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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2007-11-09 ビタミン注射もいかが?混合診療解禁問題

[]ご一緒にビタミン注射もいかがですか? ご一緒にビタミン注射もいかがですか?を含むブックマーク

混合診療を認める判決が東京地裁で出て話題になった(■混合診療解禁訴訟(新小児科医のつぶやき)、■[司法までもがアメリカ型医療を歓迎?]混合診療導入へ?(東京日和@元勤務医の日々)など)。mixiなどでの一般の方々の反応は賛否両論で、「画期的」「朗報」という意見も結構ある。言うまでもないが、混合診療を解禁すると収入によって受けられる医療の格差は広がる。そこまで十分に理解して賛成しているのではなく、単に「保険内の治療まで全額自己負担なのはおかしい」という程度のものであろう。これはまだ予測の範囲内であった。ただ、医師専用掲示板でも、それなりに混合診療賛成派がいたのには少し驚いた。

平均的な医師は、十分な睡眠と食事が取れているのなら、混合診療解禁には反対する。「これ以上、混合診療を拡げないのは医師のモラルです」。保険外診療分を自己負担できるかどうかで治療内容が変わってはいけない。有効な治療であれば、保険適用にするべきである。限られた施設で通常の保険診療と併用できる制度もある(■先進医療(Wikipedia))。しかし、満足に睡眠も取れずに働いて、しかも(混合診療解禁で損をするはずの)大衆から、「混合診療を解禁せよ。反対するのは医師が儲けるためだろう」などと言われれば、「あなたがた方がそう言うならば、解禁したっていいですよ。私たちは別に困りませんから」と言いたくもなる。混合診療を解禁すれば、保険診療が縮小されるのは目に見えている。得をするのは財務省と民間保険会社。「杞憂である」という意見もあろうが、たとえ保険診療が縮小されないとしても、質の悪い医療がはびこるであろう。

今回の裁判では、保険外診療は「活性化自己リンパ球移入療法」であった。十分なエビデンスはない。はっきり言えばインチキだと私は考えている。リンパ球移入療法に限らず、十分なエビデンスのない代替療法を提供する医療機関があったとしても、これまでは同時に保険診療は行えなかった。しかし、混合診療解禁後は、こうした代替療法を行う医療機関が増えるであろう。入院費用は保険診療で、代替療法のみ自費。確実に需要はある。

外来でも混合診療は可能だ。たとえば、風邪で来院した患者さんに、ビタミン注射を勧める。まともな医師なら、ビタミン注射は医学的に不要であることを知っている。好んで行う医師はそうは多くはないが、保険診療内の治療のみを行っていたら赤字にしかならないとしたら?食い詰めるぐらいなら、「顧客満足」を上げるため「経営努力」を行って何が悪いのか。ちなみに注射用のビタミン製剤の薬価は70円程度、溶解用の生理食塩水は100円程度である。これに加えて、点滴セットなどの消耗品や技術料もかかるが、たかが知れている。保険診療ではないので、価格は自由につけられる。たとえば、「点滴バー*1」ではビタミン点滴に3200円〜15000円の値段をつけているが、それだけ払う「顧客」がいるのであろう。混合診療を解禁すると医療格差が広がるだけでなく、全体としての医療の効率も下がる



関連記事

■混合診療のメリットとデメリット

*1:URL:http://www.musubiha.com/tenteki_price.html

杉山真大杉山真大 2007/11/09 18:59 「健康保険が適用されないこの治療法を受けるのに、健康保険が適用される分まで全額自費負担なのは間違っている!」じゃなくて、「この治療法は効果があるのに、健康保険が適用されないのは間違っている!」と主張すべきということですね。原告もそれを理解できずに、混合診療解禁!と主張できなかったのかなぁ?それとも方々の弁護士を尋ね歩いても、エビデンスが認められないって断られたのか!?

杉山真大杉山真大 2007/11/09 19:02 おっと訂正。

【誤】主張できなかったのかなぁ→【正】主張してたのかなぁ

bamboobamboo 2007/11/10 10:02 私自身は混合診療に反対しません。医療費抑制は国策であり、民意ですから、粛々とそれに従うつもりです。医療費の大幅な増額無くして、国民皆保険の維持と医師の労働環境の改善は望めません。結果として医療の質やアクセスが犠牲になるとしても、それが国策であり、民意です。私の勤務先も今年から大幅な赤字です。悪魔の声が聞こえます。「経営努力」、良い言葉を教えていただきました。

suzume002suzume002 2007/11/10 12:20 経営努力って悪魔の声やったんか。「ごいっしょにブドウ糖点滴などいかがですか」程度は普通にやってるもんだと思ってました。

杉山真大杉山真大 2007/11/10 22:03 >経営努力
科学的だから合理的・効率的である筈→無駄に高いのはおかしいって製造業のTQC的発想が根本になるのかも知れませんね。こうした発想って医療に限らずサービスやソフトにも結構見られる話かも知れませんけど』

『そう言えば、「理科離れ」の議論の前提って理工系が中心で医歯薬系とかが前提に無い様に思えるのですよね。Wikipediaの記述を見ていても、理工系志望者が少ないのが問題で、医歯薬系やソフト関連は眼中に無し。これって何かの陰謀!?

名無し名無し 2007/11/11 12:20 風邪(感冒)で入院した患者に関して
ブドウ糖を含む液を点滴>脱水であれば白、
ビタミン注射>保険医療で禁止、クロ
だから一緒ではないんだよ>suzume02氏
現時点では後者をやることは医療機関のキセル行為に近い。モラルや知識があればやらないし、医学的合理性がない状況でやったのがばれれば儲けが一転赤字になる。他の同様の行為が発覚すれば社会的制裁は勿論、あわせ技によっては実処罰を受ける。
もし後者を「やってるもんだと思ってました」はキセルは大した罪じゃないと思ってるからアイツはやってるに決まってるというような価値観の表明だよ。(偏見ともいう)
混合診療になるってことは、そういった医学的合理性と治療行為にかかる患者負担コストの関係が変るってこと。

filinionfilinion 2007/11/11 14:54 ガソリンスタンドで給油すると、オイルチェックしましょうかだのホイールバランスも見ましょうかだのと勧められるのに似てますね……。
車と人体は違いますけど、詳しくない人にはなにが必要で何が不必要なのかわからないのは一緒。(つまり私にとっては一緒)
「何が必要な治療なのか」を、きちんと教えてもらいたいです。
 
「必要性? もちろんこれは必要な治療ですとも! ……保険の対象外ではありますが」
 
「保険の範囲内でお願いします」
って言えばいいんですかね?
 
「これは本当にいい治療法なんです。保険が効かないのは某の陰謀のせいで……」

InoueInoue 2007/11/11 16:38 歯科診療所を初診で受診すると、必ず問診票に「保険内か、保険外でもいいか」という問いがあります。混合診療解禁だと、それが一般診療所でも普通になるってことです。
ただ、歯科診療は、保険内であっても必要十分な治療は可能で、見栄えが良い義歯を作れるかどうかが違う程度なんですが、一般診療所で急性期治療の場合は、医師の勧めに抗うのは難しいでしょう。

おんころおんころ 2007/11/11 17:31 米国データですが進行非小細胞肺癌に対しcarboplatin+paclitaxel with or without bevacizumabではwith bevacizumabの方がおよそ2ヶ月の延命効果があるとされています。日本ではまだ適応ではありません(大腸癌のみ)。薬代は4コースで百数十万円のプラス。対象患者は年間ざっと2~3万人。EBMを忠実に実行すれば年間300億円以上医療費が増加します。
高価でかつエビデンスのある薬はこれからどんどん増えます。高齢社会の中で、保険制度がどこまで耐えられるものやら。

suzume002suzume002 2007/11/13 22:16 >だから一緒ではないんだよ
それはもちろん知ってるからビタミン注射とは書かなかったのです。
保険の効く(利く?)範囲内での経営努力はしているもんだと思っていたという意味でした。

杉山真大杉山真大 2007/11/13 23:17 >高価でかつエビデンスのある薬はこれからどんどん増えます。高齢社会の中で、保険制度がどこまで耐えられるものやら。
医療や福祉などの公共の福祉を考えるなら「エビデンスのある医療は保険で賄い、その上でコストを抑えて」ってことになるでしょうけど、研究開発の知的財産とかものづくりの立場に立つと「研究者の努力を低く評価する気か!」ってことになったりして。』
『公共の福祉より、”ものづくり”の保護が優先されるのが”グローバルスタンダード”の様でwwwww

NATROMNATROM 2007/11/14 08:36 To:おんころさん
>高価でかつエビデンスのある薬はこれからどんどん増えます。高齢社会の中で、保険制度がどこまで耐えられるものやら

もちろんこれはその通りで、いずれは「どこまで贅沢な治療を保険診療内で許すのか」という議論をなすべきですが、それはせめて他の先進諸国並みの医療費をつぎ込んでからで良いのでは。


To:suzume002さん
>保険の効く(利く?)範囲内での経営努力はしているもんだと思っていた

勤務医はほとんどしません。開業医の方々も、普通はしません(説得困難の方が点滴を希望したときには行うことはあります)。金額もたいしたものではないので、不要な人に勧めてまで行う動機がありません。それに金額が少ないとは言え、脱水でもない人に保険診療内でブドウ糖輸液をわざわざ勧めるのは、混合診療でビタミン輸液を行う以上に、モラルに外れます。みんなのものである公的保険から少しずつ盗むようなものだからです。

混合診療解禁になれば、金額を自由に設定できる上、公的保険財政に負担をかけないので良心の呵責が少なくなります。

おんころおんころ 2007/11/14 08:43 >>高価でかつエビデンスのある薬は(略)
>もちろんこれはその通りで、いずれは「どこまで贅沢な治療を保険診療内で許すのか」という議論をなすべきですが、それはせめて他の先進諸国並みの医療費をつぎ込んでからで良いのでは。

それはその通りなのですが、国民皆保険でかつ財政事情が最も悪い日本でどこまで「他の先進国並みに」できるのか、という問題がありますので難しいところです。

NATROMNATROM 2007/11/14 15:02 あきらめたらそこで医療崩壊ですよ。

通るすがる通るすがる 2007/11/19 19:17 先生…。医療が…やりたいです…。

杉山真大杉山真大 2008/01/09 20:56 「混迷する医療社会に革命的構造改革を」
向精神薬をダイエット薬として矢鱈処方してたメディカルサロングループのサイトにあった宣伝文句なんですね。こんなことも自由診療という制度があったから出来た訳で、この上混合診療なんてやられたら・・・・・ガクガクブルブル ((((゜Д゜;)))