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2007-03-29 タミフル脳炎ではないインフルエンザ関連突然死
■[医学]インフルエンザ関連突然死

浜六郎氏によれば、「インフルエンザは薬を使わなければ必ず自然に治まり何も怖くないふつうのかぜ(強調は引用者による)」*1であるそうだ。この主張は近似的には正しい。たいていの場合は、インフルエンザは自然に治癒する。しかし、何事にも例外は存在する。「突然死」ではなくもう少しゆっくりとした経過をたどる例もあるが、ここでは、突然死"sudden death"とインフルエンザ"influenza"でPubmedを検索してみた。「タミフルによる新型脳症」が主張されているが、タミフル以前にも突然死はあっただろうという考えからである。法医学の論文が多かったのが意外であった。原因不明の突然死→解剖→インフルエンザ感染が関与していたことが判明、というパターンである。当然、死亡してからインフルエンザの診断がついているわけだから、タミフルは関与していない。論文をいくつか紹介するが、網羅的に調べたわけではないし、内容も読み込んでいるわけではない。なにより、論文の選択・内容紹介の段階でバイアスがかかっていることを予め注意しておく。詳細に検討したい方は、ご自分で論文を入手していただきたい。論文のタイトルの和訳を「」に、出版年および国名をつけた。判る範囲内で患者背景および治療歴を記載した。()内に私見を書いた。
「インフルエンザAウイルス関連急性脳炎の成人剖検例」 Ishigami A et.al, An adult autopsy case of acute encephalopathy associated with influenza A virus., Leg Med (Tokyo). 2004 Oct;6(4):252-5.
2004年日本(徳島大学)。35歳男性。無銭飲食で警察に捕まった。ここ数日満足な食事を取っておらず、倦怠感と微熱があった。治療は受けていない。翌早朝死亡しているところを発見された。インフルエンザ抗原が肺及び脳に認められた。(私見:"he did not receive medical treatment"(医学的治療は受けていない)と明確に書いてあった。ただし栄養状態が悪かった。薬なし・成人でも脳症・突然死がありうるという例。)
2009年9月7日追記。浜六郎氏は、「くすりで脳症にならないために タミフル脳症を中心に」という本で、「全く何も薬剤を使わず "インフルエンザ脳症"で死亡したという報告はありません」と書いているらしい。上記するように、何の薬剤を使わずインフルエンザ脳症で死亡した報告はある。浜六郎氏は、嘘つき、または、勉強不足である。
「致死的な心筋炎を合併したインフルエンザAウイルス感染症」 Nolte KB et.al. , Influenza A virus infection complicated by fatal myocarditis., Am J Forensic Med Pathol. 2000 Dec;21(4):375-9.
2000年U.S.A.。11歳健康女児。1週間の発熱の後、自宅で突然死。要約に治療歴の記載はないものの、インフルエンザの診断は死亡後につけられた模様。Sudden death is a rare complication of influenza and may be caused by myocarditis.(突然死はインフルエンザの稀な合併症であり、心筋炎によるものかもしれない)との記載あり。(私見:少なくともタミフルは飲んでいない。ウイルス感染に伴う心筋炎はよく知られている。)
「"早期乳児てんかん性脳症"を伴った幼児の突然死」 Quan L et.al., Sudden death of an infant with 'an early epileptic encephalopathy'.Forensic Sci Int. 2001 Dec 15;124(1):62-7.
2001年日本(大阪医科大)。1歳10ケ月の男児。生後3ケ月目にけいれん発作があり「早期乳児てんかん性脳症」と診断されていた。前日の夜に発熱し、当日午後に病院に受診するも到着時には死亡。死因はインフルエンザA感染に続発した細菌性気管支炎。(私見:発熱後受診はされていないが、手持ちの解熱薬を使用された可能性はある。ただし、手持ちのタミフルがあるとは考えにくい。もし発熱した時点でタミフルを処方されていたら、タミフルのせいで死亡したとされたであろう)
「心筋梗塞、脳卒中、心臓突然死はインフルエンザワクチンで予防できるかもしれない」 Meyers DG., Myocardial infarction, stroke, and sudden cardiac death may be prevented by influenza vaccination., Curr Atheroscler Rep. 2003 Mar;5(2):146-9. Review.
2003年U.S.A.。上気道感染→動脈血栓性障害をインフルエンザワクチンが50%減らすかもしれないというレビュー。
「インフルエンザAウイルス感染を伴う2歳男児の突然死。剖検症例研究」 Marcorelles P et. al., [Sudden death of a two-year-old boy with influenza A virus infection: study of an autopsy case], Arch Pediatr. 2002 Jan;9(1):41-4.
2002年フランス。2歳男児。治療歴や背景は要約には記載がないが、Influenza A virus infections are common in childhood and infancy and are often underdiagnosed while serious or lethal forms are rare.(インフルエンザAウイルス感染症は乳幼児期に普通に見られるが、重篤または致死的な例は稀である一方、しばしば過小診断される)とあった。
「ウイルス性髄膜炎、著明な脳浮腫、神経原性肺水腫および肺出血を伴う幼児の突然死。2症例の報告」 Krous H et.al., Sudden Death in Toddlers with Viral Meningitis, Massive Cerebral Edema, and Neurogenic Pulmonary Edema and Hemorrhage: Report of Two Cases.
2007年、国名記載なし(Krous Hはアデレード大学[オーストラリア]で論文あり)。2例のうち一例がインフルエンザウイルスA型感染。2例目はアデノウイルス。要約に治療歴、患者背景は記載なし。These cases emphasize the possibility that mild intracranial viral infections may be a rare cause of sudden death via lethal cardiopulmonary complications.(軽度の頭蓋内ウイルス感染が致死的な心肺合併症による突然死のまれな原因となる可能性をこれらの症例は強調する)。(私見:「タミフル以前の脳症は亡くなるまで半日〜1日かかる。タミフル以降は突然死する新型脳症が見られる」という主張があるが、ウイルス感染によって突然死することはありえる)。
「インフルエンザウイルスに感染した17歳男性の予測されない突然死」 Nishida N et.al., Sudden unexpected death of a 17-year-old male infected with the influenza virus., Leg Med (Tokyo). 2005 Jan;7(1):51-7.
2005年日本(秋田大学)。17歳男性。2日前に38.3度の発熱、倦怠感、筋肉痛、胃腸症状があり、pylazolon*2の注射と制吐薬を含む内服薬の処方を受けた。著者らの考えでは「死因はライ症候群より心臓突然死である」とのこと。インフルエンザの診断は死亡後につけられた模様。(私見:インフルエンザに対しNSAIDの使用はライ症候群のリスクを高める。若年者にインフルエンザが否定できないときにNSAIDを使うのは禁忌。ただし経過からは死因はライ症候群ではない。)
「突然死を呈した黄色ブドウ球菌の重複感染を伴う致死的なインフルエンザA感染症」 Tsokos M et.al., Fatal influenza A infection with Staphylococcus aureus superinfection in a 49-year-old woman presenting as sudden death., Int J Legal Med. 2005 Jan;119(1):40-3. Epub 2004 Aug 19.
2005年ドイツ。49歳健康女性。4日前から乾性咳嗽、息切れ、全身倦怠感。治療歴は記載なし。自宅にて急激な呼吸困難の後突然死。剖検にて重度の壊死性気管支炎および出血性肺炎を認めた。心筋には病理学的変化なし。気道よりインフルエンザAウイルスおよびブドウ球菌を認めた。(私見:心筋炎・脳炎以外でも突然死はありうる)
これらの突然死をタミフルが抑制するという証拠はない。だからタミフルを飲まなければならないということにはならない。また、これらの重篤な合併症はきわめて稀であり、必要以上にインフルエンザを恐れる必要はない。最低限、「インフルエンザは必ず自然治癒するとは言えない。稀に合併症を起こしたり、死亡したりすることもある」ということだけを理解しておけばよい。患者側の注意点は病人をよく観察しておくぐらいであろう。医療者側の注意点は「必ず治る」など断定的な説明をしてはいけないということである。後に何か起こったときに訴訟になるからである。薬を使わずにインフルエンザによって不幸な転帰をとったならば、浜六郎を訴えてみるのもよいかもしれない。少しは無責任な発言が減るであろう。










9歳女児というのが引っ掛かります。どうも、男女含めて成長ホルモンのバランスが
不安定な時期(第2次性徴期)に多発しているような気が(報道等見る限り)
嫁がICSIのため種々のホルモン剤大量投与を受けていた際は体調悪そうだったし、更年期障害なんてーのもホルモンバランス関係してそうだし。素人考えですが。
私見ですが、可能性の高そうな順に、1)タミフルの副作用、2)インフルエンザによる異常行動(タミフル内服前は早期のため、タミフル内服後はタミフルの影響で偽陰性に出た)、3)インフルエンザ以外のウイルス感染による異常行動、といったところだと思います。よしんば2)だったとしても、超早期にタミフルを開始しても異常行動は防げないことを示唆する症例です。
・39度の熱を出し、風邪と診断された。
・タミフルと解熱剤(?)を処方された。
・寝て2-3時間後に異常行動
・異常行動後1時間ほどして医者にいったら36.8度でインフルエンザ検査陰性
報道とかで前提になっているのが
・同時に処方された他の薬では異常行動は誘発されない
・高熱が1持間程度で36.8度に下がることは考えにくい
・次点:高熱が原因の異常行動は、高熱が下がったら起こらない
インフルエンザじゃなくて(子供に)タミフルを使用した事例がもっとたくさん出てくれば何か分かるかもしれませんね。
いや、通常営業ですが。
その副作用の件、調査表より調べさせていただきましたが、副作用の内容は「発狂」としか記されていませんでした。
また、担当の者に伺ったところ、新聞の記事に記されている『外へ駆け出していった』というのは、記者によって完全に書き換えられているというのが事実です。本当に異常報道ですね。医師と話している時にたまたま情報を入手して、適当な記事を書いた八王子の毎日新聞の記者には憤りを感じます。
「高熱による幻覚などをみたことで、熱が下がった後にその恐怖で行動する」なんてのはガキの場合にはあってもなんの不思議もにゃーと僕は思った。まあ、タミフルでまれにおこる副作用だというのももちろん大いにありえるよにゃ。
ところで
>栗汁のひと
素人として(ぐぐらずに)質問させていただきますけどにゃ
その「調査表」というのは、カルテ記載内容を知ることができるものなの?
なんか「発狂」というのは医学用語っぽくないと素人には思えるんだけど・・・・
http://hagureisya.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/natrom_8857.html
で私のことが言及されました。「もはや面が割れました」だって。いやーん。
麻宮サキ?それとも「お前は平田だろう!」なのらかな?