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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2010-01-25 新ジャンル?アニマルコミュニケーション

[]新ジャンル?アニマルコミュニケーション 新ジャンル?アニマルコミュニケーションを含むブックマーク

ペットに対するホメオパシーが流行っているようだ。■波動測定器の有効性を検証した論文を読んでみたでは、「動物の身体,感情,精神の状態を推定する」機械をホメオパスが利用していることを紹介した。代替医療ビジネスにおいて、人間を相手にするよりもペットを相手にしたほうが、法律違反や賠償金などのリスクが少ないのかもしれない。あるいは動物の医療では標準医療にも保険が効かない分、代替医療でも競争力を持つのかもしれない。顧客の数は少ないが、それでも喜んで代替療法に対価を支払う飼い主はいるようだ。

最近知ったのが、「アニマルコミュニケーション」という分野。人間相手の医療でも、精神科医とは別にカウンセラーの資格がある。「アニマルコミュニケーター」も似たようなものかと思ったけれども、どうも様子がおかしい。「動物たちの心の声を聞き、人と動物とのより良い関係と幸せなコミュニケーションを伝えるために設立されました」という日本アニマルコミュニケーション協会(JACA)のサイトより引用する。


■アニマルコミュニケーションで人と動物とのより良い関係を築きます | アニマルコミュニケーションカレッジ

動物たちも、私たちと同じように、悩み、喜び、そして様々な思いをいだいて生きています。その彼らの愛情とひたむきな心を理解したいという願いから、アニマルコミュニケーションは誕生しました。

彼らの言葉にならない心の声を、行動学や観察によって読み解き、さらにはテレパシーや直感、オーラリーディングによって感じ取ることで、動物たちの本当の心が見えてきます。共に地球上に暮らすものとして、心と心で語り合えたとき、私たちは本当の意味での純粋なコミュニケーションを体験できるのです。人と動物という垣根をこえて互いに理解し合うこと。

それがアニマルコミュニケーションです。


テレパシー?オーラリーディング?ちなみに、オーラリーディングとはこういうもの。

f:id:NATROM:20100125172128j:image

■アニマルカウンセリングで大切な動物とあなたの心を繋ぎます | アニマルコミュニケーションカレッジ より引用


他にもアニマル過去世リーディングというものもある。科学を装っていないのでニセ科学とは言えず、スピリチュアル系に分類されるのであろう。それにしても、お金がないため必要な治療が受けられない人もいる一方で、アニマルコミュニケーションに15000円とか63000円とか出してもらえるペットがいると思うと微妙な気持ちになる。ホメオパシーとは当然のように連鎖している。たとえば、レメディ選択のためアニマルコミュニケーターに依頼があった例。


■猫ピカイアのチャネリング・アニコミ日記 ホメオパシーを選ぶ為の猫への質問*1

ホメオパシー治療をうけている猫ちゃんの飼い主さんから

ホメオパシーを選択するために猫に必要な質問をして欲しいと

依頼がありました。

そこで

ホメオパスさんが、猫に聞きたい質問を、知らせて下さいと頼みました。

私が勝手に質問するより良いだろうと思いました。

ホメオパスさんの質問はそんなに多くなかったですが

「なぜ病気になったか?」このような質問もありました。

これが分かったら、苦労が無いですわね〜

人間だって自分が病気になった原因って分からないから。


ホメオパシーはレメディ選択の際の対話がカウンセリングとして機能しているので(というか、ただの砂糖玉であるレメディは単独ではなんら効果はない)、ホメオパスが猫に質問したくなる気持ちもわからないでもない。ただ、猫に対してカウンセリングの効果があるかどうかは、はなはだ疑問ではあるが。また、「波動測定器」という一見科学的な機械を使う方法と、「チャネリング」という方法。一見、全然違うように見えて、実のところは似たようなものであるのも興味深い。次は、アニマルコミュニケーター本人がホメオパスである例。海外の動画のナレーションからの孫引き。


■[ リンダ・ルースルート さん : アニコミュ海外動画] by SKYE CAIT*2

|幸福な視聴者の皆様、

|『動物の世界 地球の仲間』(Animal World)へ ようこそ。

|本日は、オランダの同種療法(ホメオパシー)を行う獣医で、

|テレパシーで動物と交信する、

|リンダ・ルースルート医師を取り上げます。

|医師は幼少時から動物達に強い親近感を持っていました。

|私達の仲間の動物に深い関心を持ち、

|大学で学位を修める間、動物行動学を研究しました。

|また、天使のエネルギーを通し他者を癒す、

|『天使エネルギー療法』の訓練を受け、

|それを使用した動物の傷や病気を癒す、

|総合エネルギー療法の上級指導者の資格も持っています。

|加えてリンダさんは、

|天使との接触を通し動物と交信できる能力があるので、

|他のアニマル・テレパシー・コミュニケーター交信者とは、

|区別されます。

|この特殊な能力のため、ルースルート医師は

|テレビやラジオ番組、新聞やインターネット記事で取り上げられ、

|オランダのメディアから多くの注目を浴びています。


いろいろとトンデモな主張をしているホメオパシー・ジャパンですら、さすがに天使エネルギー療法などとは言わないと思う。しかし、天使エネルギーなどと聞いて、「え?いくらなんでもおかしくね?」と思わない人も一定数いるのだ。自分以外の誰かの方がペットと理解し合えると考える飼い主だけでなく、「アニマルコミュニケーターになりたい」と思う人も「顧客」であるのは、ホメオパシーと同じ構図。動物を助けたければ獣医を目指すべきだ。私が猫なら、テレパシーやら過去世リーディングやら天使エネルギーやらを信じている科学的思考能力に欠けた人間に自分の治療方針を決定して欲しくない。

テレパシーだろうとチャネリングであろうと、本当に動物とコミュニケーションがとれるのなら、科学的に検証可能である。たとえば、ペットだけが知っていて、アニマルコミュニケーターが知らない情報について、アニマルコミュニケーターが正答できるか、など。しかし、アニマルコミュニケーターは科学的な検証を行う気などないであろう。



関連記事

■ホメオパシージャパンが販売する波動機器 クォンタム・ゼイロイド

*1:URL:http://hikarioak.blog38.fc2.com/blog-entry-27.html

*2:URL:http://skyecait.blog62.fc2.com/blog-entry-123.html。ただし、元記事は「ダークサイドの人たちがネガティブな意味で、この記事にリンクしている事が分かりましたので」内容が変更になったようです。変更前の記事はこちら

やまぐちやまぐち 2010/01/25 18:58 ホメオパシー絶賛と言いすごい本を「おすすめ」します。
電波浴(ちとふるいか)に最適な本です。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4087205266.html

匿名希望匿名希望 2010/01/25 21:06 初めて書き込ませていただきます、普段活動しているハンドルネームですらなく、匿名で書き込む失礼をおゆるしください。
ペットに対するホメオパシーが流行っているいう記事を読み、書き込ませていただきます。
なんのリンクも示さない体験談であることを、最初にお断りして置きます。
なかなかこのような話ができるところがなく、一方的な書き込みになってしまっているという自覚はアリます、スミマセン。

当方はとある小型犬のコミュニティに所属しており、30組ぐらいのペットと飼い主の方とコンタクトを取っておりますが、ホメオパシーは本当に流行っています。
10組以上は何らかの形でレメディを(主に通販で)購入して使用したことがあります。
内3組は継続的にホメオパスの方に通っています。
その3組は、別々のホメオパスの方にかかっており、1組は処方のためにオーラソーマリーディングにて診断されているそうです。
オーラソーマリーディングは、2色の水と油の入ったいろいろな瓶の中から感性でえらぶという方式で、犬は自分では選べないので、犬を小脇に抱えた飼い主が犬の波動を一身に感じつつ選ぶ、という形式だそうです。
残りの2組は、オーリングテストで診断を受けているそうです。
が、こちらも犬は指をOにできないので、犬を小脇に抱えた飼い主が犬の波動を一身に受けつつ自分の指をOにして、ホメオパスの方に診断してもらうそうです。
ちなみに処方されるものは、3組とも、液状のレメディで、砂糖玉に浸して犬に食べさせる他にも、波動水で希釈して、スプレーで吹きかける方法を勧められるそうです。

毎月、安いとは言えない金額を払っている事以外は、困った事も無いようなので(例えば治療をホメオパシのみにせずに獣医師の事も信用している等)、特に関係を避けるような事も無いのですが…純粋な親切心で勧められてしまうと、複雑な心境になります。

そして、レメディが流行っているのがこのコミュニティだけならまだしも、ちょっと大きなオフ会などに行くと、必ず話題になってるんですよね…レメディが。

乱文、失礼いたしました。

fuyunokitsunefuyunokitsune 2010/01/25 23:08 はじめまして。
ワタクシ実はペットに対する代替療法の資格を持っています。
と言うか、その資格講座に申し込むまで代替療法という言葉すら知らず、受講してみて内容にドン引きしたんですが、大人の事情というやつで、一応資格だけは取りました。

そんなワタクシの周囲には、アニマルコミュニケーターは胡散臭いと思ってる人でも、
ホメオパシーやバッチフラワーレメディは胡散臭いと思わない人は多いです。少し前のエントリであげられていた、霊感商法だか浄霊は胡散臭いと思っても、代替療法は信じるというパターンと同じような感じです。

意識が高いと言われる飼い主さんや業者さんほど、レメディだのマッサージだのハーブだのアロマだのを取り入れていたり、そうそう、酵素栄養学も一部では幅をきかせておりますし、自然/天然信仰も当然あります。

疑似科学について具体的に知らない人でも、ペット業界の今の流行を追えば疑似科学についておおよそ網羅できるんじゃないか?ってくらいに疑似科学だらけです。

ウォチ対象としては面白いんですが、
ガンの治療も自然療法に固執する人がいたりして、面白がってばかりもいられない状況です……。

うさぎ林檎うさぎ林檎 2010/01/25 23:12 昔「ポチたま」で亡くなった「まさおくん」を「松本くん」がアニマルコミュニケーターに
呼び出して貰って(もう死んでました)話を聞いて貰って号泣してたのを見ました。
ペットが死んでいても写真があればおKだし、日本人が飼っていた犬でもおKと言うのを聞いて
私は「それイタコじゃん」と思いますた。

おまけおまけ 2010/01/26 11:14 以前イヌとかネコの鳴き声に応じて文字を表示するおもちゃがあったけど、そっちの方がまだ信頼性高く感じるw

nn 2010/01/26 15:38 漫画家の大島弓子さんが、アヤシゲかつ高価なペットグッズをあっさりと購入しているのを読み、なんともいえない気分になったことがあります。「グーグーだって猫である」の3巻あたりだったかな。

wadawada 2010/01/27 00:16 ペットにホメオパシーですか? 飼い主は、効果についてどう感じているんでしょうねぇ?人間と違って、プラセボ効果も無いとおもうんですけど…。

まあ砂糖玉なら、たいていのペットは喜んで食べるかも知れないけどねー。

ペット嫌いペット嫌い 2010/01/27 09:18 ピグマリオン効果なら、あるかもしれませんね。

ウォトカで動くロボウォトカで動くロボ 2010/01/27 12:36 プラセボ効果は無いかもしれませんが確証バイアスが働きますよ。

wadjawadja 2010/01/28 00:27 ピグマリオン効果そのものについてはwikiを見ると異論もあるようですが、飼い主の歓心を買って喜んだペットが飼い主から見て元気になったようにみえることはあるかもしれませんね。確証バイアスは、絶対ありそうですな。

diamonds8888xdiamonds8888x 2010/01/31 06:12  トンデモゾーンを拝見しました。たまたま『動物感覚−アニマルマインドを読み解く−』を読み始めたところで、こんな話題とは。まじめに動物の心を読み解こうとしている研究者もいるのにねえ。

おまけさん
 バウリンガルは普通の辞書と同じ事をやっているだけであり、十分科学的だと思います。まあ人間同士の翻訳と同じく、とんでもない誤訳や大胆すぎる意訳の可能性はあるかも知れませんが。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%AB

timtim 2010/09/29 13:37 ホメオパシーを使っている飼い主の中には、飼い犬に狂犬病の予防接種をせずにレメディを与えている飼い主がいるようです。
万が一その犬が狂犬病にかかってしまったとしたらと思うと恐ろしくてなりません。

ゆかゆか 2011/11/21 01:44 この世のものが全て科学で説明できると考えるのはただの人間の傲慢さだと思います。

TUZTUZ 2011/11/21 06:22 初めて書き込みします。

ゆか様
>この世のものが全て科学で説明できると考えるのはただの人間の傲慢さだと思います。

確かにその通りだと思いますが、「この世のものが全て科学で説明できる」と主張されている方がどこにいるのでしょうか?
本文にそのような記載はないですし、他の記事を読めばNATROMさんが「この世のものが全て科学で説明できる」とは主張されてないことがわかると思います。

HaidiHaidi 2011/11/21 21:53 例えば、家畜として飼われている大型動物を落ち着かせるための器具を開発したテンプル・グランディンさんは、生まれながらの「アニマルコミュニケーター」です。テンプルさんによる発明は、サヴァン症候群の方の特異な能力が世の中に生かされた例ですね。

2010-01-19 ウイルスに寄生するウイルス〜D型肝炎ウイルス〜

[]ウイルスに寄生するウイルス〜D型肝炎ウイルス〜 ウイルスに寄生するウイルス〜D型肝炎ウイルス〜を含むブックマーク

一説によると、すべての生物種の5分の4は寄生者であるらしい*1。たとえばヒトとかネコとかゾウとか目につく大きな動物1種に対して、寄生する種は数多くいるだろう。複数の種に寄生する寄生種もいるだろうから、その辺をならして大雑把に宿主1種あたり寄生種4種ぐらいということか。ま、数え方次第である。ヒトとサナダムシだと寄生関係にあると明確だが、何をもって寄生というのか、ウイルスを生物種とみなすかどうか、など、判定が微妙な場合もある。

その辺を踏まえた上で、あえて「寄生される種でもっとも最小の生物は何か?」と問おう。生物学に詳しい人ならば、バクテリオファージに寄生される大腸菌を挙げるだろう。なかなかいい線だ。しかし、もっと小さい生物もいる。B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus, HBV)を私は推したい。B型肝炎ウイルスに寄生する生物とは、D型肝炎ウイルス(hepatitis delta virus, HDV)である。寄生と言えるのか、そもそもウイルスは生物と言えるのか、という問題は「定義次第」という都合の良いラベルを張って棚に置いておく。

D型肝炎をよく知っているという読者は少ないだろう。臨床的に問題となるウイルス性肝炎はまずB型肝炎とC型肝炎である。慢性化して肝癌の原因となるからで、薬害関係でよくニュースにも取り上げられる。ついでA型肝炎とE型肝炎で、これは慢性化することはないが、急性肝炎を起こし、ときには劇症化して死因となることもある。一方、D型肝炎はマイナーな部類に入る。B型肝炎を重症化させると言われているが、日本では比較的まれであり、D型肝炎ウイルスが単独で感染することがないからだろう。D型肝炎ウイルスの感染は、B型肝炎のウイルスの感染下でのみ起こる。D型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスが存在しないところでは増殖できない。なぜなら、ウイルス粒子の外殻の蛋白質をB型肝炎ウイルスから借りているからだ。


f:id:NATROM:20100119153408j:image

デルタ抗原はHBs抗原に被われた小さなRNA粒子である

“シャーロック”肝臓病学より改変引用


デルタ抗原の情報はD型肝炎ウイルス自身が持っているが、HBs抗原の情報はB型肝炎ウイルスが持っている。複製に必要な他の酵素や材料はヒトの細胞から拝借する。D型肝炎ウイルスはヒトおよびB型肝炎ウイルスに寄生していると言っていいだろう。D型肝炎ウイルスゲノムには外殻の蛋白質のコードがないため、コンパクト。WikipediaによればD型肝炎ウイルスは動物に感染する最小の「ウイルス」であるそうだ*2。ウイルス粒子のサイズはB型肝炎ウイルスと変わらないだろうから、ゲノムサイズが最小という意味だろう。もともと、ウイルスは自己複製に必要最小限の情報しか持たないが、D型肝炎ウイルスはいきつくとこまで行っている感がある。無駄がなく美しい。

*1「進化」大全 P293

*2:URL:http://en.wikipedia.org/wiki/Hepatitis_D

pontaponta 2010/01/19 22:40 > 無駄がなく

「必要なものがなく」です。すねかじりとか、安保に寄生する日本とか、寄生者はすべて必要なものがない状態です。無駄がないのではありません。

禿げていてカツラを調達する人は、生物的に毛がないことを「無駄がない」とは言いません。
それを美しいと感じるのは、ご本人の勝手ですが。

NATROMNATROM 2010/01/19 23:27 次からは「とてもよく書けていますね」と誉められるように頑張ります。

きたあかりきたあかり 2010/01/19 23:30 植物系ですが、Satellite Tobacco Mosaic Virus はおいかがでしょう。ゲノムは1067塩基でHDVの1700塩基よりも短い上、自前のキャプシド(+α)をコードしてます。ホストのTMVは、HBVと同じくらいのゲノムサイズでしょうか。
http://en.wikipedia.org/wiki/Satellite_Tobacco_Mosaic_Virus

桜子桜子 2010/01/21 13:04 D型肝炎ウイルスのこと、名前くらいしか知りませんでした。

図の引用(改変があるにせよ)がちんとした本からということで、安心ですね。(o ̄∇ ̄)o (o ̄∇ ̄)o

あいろんりざーどあいろんりざーど 2010/01/22 03:32 pontaさんにはエンジニアやシヴィライゼーション4のプレイヤーたちが必ず聞かされるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの次の言葉を送りたいですね:
>これ以上付け加える物が無くなった時でなく、これ以上取り去る物が無くなった時が完成だ

QazXQazX 2010/01/25 19:04 むしろ、「Keep it simple, stupid!!」
と。

あいろんりざーどあいろんりざーど 2010/01/26 07:04 >QazXさん
それを言ったら「足なんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのです!」もありじゃないかと

2010-01-15 体験談は証拠にならない〜浄霊による体験〜

[]体験談は証拠にならない〜浄霊による体験〜 体験談は証拠にならない〜浄霊による体験〜を含むブックマーク

子に必要な医療を受けさせない「医療ネグレクト」のニュース。亡くなった赤ちゃんに哀悼の意を表します。


■時事ドットコム:7カ月長男死なせる=病院行かずに「手かざし」−両親を殺人容疑で逮捕・福岡県警

 生後7カ月の長男が細菌に感染して衰弱しているのに、宗教上の理由から病院に連れて行かずに死なせたとして、福岡県警捜査1課などは13日、殺人容疑で、福岡市東区の宗教法人「新健康協会総本部」職員高月秀雄容疑者(32)と妻で同職員の邦子容疑者(30)=いずれも同区唐原=を逮捕した。同課は医療放棄による殺人事件として東署に捜査本部を設置し、全容解明を進める。

 捜査本部によると、2人は教義に従って手をかざすことで病気やけがを治すとされる「浄霊」をしただけで、定期健診なども受けさせていなかった。いずれも容疑を認め、秀雄容疑者は「病院に行こうと思った時期もあったが、結果的に子供を見殺しにした」と供述、邦子容疑者は「自分もそう育ててもらったので、きっと良くなると信じていた」などと述べているという。


子がどのような医療を受けるかは、親権者が判断する。しかし、あまりにも常識から外れた判断に対しては、公権力が介入して子の生命を守ることが必要になる場合もあるだろう。この問題については、■B型肝炎ワクチンとホメオパシー■輸血拒否した両親・親権停止が男児の命を救った■ホメオパシーと医療ネグレクトなどで論じた。ただ、介入がいつもうまくいくとは限らないし、基本は個人の決定は尊重されるべきなので、介入なしでもこうした痛ましい事例が起こらないのが望ましい。

宗教だけでなく、現代医学を否定するタイプの代替療法は、医療ネグレクトの原因になりうる。代替療法を支持するきっかけの多くが、体験談にあるようだ。○○療法を行って良くなったという体験談が、代替療法を支持する大きな根拠となっている。代替療法の支持者には、代替療法の是非はともかくとして、「体験談は証拠にならない」ことすら理解してもらえないことが多い。おそらくは代替療法を支持する人たちであっても、「浄霊」に効果があると信じる人はそうは多くはないだろう。しかし、「浄霊」にだって、良くなったという体験談がある。「新健康協会」のサイトにあった、「健康新聞 Vol 645 2010年1月号」には、「浄霊とは、目に見えない光のエネルギーで心身を健康に導く方法です。浄霊による体験を御紹介します」とある。支部名、個人名、写真は引用者が隠した。


f:id:NATROM:20100115163536j:image

浄霊による体験


以降、その日の夜に発熱するも翌日には平熱となった。他にも、膀胱炎や歯槽膿漏、原因不明の下腹部痛が治ったという体験談が紹介されている。さて、体験談から代替療法の効果を信じる人は、同様に「浄霊」の効果も信じるのであろうか。多くの場合、「体験談は証拠にならない」ことを認めていただけるものと願う。体験談の数も証拠とならない。「健康新聞」のバックナンバーをさかのぼれば、「浄霊」の体験談はいくらでもある。「浄霊」の支持者は、どのような証拠にも説得されることはなく、ただ「中にはとても改善した人もいる」と言い続けるだろうが。



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■我々は迷信行動を行うハトになっていないか?

inoue04inoue04 2010/01/15 17:57 自然治癒することはないと考えられている病気が、医療的介入なしで治ったのであれば、一例報告であっても、証拠になると思います。

NATROMNATROM 2010/01/15 18:11 症例報告は証拠になりますよね。

hdprogrehdprogre 2010/01/15 21:12 自然治癒することはないと考えられている病気が、医療的介入なし、「浄霊」介入ありで治ったときに症例報告はすべきですか?
してもいいけど、「証拠」として認知される場には掲載されないですよね。
inoue04さんの指摘は一般論としては正解とおもいますが....

桜子桜子 2010/01/15 22:27 NATROMさま
こんばんは、桜子です。
インフルエンザの話は、申し上げたいことはありますが、少し飽きてきてしまいまして、今は折り紙に興味がうつっています。
NATROMさまも連鶴を折ってごらんになりませんか?


> 多くの場合、「体験談は証拠にならない」ことを認めていただけるものと願う。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
それは無理だと思います。
でも、お示しの例は、経験のない桜子が致しましても、そうなると思います。(o ̄∇ ̄)o

ころんで、あちらこちらが痛くて、寝返りも出来ない寝たきりの人に、手かざしの実験をしてみようと思いまして、痛いところを探していましたら、手かざしをしないうちに、痛いところがなくて手足が動くようになってしまいました。(o ̄∇ ̄)o
あと、気功が自律神経に作用することを、体験したことがあります。

杉山真大杉山真大 2010/01/15 23:11 そう言えば、戦前から終戦直後にかけて手かざしによる医療ネグレクトで死亡というニュースは結構新聞ネタになってましたね。

oku1oku1 2010/01/16 01:22 初めてコメントします。いつも楽しく読んでいます。読んでいると、つい時間を忘れてしまいますね。
「体験談は証拠にならない」ことを患者自身が理解することは、なかなか難しいと思います。ある病気に関する正しく系統だった知識を持ってその病気にかかる患者って、ほとんどいませんよね。そういう患者にとっては、ネットで集める「体験談」がほとんど知識のすべてになりかねない。とにかく「良い話」を知りたいのです。その病気が難しいものであればあるほど、「まことしやかな体験談」を信じてしまう、と言うか、信じたくなります。(あ、これも「体験談」か)

nn 2010/01/16 04:29 >hdprogreさん
>自然治癒することはないと考えられている病気が、医療的介入なし、「浄霊」介入ありで治ったときに症例報告はすべきですか?

すべきですし、実際されてますよ。浄霊で調べたことがないですが、気功とかその辺で、そういった症例報告は見たことがあります。「浄霊で治った一例」として報告するのが憚られるなら、「医学的介入なしに自然経過で治癒した○○病の一例」とでもして、要約に「民間療法として浄霊のみ受けていた」と但し書き付けて報告しておけば、それでも世界中の医師が後で検索して見つける事くらいはできます。僕だって、目の前の患者が浄霊で信じられない経過で改善したら、大喜びで症例報告の論文書いて発表しますよ。そんな経験ないけど。

「10万人に1人」「世界に1000人だけ」とかの、医師が一生に一度見ることもないような稀な症例の場合、最初、ある医師が、過去に類似の症例がないか検索したうえで「もの凄く珍しい経過なんだけど」という感じで症例報告します。証拠(エビデンス)として依然最低レベルですが、論文として報告されていれば、証拠の一種としては扱われます(詳しくは「エビデンスレベル」で検索)。その後、他の人が「これが同種の報告の世界15例目です」と連続し、まとまったところで他の人がそれらの特徴をまとめ……という感じで新たな概念が成立し、疫学的調査や臨床試験がなされ、証拠としての質が上がり、いずれは教科書にも載る一般知識となります。だから「医学知識のある人が、珍しいと思った経過をまとめ、とりあえず発表」というのは一般的だし、むしろ医師の義務です。浄霊に限らず、薬の珍しい副作用等だって、まずはそういう報告のシステムから、本格的に疑われてるんですから。

これは、医師が事実上、世の中のほぼ全ての病人を観察しているからこそ言えることです。浄霊頼みの患者であっても、少なくとも医師が採血とかCTとか傍観くらいはしてます。最初から医師の関与が全くなく、霊能力者が癌を診断してそのまま治してしまったような例は、確かに何千例あろうと症例報告されないでしょうが、まあ考えなくていいでしょうね。

琴子の母琴子の母 2010/01/16 10:23 いつも読ませて頂いています。
今回の記事もとっても興味深く、また、助産院や自宅出産の問題との関連性も強く感じまして、ブログで紹介させて頂きましたし、トラックバックも頂きました。

体験談から影響を受ける経験をしていますので、知識の無さがいかに怖いことかとおもいます。
また、無事に済んだ体験談しか得られない(あっても、「搬送されて無事に済んだ」というようなもの)ことの不思議さに早く気がついて欲しいとおもいます。

民間療法と浄霊(宗教)を同じと考えている方は少ないかとおもいますが、思考回路はとっても似ているので、民間療法を信じやすい方が、その奥にあるかもしれない宗教に知らぬ間にはまってしまうということは十分に有り得るとおもいます。

神保町のネコ神保町のネコ 2010/01/17 19:54 桜子 さん

>■
>> 多くの場合、「体験談は証拠にならない」ことを認めていただけるものと願う。
>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
>それは無理だと思います。
>でも、お示しの例は、経験のない桜子が致しましても、そうなると思います。(o ̄∇ ̄)o

いや、流石に。
ほかの国はどうかわからないですが(たとえばシャーマニズムの息づく国もあるだろうし)、
日本で言うなら、このエントリーの内容を読んだ後の大半の人は「体験談は証拠にならない」と考えると思うのですが。

何か特定の体験談単体を提示されて、それだけなら信じる人も居るのでしょうが、
このエントリーの様に筋道立ててあれば判断できるのでは?
別に難しかったり、モンティ・ホール問題のような勘違いしやすい構造になってるわけでもないですし。

「UFOは実在する、何故なら子供のころ見たことがあるからだ」って言われても何とも言えない訳で。

酔 2010/01/19 04:30 うーん、意味がよく分からないです。なんの意味かというと、
「体験談は証拠にならない」の証拠が「なんの」証拠にならないのかという部分です。

証拠という言葉は、普通単体では使われず、○○の証拠、ということで意味を持ちます。
しかし、エントリーではそこが微妙に曖昧になっている気がします。

「その療法が効果あるものと私が信じる証拠」ですか?
「その療法が有意義な治療法であると医学的に認められる証拠」ですか?

桜子さんと、この事件の当事者は前者を言い、神保町のネコさんは後者を言っているように思います。


この事件の当事者は、その団体の職員でした。これはなにを意味するかというと、その療法で実際に治ったという体験を、伝聞ではなく、実際に治った当人を目の当たりにする機会が多かったであろうことを意味します。

そもそも、もしその団体がインチキであるならば、まず職員がその団体の実情を知っており、職員こそが率先してその力を信じていないはずでしょう。

(以前、円天という電子マネーを使ったねずみ講がありましたが、そこの職員の給料は、円天ではなく通常のお金で支払われていました。これは、職員がそのシステムをインチキであると知っていたことを意味します。)

目の前に、その方法で助かった人がいた。だからそれを信じた。そこには、医学的にどうか、科学的にどうかということよりも、その人にとって大きなインパクトが有ります。

その人にとって、「信じうる証拠」というのは十分すぎるほどあった、ということになるでしょう。

この話は、この事件について「だから医療に見せなくて良い」というようなことを言っているのではありません。あくまで、このエントリーの「証拠にならない」の論点がよく分からないという話をしています。

tmtm 2010/01/19 12:12 一般的には、客観的にその事象の真偽なり存否なりを証明する根拠となるものを「証拠」と呼ぶんではないでしょうか。
「〇〇と私が信じる証拠」というのは、その方個人における信念とか主義とかの根拠であって、第三者からみて「証拠」と呼べるとは限らないものなのではないかと私は思います。
雑な例ですが、私の知人に、親類や友人が病院で亡くなるとほぼ例外なく医療事故、あるいは医療ミスとみなす人物が居ます。なぜそのようにみなすのか根拠を尋ねると、
「だって、前日に(あるいは数日前に)見舞いに行ったらピンピンしてたんだぜ。急に死ぬようには全く見えなかった。それが証拠さ」というのです。彼にとってはそれは明確な「証拠」らしいのですが、私には「個人的にそのように考えるようになったきっかけ」程度にしか思えません(それですらただの「勘違い」「思いこみ」ですが)。「証拠」という言葉で表現するべきことでは無い、と考えます。

このエントリでいえば、私個人としては「その療法が効果あるものと私が信じる証拠」という酔さんの文における「証拠」という言葉は、「根拠」とか「理由」とかいった言葉に言いかえるべきではないか、と思えます。

と自分で書きつつ言葉足らずだなと思いましたな…うまく説明できずすいません。

酔 2010/01/19 19:24 tmさん

> このエントリでいえば、私個人としては「その療法が効果あるものと私が信じる証拠」
> という酔さんの文における「証拠」という言葉は、
> 「根拠」とか「理由」とかいった言葉に言いかえるべきではないか、と思えます。

なるほど、ところで、辞書には次のように書かれています。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E8%A8%BC%E6%8B%A0&enc=UTF-8&stype=0&dtype=0

しょう‐こ【証拠】
大辞泉
1 事実・真実を明らかにする根拠となるもの。あかし。しるし。「―を残す」「動かぬ―」「論より―」
2 要証事実の存否について裁判官が判断を下す根拠となる資料。

大辞林
[1] 事実・真実であることを明らかにするよりどころとなる事や物。あかし。しるし。
・ 昨晩雨の降った―
・ 確かな―
[2] 訴訟法上、判決の基礎たる事実の存否につき裁判官の判断の根拠となるような資料。
・ ―不十分

大辞泉には、1の意味の場合、証拠=事実に対する根拠であると書かれています。
そういう「事実」がそこにあったという根拠があれば、それは証拠と呼んでよいということです。

そういう視点で「体験談」というものを見直すと、体験談は、「そういう事実がそこにあった証拠」には十分なっていると思います。
(第三者の証言、って、裁判でも「証拠」になりえますよね。証拠として強い弱いはありますが。)

ということは、「私が○○を信じる証拠」という言葉は、辞書を見る限りは間違っていないように思います。
tmさんの発言は、2の意味に近いと思うのですが、でも内容を読むと裁判の事を仰っているようには見えませんね。

ここにも、エントリーの論旨の曖昧さの理由が存在します。
そもそも証拠という言葉自体が、2つの意味(根拠、もしくは裁判の資料)を持っているからです。

ですから、前に書いたことを、辞書を参考に書き直すと次のようになります。

> 「その療法が効果あるものと私が信じる証拠」ですか?
> 「その療法が有意義な治療法であると医学的に認められる証拠」ですか?

     ↓

A. 「その療法が効果あるものとその人が信じる証拠(=根拠、辞書の1の意味)」ですか?
B. 「その療法が有意義な治療法であると裁判上認められる証拠(辞書の2の意味)」ですか?
C. 「その療法が有意義な治療法であると医学的に認められる証拠」ですか?

辞書を参考にしたら、選択肢が増えてしまいました。

エントリーは「体験談は証拠にならない」という題名ですが、
これは裁判の話をしているのでしょうか?医学の話をしているのでしょうか?本人がなぜ信じたのかという話をしているのでしょうか?

このブログ主は内科医ということで、タイトル横にも[医学]と書かれているので、医学の話をしているのかもしれませんが
読み返してみても、そういう話なのかどうなのか、やっぱりよく分からない。

やはり、「なにに対する」証拠なのか、ということは、文章を書く上で省略してはいけないものなのだと思います。


体験談は、その人が信じうるだけの証拠(=根拠 辞書の1の意味)にはなりうるが、
体験談だけでは、医学者を普遍的に納得させるだけの証拠にはなっていない、というのが、
善い悪いではなく、そこにある現実のあるがままの姿でしょう。
(裁判は、その裁判の争点によって有意義な証拠が変わり、それは裁判官が判断するので現時点で言及できることではない)

エントリーは、後者だけを論じて、前者を論じていない(または、前者は今回の話題の対象外であると明示していない)ので、
疑問を呈する人が現れる、という状況だと思います。

※ 前回も書いた通り、このコメントは医療ネグレクトを肯定する目的で書いているのではありません。

tmtm 2010/01/19 20:24 うーん、私の言葉足らずな説明でより誤解を招いたかもしれませんね。

私には少なくとも酔さんのお感じになったような曖昧さは、全く感じられません。
エントリにおける体験談は、どれも第三者的な検証に耐えうる証拠としての
価値は全く持たないものです。
少なくとも医学的な事柄を語るにおいてはこれを証拠とは云えません。
法廷用語でも何でもなく、一般論としても「証拠」とは言い難いと思います。
「そういう事実がそこにあった証拠」にもならないわけですから。
第三者的な検証が不能な状態なんですよ、その体験談でのは。
それが「証拠」と呼べるのであれば、例えば私が
「うちゅうじんみたよマジマジ」と言ったら、それは地球外生命体の存在の
証拠となる、ということです。
この私の「体験談」を聞いて地球外生命体の存在を信じるようになった人にとって、私の体験談が「地球外生命体の存在の証拠」になってるとしたら、その人はものの考え方が根本的に間違ってるだけ。

ああ、釣られてる感まんてん…

何分かの一何分かの一 2010/01/19 20:39 いや、酔さんが引いた用法で言えば、ここでは 2. の意味では使われていないと思いますよ。裁判やってるんじゃないんだから。

「浄霊」が有効な治療法たり得ない、という事実は、まぁ多くの方が認めるところと思います(そうじゃない人もいるから、このエントリで紹介されてるような悲劇が起こるわけですが…)。にも関わらず、「浄霊」で良くなったという体験談が多くある。つまり体験談がいくらあっても「浄霊」に効果があるという証拠にはならない。きわめて明快で、あえていちゃもんをつけようとしてるのでもない限り、誤読しようのない文章だと思いますけど。
辞書にあてはめるのなら、「「浄霊」に効果がある」が証拠によってあきらかにされるべき「事実・真実」ということになりますね。もちろん、そのような事実はないと私は考えます。

ところで、「体験談は、「そういう事実がそこにあった証拠」には十分なっている」とは言えると思います、一応。ですが仮に「そういう事実」、「浄霊」を受けた方の容態が良くなったという事実があったとしても、その方が「浄霊」によってよくなったという証拠にはならないわけで、これが「浄霊」でなく「ホメオパシー」でも「マクロビオテック」でも話は同じだよ、というのがエントリの主旨ですよね。

わざわざ私ごときがこんな解説付け加えなくても、読み間違える人なんてそうそういないと思いますけど。

突然、横から失礼しました。
ん? 釣りなの? 釣られてるの?

横槍横槍 2010/01/19 21:18 酔さん

>そういう「事実」がそこにあったという根拠があれば、それは証拠と呼んでよいということです。

証拠というのは当該事実の存否を客観的に証明するために使用される資料をいいます。「〇〇を信じる証拠」というのは用法としておかしい。「私は〇〇だと信じる」それ自体は主観的な問題であって証拠でどうにかする話ではありません。信じたければどうぞ、という話です。

>ということは、「私が○○を信じる証拠」という言葉は、辞書を見る限りは間違っていないように思います。そもそも証拠という言葉自体が、2つの意味(根拠、もしくは裁判の資料)を持っているからです。

二つの意味があるのではないですね。それぞれ具体的事実の存否について「客観的に」証明するための資料という意味があります。訴訟における証拠は、特に刑事訴訟において証拠禁止にあたらない資料を「証拠」ということがありますからお調べになられた辞書においてそのように峻別した表記がされているのでしょう。

前提がおかしいから、よくわからないことになるという典型かと。

nn 2010/01/20 00:32 酔さんの指摘は個人的には面白いなと思いました。「証拠」という単語は、確かに国語辞書的には「理由」「論拠」の同義語として、安易に使ってもおかしくない単語ですよね。ただ医学の文脈で「証拠」という単語を使う場合、国語辞典以上の強い意味があり、「第三者の検証に耐える証明の可能な、客観的根拠」という、酔さんが挙げられたCパターンの意味でのみ使います。誤解や混用を避けるために、敢えて『エビデンス』というカタカナ語で表現することもある程の、半分専門用語みたいなものです。自分もこのブログエントリに曖昧さとか違和感とかを別段感じなかったうちの1人ですが、医師は(そういう教育をされているので)ほとんど無意識に『証拠』という意味に色を付けてしまっているかも、とは思いました。

電気屋電気屋 2010/01/20 01:52  コレは純粋に国語の問題だね。
 さて、「証拠」ってのは証(あか)しの拠(よりどころ)って書くワケだけど、「あかし」ってのは自身に対してじゃなく、主に他者に対してする行為だよね?自身に対する「あかし」ってのもありはするけど、ドッチかってェと例外の部類だと思う。また、自己に対して用いるときでも客観を意識して使われていると思う。
 また、よく似た言葉に「確信」と「確証」ってのがあって、似てはいるけど前者は自分自身だけの確からしさなのに対して、後者は他社に対しても有効、つまりあかしだての可能なな確からしさのコト。ココでもやっぱり「あかし」は客体に対して使われてます。
 明確な輪郭を持って定義を与えられた専門用語ではないから、一般的に用いられる「証拠」って言葉は、裁判で用いられるソレ(コッチは完全に専門用語として明確な輪郭を与えられています)とは違ってあいまいさを含んではいるけれど、それでも多分に客観を意識した言葉であることは間違いないように思う。
 そして、NATROMさんが本エントリで用いている「証拠」ってのも不特定の他者への「あかしだてのよりどころ」として用いているのは、そうした体験談を目にする人に対する言及があることから明らかでしょう。
 今回いつものように「エビデンス」って用語を用いず、あえてあいまいさをより多く含む「証拠」という一般的な言葉を用いたのは、NATROMさんが意識している体験談の読者が用語とは無縁の人々を含むより多くの限定されざる人々、つまり、本blogの読者よりもさらに広い層を意識してのことだと思います。

 ただ、今回のエントリがなんらかの影響を与えられる層は限られてそーだなー、とは思う。
 そもそもそんなヤツぁココ見ないじゃん!てのもモチロンあるケド、それ以前にこーした体験談鵜呑みにしちゃう人は、それが代替医療でもオカルトでも区別しない、もしくは出来ないと思うのだ。
 本エントリが意図された効果を示しうるのは代替医療は態度保留だけど、オカルトは即アウトって人だろー。でも、琴子の母さんもおっしゃってるよーに、代替医療にハマる人とオカルトにハマる人とは感性がとても近いと考えられます。ホメオパシーなんて提案された200年前ならともかく、今となってはオカルト以外の何者でもないしネ。現に桜子さんには全く通じてませんし。ソレ一般化しないでー!と言われれば、ウン、そーだね、ホントにね、て思うけど。

酔 2010/01/20 02:39 yahoo知恵袋ではないけど、私にとってのベストアンサーはnさんのコメントになります。

なるほど、エントリーのタイトルが、「体験談はエビデンスにならない」というならば、全く問題はありません。これは、エビデンスという言葉自体に、問題領域のありかを含んでいるからです。

そしてnさんによると、医学者は、無意識に証拠=エビデンスであると思っているかもしれないというわけですが、例えば一般人である私は、「○○の証拠」と書かない限り、問題領域がどこにあるかが曖昧であると見えてしまいます。

別のコメントで、証拠という限り他者を納得させられる普遍的なものであるという必要があるとありますが、私はそうは思わず、問題領域を「私にとって」の証拠とするならば、その用例は問題ないと考えるものです。(これは、そういう一般人が最低ひとりはいるという『証拠』になります(笑))

エビデンスならば誤解は少ないが、一般向けに証拠という言葉を使ってしまったため、筆者の想定外の解釈をする一般人がいる、いうのが、良くも悪くもそれがあるがままの事実であると思います。

うん、私はすっきりした。他の人はモヤモヤしているかもしれませんが。

横槍横槍 2010/01/20 13:24 証拠というのは議論をするための共通の土台を形成するために用いられるものであるわけですが、その土台についての認識がここまで違う人がいるとは思わなかった。
そりゃ噛みあわんわ…。

Y.TY.T 2010/01/20 20:40 否定的な証拠がないからといって、その事象を肯定的に受け止めてしまう場合があるという好例ですね。

酔 2010/01/20 22:56 私の論旨に関係あるものとして、もう一つ面白いものを見つけました。
いま、ちょうどテレビを見ていたら、「今年ブレイクするオネエキャラ」ってのをやっていたんです。

その中で、「徳光和夫の甥のオネエ」という人が出てきまして、出演者はびっくりしていたんですが、その中で、「これが証拠です」といって、その人が徳光和夫と一緒に写っている写真を表示していたのです。

これ、「第三者が必ず納得する客観的論拠」ではないですよね。単に一緒に写っているってだけの写真ですから。

こんな写真をだして、「これが証拠だ」って、テレビがいうんです。
テレビで言うところの「証拠」とは、そういうようなものなのです。

しかし、テレビの影響力というのは、とても大きいものです。
子供の頃から、テレビをずっと見ている人は、証拠と言う言葉をそういうものと捉えるように育っても不思議ではないわけです。そういう「一般人」は、とても多いように思います。

一般人は、「医学者」ではないし、みんながみんな、論理的な議論をする人ではないからです。

こういう個人個人の認識の差異からくる誤解を防ぐために、医学、科学、学問、議論を生業とする人は、nさんがおっしゃるように、証拠と言う言葉を、あえて辞書的には同じような意味である「エビデンス」と言い換えるようになったのではないでしょうか。

電気屋さんという方が

>今回いつものように「エビデンス」って用語を用いず、あえてあいまいさをより多く含む「証拠」という一般的な言葉を用いたのは、NATROMさんが意識している体験談の読者が用語とは無縁の人々を含むより多くの限定されざる人々、つまり、本blogの読者よりもさらに広い層を意識してのことだと思います。

と書いておりましたが、この通り、一般人の認識は、医学者の思う「証拠≒エビデンス」ではなく、テレビなどが言う「証拠=その程度のもの」で生成されていることも多いのですから(しかも辞書を見てもさほど間違っているようでもないし)、一般人のために「証拠」という言葉を選択して使ったのなら、それは誤解を招きやすい、ちょっとだけ不適切な選択だったように思うわけです。

酔 2010/01/20 23:05 追記ですが、単語の選択としてちょっとだけ不適切などと書きましたが、「一般人に訴えるものが多い題名」という意味では、これはとても良い選択だったかもしれません。

一般人が「体験談は証拠にならない」というタイトルを読んで、それまでの一般的な人の考え方とちょっと違う論旨に触れ、「え?」って言ってそのエントリーを読みに来る、という効果が、結果としてあるからです。

AikAik 2010/01/20 23:24
言い出した本人(だけ)がスッキリした話を蒸し返しては不毛かもしれませんが、気になったので。

>nさん
「証拠」という言葉の解釈について議論されていましたが、今回のように医師とそうでない人との間に相違がある時、安易に「医師の感覚は一般人と違うから」と言ってしまうのいかがなものでしょうか。
 今回の例で言えば、やはり個人が日本語の定義に通じていなかったために起こった勘違いであり、natromさんや他の方々が一般人の感覚から外れているわけではないと思うのです。

 「医者の感覚が一般人と違う」というのは昔から言われていることですが、最近は特に「一般人と感覚がズレた世間知らず」であることを強調するときや、「根本的な相互理解なんて無理」と議論を投げるときに使われています。nさんがそういう意味で使われているわけではないのでしょうが、医療者の方が自分から「感覚が違うんで」と宣言されることにはやはり違和感があります。

迂闊に宣言してしまうと、今回のように相手の誤解を深めてしまうだけではないでしょうか。

nn 2010/01/21 00:30 「証拠」という単語そのものの議論は、もうだいたい決着してるようなのでいいですよね。

>Aikさん
前回の自分のコメントは、酔さんのような解釈があり得ることを思いつかない自分に対する戒めとして書いたことであり、一応「医者はこうだから他の人も従え」的な印象を与えないよう、配慮したつもりではあるのですが…伝わってなければすみません。
専門家でない人に、如何に平易な言葉で、正確かつ簡潔に要点を伝えるか、というのは、実地の医師が日々悩んでいる重要な問題です。患者と医師で基本的(と医師が思っている)用語の解釈に相違があり、しかも医師がそれに気づいてすらない、というのは、度々指摘されるところです(代表的なのだと「ショック」とか「食間」とか)。もちろんそこで齟齬が起きないよう工夫すべきなのは、主に医療従事者側の方だと思っています。ていうかNATROMさんはその辺が非常に上手いからこそ人気ブログなわけです(笑)。そういう場で起きたからこそ、この件は小さなズレとはいえ意外に思ったよ、ということでした。

nn 2010/01/21 01:12 ついでだから述べますが、自分がよくこのサイトに来るのも、NATROMさんの文章が、医療者とそれ以外(あるいは科学者とそれ以外)との間に残念ながら厳然と存在する「認識の違い」に凄く敏感で、「根本的な相互理解なんて無理」的なそぶりを決して見せないところが、格好いいな〜勉強になるな〜、と…そんな理由が大きい気がします。インチキ商法や疑似科学ウォッチが楽しいのも、その「違い」をモロに炙り出してくれる理想の教材だからなんだろうな、と(今思いついただけですがw)。
去年の『国民皆保険制度がわりとうまくいっていた理由』の記事とか凄い反響でしたが、自分にはああいう文はとても書けないのです。どこに痒い所があるのか分かってないから。

杉山真大杉山真大 2010/01/21 17:15 以前挙げていた大昔の似た事件ですが、ヨミダス文書館を引っ張り出してようやく見つけました(名前が出ているとこは仮名にしています)。

狂信、坊や見殺し
1952年11月26日 読売新聞夕刊

怪我をしたこどもを霊波でなおすと医者にも見せず殺してしまった布教師を目黒署で調べている。22日朝、目黒区中延2の535世界メシア教(旧観音教)布教師N(31)四男Aちゃん(四つ)は近所の八幡神社の境内で遊んでいるうち高さ4メートルのガケから転落。頭に重傷を負ったが、父親のNは医者にも見せずメシア教お得意の霊波でなおすと手をかざして祈ったが悪くなる一方。25日昼ごろききつけた目黒署員が忠告におもむいたところNは留守でAちゃんは四十度の高熱で苦しんでいたので付近の病院に入れたが同五時頃頭内出血と肺炎で死亡。
同署では過失致死の疑いで調べているがNは「教義が悪いんじゃなく私の力が足りなかった」と言っている。

ROCKY 江藤ROCKY 江藤 2010/01/21 22:04 「もうすこしで直るところだったのに、むりやり病院に連れて行ったせいで死んでしまったんだ」
と開き直らないだけ素直な布教師ですね。

Med_LawMed_Law 2010/01/21 22:12 >自然治癒することはないと考えられている病気が、医療的介入なしで治ったのであれば、一例報告であっても、証拠になると思います。

報告する人達に信頼性がなければ、病気の存在、治療の方法、結果、経緯なにをとっても疑問符だらけで、検証可能性が低過ぎます。
科学的とは、批判を受けられるだけの検証ができるかどうかということでもありますから、inoue04さん的な発想は、悪の集団、インチキ集団に対しては単にNaiveとしか言いようがありませんね。
その発想じゃ、マジシャンが全て霊能力者になってしまいそうな悪寒がします。

門前の小僧門前の小僧 2010/01/22 01:45 どうでも良い気もしますが、

>その中で、「徳光和夫の甥のオネエ」という人が出てきまして、出演者はびっくりしていたんですが、その中で、「これが証拠です」といって、その人が徳光和夫と一緒に写っている写真を表示していたのです。
>子供の頃から、テレビをずっと見ている人は、証拠と言う言葉をそういうものと捉えるように育っても不思議ではないわけです。そういう「一般人」は、とても多いように思います。
-----------------------------------------------------------
「一般人」という無意味なカテゴライズは一旦置いとくとして、私は、テレビを見て「証拠と言う言葉をそういうものと捉える」ような人よりも、写真を見てその人が「徳光和夫の甥のオネエ」であると信じる人のほうが多いと思います。
テレビで使われた言葉が日本語的に正しいとそのまま信じてしまう人は、その前にテレビで言っている内容そのものを信じるでしょう。
酔さんのような物の見方をする人はかなり少ないのではないかと。

2010-01-12 「井上俊彦のメディカル・イーティング」に学ぶ情報商材のノウハウ

[][]「井上俊彦のメディカル・イーティング」に学ぶ情報商材のノウハウ 「井上俊彦のメディカル・イーティング」に学ぶ情報商材のノウハウを含むブックマーク

いわゆる「情報商材」であるが、■癌が改善されなければ全額返金!井上俊彦のメディカル・イーティング(ガン篇)〜癌克服への道〜*1を読んでみて、たいそう感心した。「ガン患者専用の食事療法」を約3万円を販売しているのだが、普通に考えれば、こんな怪しいものは誰も買わない。しかし、こうしてページをつくっているところからみて、購入する人もそれなりにいると推測できる。どのような工夫がなされているのか、考察してみた。


断言する

力強い断言に消費者は心ひかれる。標準的な医療を行う立場からは、なかなか断言できない。悪化する可能性についても医師は説明する義務を負っている。標準的医療との差別化を図るには、断定的な説明が有効なのだ。

f:id:NATROM:20100112163820j:image

断言します!

「ニセ科学は断言してくれる」と菊池誠は指摘した(■ 視点・論点「まん延するニセ科学」 - うしとみ!)。心地よいニセ科学の断言に魅かれてしまう人が、情報商材のターゲットなのだ。「エビデンスがあるなら論文ぐらい示せよ」と突っ込むような人たちのことは無視してもよい。



だけど、言質は取られないように

断言することで説得力が増すと言っても、100%治ると断言してしまえば、効果がなかったときに言い訳に困る。「ほとんどの方を改善へと導いております」と言っておけば、効果がなかった場合でも、「残念なことに100%治すことはできません」と言い訳できる。

f:id:NATROM:20100112163816j:image

100%は挑戦しているだけ




ガンが改善されなければ全額返金

f:id:NATROM:20100112163819j:image

ガンが改善されなければ全額返金

「井上俊彦のメディカル・イーティング」では、「ガンが改善されなければ全額返金」を謳っている。これは「改善すれば儲けもの。改善しなくても少なくともお金は戻ってくる」という消費者の心理を突いたものであろう。癌を治せるという自信のあらわれと解釈してくれる人もいるかもしれない。もちろん、こういう人たちがターゲットである。普段は合理的な判断ができるような人でも、自分や家族が癌に罹ってしまったときには冷静になれないものだ。

冷静に考えれば、「回復の兆しの定義があいまいなので、ちょっとしたことを回復の兆しとみなして返金に応じないかもしれない」「食材を購入した際のレシート類を実践後3ヶ月分用意せよとあるが、実際に3ヶ月分もレシートを保存しておくのは面倒であり、返金請求する人は少ないのかもしれない」「レシートの内容から、食材について難癖をつけるかもしれない。現代社会で厳密なマクロビ食は困難だ」「標準治療との併用で一時的に回復する分も見込んでいるのかも」「情報商材を購入し、面倒な食餌療法を行うことによって、購入者は認知的不協和を軽減するために、改善効果ありと判断するバイアスがかかる」などなど、突っ込みどころは多数あるのだが。



体験談は捏造でOK

症例報告ならまだしも、体験談は事実であってすら、ある特定の療法が効くという証拠にならないが*2、商品を売るという目的からすると、そもそもが体験談が事実である必要すらない。体験談を語る人の名前や年齢や顔写真も捏造可能であり、その体験談が事実である証明にはならないが、そういうことに気付かない人がターゲットなのだ。医学に詳しい人がみたら、捏造か、それでなくても正確さに著しく疑問があるとわかるような体験談でもかまわない。たとえば、このようなもの。

f:id:NATROM:20100112163818j:image

人工肛門が外せるほど回復。

20代後半になって便秘がさらにひどくなり、

血便が出るので痔かと思い病院に行ったら

医者から直腸ガンと言われガク然としました。

その後、人工肛門を入れることになってしまいましたが、

食生活を変えないとまた再発すると言われ、

たまたま知人を通して知った井上先生の指導を受けることになったわけです。

(井上先生、その節はたいへんお世話になり有り難うございました)

食餌療法を始めてから1年くらい経つと、人工肛門を外してよいほど良くなり、こんなことは前例がないと医者にも驚かれました。


人工肛門がどのようなもので、なぜ直腸癌の術後に人工肛門が必要なのかを知らない素人が適当に体験談を書いたらこうなる。人工肛門を造設する場合、一時的なものと永久的なものとがある。一時的人工肛門造設の場合は、肛門を温存し、数ヶ月後に人工肛門を閉じる2回目の手術を行う。上記引用した体験談は、一時的人工肛門ではないと思われる。なぜなら、「こんなことは前例がないと医者にも驚かれました」とあるからだ。一時的人工肛門を閉じたのであれば、前例がないどころか、初めから予定されていた通りの経過である。驚く要素はない。

永久的人工肛門から離脱できたとなると、なるほど、これは前例がないと言えるだろう*3。永久的人工肛門をつくるような直腸癌の手術では、肛門ごと切除される。いったい、どうなったら「人工肛門を外してよいほど良く」なったと判断できるのか、想像できない。肛門が再生したとでもいうのだろうか。どれくらい信じられないレベルかというと、たとえて言うなら、


交通事故で右足を失い義足となってしまいましたが、食餌療法を始めてから1年くらい経つと、義足を外してよいほど良くなり、こんなことは前例がないと医者にも驚かれました


というのと同等である。「人工肛門を外してよいほど良く」なった症例を診た医師は是非とも報告すべきである。報告先は、医学雑誌ではなく、バチカンだ。



正しい情報も混ぜる

f:id:NATROM:20100112163817j:image

間違った情報を鵜呑みにすると危険


正しい。




まとめ

病気を治すと謳う情報商材の類はすべてインチキとみなしてよい。その「情報」とやらが、十分に検証され、確かに効果があると証明されているものであれば、高い金を出して買わなくてもアクセス可能である。論文や公的なガイドラインとして発表されている。その「情報」が門外不出で、よそでは手に入らないものだとしよう。では、その「情報」が正しいと誰が保証しているのか?自然治癒能力促進協会とやらが関わった患者は何人で、癌の種類や進行度はどれくらいで、治ったのは何人なのか、発表されていなければ検証しようがない。高い効果があると自称しているが第三者から検証されていない情報も、別に高い金を出さなくても、そこらじゅうに転がっている。医療系の情報商材は何らかの規制が必要だと私は考える。というか、「私が指導する病状別の食事法を続けるだけでほとんどの方を改善へと導いております」というのはアウトにならないのか?

効果がないと自覚しながら情報商材を売りつけるのは悪ではあるが、それ以上に、効果があると信じていながら情報商材を売りつけるのは極悪である。情報を公開し、第三者が検証し、効果があると認められれば、世界中でかの食餌療法が使用され、世界中の人たちが「糖尿病、C型・B型肝炎、エイズなどの感染症、さらに白内障、膠原病、脳梗塞・動脈硬化といった循環器系疾患まで」、ほとんどの人が改善するのである。世界中の患者さんの健康と引き換えに小銭を稼ぐ以上の悪があるだろうか。



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*2■「癌が治った」という体験談はどこまで信頼できるか

*3:きわめて例外的に、肛門を再建する術式(URL:http://www.geocities.co.jp/Beautycare-Venus/5601/forostomates.html)もあるにはあるのだが、外科医の技量の問題であり、これは食餌療法とは無関係である

奪われし味蕾奪われし味蕾 2010/01/13 01:52 >アウトにならないのか?
情報商材と一緒に健食やらグッヅやら売っているわけじゃないので、少なくとも行政の薬事衛生部門は動けないでしょうね。
では医療法/医師法の監査部門が動くかというとそれもあまり期待できないように思います。そもそも医療行為なのかこれはっ、てところから詰めなきゃならないので。

というか、明確な薬事法違反であっても、実際に被害者が出ないと(表示違反だけじゃ)刑事告発なんかせんですよ。普通は行政指導だけです。
こういう業者は、行政指導を何度食らおうが、何度でも同じことをやります。蛙のツラに…です。

あと、ご指摘の穴はわざと空けてるのかもしれませんね。
民事責任を問われても「こんな荒唐無稽な話を信じるほうがおかしい。医者にかかっていて治療を受けているならなおさらだ」とか対抗したりして。

NATROMNATROM 2010/01/13 10:59 奪われし味蕾さんへ。コメントありがとうございました。ご指摘の通りなのでしょうね。最近、ゲルマニウム治療機やバイオラバーで逮捕者も出ているようですが、情報商材はまた違ったカテゴリになるのでしょう。

ふぃっしゅふぃっしゅ 2010/01/13 12:12 健康増進法の2003年8月改正で、健康食品などの広告の規制にひっかかると思います。特定の食品などが「〜に効く」「〜を治す」とうたっているバイブル本やネット上の媒体も含むようですね。

奪われし味蕾奪われし味蕾 2010/01/15 01:01 >ふぃっしゅさん、
詳しいようなのでお聞きします。多分第32条の2のことを仰っているのでしょうけど、そもそもこの事例はあてはまるのでしょうか?
条文では「食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは」とあるから、私は、「(健康食品を含む)食品を売るときに偽りの健康増進効果を標榜してはならない」という意味にとったのですが。
この事例では、「食事のレシピを販売」しています。具体的な食材を併売しているかどうか、件のHPだけではわかりません。
(無農薬野菜を使えとか言っているし、購入者向けセミナーをやっているみたいなので、そのセミナーなんかで特定の自然食品専門店に誘導するのかもしれないけど)

ふぃっしゅふぃっしゅ 2010/01/15 17:20 奪われし味蕾さん、こんにちは。
私は全然詳しくないのですが、たまたま最近読んだ本の中でこのように「ある特定の食品や民間療法行為の経験談や理論を書き連ね、いかにも効果がありそうなことをイメージさせ、さらにその本の巻末などに関連の販売会社や民間療法の連絡先などが書いてある」バイブル本について上記の法律にひっかかるとありました。
 「がんに効く」民間療法のホント・ウソ   補完代替医療を検証する
  住吉 義光+大野 智 著    中央法規
でもきっと、こういう法律のことなんて研究しつくしているのでしょうね。抜け道を探して小銭(あるいは大金)を稼いでいることが、腹立たしいです。

奪われし味蕾奪われし味蕾 2010/01/17 14:09 >ふぃっしゅさん
例示いただいたバイブル本に関しては、明示的にクロとの判断が出ています。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/image/biblegaido.pdf
ただ、広告対象の特定食品がはっきりしていないと、行政はクロと判断できません。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/hoei/image/gaidoryuui.pdf
の第2、2、(2)です。
件のHPでは広告対象となる特定食品を明示していません。ですので薬事法や増進法での摘発は無理筋でしょう。

>こういう法律のことなんて研究しつくしているのでしょうね。
行政の積極的な情報発信により、近年は研究しやすい環境も整っているわけですが、
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/7f.pdf
>【執るべき是正措置の内容】→「食品○○を販売するページ」へのリンクを削除
ここまでゆくと、なんというか利敵行為にも思えますねぇ。

なまけものなまけもの 2010/10/02 22:43 はい、私は他の病気ですが似た様な商法にちゃんとひっかかりました。そこでは良くなったという体験談を顔と実名を公表するという前提で、5,000円のキャシュバックがありました。嘘でもねつ造でもお金が戻るならという方もいらっしゃると思います。

なまけものなまけもの 2010/10/02 23:10 私は「なまけもの」というHNで過去に数回コメントしたしたことがあり、最近では
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20100928#c1285946148
の書き込みをいたしたものですが、上記の方とは別人です。
少なくともこの3年くらいの間おなじHNを使ってここにコメントした方はいらっしゃらなかったと思います。
「なまけもの」というHNを独占使用する権利が私にあるわけではないし、ほとんどの方にはどうでもいいことでしょうが、とりあえずご報告いたします。

なまけものNo.2なまけものNo.2 2010/10/03 09:51 なまけもの様、私は昨日こちらにたどり着きました。他の書き込みをまだチェックしておりせんので、なまけもの様がいらっしゃるとは全く考えもしませんでした。申し訳ございませんでした。上の書き込みを削除したり名前を変えたり出来たら良いのですが、それも出来ないのでしょうか?別の名前にすれば良かったです。本当に済みませんでした。
NATROM様、以上の経緯により私の書き込みは削除して下さい。お手数をおかけして申し訳ございませんでした。

りおりお 2011/05/07 06:32 いきなりの書き込みですみません。
あの長ったらしい説明文に騙されて、危うく購入してしまう所でした。
こんな悪徳商法もあるんですね(怒)
人の弱みにつけ込むなんて最低なやり口です!!
本当に助かりました。
ありがとうございます。

ぱぴぱぴ 2011/08/19 20:21 私の親戚に末期肺がんの者がいます。「末期癌」で検索し記事に入ると、ほとんど「メディカルイーティング」のリンクが張ってある記事でした。
患者本人、家族にとって藁をもすがりたい気持ちでは、購入しようと思わせる内容になっています。
でも私はこれはおかしい。と思って経験者の記事はないか検索していたのですが、すべて「リンクを張った記事」しか出てきませんでした。
本日やっとこの記事にたどり着きました。
苦しんでいる人の弱みに付け込んで金儲けをする。何か取り締まる事は出来ないのでしょうか?

通りすがり通りすがり 2011/09/14 02:08 食事に気をつければ、病気の進行を抑える事ができる、というのは私には普通にあり得る話のように思えます。

私の祖母は糖尿病でしたが、病院の指定とは違った食事をする事で糖尿病と認定されてから20年合併症は起こっていないし、血糖値の平均はずっと正常値の範囲内です。病院が指定する食事とは違うのですが、http://equalhuman.com/top/tounyoubyou1/index.html のページに書いてある食事法と一致しているのです。これも癌ほどではありませんが、胡散臭いページですね。

学問の常識が覆るのは歴史上よくある事です。量子力学とかもそうでしたよね。当時の著名な学者はこぞって批判したけれど今となっては・・・。ただ、既存の常識が新説に置き換わるのは大体新説を唱えた人が死んだ後のような気がします。

結局言いたいのは、今の医学の常識ではおかしい治療法でも、有効な治療法はあると思います。

ここまで言っときながら何ですが、この癌のページが信じられるか?といったら私は信じられません。胡散臭すぎます。

ただ、食事療法で病気の進行を抑える方法はあると思っています。西洋医学的な考えではありませんが。

さらにちなみになのですが、この商材を既に買って実践した上で効果が無いと申請して返金してもらえない場合は、infotop にその旨を伝えれば良いと思います。

仲介役なので、対応してもらえるのではないでしょうか。

NATROMNATROM 2011/09/14 08:45 病気の種類によっては、「食事に気をつければ、病気の進行を抑える事ができる」というのは事実です。「西洋医学的な考えではない」ということはありません。しかし、「人工肛門が外せるほど回復」することはありません。井上俊彦のメディカル・イーティングは100%インチキです。

学問の常識が覆るのは歴史上よくある事です。今の医学の常識ではおかしいとされている治療法でも、有効な治療法はあるでしょう。しかしながら、これまでの歴史上で、学会もしくは科学雑誌以外の場所でしか公表されていない学説が定説になったことはありません。食事療法なりの新しい治療法が有効であるというのなら、しかるべきところで発表し、第三者の検証を受けるべきです。それをしないのは、本当は治療法が有効でないか、別に新しいものではないかでしょう。

リンク先の「荒木式糖尿病克服プログラム」は胡散臭いです。どうも糖質制限食のような雰囲気がしますが、情報を出していないので明確な判断できません。糖質制限食については限定的ながらもエビデンスは存在します。十分なインフォームドコンセントのもとで糖質制限食を行うのはインチキではありません。しかし、「荒木式糖尿病克服プログラム」はインチキです。悪質な業者です。

今後、もしかしたら、糖質制限食が標準医療になるかもしれません。しかし、学会発表などで地道に情報を公開し、第三者に検証されたらの話で、情報商材のような形で商売をする業者は何の貢献もしていません。まじめな医学者にとって、業者は迷惑この上ないでしょう。あるいは、糖質制限食にリスクがあることが今後判明するかもしれません(新しい治療法ではこういうことが良くあります)。そうだとして、業者は何の責任もとってくれないでしょう。効くという証拠を出せないし、何かあったときの責任は取りたくない、しかしお金儲けをしたいという卑怯で卑劣なやり方です。

通りすがり通りすがり 2011/09/14 19:37 NATROMさん、真剣に答えて下さり、有難うございます。
--------
もし正しい治療法だとしても、
受ける治療法についての危険性を伝えていないのが問題な訳ですね。

また、正しい治療だと信じるならば、こういう所で販売せずに、
学会に報告しろというのも、まさしくその通りですね。

まぁ、現時点で本当に効果がある治療法ならば、
予見できるリスクを説明した上で販売するのは治療の選択肢も広がるし、
個人的には良いとは思ってしまいますが。

(基本的に人は何らかのメリットが無いと動けないと思っているので、
良い治療法ならば対価を貰ってもいいのではないか?と考えるだけです。
そのメリットというのが、
なるべく多くの人を幸せにする事で得られる幸福感だったら立派で有り難いのですが、
金銭や名誉だという人は割と多い気がします。)

勿論、その治療法の「第三者による客観的な証明」のために
学会や論文にその研究成果を報告する必要はある思いますが。

そうはいっても、医療系の情報商材への何らかの規制は確かに必要ですね。
効果が無い事が分かっていても、どんどん販売できそうですしね。

こういう法整備というのは進んでいないのですかね?

--------
>十分なインフォームドコンセントのもとで糖質制限食を行うのはインチキではありません。

そのインフォームドコンセントに関して質問があります。この記事とは関係無くてなってしまうのですが。

医者は十分に治療法や使用する薬のリスクについて説明をしてくれるので、
患者は納得してその治療を受けるかどうか決められるはず・・なのですが
現実そうなっていないような気がするのです。

私の知り合い(クローン病の患者です。)に、
医者が推す新しい薬を飲む事を拒否した事で、
医者の機嫌が悪くなって、
その後はその医者が出す薬を断りにくくなったと言っている人がいます。

こういう場合、患者には選択の余地が精神的に無い気がします。
下手に気分を損ねて変な治療をやられても困る、という考えがあるからです。

結局、その人はその薬は飲まないようにしているらしいです。飲まない薬にお金を払う訳ですね。

まぁ、何が言いたいかというと、
インフォームドコンセントは
(特に新薬の時は、)「リスクについて十分説明しましたよ」って言うための
ただ単なる責任逃れとして使っている感じがしてならないという事です。

また、このような話を聞くと、
医者は新薬のデータを取りたいから、
患者側にそれを薦めてくるのではないか?

そんな印象をもってしまうのです。
(勿論医者の中にそういう人がいると思うというだけで、全員がそうだとは微塵たりとも思っていませんが。)

その医者に掛かるのを止めればいいじゃないか、という気もしなくはないのですが、
その医者がクローン病の権威という事と住んでいる近くにはクローン病の専門医がいないという事で、
そこに通うしかないと考えているようです。

他のクローン病に対して知識がない医者に比べればまだマシか、と考えているらしいですがこういう事に対してNATROMさんは何か意見をお持ちですか?

--------
>その「情報」とやらが、十分に検証され、確かに効果があると証明されているものであれば、高い金を出して買わなくてもアクセス可能である。
>論文や公的なガイドラインとして発表されている。

工学系の論文の場合、個人が閲覧するのにはお金がかかります。
医学論文は違うのですが?

後、論文は素人はまずアクセスしないし、学会にも見に行こうとは思わない気がします。
海外や国内の最新治療事例や最新の論文について分かりやすく情報を発信しているサイトが病気ごとにあればいいのですが、
やる人がいなさそうですね。

NATROMNATROM 2011/09/15 08:56 >もし正しい治療法だとしても、
>受ける治療法についての危険性を伝えていないのが問題な訳ですね。

その通りです。付け加えて、その治療法が本当に正しいのかどうか、検証されていないのが問題です。そりゃあ、売る方は、「正しい治療法だ」と宣伝して売りますが、正しいかどうかは保証されていません。「売る方は正しいと主張しているが、保証はない」なんて治療法なら、別に高い金を出さなくても入手可能です。


>私の知り合い(クローン病の患者です。)に、
>医者が推す新しい薬を飲む事を拒否した事で、
>医者の機嫌が悪くなって、
>その後はその医者が出す薬を断りにくくなったと言っている人がいます。

しばしば聞く話です。きわめて大きな問題だと私も考えていますが、インフォームドコンセントの問題ではなく、患者医師間のコミュニケーションの問題です。こうした問題は、インフォームドコンセントの必要性が言われ始める前からありました。インフォームドコンセント以前は、パターナリズム(父権主義)的な医療がなされていました。つまり、「医師が患者にとってよろしいと思う治療を行えばよい。患者に説明したって、どうせ正しい判断はできない」という感じです。

患者が服薬を拒否して機嫌が悪くなる医師は、どちらかと言えば、パターナリズム的でしょう。「患者のためを思って良い薬を勧めてあげたのに、拒否するとはけしからん」というわけ。インフォームドコンセントを冷徹に実践し、パターナリズム的なところがまったくない医師は、患者が服薬を拒否しても機嫌が悪くなったりはしません。つまり、「服薬の必要性を十分に説明した上で患者は服薬を拒否した。そのせいで病態が悪くなったとしてもそれは患者の自己責任である」というわけです。これもちょっとどうかと思います。

実際にはパターナリズム的な医療もときには必要ですし、医師は多かれ少なかれパターナリズム的なところがあります。勧めた薬を患者が拒否して、まったく機嫌が悪くならない医師はほとんどいないと思います。問題は、機嫌が悪くなったところを患者さんに察知されるか否かです。普通は、機嫌が悪くなったところを察知されないようにします。機嫌が悪いことを容易に知られてしまうのはヤブです。例外的に、「機嫌が悪くなってみせる」という高等テクニックもありますが、そうだとしても、通りすがりさんの知り合いの場合は、「処方された薬を服用しない」という、かなりまずい状態に陥っていますので、患者医師間のコミュニケーションの失敗と言えるでしょう(医師の失敗でもありますが、患者の失敗でもあります)。


>工学系の論文の場合、個人が閲覧するのにはお金がかかります。
>医学論文は違うのですが?

最近は無料で読める論文もわりとありますし、主なガイドラインの概略はネットで読めます。たとえば、「クローン病 ガイドライン」で検索してみてください。図書館で読む方法もあります。アクセスが良いとは言い難いですが、情報商材に何万円も払うよりはいいと思います。

通りすがり通りすがり 2011/09/16 00:41 NATROMさん、返答有難うございます。

確かに、その医者が薬を勧める場合は、良い薬だと信じて勧める場合がほとんどのはずですよね。
ついつい悪い方に考えてしまっているのかもしれません。

その知り合いも

・医者がクローン病か潰瘍性大腸炎かしっかりとした判断を下していない。(判断が難しいらしいですが)
・女性の患者を馬鹿にしているように感じる。(被害妄想のような気もしますが)
・別に体調がそれほど悪くないし、データ状病状も悪化していないはずなのに(患者に言わないだけかもしれません)、薬を強くしている。
・結局、薬を飲んでいないのに、その医者が「病気は良くなっていますね」と言う

といった点で不信感を抱いているから余計そう思ったのかもしれませんね。

私も上記のような事があると、この医者大丈夫かな、と思ってしまいます。
特に3番目と4番目は非常に不信感を抱く材料となってしまいます。
医者としては良くある事なのかもしれませんが・・・。

難病で分かっていない所が多いと思いますので、仕方ないとは思いますが。

>最近は無料で読める論文もわりとありますし、主なガイドラインの概略はネットで読めます。たとえば、「クローン病 ガイドライン」で検索してみてください。図書館で読む方法もあります。

なるほど。
では、情報収集の第一歩は「病名 ガイドライン」な訳ですね。
英語ができれば、海外のものも読めますね。

NATROMNATROM 2011/09/16 08:37 だいぶこじれているようなので、知り合いの方は医師を換えてみることも検討するべきでしょうが、「その医者がクローン病の権威という事と住んでいる近くにはクローン病の専門医がいない」ということなので難しいですね。一応、日本の医療はフリーアクセスということになっていますが、地域や病気によっては選択の余地が少なくなってしまいます。

服薬しないことは仕方がないとして、服薬していないことを医師に伝えていないのは、かなりまずいです。「症状は悪化していないのになぜ服薬が必要なのか」と患者さんが説明を求めることができればいいですね。機嫌が悪くなるからなかなか質問できないということなのでしょうが。

通りすがり通りすがり 2011/09/17 01:39 >「症状は悪化していないのになぜ服薬が必要なのか」と患者さんが説明を求めることができればいいですね。

そうですね。もしできるなら、そのように質問するよう言ってみます。
途中から違う話になりましたが、丁寧にご返答頂き有難う御座いました。

HNHN 2012/01/04 12:40 初めまして。 こちらのページ、全て読ませて頂きました。
私の母(75)は現在、成人T細胞白血病(ATL)と正式に宣告を受けてから二ヶ月が過ぎました。 抗がん剤やモルヒネの影響なのか嘔吐を繰り返し、病院食もほとんど喉を通らず、容態としてはかなり悪い様です。
そもそも抗がん剤による数値の改善がほとんど見られず、逆に悪い方向に向かっているとの医師の言葉でした。
二ヶ月前の話では、あくまでも平均的な余命として半年〜1年との事でしたが、先日はとうとう「とてもじゃないけど・・・」との言葉が出てきました(平成23年12月29日現在)
本人にはもちろん伝えていませんが、せめて息子として家族として、何か試せる様な事は無いのか!?との思いからネットで検索をしていたところ、こちらで挙げておられる例の情報商材のページへとたどり着きました。
もちろん、??な部分は感じたものの 状況が状況である為、そしてああしておけばよかったこうしておけばよかった・・・なんて後悔をしたくない思いから、手を出してしまう寸前でした。(こちらのブログを拝見して良かったです)
変な話、正月から父と兄弟で「母の送り方」についての話になりました。
私ららしく、母の最期を見とどけたい 送ってやりたいと思います。
しかし実際のところ、自分の中で覚悟と僅かな期待とが入り混じっております。
同じ状況にある家族の方々は、おそらく皆同じなのでしょうね・・・。
何にしても、一番きついのは他ならぬ母だと思います。 病院におれる時間も限られますが、残された母との時間を大切にしたいと思います。

N$¥ナナシーN$¥ナナシー 2012/01/04 18:41 私も母をがんで亡くしましたから気持ちはわかるつもりでいます。
もし代替医療に金を費やす余裕があるならそれを試みても良いとは思いますが、無為に終わることはまず間違いありません。

親御さんがどのように寿命を遂げるのか、家族がどのように見とるのか。その間にどのような手助けをするのか。
あまりにも選択肢が多くて(人それぞれに違う)ので、自分で一生悩み続ける結論を出すしかないと思います。
私も悩み続けています。

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2010-01-04 「進化の存在証明」

[][]「進化の存在証明」 「進化の存在証明」を含むブックマーク

ドーキンスの新刊の進化の存在証明coverを読み終えた。垂水雄二訳。巻頭に30ページ以上のカラー口絵がついている。本屋で見かけたら、口絵の部分だけでもざっと見るべき。私のお勧めは、シファカ(マダガスカルのサル)のダンス。

f:id:NATROM:20100104160900j:image

シファカのダンス


さて、本の内容はタイトル「進化の存在証明」そのまんま。さまざまな証拠を提示しつつ生物進化が事実であることを示している。科学について少しでももののわかった人ならば生物進化を疑ったりはしないが、それにも関わらずドーキンスがこの本を書いたのは、もちろん、主に宗教的な理由で進化を信じない人たちが少なからず存在するからである。残念なことに、一番この本を読まなければならない人たちのほとんどは、これほどのボリュームのある本は読まないだろう。かような本を読むだけの能力があれば、それほど簡単に進化論否定にはまったりしない。


f:id:NATROM:20100104211717j:image

お手軽に読めるという厚さではない


想定読者は反進化論者ではなく、別に進化を否定はしていないがもうちょっと詳しく知りたいと思っているような人たちなのだろう。他の科学の分野と同じく、進化生物学は驚きに満ちており、知的好奇心を刺激してくれる。化石証拠の「ミッシンクリンク」については第6章および、特に人類化石は第7章で述べられる。第9章と第10章では、たとえ化石がまったく残っていなかったとしても、現生種の地理的分布や比較によって、進化が起こった証拠として十分であることが示される。第11章「私たちのいたるところに記された歴史」では、生物の体の「設計」が系統発生に伴う制約を受けていることを扱う。

総論としては、目新しい主張はない。中間種についての説明はもはやFAQと言えるし、現生種の地理的分布や比較は、ダーウィンからして「種の起源」で述べている。系統発生に伴う歴史的な制約については、スティーブン・J・グールドの「パンダの親指」というエッセイが有名だ。だいたいが、生物進化は100年以上も前に科学者の間では受け入れられていたわけで、いまさら新しい証拠は必要ない。だけれども、より詳しく知りたいという科学者の欲求によって、進化生物学に関する知見は現在も更新され続けてきている。「進化の存在証明」では、最新の知見も取り入れている。

P266にて、鰭脚類(アザラシ、アシカ、セイウチ類)の進化の空白を埋める「新しい化石が見つかった」ニュースについて述べられているが、これはNature誌の2009年の4月23日号*1のことである。P275の追記では、「2009年5月19日、この本の校正をしているときに、キツネザルに近い霊長類と真猿類に近い霊長類のあいだの「ミッシング・リンク」がオンライン科学雑誌PLOS Oneに報告された」とある。アマゾンを見てみたら、原著は2009年9月22日発売だった。訳書の発行日は2009年11月25日。垂水雄二が2ヶ月でやってくれました。他のドーキンスの本も早く訳して欲しい*2



関連記事

■ドーキンスの「祖先の物語」

■利己的な遺伝子 by ドーキンス

*1:Rybczynski et al., A semi-aquatic Arctic mammalian carnivore from the Miocene epoch and origin of Pinnipedia, Nature 458, 1021-1024 (2009)

*2:原著を読めって?ごもっとも。でも、私が原著を買って読み始めたときに限って、すぐに訳本が出版されるのだ

桜子桜子 2010/01/05 00:24 あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

ダンスの真ん中の写真ですが、キューバンルンバを思い出しました。(o ̄∇ ̄)o

exelexel 2010/01/05 10:16 不可能の山に登るはこのまま邦訳が出版されないままなのでしょうか

NATROMNATROM 2010/01/05 11:33 思い切って原著を買おうかなあ。そしたら、きっとすぐに邦訳が出版される。

電気屋電気屋 2010/01/05 15:29  それはジンクス?むしろ呪いかも。

桜子桜子 2010/01/05 19:48 NATROMさま

桜子は英語が出来ませんが、NATROMさまはお出来になるのですから、原著のほうが読みやすいのではないでしょうか。

お薦めに従いまして、絵だけ見ました。(o ̄∇ ̄)o
http://sakurako.iza.ne.jp/blog/entry/1400079/

ophitesophites 2010/01/05 20:14 ドーキンスは好きなんですが、やり方がけんか腰過ぎてあまり効率的でない気がします。
彼には是非ディール・カーネギーの「人を動かす」あたりを読んで欲しいですね。

wadjawadja 2010/01/05 23:48 ↑原題は「The Greatest Show on Earth」なんや、知らんかった。進化の存在証明(進化の証拠)は副題なのね。知らんかった。

bamboobamboo 2010/01/06 18:28 ショウなのか。それでダンスから始まるんですね。

moorhenmoorhen 2010/01/06 23:15 桜子さん。初めまして。
日本の将来を危惧されるのは結構ですが、それと進化生態学でいう"arms race"とがどう関係してるのかについて、
どうしようもなく誤解されてる可能性は大きいんではないかという気がするんですが。

ドーキンスをはじめ進化の啓蒙書を何冊か、きちんと読まれたほうが良いですよ。きちんと。

桜子桜子 2010/01/10 02:07 moorhen さま

こんばんは、桜子です。
折り紙を折りたくなって、薔薇に変身する立方体を折って、その写真をプログに載せることで、予想外に時間がかかってしまって、お返事が遅れてしまいました。

■2010/01/06 23:15
> ドーキンスをはじめ進化の啓蒙書を何冊か、きちんと読まれたほうが良いですよ。きちんと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
桜子は調べることは好きですが、本を読むのは大嫌いで、今までほとんど本を読んでおりません。
進化論についても読みたいとは思いません。
古事記上巻の神さまがお生まれになるところですが、まず単細胞ができて、雄雌の生殖器官が出来て、だんだんにいろいろな物が生まれます。生まれかたにも何種類かあります。
進化論につきましては、「突然変異」と「自然淘汰」しか知りませんが、この古事記の「神生み」と似ています。
また母乳の仕組みを知るにつれ、進化の過程が感じられます。

でも、おっしゃるとおり、「どうしようもなく誤解」しているかもしれませんね。(o ̄∇ ̄)o
この言葉をずっと考えましたが、よくわからないのです。

moorhenmoorhen 2010/01/10 11:47 桜子さん、お返事ありがとうございました。

> 本を読むのは大嫌い

そうですか。それは仕方ありませんね。大嫌いなことをお勧めして申しわけないことをしました。
結論を端的にいうと、国際関係を生物の生存競争と結びつけるのは間違いです。
よろしければ「社会ダーウィニズム」について調べてください。その思想に共感するか否かは個人の自由ですが、最小限、ダーウィン進化論とはまったくの別物であることは理解していただければと。

桜子桜子 2010/01/10 14:14 moorhen さま

こんにちは、桜子です。
わかりやすいご説明をありがとうございます。

■2010/01/10 11:47
> 結論を端的にいうと、国際関係を生物の生存競争と結びつけるのは間違いです。
> よろしければ「社会ダーウィニズム」について調べてください。その思想に共感するか否かは個人の自由ですが、最小限、ダーウィン進化論とはまったくの別物であることは理解していただければと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ウィキの「社会ダーウィニズム」を飛ばし読み致しました。
こういう言葉や考え方があることを知りませんでした。
おっしゃるとおり、「まったくの別物」ということは理解しております。

昨年、以下のような地図をネット見まして
http://tsukurukai.webdeki-bbs.com/data/tsukurukai/img/221_55c4381093.jpg.jpg
実際にも中国の留学生がもうじき日本は中国のひとつの省になるのだという話をひとづてに聞いたりしました。
そして、日本にいる中国人のほうが在日朝鮮人よりも多く100万人だそうで、この1月に外国人に参政権を与えるという法案が出るとか・・・
桜子の住んでありますところは外国人が多く、すれ違って日本人かと思えば日本語ではない言葉でしゃべっています。

そういう心境の時にドーキンスの"arms race"の図を見ました。
それであのように喩えました。
国家に遺伝子はありません。
単なる喩えですが、適当ではなかったですね。(o ̄∇ ̄)o

「社会ダーウィニズム」というのは、誰でもが思いつく程度の話で、地球の長い歴史を考えますと意味がない話だと思いますが、誰かに説明するときは便利かも知れませんね。

電気屋電気屋 2010/01/10 14:43 >桜子の住んでありますところは外国人が多く、すれ違って日本人かと思えば日本語ではない言葉でしゃべっています。

 うあー、腹筋直撃ktkr
 自然体おそるべし。

 「社会ダーウィニズム」が誰でも思いつけるものだってのにしちゃーミームは思いつけんのかのー。んー、実に興味深い…てほどでもなくて、コロンブスの卵の実例の一つってだけだけどサ。ワカった気に「だけ」はなれるんだねー。もっともコレはおちいり易いナではあるから、もって他山の石としますか。

ウォトカで動くロボウォトカで動くロボ 2010/01/11 17:30 科学や医療について考えていると、外国人参政権も桜子さんが参政権を持っている事に比べれば些細なことに思えてしまいます。

医療や科学教育と言う物は政治の側面を強く持っている物ですので
桜子さんのような有権者が多くなれば、
「科学的に間違っていても民意に沿った医療(や科学教育)」が
採用されてしまうわけです。ヨーロッパでのホメオパシー保険適用や
アメリカでの創造論教育など、前例にも事欠きませんね。

pikapika 2010/01/12 19:37 図書館で所蔵していたので予約しました(現在、貸し出し中)。
動物の生態や進化の過程を知るのは好きなので、読むのが楽しみです。
スティーブン・J・グールドの「パンダの親指」とドーキンスの「虹の解体」も読んでみたいです。

小学生の頃、オリの手前の柵から身を乗り出して手を出したら、怒ったボスザルに手を摑まれ、2人ともにらめっこしてしばらく身動きが取れなくなったことがありました。クラスの男の子達が、ボスザルの顔目掛けてポップコーンをぶつけてくれて、ボスザルがひるんだ隙に手が離れました。ニホンザルでしたが、サルの手は小さくてザラザラしていて、握力がとても強かったです。(笑)

素人A素人A 2010/01/15 11:18 シロアリの社会性のエントリでドーキンスをお勧めいただいた素人Aです。
このような本を薦めていただけたことに感謝してもしきれません。
生物学は高校でも選択しなかったのですが、また本を読む時間が
できたら高校生向け教科書あたりを読んでみたいと思います。
本当にありがとうございます。

pikapika 2010/02/07 18:02  じっくりと読みたかったのですが、貸し出しの予約者が順番を待っているので返却しなくてはならず、さらっと読みました。ドーキンスの著作物は初めてでしたが、意外と読みやすく楽しめました。詩的なところもいいですね。(笑)
 1番気に入った箇所は、ここです。ね、ね、可笑しいでしょ!?(笑)
「P426・427」から引用。

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 しかし、この話の要点は、まったくちがう種類の、甲殻類とはまるでちがった、ヤスデの「pill bug」(タマヤスデ類)がいるということである。こうした虫が丸まったのを見ると、ほとんど同じ動物だとしか見えない。しかし、一方は改変されたダンゴムシであり、他方は改変された(同じ方向に改変された)ヤスデなのである。もし、丸まったものを伸ばして注意深く見てみれば、ただちに重要な相違点がわかるだろう。
・・・・・・(中略)・・・・・
ダンゴムシとの類似点は表面的なものである−−−−収斂現象なのだ。
 専門家でもないかぎり、ほとんどすべての動物学者は、上に示した頭骨をイヌのものだと言うだろう。しかし専門家なら、口蓋天井にある二つの顕著な穴に気づき、それがイヌでないと見抜くはずだ。
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月猫月猫 2010/02/07 22:10 やっと決心がついて購入。ただ「神は妄想である」を読み終わったばかりなので(遅い・・・)、
当分積むことになるかもしれません。同時に「代替医療のトリック」とapjさんのところで
紹介されていた「その科学が成功を決める」もamazonで購入してしまい・・・。
読みたい本が多すぎ。

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