だとしても数千人、数万人もの検体を適切に保存しておかねばならない

*3https://www.dailyshincho.jp/article/2017/08260802/?all=1&page=2

*4:他の検査で陰性であったので実際には0.11%よりもっと低い

カルストカルスト 2017/09/15 10:37 ナトロム先生、こんにちは。
高城氏の話はネットニュースでも見ましたが、なんだか新興宗教の教祖と信者みたいに感じる、というと言い過ぎでしょうか?
「最先端の医療検査」とか、「マイクロRNA」などと言われると、なんの疑いも持たなくなるのでしょうか。怖い話だと思います。

TAKATAKA 2017/09/15 20:33  こんにちは。私は、思考に憑りついて離れないニセ医学的な説をメベンダゾールで駆除できるかどうか、調べている者です。
 ちなみに私の場合、高城氏の考え方は一見すると正しいように思えてしまいます。
 「まずは、高濃度ビタミンC点滴をされた」
 「次に、3ヵ月後にマイクロRNA検査を受けた」
 「すると、がん発症リスクは大幅に低下した」
 「ゆえに、高濃度ビタミンCが効いたと結論してよい」
 私の場合、これで納得して信じてしまうわけです。「ほかの原因があるかも?」とまでは、思いが居たらないのです。
 ゆえに、私は現在進行形で怪しい医療のいいカモ状態です。
 以上で、報告を終わります。

フォーチュンフォーチュン 2017/09/23 22:57 グッ!ジョブ ( ^ー゜)b

何気なく聞き流して納得してしまっていることでも、ちょっと掘り下げればおかしなことがいっぱい、
そんな健康話に対するいい例ですね、ただ素人にはちょっと気づきにくいので、このようなブログがありがたいです。m(_ _)m

つまりこの先端医療検査っていうのは、すい臓がんに対しほどほど心配ないですよっていうレベルでは心配で、
ほどほどほどほど心配ないですよっていうレベルになりたい人が受ける検査なんでしょうねきっと。
で、結果17%の確率で、すい臓がん発生確率0.11%っていうことになり、
たぶん心配ないですよレベルに心配しまくるんでしょうね。(;´д` )

でもそんな先端医療機器、私が医療機関側の人間ならぜひ導入したいですね、なんてったって5人に1人の割合で一年間の継続検査の患者を確保でき。彼らにどんなトンデモ医療を高額で施したとしても治癒率99.9%ってことになるんでしょうから。ヽ (´ー`)┌

att460att460 2017/09/30 02:10 ご存知かもしれませんが、興味深い記事がありましたので。

東京新聞:ホメオパシー、ハーブ投与… がん治療で代替医療、死亡リスク2.5倍:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017091902000218.html

がんの代替治療は、5年以内の死亡率が標準治療の「最大5.7倍」だった:研究結果|WIRED.jp
https://wired.jp/2017/08/31/alternative-medicines-toll-on-cancer-patients-death-rate-up-to-5x-higher/


ついでに、

欧州 ホメオパシーの大きな害を発表 - Sputnik 日本
https://jp.sputniknews.com/science/201709254121704/
#Wikipediaに元となった欧州科学アカデミー諮問委員会(EASAC)の発表を追加しています。

2017-08-28 クリニックで行われた臍帯血投与に意味がない理由

[]クリニックで行われた臍帯血投与に意味がない理由 クリニックで行われた臍帯血投与に意味がない理由を含むブックマーク

無届けで臍帯血(さいたいけつ)の投与を行ったとして、医師を含む6人が逮捕されるというニュースがあった。



■さい帯血無届け投与、販売業者や医師ら6人逮捕 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)



がんの治療や美容目的で臍帯血の投与が行われていたという。該当するクリニックで行われていた臍帯血の投与は、医学的には意味がない。意味がないというか、意味がわからない。よくある細胞免疫療法は、少なくとも理論上は効くかもしれないと思えるようなものであるが、臍帯血については逮捕された医師がいったい何を期待していたのか見当がつかない。ぜんぜんわからずに雰囲気で臍帯血投与をやっていたとしか思えない。

臍帯血移植は標準医療である。大きなくくりでは、骨髄移植や末梢血幹細胞移植と同じく、造血幹細胞移植の一種である。たとえば、血液系の悪性腫瘍(がん)に対して臍帯血移植が行われている。しかし、そのメカニズムを知っていれば、がん患者にただ臍帯血を投与したところで何の効果もないことがわかる。

臍帯とはいわゆる「へその緒」である。このへその緒から採れた血液中にさまざまな血球に分化する能力を持った造血幹細胞が含まれている。血液系の悪性腫瘍に対し臍帯血移植を行う前に、まず抗がん剤や放射線治療によってがん細胞を叩く。しかし、こうした治療は副作用として正常な造血細胞にもダメージを与える。抗がん剤の副作用として白血球減少や血小板減少は有名である。

がん細胞に対して十分な治療を行ったところで臍帯血を移植すると、ドナーの造血幹細胞が増殖、分化して白血球や血小板を造りはじめる。つまり、治療によってダメージを受けた造血機能が回復する。臍帯血を移植することで思い切った治療が行えるわけだ。また、造血幹細胞由来の免疫細胞が残ったがん細胞に対して攻撃するという移植片対白血病効果(GVL効果)も期待できる。

臍帯血移植が効果を発揮するのはその前に抗がん剤治療や放射線療法を行うからであって、ただ臍帯血だけ入れても意味がない。レシピエントの免疫細胞が残っているので、逆に臍帯血由来の細胞は攻撃されて死に絶えるだけである。通常の臍帯血移植であれば、レシピエントの免疫細胞はほとんど残っていないので、臍帯血由来の細胞は生き残ることができる。

クリニックで行われた臍帯血移植において、移植された造血幹細胞が死に絶えてくれるならまだよい。臍帯血移植を含めた造血幹細胞移植には移植片対宿主病(GVHD)という副作用がある。移植された造血幹細胞由来の免疫細胞ががん細胞を攻撃するだけではなく、正常な組織も攻撃することによって起こる。運悪く移植片対宿主病が起きたとき、クリニックの医師は正しく対処できたであろうか。というか、移植片対宿主病の存在自体を知らないのではないか。知っていたら、生きている他人の造血幹細胞を外来で患者の体内に注入するなんて恐ろしいことはできない。

今回は、再生医療安全性確保法という法律があったため、こうして事件となった。しかし仮に法律がなかったとしても、入院設備のないクリニックががんの治療を目的として臍帯血投与を行うのは医学的に考えて容認できない。今回の事件は、単に法律上の手続きの不備に留まらず、医学的な観点において根本的に問題があった。

やっかいなのは、幹細胞さえ使用しなければ、同レベルのインチキ医療を規制する法律が存在しないことである。賢いクリニックではわざわざ臍帯血移植には手を出さず、もっと効率的に儲かる代替医療を提供している。長期的にはなんらかの法的な規制が行われるかもしれないが、現時点では、患者さんが各自騙されないよう気を付けるぐらいしか方法はなさそうである。



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