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2007-10-29 老衰死は増えているか?厚生労働省の統計から

[]老衰死は増えているか? 老衰死は増えているか?を含むブックマーク

地下に眠るMさんによる医学的にみて純然たる老衰死ってあるの?という質問にインスパイアされて、老衰死の割合および経時的な増減を調べてみた。残念ながら純然たる老衰死の割合は不明であり、ここで論じるのは死亡診断書の死因の欄に「老衰」と書かれたものである。死亡診断書に書かれる死因は結構いい加減なところもあるが、大まかな傾向ぐらいはわかる。

老衰とされた死が増えたのか減ったのか、二通りの考え方があるだろう。医学が進歩し、さまざまな病気の治療法は改良された。もちろん、現代でも克服できない病気は癌をはじめとして多々あるが、それでも過去と比較して寿命は延びた。その分、老衰死は増えたかもしれない。病死して脱落する者が減れば老衰死というゴールにたどり着く者は増えるという考え方である。あるいは、診断技術の進歩により、過去には老衰死とされたような死に病名がつくようになり、老衰死という「診断」は減ったという理屈も成り立つ。90歳の高齢者が意識障害を起こしそのまま死に至った場合、30年前なら検査せずに「これは老衰でしょう」にされていたのが、現在なら頭部CTを撮って「脳出血」という病名がつく。

厚生労働省のサイトにあった死因年次推移分類別にみた性別死亡数の年次推移から、老衰および他の主要な死因の割合をエクセルで表にした。

死因(主要なもののみ)昭和45年55年平成2年12年17年
老衰 5.5% 4.4% 2.9% 2.2% 2.4%
結核 2.2% 0.9% 0.4% 0.3% 0.2%
悪性新生物16.8%22.4%26.5%30.7%30.1%
心疾患(高血圧性を除く)12.5%17.1%20.2%15.3%16.0%
脳血管疾患25.4%22.5%14.9%13.8%12.3%
肺炎 3.9% 4.6% 8.3% 9.0% 9.9%
不慮の事故 6.1% 4.0% 3.9% 4.1% 3.7%
交通事故(再掲) 3.4% 1.8% 1.9% 1.3% 0.9%
自殺 2.2% 2.8% 2.4% 3.1% 2.8%

これを見れば傾向は明らかで、老衰による死は減っている。昭和45年は全死亡のうち、老衰死は5.5%。それが平成17年は2.4%で、半分以下となった。2.4%という数字については、実感として妥当に思える。その他の死因については、やはり悪性新生物(ガン)が16.8%から30.1%にほぼ倍増したのが目立つ。科学が苦手な人は、「現代医学はその基本からしてとんでもない錯覚と誤謬に陥っている(現代医学が正しいならガン死は減るはずだが、そうはなっていない)*1」「工業化(つまりは人口物質)にあることは、明らか(喫煙率に大きな変化はなかったから、喫煙はガンの原因ではない)*2」という可哀想な結論に至るが、ガンの増加は単に日本人が長生きするようになったからに過ぎない。

肺炎が増えたのも、高齢者の割合が増えたからと思われる。高齢者の死亡は、純然たる老衰からよりも、肺炎等のきっかけで起こりやすい。非医療従事者にとっては肺炎が死因の上位にあるのは意外なようだ*3。私にとって意外であったのは脳血管疾患が半分以下に減っていること(公衆衛生学で習ったはずだが忘れていた)。高血圧が管理されるようになったためであろうか。他に減っているのが結核と交通事故である。医学の進歩による貢献もあるだろうが、栄養状態の改善や交通安全対策によるところが大きいようだ。



関連記事

■老衰の「発病」はいつ?

■どうして日本は癌大国になってしまったのか?

*1:『ガン呪縛を解く』序章その3(Creative Space) URL:http://www.creative.co.jp/top/main2712.html

*2:ガン死亡率が増えているのはタバコが原因?(るいネット) URL:http://www.sizen-kankyo.net/bbs/bbs.php?i=200&c=400&m=81272

*3:意外な病気死因上位の「肺炎」(夕刊フジBLOG) URL:http://www.yukan-fuji.com/archives/2006/12/post_8064.html

く 2007/10/29 17:33  病院で死ぬことが多くなったってこともあるんじゃないでしょうか。いくら社会的入院が多いとはいえ、まったく何にもなくて入院してることはないでしょうから、入院先の病院で死ねばなんか診断が付くのではないかと。
 厚生労働省は社会的入院削減(という名の老人放置政策)を推進してますから、そのうち、老衰がまた増えてくるんじゃないでしょうか。

bb 2007/10/29 18:33 80歳以上の死ならいくら肺炎になっていても、死因を老衰にして、その他の病名に肺炎と書くようにしています。できるだけ老衰という死因を書くべきです。

MERCYMERCY 2007/10/29 20:54 純然たる老衰死って具体的に死因は何?平均寿命をこれ以上延ばす必要があるのかという点には疑問を感じるけれども医学の目的ってのは老衰死に何らかの定義を行う事か、もしくは老衰って死因を無くす事なんじゃないかと
老衰って要は理由がわかんないけど何か死んじゃった、もう十分生きただろうし、死因を探しても意味無いよね、だから老衰でいいやって意味に見える

InoueInoue 2007/10/30 03:26 法的な取り扱いをどうするかが問題ですね。死亡診断書の「死因」には「不詳の死」なんて項目もありますから、どうにでもなるでしょうが、医師法21条を根拠に逮捕されるんじゃかなわない。遺族の中で不満を持った人が警察に相談した場合、逮捕理由としては十分であることが昨年証明されてしまいました・・・

路犬路犬 2007/10/30 13:41 「人生五十年」という考えの名残りがあった時代には、ある程度の年齢を越えた人の死で、それが自殺や不慮の事故死でさえなければ「大往生=老衰」と考える気分が一般的だったと思うんです。現代でも、例えば百歳を越えた人が亡くなったとして、その人の直接的な死因がたとえガンでも脳血管障害でも肺炎でも、家族や医療・福祉関係者が手を尽くした上での死だとすれば、少なくとも家族や周囲の人々は「大往生という名の老衰」だと思うんだろうな、と感じます。
私は「老衰」という言葉について、そんな風に何となく非医学的な言葉だと勝手に思い込んでいましたが、医学的に「純然たる老衰死」と呼ぶべき死因があるんですね。やがては消えていく言葉なんでしょうか。それとも死を克服する事すら可能になる日まで、ずっと残っていく言葉なのかなぁ。

uu 2011/07/05 09:37 死亡者数に対する死因別の割合を比較してるけど、総人口に対する割合で比較しなきゃダメじゃない?
ガンの死亡率が倍に高まって書いてあるけど、それは他の死因による死者が減ってるから相対的にガンの死亡率が高まっているように見えているだけだよ。
老衰はもっと減ってる。