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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2011-11-15 混合診療のメリットとデメリット

[]混合診療のメリットとデメリット 混合診療のメリットとデメリットを含むブックマーク

最近、TPP関連で混合診療がよく話題にあがる。混合診療の問題は複雑である。「混合診療に反対している連中は既得権益を守っているだけ。がん難民のためにも今すぐ混合診療は全面解禁するべき」という意見も、「混合診療を解禁してしまうと、マイケル・ムーアの『SiCKO』のような、貧乏人がまともな医療を受けることができなくなる酷い制度になってしまう。絶対反対」という意見も、どちらも極端である。この両極端の意見の間のどこかに妥協点を見つけるのがいいだろうと私は考える。



混合診療とは何か?

混合診療とは、保険診療と自由診療(保険外診療)の医療を併用することを言う。現在の日本では、混合診療は原則として禁止されている。たとえば、医療費が20万円の保険診療を受けると、自己負担割合が3割の人は、6万円のみ支払えばいい。14万円は保険者が支払うことになる。さらに、10万円の自由診療を同一の医療機関で受けたとする。混合診療が禁止されていなければ、患者の自己負担は、20万円×3割負担+10万円=16万円である。しかし、混合診療は禁止されているので、保険診療の部分も全額自己負担となり、合計30万円の自己負担となる。


f:id:NATROM:20111115122340j:image

混合診療が解禁で患者の自己負担はどれぐらい変わるか(一例)


混合診療禁止のデメリットは?

自由診療を受けたい患者の選択肢が狭まることがデメリットである。上記の例では、16万円ならなんとか出せても、30万円は出せないという患者は、自由診療分の医療を受ける選択肢はあきらめざるを得ない。

これまで混合診療が問題になったケースの多くは癌である。現在は固形癌に対する化学療法が進歩し、保険診療内でもそれなりの治療を受けることが可能であるが、それでも「保険診療内で可能な治療はもうありません。対症療法のみ行いましょう」というケースが生じうる。海外で十分なエビデンスが得られている治療法があれば、保険適応が通ってなくても試してみたいと患者や医療者が思うのは当然である。しかし、混合診療が禁止されているため、保険適応が通っていない治療を受けるには、併用する治療や検査費用、入院費用もすべて全額自費となる。



混合診療解禁のデメリットは?

複数ある。たとえば、質の低い医療が行われかねないこと、保険給付範囲内の医療が狭まりうること、結果的に医療格差が広がること。



混合診療解禁によって行われる質の低い医療とは具体的にどのようなものか?

現在でも自由診療にて、エビデンスが十分に得られていない医療が行われているが、混合診療を全面解禁にすることで、これが広がりうる。たとえば、入院中に保険診療外の代替医療を行えば、現行の制度では入院費も全額自己負担にするか、代替医療部分は無料にするかしかない。しかし、混合診療が全面解禁になれば、入院費の部分は3割負担でよい。これまでは癌に対する自由診療は外来のみのクリニックが主流であったが、仮に混合診療が全面解禁されれば検査を兼ねた1泊入院で行うところが出てくると私は予想する。

他にも、通常の外来での保険診療に加え、オプションの自由診療部分を付加価値として提供できるようになる。風邪にビタミン注射は効果がないため、現在では保険診療内でむやみにビタミン注射を行えば、保険者から査定される。つまり、保険者から医療機関に対して7割分の医療費が支払われない。しかし、混合診療枠でビタミン注射を行えば、保険者による査定を気にしなくてもすむ(参考:■ビタミン注射もいかが?混合診療解禁問題)。現在でも、「点滴バー」などと称してビタミン注射を自由診療枠で行う医療機関もあるが、混合診療解禁によって、病気で受診した患者にビタミン注射を勧めることが可能になる。



自由診療枠が増えれば競争原理によって医療の質は高まるのではないか?

医療においては情報の非対称性があるので、競争原理だけでは質は高まらない(参考:■医療と自由競争)。混合診療解禁によって、患者満足度は上がるかもしれないが、コストに見合うほどの医療の質の向上は起こらないだろう。基本的には、保険適応となっている医療はエビデンスがあるものであり、また、医療費の7割以上を支払っている保険者からの監視は、医療者が適正な医療を行う動機となる(参考:■国民皆保険制度がわりとうまくいっていた理由)。日本の医療はコストパフォーマンスに優れ、その要因の一つに国民皆保険制度があるとされている。医療の質を保つには自由競争以外のなんらかの仕組みが必要と思われる。



混合診療解禁によって保険給付範囲内の医療が狭まりうるとはどういうことか?

混合診療を解禁しても、直ちに保険給付範囲内の医療が縮小されることにはならない。しかし、将来において、本来は保険適応とすべき新しい有用な医療が保険適応されなくなることが危惧される。混合診療解禁を推進する立場の規制改革・民間開放推進会議は、保険診療が縮小された制度を「本来目指すべき制度」としている(参考:■混合診療解禁で保険診療が縮小されるのはガチ)。また、製薬会社も、保険適応をとるインセンティブが小さくなる。混合診療が禁止されていれば、日本で薬を売ろうとするならばなんとかして保険適応を取らなければならない。しかし、混合診療が解禁されて一定の売り上げが見込めるのであれば、無理に保険診療を取らなくてもいい、取りにいかないほうがいいと判断されることもあるだろう。ただし、混合診療を解禁しても、これまで通り有用な医療が保険適応とされる何らかの仕組みがあれば、この点においてはデメリットとならない。



混合診療解禁で格差は広がるのか?

将来はおそらく格差は広がる。現在でも、大金持ちは自由診療で好きな医療を受けられる一方、混合診療が禁止されているので保険内診療しか受けられない層がある。混合診療を解禁した直後であれば、ある程度の余裕のある人たち(最初の例で言えば「16万円ならなんとか出せても、30万円は出せない」ような人)が、自由診療枠の医療を受けられるようになるだけで、必ずしも格差が広がるとは言えない。しかし、将来、保険診療が縮小すれば、「混合診療ならば何とか可能」という層と、「混合診療でも無理。16万円も出せない。保険診療枠の医療しか受けられない」という層の間での医療格差は広がる。(保険料が払えず健康保険に加入できなかったり、加入者であっても自己負担分を支払うのが困難という層については、混合診療が解禁されようとされまいと変わらない。これは混合診療解禁とは別に考慮されなければならない問題である。対象となる人数は相対的には少ないが、混合診療よりも重要な問題である。)



混合診療解禁で公的保険財政は改善するか?

保険診療が縮小されれば、公的保険財政は改善する(ただし、1泊入院+代替医療のような混合診療が増えると、入院費の7割は保険者から支払われることになるので、その点では保険財政にマイナスになる)。保険診療縮小による公的保険財政改善がメリットとなるのは、保険者(政府・組合など)である。多くの被保険者(患者)にとっては、公的保険が無くなるぐらいであればまだ混合診療解禁のほうがマシではあるが、税金や保険料を上げて公的保険を支えるほうがメリットがあると私は考える。ビタミン注射や代替医療に費やされるであろう医療費を、再分配して保険診療に使うほうが、全体からみたら効率的だろう。(有用であるが高価な新しい治療についても、その分を再分配したほうが全体からみたら効率的であるかもしれない。)



混合診療解禁によって質の低い医療が行われるようになるというが、現状でも自由診療で質の低い医療が行われているのでは?

その通りである。このブログは、医師の資格を持つ人であっても問題のある医療を行う例があることを、何度か取り上げた。ただ、現状でも質の低い自由診療が行われているからといって、混合診療を解禁しても良い理由にはならない。混合診療を解禁すれば、さらに質の低い医療がはびこるであろう。



現状でも、ある程度は混合診療が行われているのではないか?

その通りである。A病院で癌に対する標準医療を保険診療で受け、Bクリニックで自由診療を受けることは可能である。また、こちらはかなりグレーだ思われるが、「自由診療分は無償で行う。それはそれとして、職員個人宛てに研究費用として振り込め」という抜け道もあるそうだ*1。ただ、現状である程度の混合診療が行われているからといって、混合診療を全面解禁しても良いことにはならない。混合診療解禁によって同一の医療機関で保険診療と自由診療が併用可能になるが、メリットおよびデメリットがある。メリットは、たとえば、同一の医療機関のほうが情報を共有しやすいことである。Bクリニックで行われた治療内容をA病院の医師が知らない、などということが起こりにくくなる。デメリットはこのエントリーで記述した通りである。

現状の制度でも、同一医療機関で混合診療可能なケースもある。厚生労働大臣が定めた「先進医療」は、「有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準を設定し、施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができる」*2。混合診療は原則禁止しつつ、「先進医療」の枠を拡大して患者の選択肢を可能な限り確保しつつ、有効性・安全性が確認され次第保険適応とする制度が妥当な妥協点ではないかと個人的には考える。



TPPに参加すると、混合診療は解禁されるのか?あるいは、TPPに参加すると、国民皆保険制度は崩壊するのか?

私には分からない。さすがに、TPPに参加しただけで国民皆保険制度が崩壊するとは思えないが、混合診療については「議論される可能性は排除されない」と聞く。当エントリーはTPP参加について意見を述べたのではなく、あくまでも混合診療解禁についての考察である。TPP参加・不参加に関わらず、混合診療解禁については考慮されるべきである。仮にTPPに参加しないことが決定したとしても、また別に混合診療解禁についての議論は起こりうる。



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■日本医師会が混合診療解禁に反対する理由

■死の淵から蘇ったのは混合診療のおかげ?

かとうかとう 2011/11/15 12:50 歯医者は混合診療やってますが、その結果として大きな問題がおきているのでしょうか?私にはそうは思えませんが。

かとうさんへかとうさんへ 2011/11/15 13:16 歯科治療は保険診療の適応範囲が狭められており、使用できる材料などの制限が加わっています(海外に比べ遅れている)。また、扱っている内容が軽症医療が中心ですので、医科とは状況が違います。

hodahoda 2011/11/15 13:28 同じ治療法を行った時の優劣がつかないのは、「医療業界が自由競争ではうまくいかない理由」に書かれている通りだと思いますが(ただし、あれは情報の非対称性ではない)、海外での臨床結果などの情報を幅広く集め、効果の高そうな新しい治療法を積極的に導入するか否かといた競争は、医療の質を高めるものと思われます。

自由競争に任せてはうまくいかない部分がある、というだけでは医療に自由競争を持ち込まないべきであるという理由にはなりません。

歯科では歯科では 2011/11/15 13:30 すでに保険診療が儲けが出ないほどに範囲が狭められてしまい、
仕方なく自由診療が見込める患者を優先しているところもありますね。

aa 2011/11/15 14:48 >hodaさん
医療の現場では、すでに質を高める競争があります。それは医師の流動性の高さです。医師は転職しやすいよう、専門家である同僚から評価されるだけの技量を得ようとします。その結果、治療法については常に新しいものを取り入れようとします。また、(良くも悪くも)変なことをすれば、業界で動きにくくなります。
患者の立場では、ある病院が本当に画期的な治療を始めようとしているのか、それとも名ばかりの療法で患者を集めようとしているのか(情報の非対称性により)判断がつきません。そこで、病院が自由診療を始めたとしても、より良い医療につながる保証は、まるでありません。アメリカでは、このギャップを埋めているのが医療訴訟ですが、それに起因する医療資源の浪費は常々批判されているところです。
病院は悪評が立てば潰してしまえばよい。業界での個人の悪評はぬぐうのが困難である。その差が競争に与える影響を考えてみてください。

吉田吉田 2011/11/15 15:01 歯科でも混合診療は原則禁止(高度先進医療は除く)です。ですので、たとえば私費のクラウンなどはコアまで入れて治療終了、別の日に来院して貰って新規治療開始という風にして保険の診療と完全に分けて行っております。医療費高騰のおかげで、混合診療を解禁にしてたとえば入れ歯を保険から外すとかしないと保険診療が保たないところまで来てるんですよね。
混合診療解禁のデメリットですが、かつて歯科で解禁した際には粗悪な治療が横行したため再度禁止した経緯があります。

とある歯医者とある歯医者 2011/11/15 15:28 私は歯科医師ですが、歯医者では事実上の混合診療が一部認められています。みなさんよくご存知のセラミックのさし歯(メタルボンド等)などです。神経を取ったりレントゲンを撮ったりまでは保険でやって土台から自由診療ってのが普通に行われてます。建前上自由診療やる日は他の保険診療はいっさいできませんが。
一方歯医者の世界でもエビデンスのはっきりしない自由診療はたくさんあり、
(たまに話題になる3mix-MP法とか)これらはいっさい混合診療は認められてません。少しでもこれらの自由診療をやれば全額自由診療扱いとなります。
前歯のセラミックのさし歯などは保険のプラスチックのさし歯よりはるかに質の高いものであることは歯医者なら誰でも認めており、保険適用にならないのは
単に高額なぜいたく品扱いだからです。

混合診療に対する私見ですが、多くの医者が有効と認めてる混合診療やってもいい自由診療とエビデンスがはっきりしない一般的ではない自由診療を分ければいいと思います。

NATROMNATROM 2011/11/15 17:13 みなさん、コメントありがとうございました。特に歯科領域の混合診療については疎いので、詳しい方のコメントはありがたいです。既にコメントがありますが、歯科領域については、生命に関わることが少ない分野であることが、比較的混合診療が問題になりにくい理由の一つではないかと思います。エビデンスのある抗がん剤治療よりも、セラミックのさし歯のほうが、将来保険適応にならない場合の問題が少ないでしょう。

NATROMNATROM 2011/11/15 17:14 hodaさん、コメントありがとうございました。「自由競争に任せてはうまくいかない部分がある、というだけでは医療に自由競争を持ち込まないべきであるという理由にはなりません」というのはその通りです。しかしながら、「競争原理だけでは質は高まらない」ということにもご同意いただけると思います。当エントリーの該当箇所は、「混合診療が解禁されれば自由競争によって医療の質が高まる」という主張に対する反論として書きました。


>海外での臨床結果などの情報を幅広く集め、効果の高そうな新しい治療法を積極的に導入するか否かといた競争は、医療の質を高めるものと思われます

については、必ずしもそうは言えないと考えます。現状でも、自由診療で「海外での臨床結果などの情報を幅広く集め、効果の高そうな新しい治療法」を提供することは可能ですが、私の知る限りでは、自由診療クリニックで提供されている医療の多くが、エビデンスのはっきりしないあやふやなものです。なるほど、一部では質のいい医療を提供している施設もあるのでしょうが、患者は何を持って医療の質を判断すればいいのでしょうか。患者側が医療の質を評価するのはきわめて困難です。

吉田吉田 2011/11/15 19:34 仰るとおり混合診療の難しい点はどのように質の高い物とそうでない物を区別するかにあると思います。日本の医師の裁量権だとレメディーもシャクティーパットも混合できてしまうので。厚労省が認可した治療ならOK、というケースには現状ですと高度先進医療という形がありますが、ハードルは治験ほどではないにせよ非常に高いです。ですのでこれだけだとほとんど誰も申請しないで混合診療が実質死文化するんじゃないかと思います。というかこれが厚労省の狙うシナリオだったりしてw

経済学者のはしくれ経済学者のはしくれ 2011/11/15 19:37 経済学者のはしくれとして少しコメントします。
“「混合診療が解禁されれば自由競争によって医療の質が高まる」という主張”は多分に真実を含んでいます。ただし、気をつけないといけないのは医学的な意味での「医療の質」と経済学の「医療の質」が別のものであることです。
NATROMさんがおっしゃるように市場に全てをゆだねた競争によって医学的な意味での質はあがらないのは間違いないでしょう。ただし、経済学者がいう質とは一言で言うと消費者の満足度を価格で割ったものです。つまり、医学的な意味での医療の質が低くても、消費者の満足度をあげられるか、価格を下げることが出来れば経済学の意味での質は上がるわけです。

 特に医療は評価が難しいため、消費者をだまして満足度をあげる医者が経済学的な意味では「名医」とされかねません。混合診療の解禁では価格が下がる余地はほとんどないので今回の件ではあまり、メリットはないように感じます。
ただし、普通の経済学者としての見解では、混合診療の解禁により医療費が膨らまない限りは特にデメリットは感じません。格差自体は医療以外の分野でもあるので、ことさら問題にすることは少ないです。また、混合診療は質が悪いかもしない医療を受ける「権利」なので特に気にしません。

医療の問題は社会保障の問題でもあるので、全てを市場にまかせても上手くいかないと考えている経済学者がほとんどです(正確には何も考えていない経済学者がほとんどで、医療についてまじめに考えている経済学者のなかではほとんどです)。自分のこじんてきな見解としては、薬価の決定等はもう少し市場にゆだねた方が良い気がします。

長文失礼しました

gart_hgart_h 2011/11/15 20:18 妥協点を見つけるというのが理想のうちの一つと言うのは理解できるのですが、ただ、そうやって日本人のために作った機構がアメリカの医療関連企業が日本に進出にあたって不公平である(と判断された)場合にアメリカの企業は日本政府に対して賠償を請求でき、そしてそれを判定するのは国際法廷であるというのがTPPの難しいところかと。

小川正樹小川正樹 2011/11/15 22:20 歯科医には酷い目に遭っている(と自分が認識している)ことを思い出しました。
無駄に歯を削られたと思っています。

一穴一棒へテロ一穴一棒へテロ 2011/11/15 23:29 >経済学者のはしくれ 2011/11/15 19:37 さんは書かれました:
>格差自体は医療以外の分野でもあるので、ことさら問題にすることは少ないです。また、混合診療は質が悪いかもしない医療を受ける「権利」なので特に気にしません。
わたくしの所感:
ホストクラブでホストの仕事してる人がこんなこと言うとは思えないし、わたし的にはこういう人の営業トークはじっくり聞かせてもらいたい。

てへぺろてへぺろ 2011/11/16 00:19 現状の○○ちゃんを救う会で米に臓器売買しにいってるのは放置ですか?
まあ汚いことを全部米に任すのって方針なら問題ないですけど

某所の医学生A某所の医学生A 2011/11/16 01:01 初めてコメントさせてもらいます。
某所の医学生なのですが、
国立と私立でTPPの動きは変わると思いますか?
NATROMさんの意見をお聴きたいと思います。
是非ご意見お願いします。

某所の医学生A某所の医学生A 2011/11/16 01:15 前のコメントについて訂正です。
TPPの→TPP参加後の です。

加えて言わせていただけるなら、混合医療は認められるようになるのではと考えております。そうなった場合のNATROMさんの考えについて教えていいただけますか?

taketake 2011/11/16 05:38 てへぺろさんへ
臓器移植については、国内にドナーがいないことが問題で、診療報酬との関係はあまりありません。混合診療が解禁されたら急にドナーが増えるようになるとは思えません。

混合診療について言えば、厚労省の認可に問題があると思います。世界では当たり前に使われている薬が薬価に載っていないこともよくあり、世界標準の医療ができないこともあります。私は保険診療を拡大させ、十分にエビデンが確立している自由診療分に関しては保険診療に早急に導入するべきだと思います。厚労省が認可しないのは国内の製薬メーカーを守るためだと誤解されてもおかしくないくらい認可のされないものもあります。
TPPなんかではたいして日本は変わらないとは思いますが、混合診療を解禁させるなら、FDAが認可した薬は日本で早急に保険適応になる制度を作った方が患者さんのメリットは大きい気がします。
保険診療の拡大は保険財政の圧迫に繋がります。保険料の値上げや税の投入でも財政的にうまくいかなければ、混合診療をせざるをえないか、保険を民間に移行するしかないと思います。どちらを認めるにしろ、厚労省の許認可制度についてしっかりメスを先に入れておかないと、うまく行かないと思います。

G 2011/11/16 08:11 >混合診療を解禁させるなら、FDAが認可した薬は日本で早急に保険適応になる制度を作った方が患者さんのメリットは大きい気がします。
takeさんにおおむね同意です。それと、いったん認可したもののFDAが問題視して警告を出したものを、日本で販促キャンペーンを展開する場合もあるので、そこらへんも見張っていてください。

reggyreggy 2011/11/16 08:41 混合診療の解禁されると、ビジネスチャンスと見て、民間の保険会社が自由診療部分をカバーする保険を作ってきそうな気がします。
その医療のエビデンスによって、負担率が変動するような仕組みを作ると面白いんじゃないかと思います。

NATROMNATROM 2011/11/16 08:46 てへぺろさんへ

TPPや混合診療解禁とは全く独立して、他の国へ行って臓器移植を受ける移植ツーリズムは厳しく批判されています。今後はどんどん少なくなるでしょう。臓器売買は現在でも禁止です。


某所の医学生Aさんへ

本文にもあるように、TPP参加後に混合診療が解禁されるのかされないのか、混合診療解禁以外に医療分野にどのような影響があるのか、私にはよくわかりません。みなさんに教えて欲しいぐらいです。TPP参加するしないに関わらず、混合診療が解禁されれば、大学病院に限れば、保険外診療がしやすくなって医療の質は上がるのではないかと思います。本文には書ききれなかったですが、混合診療禁止と解禁の妥協点として、現在のような個別の医療を厚生労働省が指定するのではなく、混合診療可とする医療機関を指定する方法もあるのではないかと思います。たとえば、「東大病院は医師の裁量ですべての混合診療可」「○○がんセンターでは、癌に関しての混合診療はすべて可」など。デメリットもありますが、この方法だと「質の低い医療が行われるようになる」問題はある程度解決します。

大学病院に関しては、私立の大学病院での勤務経験はないのでよくわかりません。仮に混合診療が縛りがなく全面解禁となったら、傾向としては、大学病院などの公的な意味合いの強い病院は高度医療を、民間の病院では(ビタミン注射のような)患者サービスを、それぞれ行うようになるのではないかと思います。医師としてのやりがいは、民間の病院では下がるでしょう。大学病院でも、患者さんにお金の話をしないといけないのは、かなりのストレスになります(現在でもある程度はあります)。

通りすがり通りすがり 2011/11/16 09:03 薬剤をなんでもかんでもFDA基準にすると、現時点では日本で使える薬剤が使えなくなるってことも起こります。現時点で日本で使える薬剤はそのまま使用可能で、さらにFDAが認可した薬剤も使用可能ってのはすこし緩いような気がします。
あと、混合診療については、その質を誰が担保するのかという問題が発生すると思います。(保険診療は一応国が担保していたはずです)誰も担保しないのは今の日本では受け入れがたいと思われますが、厚労省の外郭団体が担保するのもなんだかなーと感じます。

みっちゃんみっちゃん 2011/11/16 10:49 米国FDAが認可すれば即日本でもOK、ってする場合、添付文書は英語?日本語?内容は誰がチェックする? ものすごい仮定の話ですけど、添付文書が英語だった場合、それを患者に噛み砕いて説明し理解させるのまで医者と薬屋だけの責任になるとして、で薬屋さんが海外法人で日本で訴訟できないとしたら、それこそ制度はあってもだれもやらないことになりはしませんでしょうか。

ぺろきぺろき 2011/11/16 22:14 私は素人なので、医療に限らず経済格差は当たり前、金持ちがエビデンスの少ない治療を積極的に受けて実績を積み上げてくれるなら長い目で見れば医療全体の進歩につながる、と単純に思っていたのですが…皆さんのコメントを見ているとどうもそんな単純な話ではないんですね。初めて、問題の一端が理解できた気がします。
と、素人質問で申し訳ないのですが、二段構えの制度は現実には難しいのですかね?保険適用の治療と、保険は適用されないけど混合診療の対象として選択可能な治療と、それ以外の海のものとも山のものともつかぬ治療と、に分けるとか。
たとえば現在、治験の場合はどういう扱いなんでしょう?

ma_ru_qma_ru_q 2011/11/16 23:24 >reggyさん
自由診療をカバーする民間保険はすでにありますが、混合診療解禁は民間医療保険にとっては大きなチャンスだと思います。自由診療部分をすべてカバーしたり、特定の治療をカバーしたりと商品も多様化するでしょう。

エビデンスで負担が変わるというのも面白そうですが、保険料は平均的な治療費とその治療が行われる頻度で決まるので、なかなか難しそうです。

NATROMNATROM 2011/11/17 00:04 ぺろきさんへ。コメントありがとうございました。


>と、素人質問で申し訳ないのですが、二段構えの制度は現実には難しいのですかね?保険適用の治療と、保険は適用されないけど混合診療の対象として選択可能な治療と、それ以外の海のものとも山のものともつかぬ治療と、に分けるとか。

現状でも二段構えになっていまして、たとえば、厚生労働大臣が定めた「先進医療」は混合診療の対象として選択可能です。ただ、この「先進医療」の枠が狭すぎるため、実質的に患者の選択肢が少ないのが問題です。混合診療を原則解禁した上で、「海のものとも山のものともつかぬ治療」は自由診療であっても禁止、という方法もなくはないですが、誰がどのような方法で禁止する治療を定めるのかという問題があります。医師の裁量権を制限することになりますので、かなりの医学知識が必要です。それに、いくらでも抜け道はありますよね。ホメオパシーやEM菌飲料を禁止したとして、「これはホメオパシーではなく、フラワーレメディだ」「EM菌飲料ではなく萬寿のしずく飲料水です」とか。


>たとえば現在、治験の場合はどういう扱いなんでしょう?

治験部分は患者の自己負担はゼロです。

某所の医学生A某所の医学生A 2011/11/17 00:53 NATROMさん、わざわざ回答をありがとうございます。
大学病院では保険外の治療法が行われるようになるだろうとのことで、現在の保険診療内の、あるいは古典的な治療法の理解にも四苦八苦している学生の身としては、高度先進医療が多くなったらさらに理解が難しくなるかも…などと考えました。
まあ一番の問題は医師国家試験ですが。現状で出題範囲改定の度に新しい治療法などが出題範囲になるうえに、もっと試験を難しくしようという方針があるので、先進医療が一般的に行われる等になればそういったものも出題されるようになるのか、そういった面では学生としても混合医療はかなり身近な問題かもしれません。

HaidiHaidi 2011/11/17 02:42 NATROMさん、ホメオパシーやEMをわざわざ制度的に禁止してもらわなくても大丈夫ですよ。医師からショ糖や乳糖を処方して欲しいと希望している人がたくさんいますし、アメリカでは飲用のEMを作っているらしいですよ。

ぺろきぺろき 2011/11/17 19:17 >NATROMさん
終盤のコメントに丁寧にご回答いただきましてありがとうございます。そういえば、先進医療というものはありましたね…すごくピンポイントなイメージがあったので思い至りませんでした。
今のところは、やはり境界領域の治療が選択しやすくなる方がいい、という意見ですが、もう少し勉強してみることにします。自分や家族が治療困難な病にかかったらそうは言ってられないかもしれませんが…

十六夜十六夜 2011/11/19 22:07 「エビデンスはないのはわかっているし、気休めでもなんでもいいから自費でビタミン剤の注射を打って欲しい」という患者に対し「あっそうですか。そんなアホ患者の面倒は保険ではみられません。保険分も全額自己負担してください」という現行制度はなんだかなー、と思っていました。

ビタミン剤注射であろうとホメオパシーであろうと、「混合医療」が解禁になることで、代替医療を「医療」の監視下におけるのでむしろ患者にとっては安全ではないかと思っていたのですが(ホメオパシーを受けるから医療拒否、みたいなことにならずに、砂糖玉を食べながらも医学的治療を受ける)、そんなに単純な問題ではないのですね。

>医療においては情報の非対称性があるので

「これは国産のウナギですよ」と言われ、高値をつけられたら一般消費者はそれを信じるしかないでしょう。「情報の非対称性」があるのは何も医療に限らないのではないのでしょうか。

やへがき やくもやへがき やくも 2011/11/26 21:47  アメリカの大学病院では、教育や研究の目的もあり、ほかの病院より診療費がやすいとテレビで耳にしたことがあります。つまり、患者は体のよい実験動物になるわけです。
 日本でも、保険診療と併用できる先進医療は大学病院などの大規模なところで行はれるのが主でせう。
 ならば、大学病院の様に研究ができるところを指定し、そこでのみ混合診療を解禁したらどうでせうか。それなら医学的に怪しい治療法が為される蓋然性はひくい様に思ひます。
 あと、経済学では「完全競争」が成立する条件を示してをり、財に関する完全な情報を全ての参加者がもつことがそのひとつです。選択可能なすべての治療法の (副作用などを含む) 効果について患者が完全な情報をもたないなら、完全競争市場は実現しないでせう。
 NATROM さんがおっしゃる、「自由競争」は「完全競争」ではないのではないかと思ひます。完全に自由な市場を実現するためには、前提条件を成立させることが先づ必要です。

akjimakjim 2012/03/20 17:23 まず保険の適用が遅いというのもあります。歯医者などはこの保険適用外の仕事が儲かるようで特に資格も要らずインプラント手術を目的とした歯医者が増えていると聞きます。
しかも、それもあいまってか医療ミスを聞く事も多々。自由競争というのは医療では当てはまらない。人間への臨床試験はマウス試験などを何回も繰り返しようやく人間で試すものです。
ただの競争のためでは医療関係者の人は納得しませんし、そんな事を言ってる医者の医療は誰も受けたがらないでしょう。
日本は安心、安全な食べ物や医療を受けられる事から海外でツアーまで出来ている事を知っているでしょうか。
TPPの問題は簡単ではありません。

一穴一棒へテロ一穴一棒へテロ 2012/03/20 22:07 akjim 2012/03/20 17:23 さんは書かれました:
>日本は安心、安全な食べ物や医療を受けられる事から海外でツアーまで出来ている>事を知っているでしょうか。
国内超有名観光地で屋台のお好み焼きを食べるのに、ここで食べるんでゴミ出ないように包んでもらえます?って低い声で言ったら、緊張ぎみの面持ちで応答された。食べ終わって、ご馳走様。キャベツと鰹で元気出ました。って太い声で言いながら容器と割り箸とサービスのティッシュペーパーを手渡したら、緊張した表情から、ああ元気なくなったって言われるかと思った。。ありがとう!って言ってくれた。現物取引保全。医療・金融TPP不要。

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