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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2009-09-26 抗体依存性感染増強について調べてみた

[]抗体依存性感染増強について調べてみた 抗体依存性感染増強について調べてみたを含むブックマーク

■季節性ワクチン打ったらヤブヘビ?(新型インフルエンザ)(新型インフルエンザ・ウォッチング日記)経由で、「季節性インフルエンザのワクチン接種が新型インフルエンザ(H1N1)のリスクを増やすかもしれない」という話を知った。ソースは、CBCニュースの■Seasonal flu shot may increase H1N1 risk。根拠は、過去に季節性インフルエンザワクチンを受けたことのある人がより多く新型インフルエンザに罹ったという、予備的な疫学調査である。交差免疫があるので、季節性インフルエンザワクチンでも、新型インフルエンザにもほんのちょっぴりとぐらいは防御効果があってもいいのではないかと、うすらぼんやりと私は思っていたので意外であった。



似たような病原体にもある程度有効なのが交差免疫

はしかやおたふく風邪は、基本的には一度かかると二度目は罹らない。一方、インフルエンザは運が悪ければ毎年罹る。はしかやおたふく風邪の原因ウイルスと違って、インフルエンザウイルスは免疫を逃れるような変異を起こすからである。そんなわけで、季節性インフルエンザワクチンは、次シーズンに流行する株を予想して作られる。予想が外れたらまったく意味がないわけではなく、一定の効果はあるとされる*1。異なる株に対する抗体も無いよりマシなのだ。

ただ、これは季節性インフルエンザの話であって、今回の新型インフルエンザ(H1N1)について同じことが言えるかどうかはわからない。ざっと調べてみたところ、「ワクチン接種が進んでいる先進国での症状が軽いことから、「交差免疫」が起こり、症状が軽く済んでいることが推測されます*2」という話もあるものの、これは単なる推測。保存されていた血清検体の抗体を調べた結果では、「最近(2005〜2009年)の季節性インフルエンザワクチンの接種は新型インフルエンザA(H1N1)に対する防御抗体を誘導しないことが示唆された」「この報告の結果は、近年(2005〜2009)のインフルエンザワクチンの接種が、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの防御に役立たないと思われることを示唆している*3」とある。これは試験管での実験であるので、本当かどうかは疫学調査をしないとわからない。そんで、予備的な疫学調査をしてみたら、防御効果があるどころか、むしろリスクを増やすかもしれない、というのが冒頭で紹介した研究。



そもそも抗体がリスクを増やすなんてことがあるのか

交差免疫は「あったらもうけもの」ぐらいに思っていたので、「季節性インフルエンザワクチンは、新型にはちっとも効かない」という話なら、すんなり理解できる。しかし、効かないどころかリスクを増やすってありうるのか。CBCニュースでは、


Researchers know that, theoretically, when people are exposed to bacteria or a virus, it can stimulate the immune system to create antibodies that facilitate the entry of another strain of the virus or disease. Dengue fever is one example, Low said.

(訳)研究者は、理論的には、人々がバクテリアまたはウイルスにさらされると免疫系が刺激されて抗体を産生するが、その抗体が別の株の病原体の侵入を促進しうることを知っている。デング熱がその一例である。


ごめん、知らんかった。私は研究者じゃないから。知らなかったので医中誌先生に聞いてみた。「デング熱」というキーワードがあったので楽勝。以下は、主に、森田公一、「海外旅行と感染症 デング熱・出血熱」、臨牀と研究 85巻9号 Page1242-1246(2008)による。



デング熱における抗体依存性感染増強

デング熱は熱帯地方に多い、蚊が媒介するデングウイルスによって発症するウイルス性熱性疾患である。デングウイルス感染では、デング熱とデング出血熱という2つの異なる病型を示す。デング熱は比較的軽症で1週間以内に回復し予後はよい。一方、デング出血熱は、血管から血漿が漏出し、腹水・胸水の貯留を来たす。単に重症度が異なるのではなく、発症機序が異なる。また、デングウイルスには1型〜4型の4つの型がある。ある一つの型に感染し回復すれば、その型に対しては、はしかやおたふく風邪と同じように終生免疫が得られる。しかし、他の型のデングウイルスに対して感染防御に役に立たない。したがって、他の型のデングウイルスに暴露された場合は感染が成立し、これを2次感染と呼ぶ。興味深いことに、初感染のほとんどがデング熱の病態を呈するのに対し、デング出血熱は2次感染時に発生する。


2次感染でデング出血熱が多発が多発する原因として、Halstead博士らはデングウイルス2次感染において抗体依存性感染増強現象(antibody-dependent enhancement, ADE)がその主因であると提唱している。図3にしめすように、たとえばデング1型に初感染したヒトが後日デング2型に感染した場合、デング1型に対する抗体はデング2型ウイルスを中和することはないがウイルス粒子に結合することはできる。したがって、感染力を有したままでヒトの抗体分子をウイルス粒子表面に付けた、<デング2型ウイルス-抗体複合体>は抗体部分のFc部分とデングウイルスが増殖することができるヒト単核球系の細胞表面にあるFcレセプターと結合することにより効率よく細胞内に取り込まれウイルスは増殖する。この抗体依存性の感染形態によりデングウイルスは通常の10倍から時には1000倍もの高率で標的細胞に感染しさらにウイルスリセプターを持たないがFcリセプターを有する細胞にも感染することが可能となる。これをADEと呼ぶが、この現象のために2次感染において初感染よりもデング感染者はより重症化する可能性があると提唱している。

f:id:NATROM:20090926112103j:image

森田公一、「海外旅行と感染症 デング熱・出血熱」、臨牀と研究 85巻9号 Page1242-1246より引用)


少数であるが初感染でもデング出血熱が発生することもあり、抗体依存性感染増強現象のみで全て説明できるものでもなさそうであるが、少なくとも、抗体の存在がかえって感染症を悪化させる現象はあるわけだ。



結局、季節性インフルエンザワクチンは打ったほうがいいの?

分かりません。デングウイルスの標的細胞の一つはFcレセプターを持つ樹状細胞であるので抗体依存性感染増強は成立するが、インフルエンザの標的細胞は気道上皮細胞である。気道上皮細胞にFcレセプターが発現しているかどうかは知らないけど、よしんば発現していたとしても樹状細胞ほどじゃないと思う。そもそも、インフルエンザウイルスについても抗体依存性感染増強が起こるのなら、これまでの季節性インフルエンザで観察されていただろう。とは言え、新型インフルエンザは別かもしれないし、Fcレセプターを介さない形での抗体依存性感染増強もあるかもしれない。最終的には、疫学調査頼りである。

もうちょっと待てば、他の疫学調査の結果が出てくるだろうが、現段階ではなんとも言えない。情報が不完全なのに、意思決定をしなければならない場合もあるだろう。とりあえず、現段階では、私自身は季節性インフルエンザワクチンは打つつもり。季節性インフルエンザワクチンが新型インフルエンザのリスクを増やすと考える根拠は、いまのところ、一つの予備的な疫学調査および理論的な可能性だけである一方、季節性インフルエンザのリスクを下げることは確実だからだ*4。まだ打つまでにちょっとは時間的余裕はあるので、情報収集は欠かせないけど。

*1:「インフルエンザウイルスが有する、抗原変異を起こしやすいというこのような性質は,当然ワクチンの有効性に影響を与えます。しかし,異なる型(heterotypic)あるいは異なる亜型(heterosubtypic)の間での交差免疫(cross-reactive immunity)はもちろん期待できないものの,heterovariant(homosubtypic)な状況下での交差免疫の存在は良く知られています。表6に示すように,ワクチン株A/Victoria/3/75(H3N2)と流行株A/Texas/1/77(H3N2)の間で抗原性の合致度が13%であった年でも,80%の発病防止効果を認めています。またワクチン株A/Chile/1/83(H1N1)と流行株A/Taiwan/1/86(H1N1)の抗原性の合致度は僅か9%であるものの,38%の感染防止効果を認めています。」(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学、インフルエンザ対策の国際動向:パンデミックとワクチン接種より)URL:http://www.med.osaka-cu.ac.jp/kouei/sub8.htm

*2:URL:http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/ryouji/influenza_porcine_conference.html

*3:URL:http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/MMWR09_May22.html

*4:よく考えたら、仮に季節性ワクチンが新型のリスクを上げるとしても、私は去年も一昨年も打っているので、今年の季節性インフルエンザワクチンを打たなくったって新型に対するリスクは同じような気もする。

nn 2009/09/26 14:21 自分ももちろん「最終的な所は分かりません」ですが、数字が「2000人」しか出てないと、なんともなー、という感じがします。
原文探そうにもpeer reviewもされてないようですし。有意差すらなくたってマスコミは平気で宣伝しますし。「続報には注目するけど、今のところ判断の足しにしうる情報ではない」くらい言っちゃっていいのかなーと。数字さえ分かれば、1週後に違うこと言ってる可能性もありますが。
(※一応解説すると「有意差がない」というのは、その程度の差は偶然による差で十分確率的に説明がつくから意味あるとは言えない、という統計学の用語です。その程度の差はサイコロ振って決めたって出てくる程度のもんだ、ということ。その気になれば中学生でも理解できるけど、見た目が全てのマスコミには理解させるのは非常に難しい概念の1つ)

luckdragon2009luckdragon2009 2009/09/26 14:28 テング熱の場合、Virus感染しているため、リスクが増えるという話なので、ワクチンの場合は違うのではないのでしょうか?私は医学の知識ないので、そこらへんのリスク分岐は分からないのですが。(あ、でも抗体反応なら、ワクチンでも出そうな気が...)

それと予備的疫学調査ってネガティブな結果(つまり推測される結果と逆に振れる結果が出ること)って、結構ありませんでしたっけ?
よく言われるのがタバコの話とか。

あと、さらに、それこそ、インフルエンザの予防接種する人って、前年にしている事も多いので、それこそリスクがさほどないなら、まあ良いや、ってなりませんか?(苦笑) 接種数が増えたそうなので、私は新型打ちたいんだけど、10歳未満じゃないしなあ。(笑)

nn 2009/09/26 14:42 CBCニュースのコメント欄になんか有用なソースでもあるかなと思って読み始めたら、Yahoo!のコメ欄並ですね。
>Thanks for the media attention on results that haven't been validated and are very preliminary. CBC should be ashamed of itself for fearmongering based on this sort of information. How about you wait until they finish their work before you incite panic.
とかが比較的賛同を集めてる一方で、案外カナダはワクチン嫌いが多いらしく、
>if you aren't really young, really old, or pregnant, why not avoid this entirely and let your immune system do what it was designed to do?? Might save you from growing a third arm in 5 years!
ってのも大人気でした。「ワクチン打つ人は"そう思う"をクリック」式のアンケートでも、打たない派が圧倒的多数。へー。
ちらっとコメント欄に出てる話ですが、こういう状況の国なんで、医療従事者がワクチンを打つことが多く、ウイルス曝露機会も多いから、その辺がバイアスになってる可能性も考えた方がいいかもしれません。やっぱり原文が入手できるまでは保留かな。

nn 2009/09/26 15:44 あ、カナダがワクチン嫌いだというのは、前日のシートベルトのエントリに出てくるカナダの成人の接種率の数字(そこそこ高い)と矛盾してますね。ワクチンに否定的なニュースに出てくるコメ欄なんていう怪しいものを参考にしようとする自分が愚かでした。すみません。一応マトモそうなデータの方を…
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1960.html

kmkm 2009/09/26 22:11 季節性ワクチンと新型ワクチンを接種すればいいと思いますけど。

shin_emonshin_emon 2009/09/27 07:48 HIVのワクチンもむしろ感染のリスクを増すということで治験が中断されましたね。
http://www.sciencedaily.com/releases/2008/07/080717110245.htm

arfarf 2009/09/27 13:41 この現象はありえることだと思います。機序は南江堂の免疫生物学に載っています。だからといってワクチンを接種は不必要かはわかりません。

luckdragon2009luckdragon2009 2009/09/27 20:24 HIVのワクチン...まあ、AIDSへ進行しなくなっている場合があるらしいから、可能性はあるかも知れませんが、かなり怖い代物のような...。(HIVも HIV1とHIV2ありますよね...)

DocSeriDocSeri 2009/09/28 01:29 予防接種否定派の一部に見られる「予防接種を受けると他の免疫が全体的に弱体化するので有害」論者がなんか言い出しそうな情報ですね。とりあえず続報待ち。

月猫月猫 2009/09/29 19:08  実は保健所勤務ですんで、今後の展開を見守っていきたいと思います。
何にしても、まだデータが少ないですよねえ。

 まあ、関係ないのですが例の南堂氏のブログでこのエントリーが参考にということで
リンクしてあったので、笑ってしまいました。

浅見真規浅見真規 2009/09/29 21:36 反対意見のニュース記事:
(Center for Infectious Disease Research and Policy, Univ. of Minnesota記事↓)
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/swineflu/news/sep2409canada.html
>Unpublished Canadian data on seasonal flu shots and H1N1 stir concern

上記記事の日本語訳:[新型インフルエンザのニュースを淡々と貼るスレ11]↓@2ch
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/infection/1253616531/84
>米国 カナダのワクチンに関する未公開の調査結果に対し、疑念が巻き起こっている

(Healthzone.ca記事↓)
http://www.healthzone.ca/health/newsfeatures/article/701226
>U.S. agency questions link between seasonal flu shot and swine flu

浅見真規浅見真規 2009/09/29 22:22 Fcレセプターを持つ樹状細胞は鼻腔(wikipedia「樹状細胞」参照)や気道にも存在するみたいです。
しかし、カナダの季節性インフルエンザ予防接種がどのようなものかは知りませんが、日本のインフルエンザ予防接種は不活性化ワクチンの皮下接種のため気道粘膜の免疫には関与しないので、(仮に抗体依存性感染増強を唱えるカナダの学者の説が正しくとも)不活性化ワクチンの皮下接種である日本方式では季節性インフルエンザの予防接種と新型インフルエンザの予防接種は気道や鼻腔での感染初期時には関係しないと思われます。そのため、日本方式では季節性インフルエンザ予防接種が原因で新型インフルエンザに感染しやすくなる事はないと思われます。しかし、日本方式でも血中抗体には関与しますので、(仮に抗体依存性感染増強を唱えるカナダの学者の説が正しければ)感染後は重症化する危険はあると思われます。
*****
神戸大学 医学研究科・医学部HP記事↓
http://www.med.kobe-u.ac.jp/resp/doctor/activity/index.html
>抗原提示細胞である気道粘膜下の樹状細胞


北海道大学・人獣共通感染症リサーチセンターHP記事↓
http://www.czc.hokudai.ac.jp/epidemiol/research/#takada3
>ウイルス感染症に対する粘膜ワクチンの研究
>・・・・・(中略)・・・・・
>注射によるワクチンは血中抗体の産生を誘導するが感染局所の粘膜の
>免疫応答を誘導しない。


国立感染症研究所HP記事↓
http://www.nih.go.jp/niid/topics/influenza01.html
>インフルエンザワクチンについて
>・・・・・(中略)・・・・・
>7.インフルエンザワクチンの問題点
>・・・・・(中略)・・・・・
>(6)現行のインフルエンザワクチンは皮下接種されています。
>しかし、不活化ワクチンの皮下接種では、インフルエンザウイルスの
>感染防御に中心的役割を果たすと考えられる気道の粘膜免疫や、
>回復過程に重要であると考えられる細胞性免疫がほとんど誘導されません。

浅見真規浅見真規 2009/09/30 07:34 本来は最初に書いとくべきだったのですが、私もあの季節性ワクチンが新型感染助長するというCBCのニュース記事を見て「抗体が感染リスクを増やす」例としてデング熱が挙げられていたので調べようとしたのですが、手掛かりがなかったのと医学知識がなかったので眠くなって調べるのを止めました。このブログの記事を見て、やっと、そういう話だったのかとわかりました。
ただ、デングウィルスの場合に一回目の感染で生じる抗体の存在によって重症化しやすくなるというのは疫学的に確認されているようですが、感染しやすくなるという事について疫学的に確認されてるのか疑問をまだ持っています。(逆に、一種類のデングウィルスのみに感染直後は免疫が短期間存在して感染しにくくなるという事は間接的な疫学調査がされたニュースはあるみたいですけど。産経新聞ニュース記事↓参照)
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080716/acd0807160915004-n1.htm
>デング熱に蚊の中途半端な駆除は逆効果

ちなみに、国立感染症研究所 感染症情報センターHP記事↓参照
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_50/k04_50.html
>たとえば1型にかかった場合、1型に対しては終生免疫を獲得すると
>されるが、他の血清型に対する交叉防御免疫は数ヶ月で消失し、
>その後は他の型に感染しうる。

尚、エボラ出血熱の抗体依存性感染増強も重症化の原因になるとの実験結果はあっても人間で感染しやすくなるとの疫学調査はないように思います。
ただ、ネコ・コロナ・ウィルスの抗体依存性感染増強の場合は統計的に不十分な小規模ながら猫の疫学調査がなされたみたいですけど。
(科学研究費補助金データベース小山 弘之北里大学教授記事↓参照)
http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/03660312

尚、昨日の投稿の補足ですが、樹状細胞そのものはプロテアーゼを出さないかもしれませんが、他の気道上皮細胞の出すプロテアーゼによって(もしくは、元の感染者の飛沫に含まれるプロテアーゼによって)インフルエンザウィルスは活性化されてるはずなので樹状細胞がプロテアーゼを出さなくてもインフルエンザ感染の可能性はあります。

尚、気道上皮に樹状細胞が存在する事については、下の記事参照してください。

(独立行政法人 科学技術振興機構HP記事↓参照)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci/22/2/253/_pdf/-char/ja/
>未熟な樹状 細胞は気道上皮で抗原を取り込み

浅見真規浅見真規 2009/09/30 15:58 今朝(2009/09/30 07:34)の投稿でネコ・コロナ・ウィルスについて言及しましたが、後でネコ・コロナ・ウィルスの参照記事を読むと全然理解していなかった事に気付きました。(勘違いでわかったつもりでネコ・コロナ・ウィルスの記事に言及してしまいました。)
申し訳ございませんでした。ネコ・コロナ・ウィルスに言及した部分は撤回しますので無視してください。

浅見真規浅見真規 2009/10/04 13:40 カナダ保健当局は、季節性インフルエンザ予防接種と新型インフルエンザの重症化とは関連性がないと発表したそうです。

(Coast Reporter の記事↓参照)
http://www.coastreporter.net/article/GB/20090930/CP02/309309875/-1/SECHELT/no-link-seen-between-seasonal-flu-shots-and-severe-swine-flu-cases&template=cpart
>No link seen between seasonal flu shots and severe swine flu cases: PHAC

この事は、季節性インフルエンザ予防接種によっては「抗体依存性感染増強」が起きていない事を示しています。
なぜなら、「抗体依存性感染増強」が起きていれば気道の毛細血管を通る白血球にも感染し、その白血球が通過するインフルエンザ・ウイルスを活性化するタイプのプロテアーゼを分泌する器官に転移する危険が高く重症化しやすいはずなのに重症化とは無関係だとされてるからです。

しかし、「抗体依存性感染増強」が起きていない事だけでは、問題のカナダの季節性インフルエンザの予防接種と新型インフルエンザ感染の関連性を指摘した研究者の(デング熱の「抗体依存性感染増強」を引き合いに出した部分の的はずれは別として)疫学調査に科学的根拠がないとは断定できません。(もちろん、統計の手法や解釈に問題があった可能性もありますが。)
なぜなら、季節性ワクチン接種していない人の多くが過去に季節性インフルエンザに感染し強固な免疫を獲得し新型インフルエンザにも若干は交差免疫が有効で感染しにくかった可能性もあるからです。(逆に、不活性化ワクチンの皮下注射方式なら粘膜免疫を獲得できず、また、わずかな変異にも対応できないので大幅に異なる新型インフルエンザについて免疫が獲得できないはずです。)