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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2007-02-26 血液型と性格と日本人のルーツ

[][]血液型と性格と日本人のルーツ 血液型と性格と日本人のルーツを含むブックマーク

■血液型で性格は判断できない、ということ。(『広告業界就職フォーラム』挨拶専用ブログ)


リンク先の趣旨には概ね賛成*1。問題はコメント欄。とある業界人さんから、以下のようなコメントが。


業界最大手のD社の社員における血液型別構成比と、日本人平均の血液型別構成比とでは、明らかに統計的に有意な差があり、それが歴史的に継続している、という事実は、業界内ではけっこう有名です(B型が多い)。確か、「気まぐれコンセプト」でもネタにされたことがあったと思います。

もちろん、血液型で採用しているワケではないのですが、結果論としては顕著に現れています。

日本と韓国で血液型論がハヤるのは、この両国においては、1.人類史的には比較的近年(新石器以降)に、2.量的に近い複数の民族集団の混成によりそのルーツが作られ、3.民族ごとに文化や習性が大きく異なるとともに、4.母体となった民族ごとに血液型の構成比が極端に異なる、という共通項があるからだと思われます。

個々の人間ではわかりませんが、集団となると「どっち系」か、血液型の構成比から、統計的に判定できます。


強調は引用者による。統計的に有意差があるというのであれば、有意差検定が行われたはずなのでソースを要求したのだが、ブログ主である挨拶専用85さんが「コメント欄は議論の場ではない」とコメントしたので、とある業界人さんが了承していただけるのなら続きをこちらでやりたい。とある業界人さんのコメントを見るに、以下のようなメカニズムを想定しているらしい(違うと言うのであれば訂正を願う)。


1. 縄文人はB型が多く、弥生人・渡来人は、A・O型が多い。

2. 先住の縄文系に対し、その後にやってきた弥生・渡来系が、その勢力を拡大しながら、棲み分け、また混血を繰り返した。

3. その集団が縄文系か弥生・渡来系かという判定は、血液型の比率の分析から可能であり、そこから伝統や文化の違いも説明できる。


確かに、集団の由来を遺伝子頻度を比較するよって推定するという方法論はある。たとえば、集団A、集団B、集団CのO型の頻度がそれぞれ10%、15%、50%だったとすると、祖先集団からまず集団Cが別れ、その後に集団Aと集団Bが別れたと推測できる。しかしながら、それを血液型性格診断に結びつけるのは2つの理由で誤りである。一つ目は、ABO式血液型を特別視する理由がないこと。ABO式血液型およびその他の数多くの遺伝子が集団によって異なるであろう。一昔前ならともかく、現在ではABO式血液型は多数ある遺伝マーカーの一つに過ぎない。詳しい話は、過去のエントリーの■DNAから見た日本人を参照されたし。

二つ目は、日本人集団はほぼ遺伝的に均一で、ABO式血液型の比率は日本人内のある集団が縄文系か弥生・渡来系かという判定に使えないという点。というか、縄文系か弥生・渡来系か区別する意味はないであろう。極端な例を出せば話が分かりやすいかもしれない。ある国は黒人と白人が半々ぐらいで構成されているが、黒人の集団にA型が、白人にO型が多いと仮定しよう。けしからぬことに人種差別を行ない黒人を採用しない会社があったとして、その会社の社員が国民平均と比較してO型の比率が有意に多くなることはありうる。ただし、この効果は黒人と白人が混血することによって薄れる。長い長い時間が経った後、その会社の社員における血液型比率は有意差を保っているだろうか?そもそも肌の色は比較的速やかに血液型と相関しなくなり(たまたまABO式血液型と肌の色に影響する遺伝子が同じ染色体の近傍にあるなどという偶然でもない限り)*2、黒人と白人の区別をする意味はなくなる。

せいぜい、韓国人、日本人、アイヌ人、漢民族といった大きなくくりでのみ血液型比率は意味をなすのであって、日本人内で*3の集団が縄文系か弥生・渡来系かは区別できないし、区別する意味もない。よって、日本人を採用している会社の社員の血液型比率と日本人平均の血液型比率の差が顕著に現れるほどの差は生じるはずがない。D社の社員に有意にB型が多いという話が仮に事実だとしても、日本人のルーツとなる民族が複数あることでは説明できず、別の説明が必要であろう。そもそも、有意にB型が多いという話が本当かどうかを検証する必要がある。事実ではなくネタだったとするならば、採用における差別に関連して血液型性格診断を批判するエントリーにつけるコメントとしてはきわめて不適切である。日本と韓国で血液型論がハヤる理由は、ルーツを持ち出さなくても、血液型が適当にバラけていること(国民の95%がO型なら血液型性格診断など流行らない)で説明されると思う。



関連記事

■血液型の話をすることくらいはいいのか?

*1:細かいことを言えば、血液脳関門を理由に血液型と性格の関係を否定するのは間違い。「赤血球上の糖鎖が直接脳内に影響して性格に影響を与える」という仮説が否定されるだけで、「ABO式血液型を決定する遺伝子は脳内でも発現している」「ABO式血液型を決定する遺伝子のきわめて近傍に性格に寄与する遺伝子がある」という可能性は否定できないからだ。ついでに「臓器移植にあたって、免疫系(白血球)の違いは関与があるけれど、ABO血液型は無関係」というのも間違い。臓器移植にABO式血液型は結構重要だ。

*2:この辺の話は血液型別ダイエットが非科学的で根拠がない説明にも関係する

*3:無論、日本人集団が単一民族ではないことは承知している。

挨拶専用85挨拶専用85 2007/02/27 16:24 NATROMさん、こんにちは。コメント&新エントリーUP、ありがとうございます。レフリーがリングから降りて場外乱闘という訳ではないのですが(笑)
一つ質問です。骨髄性白血病の患者さんに骨髄移植をしてABO血液型が変わってしまうケースがあると聞いたのですが、その場合は性格が変わったりしませんよね?(人生観は変わるかもしんないけど^^)ご教授ください。よろしくお願いいたします。

もぴんもぴん 2007/02/27 20:36 こんばんは。実はD社の採用には、知られていないだけで松本道弘氏系の流れを継承している・・・わけないですね。「じっとしないB型には複眼思考(マーケティング)」を担当させるという記述があったりします。(「ディベートの原理原則」75ページより)

NATROMNATROM 2007/02/27 21:17 骨髄移植後にABO式血液型が変わると性格も変わるという明確な証拠はないと思います。まあ大病後ですので性格が変わってもおかしくはないと思いますが、血液型が変わらないような骨髄移植後だって同じくらい性格が変わるでしょう。

sagittasagitta 2007/02/27 22:30 衒学ネタとして、ルーツと性格を結びつけるのは確か宮城音弥氏が元ネタだったような。そこでは、縄文人→南方、弥生系→北方としていたはず。(うろですが)
あと、血液型占い(あえて性格診断とはいわない)が普及した以降は先入観弥周囲の影響で性格が「迷信」に合うように変わった可能性もあるのでは。
って、全部憶測なわけですが。

挨拶専用85挨拶専用85 2007/02/27 23:55 こんばんは。
ご返答ありがとうございました。>NATROMさん、
納得しました。ですよね〜

もぴんもぴん 2007/02/28 07:56 血液型占いを読むことによって血液型占いどおりの性格になるというのは、後藤芳徳(当時は「よしのり」)という人の「アグレッシブ恋愛方程式」に出てきてたはずですよ。

thomasthomas 2007/03/02 07:49 ここでNATROMさんが挙げている黒人白人の例は、静かなギャグとしてのみ機能するわけですが、日本人韓国人がABO性格診断を信仰できる原因のひとつには、おおよそ肌の色が同じで「我ら同質、単一民族じゃけえ」と盲信してきためなのでしょう。ABO性格診断を提唱することが肌の色差別や民族差別と同じようなヤバさを含むものだと考える敏感さの欠落がヤバいことなのに。
 わたしも欧州生活経験がありますが、血液型なんか知らんよねほとんどの人は。「日本発の邪教」。一概に敷衍できるものでもないですが、隣国民や少数派へあからさまな差別ムードが時におこり、公の発言をためらわないようなこの国にあるハートと重なると思います。人種差別も常に「科学的根拠」を伴ってきたわけですし。なぜ占い以上のものをABOビリーバーたちは提唱するのでしょうか。アボどもが。
 NATROMさんの活動に敬意を表します。

 閑話として、松坂投手は能力高い血液型を有し、ジャイロボールという誰も見たことのない魔球を誇る、というなかなかネタ強しの存在になっちゃいそう。

なんか違うなんか違う 2007/03/02 08:47 >「ABO式血液型を決定する遺伝子は脳内でも発現している」
それは考えられるが、性格との関係は結びつけることはできない。
それに、別にそんなことを立証せずとも、脳内には血液はあるんだけど、そういうことではないのか?
漠然と脳内と書いてあるが、脳細胞外ということは理解しているのだろうか?

>「ABO式血液型を決定する遺伝子のきわめて近傍に性格に寄与する遺伝子がある」
たったひとつの遺伝子で全ての性格が決まるわけではない。
性格に関与する蛋白質としては、
○各種伝達物質合成酵素
 (カスケードの可能性もあり)
○各種伝達物質受容体
いったい、いくつの蛋白質があるのかさえ不明。
10〜20個という少ない数も考えられないが・・・

なんか違うなんか違う 2007/03/02 08:53 >「ABO式血液型を決定する遺伝子は脳内でも発現している」
それは考えられるが、性格との関係は結びつけることはできない。
それに、別にそんなことを立証せずとも、脳内には血液はあるんだけど、そういうことではないのか?
漠然と脳内と書いてあるが、脳細胞外ということは理解しているのだろうか?

>「ABO式血液型を決定する遺伝子のきわめて近傍に性格に寄与する遺伝子がある」
たったひとつの遺伝子で全ての性格が決まるわけではない。
性格に関与する蛋白質としては、
○各種伝達物質合成酵素
 (カスケードの可能性もあり)
○各種伝達物質受容体
いったい、いくの蛋白質があるのかさえ不明。
10〜20個という少ない数も考えられないが・・・

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2007-02-25 たのしい休日〜つくし摘み

NATROM2007-02-25

[]つくし摘み つくし摘みを含むブックマーク

なんだか年末よりいろいろあって、完全に休みという日がここ2ヶ月ぐらいなかった。まあ、土曜日の夜に宿直して日曜の朝帰るというのや、採血結果と患者さんの顔を見に行くだけってのもあったので、激務というのもおこがましいのではあるが、やはり気が休まらない。「勤務医の3割近くは月に一度も休日を取れない」という報道が最近あったが、私の周りを見るにそれほど現実から離れていない数字だろうと思う。

最近やっと病棟が落ち着いて、本日は久しぶりの休み。ゴロゴロするのはもったいないので、天気もそこそこいいし、つくしを摘みに行った。昨年よりかは時期が早いが暖冬なので大丈夫だろう。昨年スギナがいっぱい生えていた川沿いの土手を探すと早速発見(写真)。目が慣れるとたくさん見つかった。チビはよろこんで採りまくった。今年も卵とじにして食べた。

こうやって記録しておくと、来年以降に役に立つ。本来日記とはこういうものなのだろう。

たまごどんたまごどん 2007/02/25 22:27 こういうの読むとホッとするピョンよ。休むときは休む、これが長持ちの秘訣なのら。NATROMピョンも心機一転で、頑張ってチョ。

InoueInoue 2007/02/26 06:11 検査結果とか画像も自宅で見られるようになるといいですね。電子カルテ化されれば、技術的には十分可能なんだろうけど、どうせ個人情報保護がどうとかいって計画は進まないんでしょう。ATMのように、掌血管パタンとかICカードリーダを使って個人認証すれば済む問題じゃないかと思うんだけれど。
 いや、それ以前に主治医制度なんてものがまずいのか。小学校のクラス担任だって副担任がつく時代なんですから、看護師のように申し送りとか副主治医がいれば済む・・・ってのは恵まれた病院の話でしょうね。大野病院みたいに一人医長じゃ申し送りもクソもない。

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2007-02-21 混合診療解禁

[]今、混合診療解禁を提案されたら 今、混合診療解禁を提案されたらを含むブックマーク

2年ほど前、混合診療解禁が話題になった。オリックスの宮内義彦会長が議長を務める規制改革・民間開放推進会議が混合診療解禁を提案し、厚生労働省と日本医師会が反対したという構図である。混合診療の問題点については、■混合診療ってなに?(日本医師会)や■米国医療の実態から日本の医療改革を考える(李啓充氏)を参照していただくとして、当時の多くの医師は混合診療解禁に反対した。宮内会長の「金持ち優遇だと批判されますが、金持ちでなくとも、高度医療を受けたければ、家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょう。それを医師会が止めるというのはおかしいのです」という言葉は広く引用された。選択できると言えば聞こえがいいが、要は「貧乏人は家を売るか死ぬか選択できる。家を持たない貧乏人は死ぬしかない」ということだ。

必要な医療であれば保険診療内で可能にするのが筋である。そうすれば、貧乏人であっても家を売らずとも治療を受けられる。医療は平等であるべきと考える人や混合診療解禁となっても自己負担分の医療費を払えない人は、混合診療解禁に反対するべきである。しかしながら、当時ネット上では混合診療解禁賛成派も結構多かった。「私は小金持ちだから混合診療解禁になったらラッキー。貧乏人の医療費を負担するのはまっぴらごめん」という立場なら分からないでもないが、そうではなく、賛成派の多くは「素晴らしい改革を医師会が利権を守るため政治力を駆使して反対している」とでも考えているようであった。小泉首相とマスコミに騙された憐れな犠牲者といったところだ。

これが2年前までの話。2年前は、厚生労働省および日本医師会をはじめとした医療界の反対によって混合診療解禁は見送られた。もし、今、この問題が持ち出されたら、2年前のように医療界が一致団結して、混合診療解禁に反対できるだろうか?医療費は削られる一方で医師の労働条件は悪化している。2年前は私は混合診療解禁に反対であったが、今はどうでもいいやと思いはじめている。正直、混合診療を解禁したところで、医師はあまり困らない。むしろ、増えた自費診療の分だけ総医療費は増えるわけで、増えた分の何割かはオリックスをはじめとした民間保険会社が取っていくだろうが、医師の取り分も少しは残るだろう。

診療はつまらないものになる。現在は、保険診療の枠内ではあるが、どの患者さんに対しても区別なく精一杯やっていればよかったのが、混合診療解禁となればお金で患者さんを区別しなければならない。保険会社に「この治療を行ってよろしいか」とお伺いしなければならない。心理的にきわめて抵抗がある。しかしながら、「労働基準法違反の激務。薄給」とどちらがいいか。民間保険会社の言う通りの医療をやりさえすれば、給料アップ、休日あり、学会にも普通に行けるとなるとそっちの方を選択したくもなる。

医療の格差は広がる。割りを食うのは貧乏人と地方住民。これも都市部に住む医師は困らない。むしろ、このまま日本の医療崩壊が進み一面焼け野原になるぐらいならば、「金さえ出せば一定水準以上の医療が受けられる」医療機関が残っていたほうがいい。医師だって、いつ病気になるのかわからないが、オリックスの医療保険を購入するぐらいの給料は稼いでいる。

予言をしておく。近い将来、混合診療解禁の提案がなされ、今度は医療界からの強い反発もなく通ってしまうだろう。都市部の一等地にオリックスやトヨタが病院を建て(あるいは買収し)、金持ちを対象に医療を提供する。公的保険診療のみの病院と比べれば余裕があるから医師や看護師をたくさん雇える。金で患者を区別する診療に対し医療従事者は抵抗感はあるだろうが、今だったら良い労働環境と給料を出せば人は集まる。激務で使い潰されるぐらいなら、保険会社の手先になるほうがマシだし、「未来の日本の医療のために、どのような方法でもいいから、優れた医療技術を継承すべきだ」という考え方だってある。オリックス病院に人が集まった一方で、手薄になるのが他の病院。

焼け野原に点在するオアシス、ただしオアシスに入れるのは選ばれた者のみ、というのがありうる日本の医療の将来の一つだ。うがった考え方をすれば、現在の医療の荒廃は、オアシスを作るための意図的なものかもしれないのだ。



関連記事

■日本医師会が混合診療解禁に反対する理由

■社会保障制度の隙間

soft_tractorsoft_tractor 2007/02/22 01:42 ヘンな話になりやすが、うちの近所に一時上州屋が二件ほどできたんでさ、釣具屋のね。どっちもあっしの家からだと、車で10分ほどのトコでしたかね。
あっしの家ン近くは、わりとおっきな川があったりちょいとした沼なんかがあったりして、個人営業の釣具屋が、町内に一軒くれえはあったんでやすが、上州屋ができてから、バタバタと店ぇたたんじまいやした。ま、大手チェーンにゃ抗しきれねえと踏んだんでやしょうかね。
ところが、個人営業の店があらかたつぶれっちまったあとでなにが起こったかってえと、今度はその二軒の上州屋で客の食い合いを始めたんでやすね。んで、結局二軒とも、ほとんど同時に撤退ってことンなっちまって、以前は歩いて行けるはずだった釣具屋に、車で20分かそこらかけねえと行けねえ、しかも前に比べて品揃えもてんでなっちゃねえ、なんて羽目になっちまいやした。
まあ、今でも病院の間でまったく競争がねえってこともねえんでやしょうが、にしても混合医療+病院の株式会社化ってえなあ、周囲の町医者まで巻き込んでのサバイバルなんてことになりそうでやすよね。
混合医療ってえと、とかくに医療のピンの方が話題になりやすが、お医者も含めた安い医療労働者に安い医薬品でもって、医療サービスのダンピングめいたことをされりゃぁ、地域の医療地図なんてのはあっというまに塗りかえられっちまいそうでやすね。
長々とすいやせんでした。

physicianphysician 2007/02/22 02:49 何かあったのですか?大丈夫ですか?

InoueInoue 2007/02/22 03:40 Yahoo!掲示板読んでいても、「医師は保険から報酬もらっているのが特権だ。だから保険診療に固執するのだ」という見当はずれな意見が多かったですね。公的医療保険こそが、無理矢理医療価格を抑制しているのだという、医療経済を少しでも学んだ人なら知っている話を、大衆の8割ぐらいは知らない。
 日本の医療価格が非常に安いという話すら、ほとんど報道されないんですね。驚くべきことですが。海外各地に特派員を派遣しているマスコミが、世界の医療事情を知らないはずがないのですが、報道にはバイアスがかかっていて、高額な先端医療ばかり報道されて、普通の人が受ける一般的な医療水準と価格の問題は報道されない。

SLEEPSLEEP 2007/02/22 03:59 素人考えかもしれませんが、NATROMさまのおっしゃる未来像はそんなに悪くないのでは?今みたいに喫煙率が先進国NO1(でもないか)だとか、飲酒にやたら寛容とか、そういうのもなくなるんじゃないでしょうか。
なにより医療関係者の状況を良くするにはこれしかないように思えるのですよ。

谷庵谷庵 2007/02/22 04:37 混合診療は、少なくとも麻酔科医にはウェルカムですね。金持ちには松・竹・梅の松の麻酔。保険診療は研修医と救命士の実習に当てる。歯が欠けたくらいで文句言わないでね。
本気でこのような医療を望むわけではないけれど、世界的に見れば十分恵まれた状況で、これだけ文句を言われれば、「もう良いか」という気になりますな。今、病院間の競争は、どうやって患者を断るかと言うことにシフトしています。外来は手間ばかりで儲からないし、入院患者はどんどん退院してくれないと減額される。理想は、短期入院の患者だけ紹介してくれること。小泉改革に踊った人、文句言わないでね。

ナナシーナナシー 2007/02/22 05:38 冗談でなく貧困層や高齢者で多額の医療費が支払えない人には積極的安楽死を実施するような制度が出来そうな気がします。医療を受けられずに苦しむより死なせてやるほうが人道的とかそんな理由で。
そしておそらく私はその対象の中に入りそうです。

halks55halks55 2007/02/22 08:03 実際、レセプトには100万点なんていうのがあるそうで、金額にすれば1000万円ですよね。この患者さんの治療のために、いったい何人の保険料が充てられるのだろうと考えると、保険で高度医療まで面倒を見るのは無理じゃないかと思います。ならば、いくらまでが許容範囲なのか、どこまで面倒を見るのか、線引きは難しいでしょうけれど。

地下に眠るM地下に眠るM 2007/02/22 11:16 やふ のあの議論からもう2年かー
などと懐かしく読み返してみたら、にゃんかまた腹がたってきた
保険屋の宮内を議長にした規制改革会議などというシロモノを信じる度し難いアホども
のおかげでとばっちりをくいたくにゃー(しくしく
最近の官民一体となった周到な医療制度破壊で、もうかるのは保険屋金融屋だにゃ。

関西人関西人 2007/02/22 23:48 窓口負担割合を上げるだけで、患者の医療不信を吊上げることは簡単。
医療費など、社会政策の一環で貧乏人ほど分配比率が多いのに、税金を上げる話には乗ってこない。
所得税減税で、高所得者ほど大幅に得をしたのにね。

小泉流の貧乏人抑圧政策に貧乏人ほど理解を示すというのは、悲劇を通り越して喜劇のようにすら見えますなぁ

InoueInoue 2007/02/23 02:24 規制緩和原理主義者というものが世の中には数多くあって(というか大半)、深く考えずに自由化に賛成するんですね。そんなに規制緩和が好きなら、道路の速度制限なんか撤廃すべきだし、公共料金だって好き勝手に値上げさせるべきでしょう。医療の規制緩和とは、つまり、そういうことなんですが。
但し、どうも医師会が不信感を抱かれてるのは、株式会社の参入に反対したあたりが原因でしょう。経営主体がどうだろうが、保険医療である限りは、さして違いはないでしょう。利益目的で病院が経営されたって、ぜんぜんオッケー。保険医療で儲けられるんであればね。

僻地の産科医僻地の産科医 2007/02/23 16:12 こちらのホームページわかりやすいです!
「市場原理と医療制度」愛知県医師会
http://wwwinfo.aichi.med.or.jp/genri.html

[経団連の意見]アメリカ型医療へ誘い 東京日和@元勤務医の日々 2007.02.23
http://blog.m3.com/TL/20070223/2

場違いスミマ場違いスミマ 2007/02/23 19:43 安楽死の申請を出したいです。何か付いてる物質に下痢吐き気急性中毒です。しかし長すぎるので慢性ですね。病院は関わりたくないのでしょう事件性を否定しますからね警察などが調査検査を手早くして安全確認さえしてくだされば被害はなくなるのですが貧人には手を下さない日本ですからね・はやく安楽死の権利がほしいです。

tematema 2007/02/24 09:29 「安楽死の権利」は、医師に対する「殺人の強制権」になります。
殺人を強制されるとなれば更に医師は減るため、反対します

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2007-02-18 福島大野病院事件

[][]我々は福島事件で逮捕された産婦人科医の無実を信じ支援します。 我々は福島事件で逮捕された産婦人科医の無実を信じ支援します。を含むブックマーク


■我々は福島事件で逮捕された産婦人科医の無実を信じ支援します。(新小児科医のつぶやき)


2月18日は、日本の医療にとって特別な日です。おそらく、この事件がなかったとしても、遅かれ早かれ日本の医療は崩壊したでしょう。しかし、この事件によって多くの人たちが日本の医療の問題点に気付くことができました。去年、私は、掲示板の書き込みでこの事件を知り、2月20日には関連した記事を書いています。以降、福島大野病院事件については何度か言及しています。今後も、この日のことは記憶に留まるでしょう。

InoueInoue 2007/02/19 00:56 そもそも身柄確保する必要がどうしてあったのかという疑問は多数発せられましたが、これほどスジの悪い(有罪立証が難しい)事件をあえて起訴した理由は何だったのでしょうねえ。昨年、ようやく無罪判決が出た杏林大学事件だって、当初から、「回避可能性なし、よって無罪」という意見ばかりで、有罪を予想した人なんて誰もいませんでした。

Dr. IDr. I 2007/02/19 01:46 はじめまして、循環器内科医のDr. Iと申します。
私も賛同させて頂きます。
私もこの件に関して、記事を書かせていただきました。

悪夢からちょうど一年
http://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-entry-153.html

まだ日本の医療の問題点に気づいている人は、少ないと思いますよ、正直。
今回の企画で、少しでも多くなると良いんですが。

SLEEPSLEEP 2007/02/21 12:41 日本の自白偏重捜査の弊害でしょうね。
ライブドアの堀江氏もそうでしたが、逃亡の恐れがない、累犯の恐れがない、そういった容疑者を監獄に閉じ込めて脅迫してはいけないと明文化するべきでは?
鹿児島では「踏み字」なんてことをやったらしいですけど。
冤罪痴漢もそうですが状況証拠?めんどくせーから拘置して自白させろ、と思ってるんじゃないでしょうか。

sci98sci98 2007/02/24 19:38 >ライブドアの堀江氏もそうでしたが、逃亡の恐れがない、累犯の恐れがない、
>そういった容疑者を監獄に閉じ込めて脅迫してはいけないと明文化するべきでは?

されてるんですけどね、捜査機関が「犯罪者は逃げるもの」と決めてかかっており、
一般市民が「犯罪者と疑われている人には何をしてもよい」と考えているので、
ぜんぜん正しく運用されていません。
逮捕の本来の要件は「逃亡の恐れ」「証拠隠滅の恐れ」で、それ以外で逮捕はできない。
「累犯の恐れ」で逮捕するのは不当、代用監獄を使うのは設備の関係、
脅迫はどんな理由があろうと不当です。

ともかく、一般市民の持つ「犯罪者と疑われている人には何をしてもよい」
という考えをなんとかすべきでしょう。

ブルンバットブルンバット 2007/03/02 17:42 >「犯罪者と疑われている人には何をしてもよい」という考えを
同感です。逮捕された時点で犯罪者扱い、社会的に抹殺せよという声すら聞こえてきそうです。

堀江さんだったか村上さんだったかが容疑者として取り調べを受けているときに扱いの悪さを嘆いて、それが小さく報道されたんですが、あるワイドショーの司会者アナウンサーは「犯罪者が何を言っているんだ!ナマイキな事言うな!」と断じていました。アナウンサーってそこそこの教育を受けていると思うんですが、それでも容疑者と犯罪者の区別がつかないどころか、容疑者を犯罪者扱いすることがえん罪の温床になっているというトレンドすら把握していないことにびっくりしました。これってオウム事件の頃から何度も繰り返し言われてきたように思うのですが・・・。
名前を覚えていれば実名を出して無学者と非難もできるのですが、控えておくのを忘れてしまいました。
しかし何でしょうね、こういうえん罪とか自白の強要がもっと激しく行われて犠牲者が出ない限り、一般市民の意識は変わらないのでしょうかね。

2007-02-17 木製顕微鏡

[][]推奨年齢〜83歳3か月 推奨年齢〜83歳3か月 を含むブックマーク

チビが顕微鏡が欲しいと言うから、おもちゃの顕微鏡の値段をアマゾンでリサーチしたところ、以下のような商品を見つけた。

cover

■木製顕微鏡 MICROSCOPE

なかなか味があってよい。しかし、私が注目したのは別のところ。

メーカーによる推奨年齢: 4 歳 〜 83 歳 3 か月

下限が4歳なのはわかる。しかし、いったいなぜ上限が83歳3か月?謎だ。ちなみに83歳3か月はちょうど999か月になるが、その辺にヒントがあるのか。

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2007-02-16 慢性肝炎の転載コラム

[][]ウィキペディアからの転載ページ ウィキペディアからの転載ページを含むブックマーク

最近、古い記事に続けざまにトラックバックがあった。その一つが、■ラクトフェリンがC型慢性肝炎に効果?という記事に対する、■慢性肝炎の解説(URL:http://e-yamai.com/969D90AB8ACC898A/)というページである。このページの一番上に、「慢性肝炎でお困りのあなたのために、慢性肝炎の情報を集めた解説サイトです」とある。Google AdSenseやらアマゾンアソシエイトやらのリンクがたくさん張っているのはいい。問題は、慢性肝炎の情報とやらである。以下に引用する。

慢性肝炎一言コラム:発症後8週以降、6ヵ月未満に肝性昏睡II度以上、プロトロンビン時間40%以下を示すものを指す 慢性肝炎 6ヶ月以上の肝機能異常とウイルス感染が持続している状態関連 発熱や倦怠感を主訴とする患者が血液検査でAST、ALT (酵素)|ALTの上昇を示した場合に疑われる。 肝炎は複数の疾患概念の総称であり、ウイルス性、アルコール性、薬剤性などの鑑別を進めて診断する...

慢性肝炎の説明としては最初の文章が意味不明だ。「発症後8週以降、6ヵ月未満に肝性昏睡II度以上、プロトロンビン時間40%以下を示すもの」というのは、慢性肝炎ではなく、遅発性肝不全(late onset hepatic failure:LOHF)の説明である。その他にも同じページで、慢性肝炎の解説として、「特に日本ではA、B、C型が多い。」とある。A型肝炎は慢性化しない。妙に正確な部分もあると思えば、ぜんぜん的外れなことも書いている。文章の一部で検索したらすぐに原因がわかった。ウィキペディアの肝炎の項目の一部を転載しているのだ。ウィキペディアでは、慢性肝炎ではなく、肝炎の項であるから、急性肝炎、遅発性肝不全、慢性肝炎について書かれている。転載にあたってカットアンドペーストするときに、誤って遅発性肝不全のところを含めてしまったのだ。「特に日本ではA、B、C型が多い。」というのも、ウィキペディアでは、慢性肝炎ではなく、急性肝炎・慢性肝炎を含めた肝炎全体についての記載であった。

想像するにこういうことであろう。アフェリエイトで儲けたい誰かが、ウィキペディアのコンテンツをそのまま複製してページを作成した。ページを作った動機は、慢性肝炎で困っている人への情報提供ではなく、単にアクセス数を稼いで金儲けすることであるから、内容なんてどうでもよい。余計な手間などかけたくない。あまり深く考えずに適当にカットアンドペーストしたわけだ。客を呼びたいので、トラックバックを送りまくる。内容に無関係だとスパム扱いされるので、一応は関係のあるエントリーを選ぶ。特定のキーワードでブログ検索をかければ簡単だ。実際、このページでは100個以上もトラックバックを送っているようだ。慢性肝炎以外にも山のようにページを作成しているので、送ったトラックバック数はかなりの数にのぼるであろう。手作業でやっているのかなあ。

ウィキペディアからの転載は問題があるのではないかと思ったが、一定の条件を満たせば、ウィキペディアのコンテンツは、複製、改変、再配布することができるらしい*1。かのページも、よく見たら、小さなフォントでウィキペディアへのリンクは張ってある。この転載が法的にOKかNGかは分からないが、不適切な転載で誤った医学情報が流れてしまうのは、法的にどうであろうと、倫理的にはよろしくなかろう。転載するならするで、もうちっと気をつけて転載すればいいのに。

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