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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2008-03-12 意外とタミフル備蓄量の少ない日本〜日本の新型インフルエンザ対策

[]意外とタミフル備蓄量の少ない日本〜日本の新型インフルエンザ対策 意外とタミフル備蓄量の少ない日本〜日本の新型インフルエンザ対策を含むブックマーク

kikulogの■浜六郎氏の本を送って頂いた(ので批判する) というエントリーのコメント欄で、日本の新型インフルエンザ対策が話題に上がった。「タミフルが本当に危険な薬であるかどうかと、パンデミックが起きるか起きないかとはまったく独立な問題である」という、きくちさんの意見に賛成である。付け加えれば、通常のインフルエンザに対するタミフルの有用性と、パンデミック時のタミフルの有用性も異なる。タミフルが異常行動や突然死を起こしうる薬だったとしても、パンデミックのときには有用性がリスクを上回るということもありうる。普通のインフルエンザはたいていの場合は自然に治癒するものであるが、新型インフルエンザもそうとは限らない。

諸外国ではタミフルはあまり処方されないと聞く。kikulogでも紹介された菅谷憲夫の論文*1によると日本では「毎年のインフルエンザ流行に対して,世界のoseltamivir*2生産量の半数前後を使用している」そうだ。日本人は実験台になっているのだなどと説く陰謀論者もいるようだが、日本でタミフルがやたらと処方されている理由は薬大好きな国民性と、誰もが気軽に医療にかかれる国民皆保険制度が大きいと思う。患者が望めば夜間でも医師の診察を受けタミフルを処方してもらえるのは豊かな証拠とも言えるが、一方で学校や仕事を休んでゆっくり寝ていられない貧困さを示しているのかもしれない。

実は論文を読むまで私は知らなかったのだが、これだけタミフルを消費している日本でも、パンデミックに備えたタミフル備蓄量は少ないのだと。菅谷憲夫の「日本の新型インフルエンザ対策の問題点」*3より図を引用する。


f:id:NATROM:20080312164328j:image

世界のノイラミニダーゼ阻害薬の備蓄状況

ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビルとザナミビル*4)の備蓄が全人口の何%にあたるか示した(ロシュ社提供).

2007年4月現在で,日本は19.5%で世界の25位であり,スイス,ルクセンブルク,オーストラリア,フランスなどでは,40〜55%となっている.


「新型インフルエンザ用の備蓄は先進国のなかでは最低クラス」なのだ。さらに加えて、臨床医にタミフルの使用経験があることはパンデミックに際して有利だと私は思っていたのだが、実際には逆かもれないという指摘がなされていた。


厚生労働省の行動計画ではノイラミニダーゼ阻害薬の不足が述べられていないが,優先順位をつけてオセルタミビルを使用することが提案されている.欧米のようにオセルタミビルが日常的には使用されていない国なら,治療投与の優先順位づけも可能であろう.日本では国民的な薬となったオセルタミビルを外来で優先順位に従い処方すると,オセルタミビルやザナミビルの治療を受けられないために,入院・死亡した場合の責任の所在が問題となる.「毎年のインフルエンザ流行でオセルタミビルの治療を受けているのに,なぜ肝心の新型インフルエンザのときに処方されないのか?行動計画がありながらなぜオセルタミビルが不足したのか?」という疑問と不満は,当然,国民から出ることになる.


耐性ウイルスの問題もあるし、もはや通常のインフルエンザに対してはタミフルを使用することは止めたほうがいいのかもしれない(副作用の有無に関わらず)。理想を言えば、タミフルとリレンザは十分に備蓄。通常のインフルエンザについては、高齢者などのリスクの高い人以外には基本的に使わない。医療従事者とハイリスク群にはワクチン接種を徹底。といったところか。



関連記事

■インフルエンザ診断ゲームで学ぶ検査閾値と治療閾値

*1:菅谷憲夫「新型インフルエンザ対策」日本内科学雑誌96: 2293-2399, 2007.

*2:オセルタミビル=タミフルの一般名

*3:インフルエンザ Vol.8 No.4 51-56

*4:ザナミビル=リレンザの一般名

JA50JA50 2008/03/12 18:31 50%位の備蓄量(50%くらいという明確な根拠はありません、まぁこれくれいあればという印象から)にまで国にはがんばってもらい、一般のインフルエンザはそこのお古から使っていくってのはどうでしょうか?

tontontonton 2008/03/12 22:24 ↑ それ、いいですね。使用期限切れ寸前のものを、廃棄するかわりに、有益に使うわけですね。頭いい。

キャスキャス 2008/03/13 03:57 ↑それは一部賛成、一部反対です(タミフルのリスクが明確になっていない現状では)
バンデミックにおけるタミフルのリスク&ベネフィットと、通常のインフルエンザにおけるタミフルのリスク&ベネフィットは異なります。
タミフルが古くなって捨てるしかなくなったときに、安易に通常のインフルエンザ感染者の弱年層にタミフルがばら撒かれると、リスクがベネフィットを上回るかもしれません。

kirakira 2008/03/13 12:44 備蓄用タミフルって、割り引きされていて、一般のインフルエンザ治療には使ってはいけない契約になっているはず。確か、カプセルの色が違う。

bamboobamboo 2008/03/13 14:10 備蓄の方法はいろいろなのでしょうか。ある自治体では、自治体が購入して病院に預ける。病院はその中から通常の診療で処方する。処方した分だけ補充する。このような方法でいつでも期限内のタミフルが備蓄出来るような体制を取っています。

アキエスのんアキエスのん 2008/03/13 15:05 三周年おめでとうございます。
まるさんのブログでは、いつもほんわか&ワクワクさせて頂いております。
これからも、優しさがふわっと感じられるまるるぶろぐ。の更新を楽しみにしています。
頑張ってくださいね〜!

踊り子AF、タル♀さんもヒラヒラがついて良かったですネ?
http://www.hosetaibn.com/cgi-bbs/

JA50JA50 2008/03/14 10:04 kiraさん
>備蓄用タミフルって、割り引きされていて、一般のインフルエンザ治療には使ってはいけない契約になっているはず。

げ、そうなんですか!
となるとこの手は使えないのか。
うまい手だと思ったんだけどなぁ。

まぁ、私みたいなものがすぐ考えつくことを、お上が、、、

tontontonton 2008/03/14 11:38 備蓄用のものは、使用期限が来たら廃棄されます。その分、割引になっています。
だから、備蓄用のものを使うのではなく、普通のものを備蓄すれば(在庫にすれば)いいんです。bamboo さんのおっしゃるとおり。

ナナシーナナシー 2008/03/14 12:01 期限切れになる備蓄用タミフルと現在使われているタミフルの量はどの程度違うのでしょうか?期限切れになる方があまりに多いと使い切るように圧力がかかるかもしれません。
ただでさえ乱用と言われていますから、備蓄用を通常使用するならそこの管理をしっかりする必要がありますね。

通りすがり通りすがり 2008/03/14 23:41 素人から常識的に考えれば、使用量が世界一ならば、在庫量もそれに比例するでしょう。それ以外の備蓄としてという意味であれば、もはやその大小を議論することにはあまり意味がないように思われます。また備蓄であろうが通常使用であろうが、期限切れは廃棄で当然だと思います。使用期限が短いとたくさん売れていいなという方が居られますが、使用期限が近づくと当然売れません、買い取りならいいですが、通常なら返品です、また、売れても安くなってしまいますから、企業側として大きく儲かることではなく、使用期限の短いことはリスクです。

tontontonton 2008/03/15 12:08 > 使用量が世界一ならば、在庫量もそれに比例するでしょう。

素人にもわかるように説明します。使用期限が5年で、年間使用量が 800万人分だとします。
新しいものから使えば、在庫は常に 400万人分かそこらぐらいしかありません。つくってもつくっても消費していくので、在庫は増えません。
古いものから順に使えば、在庫は 4000万人分です。(そのうち5分の1の 800万人分だけ、毎年消費されます。残りは倉庫です。)
使用量は 800万人分で同じですが、新しいものを使うか古いものを使うかで、在庫の量は 400万人分と 4000万人分という差が出ます。

なお、使うのは、期限切れのものではなく、期限切れ寸前のものです。本当を家えば、期限が切れたって、急に品質が悪化するわけではありません。それより、保存の仕方の方が影響します。病院でなくメーカーがきちんと冷蔵保存しておけば、長期的に安定しているはずです。

NOV1975NOV1975 2008/03/15 13:49 >tontonさん
作っても作っても増えないほど消費する(生産量=消費量)のが前提であれば、初期在庫が4000万ないと差はでないのでは?
生産量を1000万として、0からスタートすると5年後の累計生産量5000万、消費量4000万ですが
新しい方から消費:期限切れ200万期限1年200万…計1000万
古い方から消費:期限5年が1000万
6年目以降は、新しい方から消費する方の在庫は1000万で変わりません(つまり、期限×(生産量−消費量)が在庫)が、古い方から消費する方は、まだ在庫が増えます。しかし、年間生産量+期限×(生産量−消費量)を超えると破棄が発生します。ので、そこまで極端な差にはならないのではないでしょうか。
ただ、消費量が生産量を上回る事態が発生した場合に次の年以降の在庫を十分に確保できるのが大きなメリットですね。

NOV1975NOV1975 2008/03/15 13:51 あれ?最後のはおかしいかな?

ナナシーナナシー 2008/03/15 18:39 社団法人日本厚生協会のサイトからの孫引きですが、共同通信社の報道によればタミフルの供給量は07〜08年では600万人分ということです。
http://www.kousei-kyoukai.com/infulu2008-1world.html

備蓄目標は2500万人分で2100万人分が国と地方自治体、400万人分が中外製薬の在庫から提供されるということです。
このことから国内の在庫に頼るのはあまり当てになりません。600万人分をフルにパンデミック対策に回しても必要量の1/4程度です。一方で国の備蓄は200万人分の減少に留まります。
また実際にパンデミックが発生した場合、意図的な禁輸あるいは感染防止を目的とする流通の制限により原料の輸入が停止する恐れがあります。理由は不明ですが中外製薬は400万人分の確保を確約できないようです。

ちなみに日本の19.5%という数字は備蓄目標の2500万を日本の総人口で割った数字で、今後は増えない可能性があります。本当に大丈夫なのか不安です。

tontontonton 2008/03/15 20:00 > (生産量=消費量)

全然、違います。正しくは、
    生産量 = 消費量+廃棄量(5年後の)
です。新しいものから使う場合、古いものは消費されるのではなく、廃棄されるのです。

古いものから消費する場合、国民の負担は薬の倉庫保管料だけです。ほぼゼロ。

新しいものから消費する場合、国民の負担は廃棄される備蓄の分です。一家庭あたり、毎年1〜2万円ぐらい、余計な金を払う必要があります。その金は、古くなって破棄するタミフルのコストです。

また、初期期間の分は、経過措置なので、特に考慮する必要はないでしょう。
大事なことは、せっかく生産した薬を、廃棄するか否かです。廃棄する場合には、莫大な金が無駄になり、また、在庫不足により莫大な人命が失われます。細かな数値の違いは、シミュレーションしだいなので、あまり問題ではありません。

ナナシーナナシー 2008/03/16 08:23 tontonさん
備蓄用タミフルは1.5ユーロですから、1ユーロ160円で2.1億錠の備蓄した場合、全体で504億円です。これを4,900万の世帯数で割ると約1,030円です。さらにタミフルの消費期限は5年ですので1年あたり200円くらいの負担になる計算です。一家庭あたり1〜2万円ということは廃棄するだけに最低9,800円もかかるということでしょうか?

NOV1975NOV1975 2008/03/16 09:04 莫大な、が論点であれば、シミュレーションで数字が変わることで結論が変わるのであれば大きな問題ですよね。
毎年在庫を積み上げて4000万の備蓄を達成したとします。年間の使用量は500万です
古い方から使うと本年に使用期限が来るものは800万、そのうち500万を使用しますから廃棄は300万、生産するのは800万です。
一方、全部新しいものを使用するとしたときには備蓄量をキープするためには使用量+備蓄分の生産が必要です。すなわち、1300万生産、廃棄が800万
つまり、生産数+500万、廃棄数+500万の差が出ますね。
「生産量 = 消費量+廃棄量(5年後の)」tontonさんがおっしゃる差が出るのは
「初期期間の分は、経過措置なので、特に考慮する必要はない」の場合のみで、その場合は初期に在庫を積み上げるための生産能力があることが前提で、かつ生産量と使用量が完全にバランスしている(備蓄目標÷5が使用量)ときの理想的な場合ですよね。
差が莫大というのは大げさなんではないかと思います。5年の期限内に劣化する率とかがもしパラメーターにあるのであれば、そこも考えなければなりませんし。
もちろん、比較的古い方から使うほうが低コストで在庫を積み上げやすいだろう、という点については異論ありませんが…

tontontonton 2008/03/16 11:14 ネットからの引用。(出典は該当の語句を検索してください。)

> 中外製薬によると、タミフル1カプセルの薬価は363・7円。1日2回服用で通常は5日分処方されるため10カプセルで3637円になる。

> 中外製薬などによると、タミフルは毎年約1200万人分が流通し、例年400万人分が使用されずに残る。つまり年間延べ800万人がタミフルを使用している計算だ。

私の記述はこれらに基づいています。ただし専門家ではないので、情報の妥当性までは踏み込みません。

tontontonton 2008/03/16 11:43 済みません。計算で桁を間違えていました。毎年 1〜2千円に訂正します。

ナナシーナナシー 2008/03/16 19:24 tontonさん
一人当たり3637円で400万人分が廃棄されるとすると145億4800万円です。
一家族1千円のの負担なら1454万8千家族です。
日本の総人口が約1億2800万人ですから、1454万8千で割ると約8.8です。
一家族8.8人というのはちょっとありえない数字と思います。どのような計算なのか教えていただけないでしょうか?

ちなみに363.7円は流通分で備蓄用の価格はその2/3くらいだと聞いています。

tontontonton 2008/03/17 00:25 1.統計学。
2.平均値と中間値。
3.数字を間違えないこと。
 
あとは自分で考えてください。わからなければ勉強してください。

ナナシーナナシー 2008/03/17 07:16 tontonさん
私は根拠を出してあなたの計算がおかしいとしています。私の反論が誤りなら具体的に指摘をしてみてはいかがですか?

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