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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2010-11-09 インフルエンザ診断ゲームで学ぶ検査閾値と治療閾値

[]インフルエンザ診断ゲームで学ぶ検査閾値と治療閾値 インフルエンザ診断ゲームで学ぶ検査閾値と治療閾値を含むブックマーク

簡易検査はするべきではない?

北秋田市の病院でインフルエンザの集団感染があった。簡易検査では陰性だったが死亡した患者もいたと報道された*1。インフルエンザ迅速診断キットの感度は高くない、つまり、インフルエンザに感染していても検査結果で陰性と出やすいことはよく知られている。あらゆる検査と同様に、インフルエンザの簡易検査は感度・特異度を理解の上に使うべきである*2。当たり前の話。しかし、まれに、インフルエンザの患者に対して、簡易検査をするべきではない簡易検査をする意味は何もないと誤解している人もいる。


■Open ブログ: ◆ 簡易検査による死者増加*3

 要するに、簡易検査をする意味は、何もない。

  ・ 検査で陽性ならば → 抗インフルエンザ薬の投与

  ・ 検査で陰性ならば → 抗インフルエンザ薬の投与

                 (様子見、は間違い。)

 つまり、どっちみち、「抗インフルエンザ薬の投与」である。投与するか否かは、患者の症状によってのみ決まり、簡易検査の結果には左右されない。

 したがって、簡易検査をしてもしなくても、結果は同じなのだ。簡易検査をすることには、まったく意味がないのだ。


検査前確率はグラデーションである

どのようなときにインフルエンザの簡易検査を行うべきかを考察することは、医療者ではない皆さんに医療の不確実性を理解してもらうのに良い題材だろう。ほとんどの場合、臨床の現場における診断は確率でしか言えない。例えばの話、インフルエンザの人と接触した後に、高熱、頭痛、関節痛などのインフルエンザに矛盾しない症状を呈し、簡易キットでインフルエンザ陽性だった患者さんがいたとしよう。まず間違いなくインフルエンザと診断されるだろうが、その診断が正しい確率は100%ではない。インフルエンザ以外に発熱や関節痛を来たす疾患もあるし、簡易キットは偽陽性もある。100%にきわめて近いが、100%だとは断言できない。逆に、臨床症状や簡易キットからインフルエンザではないと思われても、インフルエンザの確率は0%にはならない。

実際に外来にやってくる患者さんの病歴や臨床症状はさまざまである。高熱はあるものの関節痛などの全身症状に乏しい人。発熱は軽度で全身症状は関節痛ぐらいだがインフルエンザ患者と接触歴のある人。高熱と咽頭痛と関節痛を呈しているがワクチン接種歴がありしばしば扁桃腺炎を起こした病歴がある人(発熱はインフルエンザによるもの?それとも扁桃腺炎?)。それぞれの患者さんの「インフルエンザっぽさ」は確率でしか言えない。ある患者さんがインフルエンザである確率は経験的に20%ぐらいと推定できるが、別の患者さんは70%ぐらいであると推定できる、といった具合である



インフルエンザ診断ゲーム

さて、ここでゲームをしよう。あなた(プレイヤー)は、インフルエンザが疑われる患者さんを診る医師である。あなたは、病歴、臨床症状、診察から、その患者さんがインフルエンザである確率を推定することができる。あなたは、患者さんに、タミフル*4を処方するか否かを決定しなければならない。インフルエンザではない患者さんにタミフルを処方すると、薬剤にかかるコストや不必要な投薬による副作用のリスクを負わせたことによって、ペナルティ(-10点の利得)を払う。インフルエンザではないと正しく診断すれば得点(+10点の利得)を得る。また、インフルエンザの患者さんにタミフルを処方すれば、有症状日の短縮や入院・死亡のリスクの減少により、得点(+10点の利得)を得る。インフルエンザを見落としてタミフルを処方しなければ、ペナルティ(-10点の利得)だ。


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インフルエンザ診断ゲーム(チュートリアル)


上記の利得表は、説明を簡単にするために恣意的に点数を設定してある*5。だが、問題の本質を理解するには十分だ。後に、利得が異なる場合にどうなるか、検討することになるだろう。さて、インフルエンザである確率がどれぐらいなら、タミフルを処方すべきであるか?おそらく、比較的容易に答えは出せるだろう(そのように利得を設定した)。インフルエンザである確率が50%以上なら、タミフルを処方すべきである。グラフにするとわかりやすい。病歴、臨床症状、診察から判断された確率を検査前確率としよう。検査前確率が低ければ、処方しないほうが利得が高いが、確率が高くなるにつれ処方した場合の利得が高くなり、検査前確率が50%を超えると、処方した場合と処方しなかった場合の利得が逆転する*6

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検査前確率が50%以上なら、タミフルを処方したほうが得。


検査を行うかどうかの選択肢をゲームのルールに追加

さて、ここで、ゲームに新しいルールを追加する。プレイヤーは、タミフルを処方する、処方しないという選択肢の他に、コスト2点を支払って、検査をするか否かをも選択することができる。まずは、この検査は間違わないという仮定を置こう。感度100%、特異度100%の検査だ。直感的には、だいたいは検査をした方が得だが、検査前確率があまりにも高かったり、あるいは低過ぎだったりする場合は、検査しない方が得であるとご理解いただけるものと思う。


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インフルエンザ診断ゲーム(チュートリアルその2)


グラフにしよう。処方利得と、非処方利得は前回と変わらない。キット陽性処方利得とは、検査で陽性であればタミフルを処方し、陰性であればタミフルを処方しなかった場合の利得の期待値である*7


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検査前確率が100%なら、コストを支払って検査するまでもなく、タミフルを処方したほうが得。


検査が不完全だった場合には?

さて、実際の迅速診断キットは間違う。どのくらい間違うのかについては報告に幅があるが、だいたいは感度は低いが、特異度は高いとされている。仮に感度が60%、特異度が90%であるとしよう。つまり、インフルエンザの人に対して検査した場合、陽性結果が出る確率は60%。インフルエンザではない人に対して陰性結果が出る確率は90%である。プレイヤーは、検査をするべきか?あるいは、「検査をすることには意味がない?」


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インフルエンザ診断ゲーム(不完全検査条件)


これも、センスがある人ならば、直感的にわかる。上記した仮定においては、検査前確率が約30%〜約60%の間であれば、検査は有用である*8


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検査前確率が約30%〜約60%の間であれば検査をしたほうが得。


上記仮定した条件下では、検査前確率が約30%以下ならば、検査せずにタミフルを処方しないほうがよい。この境界を検査閾値という。また、検査前確率が約60%以上であれば、検査せずにタミフルを処方したほうがいい。この境界を治療閾値という*9。当たり前の話であるが、利得や検査のコスト次第では、感度の低い検査でも有用である。臨床の現場ではさまざまな検査前確率を持った患者さんがいるということを知っていれば、「検査で陰性でも結局タミフルを投与することになるのだから、簡易検査をすることには、まったく意味がない」という誤謬に陥らなくて済む。


米国での公的見解は「簡易検査は不必要だ」なのでは?

「ほとんどのケースでインフルエンザ検査は不要である」*10とアラバマ保健局が述べたという報道がある。しかし、これは簡易キットの低い感度に由来するものではなく、健康な人に対する新型インフルエンザへの対応の違いによる。日本では、基礎疾患のない人に対しても、早期のタミフル投与が推奨されていた。この対応については賛否両論であるが、日本における新型インフルエンザによる死亡率が非常に低かったことから、今のところは一定の合理性はあったものと思われる。

一方、米国では基礎疾患のない人が新型インフルエンザに罹患してもタミフルの投与は推奨されていなかった。「寝てれば治るだろう。重症化のリスクは無視しうる」というわけだ。いわば、インフルエンザに対するタミフル投与の利得は、非投与の利得と変わらないような利得設定になっている。この場合、治療閾値も検査閾値もなくなる。検査せずにタミフルを投与しない選択が、プレイヤーの利得を常に最大化する。たとえ感度100%、特異度100%の完全な検査が使用可能であっても検査しないほうがいいことになる。


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検査するだけ無駄。


簡易検査キットは人を殺す効果しかない?

「簡易キットの結果が陰性で、抗ウイルス薬を使用せず、結果的にインフルエンザが重症化して患者が死んだ」というケースがあるからといって「簡易検査キットは人を殺す効果しかない*11」というのは誤りである。検査前確率が治療閾値を超えていることが当時の医療水準に照らして明らかであったにも関わらず、つまり、検査せずに抗ウイルス治療をしたほうがよかったことが明らかであったにも関わらず、結果陰性を理由に抗ウイルス治療を行わなず、患者さんが死亡した場合は、医療ミスと言える。しかしこの場合、簡易検査キットが人を殺したのではなく、感度・特異度を理解の上に使っていなかったのが問題だったのである。

こちらの方がありそうな話だと私には思えるが、「検査前確率が治療閾値以下であると判断され、抗ウイルス薬を使用せず、運悪く結果的に患者が死んだ」という可能性もある。これはミスではなく、不可抗力である。医療ミスだったのか、不可抗力だったのかを判断するためには、詳細な情報と専門的な知識が必要である。医療の不確実性を理解してないと、インフルエンザだったという結果を知っているがゆえに、「医療ミスだ。医者による殺人だ*12」という誤謬に陥りやすい。後知恵バイアスと呼ばれるものだ。

インフルエンザ診断ゲームのプレイヤーは、検査を併用してもなお、「誤診」*13が生じうることが理解できただろう。検査が不完全であれば、たとえば検査前確率20%の患者に対しては、検査せずにタミフルを処方しない選択が利得を最大化させる。これは患者さんの20%が「誤診」されることになる。「誤診」された20%の患者さんは、たいていの場合は自然治癒するが、運悪く重症化したとしよう。「誤診したな。ヤブ医者め。なぜ検査しなかった」と訴えられたとしたらどうだろう。後出しジャンケンで批判するなという医療者の言い分を少しは理解してもらえただろうか。ちなみにこうした訴訟が増えることは、(医師にとっての)インフルエンザ症例へのタミフル非処方ペナルティが増えることであり、結果として検査閾値や治療閾値が下がる。いわゆる防衛医療である*14


利得表が恣意的ではないか?一般論ではどうなるの?

利得表はもちろん恣意的に設定した。実際には、インフルエンザに対してタミフルを処方した場合の利得と、非インフルエンザに対してタミフルを処方しなかった場合の利得が必ずしも同じではない。米国の健常者に対する例で示したように、利得によっては検査に意味がない場合がある。ただ、感度が低いからといって、必ずしも検査に意味がないとは言えないことを示す目的は達成できた。

「一般論で言えば特異度の低い検査薬は、それなりに使い道があるが、感度が著しく低い検査薬は、使い道がない*15」という主張も誤りである。上記仮定した条件下では、たとえば感度が90%、特異度が60%である検査があったとして、検査閾値は約40%、治療閾値は約70%となる。検査が有用な検査前確率の範囲は、感度が60%特異度90%の検査と変わりがない。もちろん、利得や検査コスト次第である。場合によっては、感度が高く特異度の低い検査が有用なこともあるが、場合によっては、感度が低くても特異度が高い検査が有用なこともある。一般論で言えば「感度・特異度を理解の上に使う」が常に正しい。


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感度が高いからより有用というわけではない。複数の検査がある場合は、それぞれの検査の感度、特異度、コストを考慮して使い分ける。


利得は患者によって異なる

米国であってすら、「簡易検査をすることには、まったく意味がない」ということはありえない。なぜなら、インフルエンザを抗ウイルス薬を投与せず経過をみるリスクは患者さんによって異なるからだ。米国でも、糖尿病や腎不全などの基礎疾患のある人がインフルエンザに罹患すれば、タミフル投与が勧められる。インフルエンザなのに非投与であったときのペナルティが高いことに相当する。検査前確率が高ければ検査せずに投与するのが正解であるが、検査前確率がそれほど高くなかったら?利得が変われば、検査閾値も治療閾値も変わる。たとえば、インフルエンザに対して処方しなかった場合のペナルティを-50点としたら、検査閾値や治療閾値は下がる。


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インフルエンザ重症化リスクの高い人だったら?検査閾値、治療閾値ともに下がっているのに注目。


流行の把握に有用

検査前確率やら治療閾値やらを言わなくても、感度が低い検査でも有効な例を示そう。病棟で複数の患者が熱発した。インフルエンザか否か?1人の患者のみ簡易検査して陰性だとしても、インフルエンザでないとは言えない。しかし、5人続けて陰性だったとしたら?感度が60%の検査なら、インフルエンザ患者を5人続けて偽陰性と判定する確率は、0.4の5乗で1%ぐらいだ。検査で1人でも陽性ならインフルエンザのアウトブレイクとして対応し、5人が陰性ならそれ以外の原因によるものとして対応すればいい(それでも心配なら6人目、7人目を調べてもいい)。

*1■インフル集団感染、入院高齢者6人死亡…秋田 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

*2:たとえば、国立感染症研究所感染症情報センター■診断ガイダンスには「いわゆる迅速診断キットの性能は病原診断として完璧なものではないという認識を持って使用すべきものである」とある。

*3:URL:http://openblog.meblog.biz/article/1875637.html

*4:タミフルを好まない人は適宜別の抗ウイルス薬に代えてください

*5:いろいろ言いたいことはわかる。しかし、わかりやすく説明するにはこうするしかないだろう?

*6:たとえば、検査前確率が40%だった場合、タミフルを処方した場合の利得の期待値=40%×[インフルエンザ症例へのタミフル処方利得] + 60%×[ 非インフルエンザ症例へのタミフル処方ペナルティ ] =0.4×10 + 0.6×(-10)= -2点

*7:たとえば、検査前確率が40%だった場合、キット陽性例は全体の40%でその全てがインフルエンザ患者であり、キット陰性例は全体の60%でその全てがインフルエンザ患者ではない。キット陽性例にのみ処方すると、利得の期待値=40%×[インフルエンザ症例へのタミフル処方利得] + 60%×[ 非インフルエンザ症例へのタミフル非処方利得 ] - [検査コスト] =0.4×10 + 0.6×10 - 2= 8点

*8:たとえば、検査前確率が40%だったとしよう。インフルエンザ患者が全体のうち40%であるが、そのうち、キット陽性は40%×[ 感度 ]=40%×60%=24%、キット陰性は40%×[1 - 感度]=40%×40%=16%。インフルエンザでない人は全体の60%であるが、そのうち、キット陽性は60%×[1 - 特異度]=60%×10%=6%、キット陰性は60%×[ 特異度 ]=60%×90%=54%となる。キット陽性例にのみ処方すると、利得の期待値=24%×[インフルエンザ症例へのタミフル処方利得] + 16%×[ インフルエンザ症例へのタミフル非処方ペナルティ ] + 6%×[非インフルエンザ症例へのタミフル処方ペナルティ] + 54%×[ 非インフルエンザ症例へのタミフル非処方利得 ] - [検査コスト] =0.24×10 + 0.16×(-10) + 0.06×(-10) + 0.54×10 -2 = 3.6点。また検査後確率はそれぞれキット陽性の場合は0.24/(0.24+0.06)=80%、キット陰性の場合は0.16/(0.16+0.54)=22.8%である。計算間違いがあるかもしれないが、大まかな主張は正しいはずである

*9安田隆、検査結果の信用性、治療84:10 P50(2002)によれば、検査より治療を選択する疾患の確率の最低値を「治療閾値」と呼ぶ検査を行う確率の最低値は「検査閾値」と呼ばれる、とある。八森淳、検査の選び方、治療 84:10 P42 (2002)も同様の定義に則っている。一方で、治療すべきか否かの検査後確率(事後確率)の境界(このゲームの場合は50%)を治療閾値とする定義もある。どちらがより一般的かはよくわからない

*10■Health Department: Testing For H1N1 Influenza Unnecessary

*11:URL:http://openblog.meblog.biz/article/1783308.html

*12:URL:http://openblog.meblog.biz/article/1909437.html

*13:何か落ち度があったかのように誤解されるため、誤診と呼ばないほうがいいかもしれない。医療の不確実性のために生じる不可避なリスクと、医療水準に則っていれば正しく診断できたはずなのにそうしなかった行為は、まったく別物である。

*14:この話もはじめると長くなる。医師の利得と患者の利得が一致しないことがある。また、たとえば、患者が検査を希望したとしたら?訴訟可能性や患者の希望などによって、利得や検査コストは変わりうる

*15:URL:http://openblog.meblog.biz/article/1875637.html

tomtom 2010/11/09 19:20 力作お見事です!

医療も科学も0か1かじゃないってことを、もっと理解してくれるといいんですが。

wenderpunktwenderpunkt 2010/11/09 23:07 お疲れ様です・・・毎度、感服させられます。
と同時に、これだけ書かないと分からない人がいること、
これだけ書いても分からない人がいるであろうことに、
暗澹たる気分にさせられますね。
1つ疑問なのですが、実際の医療現場では、検査前確率や
リスク(コスト)&ベネフィットを考慮した上で簡易検査の有無を
決めているのでしょうか?2年ほど前に季節性に罹った際に受診した病院は
熱が一定以上なら自動的に簡易検査してたようですが。
…鼻の奥を綿棒でぐりぐりやられて涙が出てきたのを思い出します…

NATROMNATROM 2010/11/10 00:33 実際には、検査前確率や利得は大雑把にしか推定できませんので、現場での意思決定も大雑把です。まあでも、「熱が一定以上なら自動的に簡易検査」は、さすがに大雑把過ぎるだろうとは思いますが。私は、十分にインフルエンザっぽくて(検査前確率が高くて)、患者さんがタミフル処方を希望したら、簡易検査なしで処方していました。

wenderpunktwenderpunkt 2010/11/10 07:30 なるほど…ちなみにその際は、体温計を渡されて測ったら38.8℃、
体温計返却時に受付で看護師さんに予防接種済みか聞かれ、NOと答えると
診察前に直接処置室に通されて簡易検査、という流れでした。
大きな病院だったからなのか、土地柄なのか。
あるいは、その看護師さんが「インフルエンザっぽさ」を
独自に判断していたのかもしれませんが。担当医はかなりの年配でしたし。
結局、検査の結果が出るまで診察待たされて、3分診療でタミフル処方されました(^^;
まあ、二度呼ばれるよりは合理的っちゃあ合理的ですが。

kittenkitten 2010/11/10 15:01  去年と今年とで、また状況が違いそうですね。
新型インフル騒ぎの去年だと、検査しないリスクや、
インフルエンザなのにタミフル処方しないリスクが、
通常よりもはるかに高かったと思います。
 社会情勢によっても、検査閾値や治療閾値はかわりますね。

nn 2010/11/10 18:19 この理論自体は誰しもぼんやり程度には脳内にあるのだと思いますが、冒頭のリンク先のブログや、時々いるタミフル薬害説な人へ、これで有効な反論をするのは難しい気がします。

冒頭のブログ主はこういうモデルを考えてないわけではなく、むしろ念頭にありつつも、「インフル症例でタミフルを投与しないのはマイナス500点」と考えてしまっているから、検査閾値が限りなく0に近づいていると解釈すべきではないでしょうか。彼にとって、できる治療をやらなずに患者を死なせるかもしれないペナルティがやけに高い。去年の冬、新型インフルエンザが過剰に怖れられていた頃、一般の人もこっち派が多かったことでしょう。
また別の人は「有病者にタミフルを投与することによる加点は0.1点で、非インフル例に投与なんかしたらマイナス100点」という得点表が脳内にあるのだと思います。「インフルエンザなんて寝てれば治る、健康な人にタミフルを投与してしまうのはとんでもない、つまりタミフルに百害あって一利なし」という結論が導かれ、典型的なタミフル薬害論者のそれ。異常行動とか流行ってた数年前はこっち派の人も多かったですね。
結局は利得表そのものが歪めば結論は全く変わりますし、利得表そのものは恣意的に決める以外の方法がなかなかないのが問題なのかな、と思います。

nn 2010/11/10 18:44 訂正。冒頭のブログ主にとって限りなくゼロに近いのは「治療閾値」だと表現すべきでした。
要するにNATROMさんが最後に挙げたグラフを更に極端にした例(青い線が常に上に来ている)が、冒頭のブログ主さんの状態ですよね。
そういう人にどうやって説明すべきなのかは難しいところ。

tomtom 2010/11/10 19:54 リスクアバースというか、「とにかく死なないように!!」と凝り固まってしまっているんですよね。
全員を守るだけのリソースがあればそれでもいいんでしょうが、そんなわけはないので、実際にはこれはリソース配分の問題でしょうね。
ちょっと話はずれますが、先日新宿で行われたトリアージの訓練で、うまくできなかった医師が何割かいた、ということを思い出しました。これも、リソース配分という考えに慣れてないからでしょうね。

NATROMNATROM 2010/11/10 20:17 浜六郎氏なんかが、「インフル例に処方」利得や、「非インフル例の処方」利得を低く評価しているのは、一貫性があります。まあ、これはそれぞれの考え方です。理解できなくもありません。

一方、Open ブログの人は、単に利得の評価が異なるのとは違います。「できる治療をやらずに患者を死なせるかもしれないペナルティがやけに高い」にしては、健常人に対するタミフル投与には否定的なんですよ。日本感染症学会の推奨は間違っているのだそうです。

利得の評価が異なるのではなく、0か1かの1ビット思考に由来するんじゃないかと私は考えています。インフルエンザに罹患するのは「健康な人」か、「リスクのある人」かのどちらかしかないと誤解しているのではなかろうかと。中等度のリスクがある人はどうなのか、という観点がありません。その観点があれば、「低リスクの人にはタミフルは使用しない(治療閾値なし)」「高リスクの人には少しでも疑えばタミフル投与(治療閾値きわめて低い」の間があることに気がつくはずです。

検査前確率を理解していなさそうなところも、1ビット思考ですね。「症状のある人」と「症状のない人」しかいないと思っているようです。さまざまなリスクの程度、さまざまな検査前確率の患者さんがいることを思えば、簡易検査が有用である範囲があることが理解できるはずです。

nn 2010/11/10 20:51 >NATROMさん
すみません。彼のブログの本文だけ読んで、勝手に好意的に判断していました(向こうでの9日20:28のコメントとかを見る限りは私と似たようなことも書いてるようだし)。でもあのページの記載内容をだいたい読みましたが、あまりにツッコミどころが多すぎてどこからツッコんだらいいか全く分からないレベルでした(笑)

彼の意見を1ビット思考とかまで貶めたくはないですが、やはり感度・特異度の定義を覚えただけで何でも分かったように舞い上がってるに過ぎず、NATROMさんの緑色のグラフの根拠となる数式すら全く理解する気がないようですね。検査前/後確率とかも計算できずに延々と長文で反論してくる辺り、全然理系ぽくないなあ。
まあ「あれは誇張だったんだからね!」とか「アンタが誤読してたんだからね!」と言いながら少しずつ意見が修正されていく姿は、ちょっと可愛い…かもしれない(笑)

たかしたかし 2010/11/11 20:53 全然関係のない話ですいません。
一般の方に科学的思考を促す難しさも感じていますが、薬剤師に医療の基礎を教える難しさを毎日感じています。
今日、聞かれたこと
「この抗がん剤で起こる悪心は、急性ですか、遅発性ですか、予測性ですか」
偉そうな態度とるわりには、、、、。
薬剤師っているのですかね。

ゆうこゆうこ 2010/11/12 04:00 検査前確率は、定量的に算出することができるのでしょうか。
その判断基準が知りたいです。
また、事後に検査前確率を正確にする手段はあるんでしょうか。

nn 2010/11/12 07:53 >ゆうこさん
インフルエンザの場合、定量的に算出するのは無理ですが、大まかなグラフの形をイメージすることはできますから考え方自体は大事です。
これが「癌検診」とか「保健所のHIV検査」のようなものであれば、この考え方を用いて、かなりいい線で事前前確率(=集団の有病率)および事後確率とも、定量的に測定できます。

ゆうこゆうこ 2010/11/12 12:53 n様

>インフルエンザの場合、定量的に算出するのは無理ですが、大まかなグラフの形をイメージすることはできますから考え方自体は大事です。

 ここでの内容を読んで、大まかなイメージは共有できているつもりで質問しました。
 なんとなくですが、癌やHIVなど多角的な判断基準がとれる?場合は、検査前確率が線形的(もしくは、一様な分布といったらよいのかしら)になり、定量的にも測定できるんだろうと推測していました。
 ここで議論されているインフルエンザのように定量的な算出が難しい?場合は、検査前事前確率が30%〜60%(治療閾値)の範疇に入るケースが少なく、そのほとんどが治療閾値外、つまり正規分布しないことはないのかなと思った次第です。
 
 今日、読み直したらコメントに「大雑把」って書いてありましたね。
 #普通に大雑把ですよねー。
 失礼致しました。

zororizorori 2010/11/12 21:58 検査前確率を正確に知ることは出来ないと思いますが,日常的には,このような判断もしているんですね。

道路を横断する場合,車が近づいていないか確認します。もし車が確認出来たら,横断しませんし,来ていなければ渡ります。

しかし,交通量の多い幹線道路では,車が途切れることは殆ど有りませんので,歩行者は横断することすら考えません。横断しないのですから,車の確認も当然しません。稀に確認すれば渡れる場合もあるかもしれませんが,確認に要する時間と運良く渡れる頻度を考慮すれば馬鹿らしいからです。

一方,信号のある道路では,確認せずに渡る場合もありますね。信号無視の車に轢かれる可能性もありますが,青信号で既に横断者が大勢いて,後に続くような場合はまず確認しません。沢山の人が横断中のところに信号無視の車が突っ込むケースは殆ど無いからです。しかし,信号が変わって最初に渡る場合は確認する人が多いです。

どんな場合でも,道路は渡らないので確認しても無駄だとか,青信号なら必ず渡るのだから確認は無駄だとか,逆に確認は絶対しなければならないという人はあまりいません。状況から何となく車のくる確率を判断しているものです。

医療の検査前確率も,お医者さんは経験からある程度分かるのじゃないでしょうか。というよりも分かってもらわなければ困ると言うか。

ゆうこゆうこ 2010/11/13 02:06 zorori様

> 検査前確率を正確に知ることは出来ないと思います
> 状況から何となく車のくる確率を判断しているものです。
> 医療の検査前確率も,お医者さんは経験からある程度分かるのじゃないでしょうか。

 横断の例えは良く理解できませんでした。何を何に置き換えればよのやら。
 この記事に趣旨に戻してインフルエンザの例でもよいでしょうか。
 インフルエンザの場合の検査前確率は、問診なんだと理解していまいした。
 問診におけるクライテリアが何かと考えると、普段、病院にいく事を思い出すと次のようなことでしょうか。
  ・年齢や性別、家族構成、持病、過去の病歴、通院履歴
  ・熱の有・無と発症期間、扁桃腺の腫れ、聴診
  ・インフルエンザの流行状況、発症者への接触状況
  ・渡航の履歴
  ・予防接種の有・無
 これらは状況から何となくではなくて、普通に問診して確認してくることでしょう(流行状況はお医者さんによっては地域ネットワークで情報を仕入れていることですね)。
 こういったクライテリアがあるのであれば、ここでのゲーム理論と同じく重み付けをして、かつクリイテリア間の関係性の係数(乗算もあるでしょう)を考慮して、検査前確率というのをお医者さんは大雑把にも判断しているのだと思っています。
 直感的に、これはインフルエンザであろう(ここではインフルエンザであれば重症化するというリスクも含めます)と判断できるクライテリアもしくはその組み合わせはお医者さんなら判っていることだと思います。ここでの60%以上のことです。では60%以下なのか30%以下なのかになると、このエリアは非常に曖昧で線引きが難しいのかなと思っていました。つまり、簡易検査が有効であるという30%〜60%というのが、検査前確率の曖昧性から意味をなさない事はないのでしょうか。
 お二方のご意見では事後検証することが不可能であったり、検査前確率が曖昧ということですので、この問いへの解は常に曖昧な気がしてきました。

zororizorori 2010/11/13 08:34 ゆうこさん、

たとえが下手で混乱させてすみません。

a.検査前確率(問診で推定した感染の確率) ー 交通状況から推定した車通過の確率
b.検査(感染の有無を判断) ー 安全確認(車通過を判断)
c.処方 ー 横断中止
d.全例処方利得 ー 安全確認無し横断中止の利得
e.全例非処方利得 ー 安全確認無し横断の利得
f.キット陽性処方利得 − 安全確認の結果、車通過と判断した場合横断中止の利得

g.検査閾値 : f=e となる検査前確率 
h.治療閾値 : f=d となる検査前確率

検査閾値と治療閾値はそれぞれの利得や検査(安全確認)の精度(程度)で変化しますし、利得(d.e.f.)は症状の程度(交通事故の被害の程度)で変化しますから、簡単には計算できません。にもかかわらず普通の人でも、道路を横断するしないの判断、更にその判断の為に安全確認をするしないの判断もしています。絶対横断せずに歩道橋しか利用しないのだから安全確認も不要という人は稀ということです。

正確に数値を計算することは出来なくても、なじみのあることなら、大抵の人は程度の判断をします。不確実でも得られる情報の範囲内で柔軟に対応します。ところが、良く知らない恐怖(例えば病気)に対しては、二分法判断になる傾向が有るようです。

自動車のない国から来た人なら、道路は怖くて横断しないかもしれません。青信号だし車は止まるから安全だよといっても、信用しないかもしれません。医者を信用出来ないように。

ひくしひくし 2010/11/14 18:32 たかしさん:
>「この抗がん剤で起こる悪心は、急性ですか、遅発性ですか、予測性ですか」

専門家でないので教えていただきたいのですが、この質問はどの程度非科学的なのでしょうか?

また、たかしさんがどういう立場の人か存じませんが、このケースから、「薬剤師なんているのか」という一般論を導いた理路を教えていただけるでしょうか?

たかしたかし 2010/11/16 22:14 ひくしさん
コメントありがとうございます。あまりにやるせない思いだったので、ついつい。
唐突なコメントですいません。
予測性の嘔吐は過去の抗がん剤での嘔吐の経験がもとになるものであり、抗がん剤そのものによるものというのは適切ではありません。
薬剤師に対してはいろいろ思うところがあるものですから。
なんでも検査値の意味も理解しようとないわりには、検査値検査値と声高にさけんだり。
頭は良い方々が多いと思うのですが、マニュアルだけで患者さんベースに物事を考えない姿に少々嫌気がさしています。
もっとも、私の周りがそうなだけで、そうではない方も多くおみえになるとは思うのですが、、、というより信じたいのですが。

ひくしひくし 2010/11/17 18:07 >たかしさん

私は少し前まで薬剤師については、昔に比べて医師から直接薬をもらえないのは面倒くさいなというレベルでしか意識したことがなかったのですが、最近、ある病気で入院することがあって認識が変わりました。

私の主治医は信頼できそうな方でしたが、少々取っつきにくく、出された薬について「こんなことをきいたら気を悪くされるのではないか」と質問をためらっていたところ、薬の飲み方を教えに来た薬剤師さんが、私の色々な疑問に丁寧に答えてくれ、その薬に漠然と抱いていた不安を解消してくれました。そしてその時、何故医師以外に薬剤師が必要なのかも説明してくれました。また、私の主治医とその薬剤師との関係は良好で、対等ではないにしろ、ある種の協調関係にあるような印象を私は受けました。

どの職業でも(従って医師でも薬剤師でも)ダメな人(プライドばかり高い人、知識ばかりひけらかす人、自分中心にしか考えない人、生意気な人等々)はいるものです。たかしさん(お医者さんだと推定しています)の周りの薬剤師がダメなのは本当なのかも知れませんが、その体験から、こういう場にわざわざ「薬剤師なんているのか?」と書き込む乱暴さが私には理解できません。いらない理由を原理的に説明できるのならば別ですが。

たかしさんの書き込みを読むと、受け取りようによっては、失礼ながら、薬剤師との関係がうまくいかない医師の愚痴・悩み相談にも見えます。私はこういう話は相対的に捉えたいので、薬剤師側のたかしさん評もきいてみたいですね。患者は自分の命がかかっているのですから、知識はなくとも、信頼できる医師かどうかを見分ける動物的感覚は異常に研ぎ澄まされているでしょう。同じ病院内で働く人との関係が良好であることは決してマイナスにはならないと思うのですが・・・。

ゆうこゆうこ 2010/11/18 01:33 zorori さん

 例えの設定が正しくないと思いますが、仰っていることは判りました。
 その例では不確実性に基づく一般論の話で、私はそのことを疑問視しているわけではありませんよ。

 補足にある診断ガイダンス http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009idsc/diagnosis0902.html
 には、「発症翌日に検体が採取された場合に感度が高いとされているが、それでも40〜80%程度である2,3)。発症当日や発症後数日以降に採取された場合はさらに感度が下がる。」です。
 また、こちらの診断ガイダンスhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_rapid_testing.html には、「ウイルスの排出が最大となる発症後4-5日のあいだに採取されるべきである」とあります。
 ここでの例は感度は60%ですが、実際には幅がある、恣意的にみれは20%〜80%です。
 検査前確率と合わせて、この感度の幅をしっかり認識して使う必要があるとなります。検査の感度に幅がありますから、この幅を認識するため検査前の基準はありそうですがそれは無いし曖昧、そういった状況で、一般論から検査は意味がある範囲があるってどうして納得できるんだろう、ただそれだけです。
 私はこういう簡易検査はお医者さんをただ困らせるだけと思ってしまうのですよ。

> 良く知らない恐怖(例えば病気)に対しては、二分法判断になる傾向が有るようです。

 主語がわかりませんが、そんな気がします。

zororizorori 2010/11/18 21:43 ゆうこさん、

>私はこういう簡易検査はお医者さんをただ困らせるだけと思ってしまうのですよ。

もちろん,不確実な情報で判断しなければならないのですから困るというか,悩みはあるでしょう。NATROMさんが説明されている利得のグラフも確定値ではなくて,確率的期待値に過ぎません。その利得が確実に保証されるというわけではありません。それでも,最も期待値の大きい選択をするわけです。

現実には,利得のグラフも正確には描けません。つまり,その段階でも不確実性が有りますが,経験有るお医者さんなら,大ざっぱな見積もりから,最も妥当性の高そうなグラフを想定するわけです。

つまり,不確実性は二重にあるのです。最初の不確実性はどの利得のグラフを選択すべきかで,二番目は選択した確率的期待値を示すに過ぎない利得グラフから検査や治療の実施の判断をすることです。

Openブログの人は,この一番目の選択において,NATROMさんが示している最後のグラフのもっと極端な場合を選択しているに過ぎません。非処方の損害が非常に大きい場合に決め打ちした上で,検査は無駄だと言っているだけです。

なぜ,そのような決め打ちをするのかというと,よく知らないものには大きな恐怖を感じるからではないでしょうか。経験のあるお医者さんならインフルエンザがどういうものであるかある程度知っていますので,感染の損害の見積もりが出来ますが,無知ですと非常に恐ろしく感じてしまい,検査結果に拘わらず処方しなければならないと考えるのでしょう。不思議なことに,恐怖の対象が薬になると,薬は危険なので処方してはいけないと,同じ人が矛盾したことを言ったりしますが,未知のものへの恐怖はこのような矛盾した行動も説明できます。

また,不確実というのは,人間心理を非常に不安にします。不確実なものを不確実なまま扱う確率的思考は大抵の人は苦手です。どちらかにスパッと決めてしまう二分法の方が好まれるということもあるかもしれません。

nn 2010/11/18 22:30 >ゆうこさん
>一般論から検査は意味がある範囲があるってどうして納得できる
そんな事は言ってないので、納得できなくて当然と思います。検査の性能があまりに低いなら、検査せずに医師の診察だけで決めた方がよいという状況(緑色のグラフが常に赤や青より低い)はあり得ますし、実際、発症初期は検査しないという方針の医師もいます。
NATROMさんが3番目に挙げたグラフの概形は、実際の日本人医師が典型的患者を診る時の感覚に近いと思いますが、あくまで感覚的なものです。具体的なグラフの交点座標(30や60)に意味がないどころか、この概形が正しいと決まったわけでもありません。
この記事のそもそもの趣旨が、「感度が低い簡易検査は全く何の役にも立たない」的な某主張に対し「いろんな条件をもっと考えよう」と反駁するものだったようです。この記事は「いろんな条件でいろんな方針が生まれるし、多少感度が低くても条件によっては検査は役に立つ」と言ってますが、「実際にこういう条件だ」までは言ってないです。

以前の補足。以前「癌検診」や「保健所のHIV検査」でなら事前確率は正確に決まると言いましたが、それは、これらが季節で流行するわけでも自覚症状があるわけでもなく、ただ検査一発で判定するものなので、「事前確率」として得られる情報が単にその年代での国民の有病率そのものでしかなく、それなら広く統計的に知られている、という意味でした。

ゆうこゆうこ 2010/11/19 01:14 zororiさん
n さん

 某ブログの人の記事は読んでいますが、偏った尖がった主張なので特に気にしていません。自分が気にしているのは某ブログの人のこととは別です。出来れば切り離して下さい。

> また,不確実というのは,人間心理を非常に不安にします。不確実なものを不確実なまま扱う確率的思考は大抵の人は苦手です。どちらかにスパッと決めてしまう二分法の方が好まれるということもあるかもしれません。

 普通の人なら、不確実なときはリスクを最大化して確度を低く捕らえると思いますよ(ギャンブルが好きな人もいるでしょうが、重要な決断になればなるほど)。なんらかの条件の感度が高いと一気に確実へとなると思います。普通に生活している場合は、多くの条件がない事が多いので、不確実か確実で二分化されることが多いかなという意味で、そんな気がすると書きました。

>>一般論から検査は意味がある範囲があるってどうして納得できる
>そんな事は言ってないので、納得できなくて当然と思います。

 ということであれば私の誤読ですね。

 「インフルエンザの簡易検査は感度・特異度を理解の上に使うべきである*2。当たり前の話。しかし、まれに、インフルエンザの患者には、簡易検査をするべきではない、簡易検査をする意味は何もないと誤解している人もいる。」
 このことが命題と誤認し、インフルエンザの簡易検査に有用な範囲があることを示そうとしていたのかと思いましたが、実際は、インフルエンザの簡易検査に関係なく、検査の有用性のことだったのですね。理解しました。

> 以前の補足。

 たぶん、同じ解釈と思いますが・・・
 私は癌であれば、問診(血縁に癌はいるかとか、タバコはすっているとか)と実際の統計から検査前確率(癌の羅患率)が参考にできるから、検査前確率は定量的になるのかなと思っていました。検査もインフルエンザのように簡易検査1つではなくて、血液検査、レントゲン、MRIなどなどとヴァリエーションもありますから、仮説と検証を繰り返して、確度を上げることができると言う意味でも、定量的になりやすのかなと。

zororizorori 2010/11/19 06:40 >自分が気にしているのは某ブログの人のこととは別です。出来れば切り離して下さい。

失礼しました。私は、某ブログの人のような考え方になるのはなぜかということに興味がありましたので。
なぜなら、その考え方は決して特殊なものではなくて、普通の人でも陥りやすいものだと思うからです。

>普通の人なら、不確実なときはリスクを最大化して確度を低く捕らえると思いますよ

ここが、重要なところで、病気のリスクがはっきりしないなら、リスクが非常に大きいと仮定すれば安全側であると安易に考えがちなんですね。病気のリスクが大きいなら治療をすればよいと。ところが、治療にもリスクがあるわけで、そちらは無視しているんですね。逆に治療のリスクだけ注目し病気のリスクを無視することもあります。一つのリスクを下げると別のリスクが増えるというトレードオフの考えが抜け落ちてしまうのだと思います。

普通の人でも、そのように考える例は沢山あって、例えば、BSE問題での全頭検査が良い例です。

ゆうこゆうこ 2010/11/19 18:53 zororiさん

> 私は、某ブログの人のような考え方になるのはなぜかということに興味がありましたので。

 なるほど〜。リスクは定性的、定量的に捉えるんでしょうけど、定性的、定量的にも質が落ちればトレードオフまでに至らないのでしょうね。
 例にあげて頂いたBSE問題に関しては、一般の人が得る情報は、せいぜいTVや新聞でしょうから。実際の発症の確率が0.001%以下(正しいか不明ですが、ものすごく低い)という認識が正しく伝わっており、この確率と経済や国家間に及ぼす影響の比較が定量的にされていれば、普通の人というか、普通に認識できないものかなと思います。こういった事がなく、死んだら責任を取れるのかという定性的な報道が多いですから、人に与える影響、バイアスの掛り方が普通でないと思います。実際に、律儀に検証して尖がった報道をするマスコミがいても良いのですが、なぜか大衆迎合で横並びですからね・・・。判りやすく0.001%を0%にするために税金が5%UPしますと連日報道するマスコミがいてもいいのに。
 政府、役人さんがそういった論理(定性・定量分析)に基づいて国会(大臣でもいいですが)で判断しているかというと、そんな感じもしないので困ったところ。もしかしたら、役人さんはそういう資料を提出していて、政府側(判断する側)の問題なのかも知れませんが、私は調べたことがないので良く判りません。

 この記事の本来の趣旨とだいぶ外れてしまったコメントですので、ここまでにしたいと思います。