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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2008-07-10 ニセ科学を見抜く練習問題(「バイオラバー」応援サイトから)

[][]ニセ科学を見抜く練習問題(「バイオラバー」応援サイトから) ニセ科学を見抜く練習問題(「バイオラバー」応援サイトから)を含むブックマーク

突然ですがここでクイズです。バイオラバーは山本化学工業株式会社が開発した特殊なラバーで、「人体が持つ波長にもっとも近いバイオウェーブを出し、その共振効果によって、健康づくりや医療分野などで活躍」しているそうです。以下に引用する臨床実験で、「バイオラバーが糖尿病に効果があると実証された」と主張されています。Q.:この実験でバイオラバーの効果が実証されたと言えますか?理由をつけて答えてください


■「バイオラバー」応援サイト*1の■バイオラバーの効果*2より引用

インスリン非依存型の糖尿病に効果

糖尿病には2つのタイプがあり、バイオラバーは、このうちの2型、つまりインスリン非依存型に効果があることが、臨床実験で実証されています。

バイオラバーを膵臓のある位置にあてて軽くマッサージを続けると、血糖値が下がりはじめます。

個人差はありますが、多くの症状改善例が報告されています。

バイオラバーを使った血糖値の変化

 テスト方法

食後3時間後に病院内にて医師により第一回目の血糖値測定を行った。その後、医院でバイオラバーを15〜25分使用。その後、第二回目の血糖値をチェックした。

 バイオラバーの使用方法

膵臓の位置にバイオラバーを置き、バイオラバーの上をてで軽くこすった。(12〜25分)

 結果

バイオラバー測定前よりも28〜70も血糖値が下がった。これにより、これまで糖尿病は、治療が難しいとされていたものが、治療できる大きな可能性が出来たと考えられる。

(大塚医院 大塚滋先生データより)


答えは下のほうで。

最近、スピード社の競泳用の水着「レーザーレーサー」が話題になったが、これに対抗するために国内の水着メーカーに山本化学工業が素材を提供したそうである*3。そのためか、過去に私が書いた■バイオラバーってインチキ?というエントリーに、いくぶんアクセスが増え、コメントもついた。これを機会に、もう一度バイオラバーを取り上げてみた。

「体が持つ波長にもっとも近いバイオウェーブ」「オムニセンスによる波動測定」なんて言葉だけでインチキと断定してかまわないのだけど、ニセ科学を学ぶための教材としては手頃だろう。おそらく、上記した実験結果を見て、「やっぱり効果があるんだ」と思ってしまう人もかなりいるのだろうと思われる。だからこそ、宣伝になる。似たようなインチキは、特に健康食品関係の宣伝でよく見られる。個別のニセ科学商品を各個撃破するよりも、科学の基本的な考え方(この場合は「適切な対照群をとるべし」という点)を理解してもらうほうが望ましい。「バイオラバー」応援サイトには、「バイオラバーを使った血糖値の変化」以外にも手頃な「教材」がある。大学1年生にこれらの問題をさせたら、どれくらい正答できるだろう?

それほど多くはないと願いたいが、現役の医師でも間違えるやつはいるだろう。「大塚医院 大塚滋先生」のプロフィールは不明だが*4、もしかしたら分かっててやっている可能性がある。「とにかく、なんだか効くように見えるデータを出せ」と言われたら、私でもそうする。食後2時間か3時間後に一回目の血糖測定をすれば、通常はあとは下がっていく一方だ。まあ、分かっててやっているのならインチキの片棒を担ぐ詐欺師だし、分かっていなかったらただの馬鹿だが。それでは答え。








A.:この実験では、バイオラバーにインスリン非依存型糖尿病に対する効果があると実証されたとは言えない。通常、血糖値は食後30分後から60分後をピークとして、あとは自然に低下する。バイオラバー使用後の血糖値の低下は、バイオラバーの効果を見ているのではなく、自然な血糖値の推移を見ているだけの可能性がある。



次のステップは、バイオラバーに血糖値を低下させる効果があるかどうかを調べるための実験をデザインせよという問題だな。



関連記事

■バイオラバー販売業者に薬事法違反の恐れ

■シートベルトは死亡を防がない? ニセ科学を見抜く練習問題シリーズ

■バイオラバーってインチキ?

*1:URL:http://www.asakusakid.com/bio-rubber/index.html

*2:URL:http://www.asakusakid.com/bio-rubber/html/about.html

*3:■スピード社に負けない!日本競泳界に救世主 (スポニチ Sponichi Annex ニュース)URL:http://www.sponichi.co.jp/olympic/news/2008/05/11/01.html

*4:厚生労働省の医師等資格確認検索では医師には該当者なし。平成8年卒の歯科医師なら該当者あり

山形ミクラス山形ミクラス 2008/07/10 21:35 対照群を設けるだけでいいのでしょうか?

通りすがり通りすがり 2008/07/10 21:47 マッサージで糖分を消費したのかと思った。
使用前・使用後の測定回数を時間を開けて増やせば良い?のかねぇ。

mcaqmcaq 2008/07/10 22:20 バイオラバーと似たものでも実験する必要(対照群)。
あと、実験計画者以外の人間で実験を行う必要も(二重盲検)

NATROMNATROM 2008/07/10 22:26 mcaqさんのコメントの通り、最低でも対照群の設定、可能なら盲検ってところだと私は考えました。あとは何か必要なことはありますか?

nucnuc 2008/07/10 22:48 あえていえば統計的に十分な被験者が欲しいと思いましたが、それは効果と標準偏差がどれくらいかによるでしょうからどれだけいれば十分かは分からないでしょう。

DocSeriDocSeri 2008/07/10 22:54 被験者の人数以前に母数不明なんですよね実は。5人で効果が出てるとしても実は500人でテストした結果かも知れない。

梨 2008/07/10 23:09 バイオラバーなしでマッサージをしたときの効果も検証しなければ無意味ではないですか?単にマッサージしただけでも同じような結果になるかもしれない。本当にバイオラバーに効果があるのかはこのデータからではわからないというのが僕の感想です。

RyoRyo 2008/07/11 00:03 同一人物でバイオラバーを使用していない場合の食後3時間とその25分後(15分〜25分なんて幅を持たせた時点でいい加減すぎ)の血糖値を測定。バイオラバー使用と不使用で各々複数回測定して、25分間での血糖の低下率を比較。
統計的にはぜんぜん不充分ですが、少人数でそれなりの結果を出すならこれくらいが最低ラインでしょうか。

AH1AH1 2008/07/11 16:33 血糖値に関連しそうなものが時間経過、マッサージ、被覆物の存在と3つありますからねえ。できればどれも対照を取りたいけど、面倒ですなー。

名無しさん名無しさん 2008/07/13 09:50 昨日、阪大・常温核融合の公開実験の様子がグーグルビデオ3本セットとしてアップロードされました。嘘かどうか、偽科学かどうか、どうか皆様の慧眼でお確かめくださいませ。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/2092/1215312403/
以下、公開実験の直URLです。
1.説明(44分)
http://video.google.com/videoplay?docid=-5242568651652305169
2.実験(31分)
http://video.google.com/videoplay?docid=-7962272847393451248
3.質疑応答(16分)
http://video.google.com/videoplay?docid=-6764098365227508856
をgoogleビデオで公開しています。

NATROMNATROM 2008/07/13 10:14 ”グーグルビデオ”というところでダメ。「文字を読むのすら苦手」という馬鹿を対象にしているのならともかく(911陰謀論者にはこのレベルの馬鹿がいっぱい存在するよね)、科学リテラシーを持った人を相手にするなら論文を書かないと。

tontontonton 2008/07/13 12:47 対照群にランダムさが必要です。
群Aが都会の大学病院の患者で、群Bが田舎の個人病院たちの患者の集まりだとします。地域の差のせいで、前者が若者ばかりで、後者が高度高齢者ばかりになるかもしれません。
これを是正するには、前者および後者から、奇数番号だけと偶数番号だけを選べば、まず大丈夫でしょう。(できればもっとランダムさがあればいい。)
統計を取るときには、対照群の偏りをなくすことが、絶対条件です。

たべかつやたべかつや 2008/07/14 00:50 >バイオラバーに血糖値を低下させる効果があるかどうかを調べるための実験をデザインせよ

(1)糖尿病の専門医を無作為に100人選んで、効果があると思うかどうか聞く。
(2)ホメオパスを無作為に100人選んで、効果があると思うかどうか聞く。
もちろん、両者とも、「人体が持つ波長にもっとも近いバイオウェーブを出し、その共振効果によって、健康づくりや医療分野などで活躍」といったバイオラバーのセールストークは十分に受けた上で、効果があると思うかどうかを聞くものとする。

・[(1)でイエスと答えた人の数]が[(2)でイエスと答えた人の数]よりも有意に多い、かつ、[(2)でノーと答えた人の数]が[(1)でノーと答えた人の数]よりも有意に多いならば、「効果はある」。
・[(1)でノーと答えた人の数]が[(2)でノーと答えた人の数]よりも有意に多い、かつ、[(2)でイエスと答えた人の数]が[(1)でイエスと答えた人の数]よりも有意に多いならば、「効果はない」。
・結果が上の2つに当てはまらなければ、判断保留。

なお、(1)において、糖尿病の専門医は悪徳商法専門の弁護士でも可。(2)において、ホメオパスは千島学説信奉者でも可。

arakik10arakik10 2008/07/14 10:52 >(常温核融合に言及した)名無しさん
「ASIOS公式ブログ: 科学の理解度判定問題」に挑戦してみてはいかがですか
http://asios-blog.seesaa.net/article/102146593.html

gryphongryphon 2008/07/15 07:25 本日から視聴可能になった「ミランカ」サイトの「博士の知らないニッポンのウラ」(水道橋博士と宮崎哲弥がホストの、ネット上トーク番組)で、バイオラバーの社長さんが登場します。(もっともオリンピックの水着の話題らしいですが)

http://miranca.com/entry/article6
博士のブログ
http://blog.livedoor.jp/s_hakase/archives/50632563.html

マイケルマイケル 2008/07/25 17:41 「人体が持つ波長にもっとも近いバイオウェーブを出し、その共振効果によって、健康づくりや医療分野などで活躍」
人体が持つ波長なんて、テラヘルツ波でも用いているのかと思いました。
共振効果も、エネルギー増幅ということで非常に興味深い現象が予想されます。

>バイオラバーに血糖値を低下させる効果があるかどうかを調べるための実験をデザインせよ

対照実験と盲検と統計の不備を直せば、医療現場で与太話程度にはなるのかなあ。
あとは物理現象の説明があれば。

バイオウェーブの帯域と出力強度、人体における減衰(おもに脂肪など)と、さらに何に共振させるか(血中の糖分にあてるのか脾臓にあてるのか)、バイオウェーブの観察図(暗視野画像)…

これらをデータとして出せば、バイオラバーの効果の有無を確認できると思います。

ドクターエルドクターエル 2008/07/29 07:54 医師等資格確認検索システムは、留意事項に書いてあるとおり死亡した医師の検索は出来ません。大塚先生はお亡くなりになっているので、抹消されていると思われます。
医師免許(歯科医師免許でなく)を持っておられましたよ。