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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2009-07-02 日光網膜炎(太陽性網膜炎)について調べてみた

[]日光網膜炎(太陽性網膜炎)について調べてみた 日光網膜炎(太陽性網膜炎)について調べてみたを含むブックマーク

朝日新聞の記事、■日食観測「黒い下敷き危険」 国立天文台が注意呼びかけによると、日食を観察する際、「サングラスや黒い下敷きだけでなく、昔は推奨されたスス板ガラスも危険」なのだそうだ。「安全に見るには、太陽の光や赤外線をカットする専用の日食グラスが必要。天体望遠鏡の専門店や家電量販店で数百〜1千円台で購入できる」だそうで、「利権がからんで朝日新聞がおかしなこと言っているんじゃね?」と一瞬は思ったが、国立天文台の■日食を観察する方法にも同様のことが書いてある。いやあ、サングラスぐらいならともかく、フィルムの切れ端やすすをつけたガラス板もダメとは。「いまごろいうな」とか「もっと小さい頃に言って欲しかった」とかコメントがついていたが、同感だ。

疑うわけではないが、せっかくだから調べてみた。朝日新聞の記事で「太陽性網膜症、日食性網膜炎」と書かれていたが「太陽性網膜炎」「日光網膜炎」とも言う。英語ではsolar retinitis。「太陽性網膜炎は、太陽光線のエネルギーによる黄斑の障害である。太陽を直視することにより視力障害が起こることは古くから知られており、それらのうちで不注意な日食の観察によって発症したものは特に日食性網膜炎といわれる。日食性網膜炎は、1978年10月2日に本邦で観察された日食によるものを含め、その報告は多い」のだそうだ*1。昔から知られてはいたわけね。ちなみに太陽性網膜炎の原因のほとんどは不適切な日食の観察だが、ほかにパイロットや対空監視員、日光浴中の事故、太陽を見る儀式、精神病などの報告がある。どのような観察法によって日光網膜炎が起こるのかは、松元直子らによる「日光網膜炎と予後*2」に詳しかった。

1978年の部分日食後に新潟大学眼科を受診した16名が対象で、「8例14眼は裸眼で観察、その他は、下敷き、サングラス、スミをぬったガラス等を用いて観察を行っていた。しかし、注意すべきことは、フィルターを用いた多くのものでも時々裸眼で直視していることで、終始フィルターを通して観察していないということである」。予後はわりと良好で、大半は1ヶ月以内に視力は回復した。しかし、27眼中3眼において眼底所見に強い変化が残り、また自覚症状として見えにくさが残っているものがあった。各フィルターの分光透過率が調べてある。

f:id:NATROM:20090702173903j:image

分光透過率曲線

ちなみに可視光線の波長は400〜800nmくらい。実線の茶サングラスは「非常に危険」だ。可視光線だけカットして、短波長も長波長もカットしない。眩しくないものだから太陽を凝視できてしまうが、赤外線や紫外線が目に障害を起こしてしまう。フィルムや下敷きは短波長領域はカットするが、長波長を完全にはカットできない。ススガラス・スミガラスについては赤外線もカットするが、実際には日光網膜炎を起こしている。「時々裸眼でも観察していることと、スミの塗布の仕方が不完全で、しかも均一でなかったためと思われる」との考察。「太陽に向かって直接観察するのはフィルターを用いても危険がありピンホールカメラ等の間接法が望ましい」ともある。専用の日食グラスを使用するときの注意になろう。とくに、子供に見せるときなどには、専用の日食グラスを使っているからと安心せずに、裸眼で見ないように念を押した方がいいだろう。

*1:八塚秀人ら、太陽性網膜炎の1例、臨床眼科(0370-5579)47巻9号 Page1575-1577, 1993

*2:臨床眼科 34(3) P355-361, 1980

カマンベールカマンベール 2009/07/02 22:01 子供のころ、墓参りをしているときに日蝕が起こりました。黒い御影石に映った太陽の輪郭が三日月形にになったのを鮮明に覚えています。そういえば、日蝕の観測法に、たらいに墨汁を溶かした水を入れて映った影を見る、とテレビかなにかで紹介されていました。

fireflysquidfireflysquid 2009/07/02 22:47 こんばんは。
フィルムの切れ端についてですが、白黒フィルムのネガは赤外をカットするのですが、カラーネガは赤外に対してスケスケのため、「(白黒時代の)昔は推奨されていたのに」ということになるんでしょうね(最近の白黒フィルムもヤバいようですが)。

ちょっとググったら、こんなのもありました。
<a href="http://www.media-i.com/Eclipse2001/about/eye-safety-j.html">http://www.media-i.com/Eclipse2001/about/eye-safety-j.html</a>
ここの「図24」というのに吸収量(透過率の逆数)の対数のグラフが載っています(フィルムは一番下)。

子どもの近くに望遠鏡や双眼鏡を置いておくと、フィルターをつけた上でさらに望遠鏡を覗きかねないので(危険です!)、周囲にヤバそうなものがないかとか注意しないといけなくて、学校の先生とかは大変でしょうね。うまく使えばとてもいい教材になりますし、その危険さが逆に「太陽ってすげえ!」となるでしょうが。

そういやたしか手塚治虫の『ブッダ』の最初のほうに、太陽を凝視するという苦行をする僧が出てましたね。

rageyragey 2009/07/03 11:18 昔の病理学の教科書では日食性眼炎と書いてあったのですが,Google Scholarで0ヒットですね.大冊の『病理学大系』でもこの用語だったはずですが.
ススガラスも危険とは.アレでガキの頃よく観測した口ですが.やはりここはタレックスに遮光率95%の日食観測グラスを作ってもらわなくては.

nosenose 2009/07/07 22:43 実験や観察は、本来、そのための道具を作るところから始まります。ロウソクとガラスだけでそのための道具が作れてしまう日食観察は、道具の自作が容易な点で、手軽で効果的な教材です。
それを、リスクがあるから買ってきなさい、というのでは、科学教育とはいえない。リスクがあるなら、その原因を説明し、回避する方法を、各々に考えさせるべきです。目を傷める者も出るかもしれないけれど、取るべきリスクだと思います。そもそも、未知の現象をとらえようとしたら、そのための道具は自分で作るしかないし、未知のリスクからは逃れようはありません。
教科書に書いてあることを、金を使ってローリスクで確認する、、、、それがこの国の科学教育。

ゆんゆん探偵ゆんゆん探偵 2009/07/08 00:42 >未知のリスクからは逃れようはありません。

「すすガラスで太陽をのぞくと目を痛める」というのは「既知のリスク」なので逃れようがあります。

AH1AH1 2009/07/08 11:49 そういえば小学校の時、「本を読むより体験するのが大事!」と言う社会の先生がいましたわ。で、誰かが持って来た不思議な果実について「自分で調べてごらん、切ってみたり、食べてみたりして」って言われましたわ。で、素直な子だった私は味見しました。ただし、そこまで素直じゃなかったので慎重に。

有毒植物でした。

リスクに気付いた時は手遅れだったりしますが、その場合ははっきりと裁判沙汰ですね。

shinok30shinok30 2009/07/08 22:36 >ちなみに太陽性網膜炎の原因のほとんどは不適切な日食の観察だが、ほかに
>パイロットや対空監視員、日光浴中の事故、太陽を見る儀式、精神病などの
>報告がある。
   
以前,掲示板で話題になった「太陽を食べる男」マネク氏もそうですね
   
>太陽を食べる男  投稿者:shinok30 投稿日: 2006年10月24日12時03分
>これですね
>>8年間、水分と日光だけで生きていると主張するインドの
>>ヒラ・ラタン・マネク氏(64)がこの度NASAに招待され、
>>彼がどのようにしてそれを成し遂げているかを紹介すること
>>になったとのこと。氏はケララ南部に在住する機械エンジニアで、
>> 1992年から断食を開始し、1995年にヒマラヤに巡礼に出かけた
>>帰り道から断食をスタートしたという。彼の妻Vimlaさんは「彼は
>>毎朝必ず太陽をまばたきせずに一時間ほど凝視するの。それが彼の
>>主食なのよ。たまにコーヒー、お茶とか水分を取りながらね。」と話している。
>http://sadomago.exblog.jp/3985622
 
>眼がぁ眼がぁっ!  投稿者:えめ 投稿日: 2006年10月24日14時55分
>一時間も瞬きもせずに太陽を擬視したら眼に悪いだろ
http://members.jcom.home.ne.jp/natrom/board061031.html
 
 
>AH1 2009/07/08 11:49
>そういえば小学校の時、「本を読むより体験するのが大事!」と言う社会の
>先生がいましたわ。で、誰かが持って来た不思議な果実について「自分で調べて
>ごらん、切ってみたり、食べてみたりして」って言われましたわ。で、素直な子
>だった私は味見しました。ただし、そこまで素直じゃなかったので慎重に。

>有毒植物でした。

食べられそうな実のなる有毒植物といえば,
ヨウシュヤマゴボウとかシキミとかを思い浮かべますね
  
>ヨウシュヤマゴボウ
http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/poisoning/plants/pokeweed.html
  
>シキミ
http://www.niah.affrc.go.jp/disease/poisoning/plants/Illicium.html
http://www.tokyo-eiken.go.jp/plant/sikimi.htm

佐々木(以下秘密)佐々木(以下秘密) 2009/07/09 18:02 初めまして。
5年前の部分日食のとき、フラッシュカードを細切りにして針で穴をあけたものをクラスに配ってあきれられた英語の先生は・・・  私です。
曇りだったので、「天井の蛍光灯の平行光源」が観察されました。 orz ...

AH1AH1 2009/07/10 17:46 >食べられそうな実のなる有毒植物

fox face、キツネナスビとも呼ばれるものでした。実は柑橘類のようにも見えますが、切ってみると中は茄子っぽいものでした。

シキミなら・・・・ほんとに死んでいたかもしれません。