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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2012-10-16 読売新聞グループが紹介する「質の高い専門家」

[]読売新聞グループが紹介する「質の高い専門家」が千島学説の支持者だった 読売新聞グループが紹介する「質の高い専門家」が千島学説の支持者だったを含むブックマーク

「まちの専門家をさがせるWebガイド マイベストプロ大阪」というサイトで、「犬のアレルギー症状を改善させるプロ」と称する人がコラムを書いていた。肥満性細胞腫という犬の癌について、「抗ガン剤については、止めておかれる方が良いと思います」と書いた後に、


■犬の癌、犬の抗ガン剤について。 - 永井三千寿 [マイベストプロ大阪]

次は、血液をサラサラにする為に、ワンちゃんの腸内環境を整えることが大切かと思います。

なぜなら、腸の絨毛で血液が造られているという千島学説に照らし合わせると、腸の働きを高めることが重要となるからです。


腸がキレイになれば、そこから巡る血液もキレイになり、全身に巡る訳ですから、身体が元気になるのは、当然のことですよね?

腸というのは、身体のど真ん中にも位置し、免疫機能を司っている大切な働きをしていますし。


ドッグフードを安心、安全な物に変え、腸の働きを高めるサプリメントを活用すれば、相乗効果が上がりますしね。

それらに加えて、先ほどのようなガンに対する免疫力を上げるサプリメントを、併用すれば、さらに良くなるでしょうし。


腸の働きを高めることは重要かもしれないが、「腸の絨毛で血液が造られているという千島学説」はまったくのトンデモ学説である。詳しくは■千島学説(腸内造血説)に関するFAQで論じた。高校レベルの生物学の知識があれば千島学説のおかしさは理解できる。つまり千島学説に肯定的であることは、ごく基本的な生物学の知識すらないことを意味している。

犬の抗がん剤治療については私はまったく知らないのでノーコメントである。しかし、人間の臨床において、千島学説などのトンデモ学説の信奉者や、効果の明確でないサプリメントを売りつける業者が、医学的な知識なしに無責任に「止めておかれる方が良い」などと抗がん剤治療を否定することがしばしばあることは指摘しておこう。

引用元では「腸の働きを高めるサプリメント」「ガンに対する免疫力を上げるサプリメント」の部分がハイパーリンクとなっており、このコラムの筆者である永井三千寿氏が店舗責任者である「犬のアレルギー専科」というサイトに飛ばされる。私が読んだ限りでは、これらのサプリメントが「腸の働きを高める」「ガンに対する免疫力を上げる」という根拠は書かれていなかった。もし人間用であれば薬事法に抵触するように私には思われる。



■犬のワクチンって本当に必要なのでしょうか? - 永井三千寿 [マイベストプロ大阪]

人間のワクチンについても、そうですか、不要論を唱える方々がいます。


私が、会員となっている「千島学説研究会」に参加されている医師たちは、インフルエンザワクチン、最近、TVなどで取り上げられている「子宮頸ガンワクチン」などは、毒を打つようなものだから、必要ないと断言されています。


しかも、子宮頸ガンワクチンについては、「不妊ワクチン」とも揶揄されるぐらいですから。


(中略)


今回のテーマ、犬のワクチンについても、インターネット上に様々な情報が出回っています。


また、獣医が「犬のワクチンは、3年に1回で良い?」ということにも、意見を書かれています。


上記のリンクについては、お読み頂いている方の判断に任せますが、私は、去年から愛犬へのワクチン接種を行わなくなりました。

人間でも不要と言われているワクチンを、本当に、小さな犬、動物に必要なのか?、分からなくなったからです。


人間のワクチンについての不要論であれば私もよく知っている。『「千島学説研究会」に参加されている医師たち』は、なるほど、ワクチンは必要ないと断言するかもしれない。なんたって、病原体は自然発生するという説を信じているような人たちである。個々のワクチンについての要否は検討されるべきであるが、ワクチン一般が不要であるという論には科学的根拠が無く、専門家には相手にされていない。千島学説や「子宮頸ガンワクチンは不妊ワクチンだ」というデマを信じてしまう人が支持してるだけである。

犬のワクチンの必要性については私は専門外なのでわからない。しかしながら、狂犬病の予防接種については法律によって義務となっているのではなかったのか。「去年から愛犬へのワクチン接種を行わなくなりました」というのは問題があるように思われる。しかも一飼い主の意見ではなく、「専門家」を称する人のコラムなのだ。専門家であれば明確な根拠を提示してもらいたい。

以上、このコラムを書いた「犬のアレルギー症状を改善させるプロ」には多くの問題があるように思われる。基本的な生物学の知識に乏しく、科学的根拠のない学説に肯定的である一方、標準的な医学に対して否定的で、しかも効果の明確でないサプリメントを売りつけている。よくあるパターンであり、これだけなら私は記事にしなかったであろう。記事にした理由は、この「犬のアレルギー症状を改善させるプロ」が読売新聞グループのお墨付きを得ているからである。

■マイベストプロ大阪とは? | まちの専門家をさがせるWebガイド・マイベストプロ大阪によれば、「マイベストプロ大阪とは…読売新聞グループが運営する、おおさかの専門家・プロを探せるWebガイド。」である。「審査を通過した質の高い専門家のみ掲載!」されているそうだ。「千島学説研究会」の会員で、予防接種を否定し、「ガンに対する免疫力を上げるサプリメント」を売る業者が、質の高い専門家とみなされているわけである。



f:id:NATROM:20121016174643j:image

審査を通過した質の高い専門家のみ掲載!


具体的な掲載基準は発見できなかったが、「実際にお会いして取材」「掲載者の思い、顔が見える」*1などが述べられていた。しかしながら、他の専門家によるチェックはなさそうである。「犬のアレルギー症状を改善させるプロ」の例は獣医学の専門家がチェックしていれば掲載は容易に防げたであろう。(個人的に意見を述べさせてもらえば、全国紙の新聞記者なら別に獣医学の専門家でなくても、「犬のアレルギー専科」のサイトをざっと見て「これはなんか怪しい」と感じるぐらいのリテラシーは持っていただきたい)。

読売新聞グループは、「実際にお会いして取材」「顔が見える」なんてものはあてにならず、他の専門家によるチェックが重要であることを今まさに痛感しているところだと思う*2。「定期的な見直しにより、信頼性の維持・向上にも努めている」そうであるから、これを機会に「犬のアレルギー症状を改善させるプロ」が信頼に値するか否か、検討していただきたい。


f:id:NATROM:20121016174634j:image

安心と信頼、実績の読売新聞グループの運営です



関連記事

■千島学説と火星の運河

■「ガンはうかつに治療するな」は本当?

*1:URL:http://mbp-osaka.com/information/promise.html

*2:当時、「iPS細胞(新型万能細胞)から心筋細胞を作り、心不全患者に細胞移植の治療を行った」との読売新聞による報道が誤報であったことが判明した。

循内勤務医循内勤務医 2012/10/16 19:16 >読売新聞グループは、「実際にお会いして取材」「顔が見える」なんてものはあてにならず、他の専門家によるチェックが重要であることを今まさに痛感しているところだと思う。
吹きました。

えるだえるだ 2012/10/16 19:33 いつも思うのだが、経済学だろうが物理学だろうが解を出すには限定的な状態を推定しなければいけないのに、生物なんて個体差が著しいものに対して絶対普遍の解があるだなんてどうして信じちゃうんだろう?
みんながみんな医学知識に詳しくなるのは無理だけど、考え方くらいは学校で教えてもよいと思うんだ。

cugelcugel 2012/10/16 23:15 こういったサイトや情報誌については、掲載に広告料をとっている場合は「紹介に当たっては広告料をいただいています」といった告知が義務化されるといいのにと思います。
(あんまりひさしぶりで、以前コメントした時にどういうハンドルにしたか忘れてしまいました。すみません)。

cinnamon diarycinnamon diary 2012/10/16 23:47 http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000002469.html
電通(子会社?)とのコラボのようです。
初期費用50000 月々10000で 、読売新聞のお墨付きのようです。

NATROMNATROM 2012/10/17 08:14 要するに、信用を切り売りしているのでしょうね。

ウオークドントランウオークドントラン 2012/10/17 18:55 昔、地方の新聞社で広告審査をやってました。
マイベストプロは広告ですね。いろんな新聞社がWebでやってます。
しかし、記事の例はひどすぎますね。
読売は新聞本紙でも掲載するのでしょうかねえ。
この広告で被害が出て、もし裁判になったら読売もただでは済まないレベルだと思いますよ。
もちろんこれを掲載する新聞社ほとんどないとは思いますが、まあ、読売ですからねえ。

antant 2012/10/18 17:28 以前史輝出版の件で多少騒がれた記憶が。
その後一時その手の出版社の広告が随分と減りましたが、今では堂々と似た様な本の広告が全国紙の広告を賑わしています。
彼ら(新聞社)の云い分ですと、広告の真贋性は広告主が負うべきものなんだそうで。
でもこれ自分たちが審査していると言ってますから、そのような言い逃れは出来ない。
ま、科学のシロートだから、とか専門家(どんな専門家なのやら)が大丈夫と言ったからとか、のらりくらり言い逃れるんでしょうけど。
いっそ、我々は金が目当てでこんなことやってるんだよ、と言ってもらった方がすっきりするんだけどなぁ。
あと読売だけじゃないでしょ。
分野は違いますが、フクシマの件で毎日がクリス・バズビーのインタヴューを載っけたのにはぶったまげました。
インタヴューするなら、相手がどんなヤツかくらい裏取りすれば良いのに。
もちろんフォローは無し。
どこも大差ないんじゃないかなぁ。

七実七実 2012/10/18 17:53 アトピー持ちの柴犬2匹と暮らしていますが、今時たいていの家庭犬にはかかりつけの獣医さんがいるはずで、アレルギーで困ったらまず獣医さんに相談だと思うんですね。動物は具合が悪くても言葉でそれを伝えられませんし、飼い主ができることはアヤシゲな「専門家」にかぶれることではなく動物の様子をよく観察して獣医さんの指示のもと生活環境を調整していくことが正道でしょう。そもそも犬は検査で特定できるアレルゲン以外が原因となっていることが多いので、私なら素性のはっきりしないサプリメントなんて怖くて与えられないですね。

ibenitanibenitan 2012/10/19 12:27 動物用医薬品、部外品などについても、薬事法の公告規制は人用と全く同じだと思います。
参考:(一社)ペットフード協会 ペットフードと薬事法の関係
http://www.petfood.or.jp/statistics/rule/index.html

こういう公告を抑制するには、公告には必ず通報窓口を明記するように法律を改正するとか、抑制する仕組みが必要だと思います。

cancer_mastercancer_master 2012/10/23 01:04 ttp://www.inualle.com/main/kaisya.html
最終学歴は関西大学「商学部」卒業らしいです。
最近は商学部で動物の医療関係資格が取れるのでしょうか。

tadano--rytadano--ry 2012/10/23 18:35 http://www.kenko-s.net/index.htmより引用

=========================================================================
 そして、2010年に出合いました千島学説で、小腸造血説を下に、いかに血をキレイにするかで、アレルギーをはじめとする病も、軽くなることが分かってきました。
 それぐらい、腸というのが大切であり、様々な免疫に関わっているので、腸の状態を整えつつ、舌下減感作療法的な対策も必要だと考えるようになりました。

えるだえるだ 2012/11/01 23:16 血液で思い出したけど、
http://www.popsci.com/science/article/2011-09/study-finds-injecting-old-mice-young-mouse-blood-has-rejuvenation-effect

これってどれくらい信憑性あるん?
一年前の記事だと思ったらまた最近流れてるようだけど。
http://rocketnews24.com/2012/10/19/258768/

2012-10-15 「ガンはうかつに治療するな」は本当?

[][]「ガンはうかつに治療するな」は本当? 「ガンはうかつに治療するな」は本当?を含むブックマーク

ツイッターで「ガンはうかつに治療するな!」という主張が流れてきた。まあ癌の種類や病期や患者さんの状態によっては確かにそうなんだけど、例によって標準医療を否定する内容であり、うかつに信じる人がいたらヤバそうな内容であった。転載ばかりでどこが引用元なのかはよくわからないのだが、その中の一つから引用しよう。


「日本では例外なく手術もしくは放射線治療される」という主張は誤り

■ <がんと共生するために> - 免疫力を高める

日本でガンになった人に、「何もしないというのも選択肢」といえば呆れて怒り出すかも知れません。

ところが、ガンが見つかっても何もしないというのは、ごく当たり前の主要な選択肢なのです。

それどころか、「ガンはうかつに治療するな」はごく一般的選択肢のひとつです。

とくに前立腺癌はほおって置いても害がないから、何もしない、何もする必要がないという見方が、主要な選択肢なのです。前立腺癌を放置しても、どうもならないことが海外ではわかっているからです。普通に最後まで生活できるのです。


前立腺がんに対し無治療で経過観察するという選択肢があるのは事実であるが、「前立腺癌を放置しても、どうもならないことが海外ではわかっている」というのは不正確である。どうもならない場合もあるし、途中で治療が必要になる場合もある。また、海外だけでなく、日本でだってそんなことはわかっている。


日本の病院の医師は、現在の治療では、抗ガン剤、放射線、手術がベストだといいます。 そして、100%、医者は患者を抗ガン剤漬け、放射線漬け、手術漬けにしていきます。

スウェーデンで、早期前立腺ガンの患者223人を『まったく治療せず』、10年間経過をみた結果、その間に124人が死亡しました。

しかし、ガン死だったのは、わずか19人(8.5%)。よって、研究者たちは「手術による前立腺全摘は標準的治療とはいえない」と結論付けています。

日本では、前立腺ガンで病院を訪ねると例外なく切られる、あるいは放射線を浴びせられる。

しかし、スウェーデンの医師たちはこれらの治療を「必要ない」という。だから、スウェーデンの前立腺ガン治療は「何もしない」で様子をみるだけなのです。


「日本では、前立腺ガンで病院を訪ねると例外なく切られる、あるいは放射線を浴びせられる」というのは誤りである。日本における前立腺癌診療ガイドラインから引用しよう。


f:id:NATROM:20121015161031j:image

前立腺癌治療のアルゴリズム(■Minds医療情報サービス内のページより引用)


日本においても前立腺癌に対して無治療経過観察は選択肢の一つとされている。「100%、医者は患者を抗ガン剤漬け、放射線漬け、手術漬けにしていきます」「例外なく切られる、あるいは放射線を浴びせられる」と書いた人は、日本の医療についてまったく知らないか、あるいは知らない人を騙そうとして意図的に嘘をついたかのどちらかであろう


「スウェーデンの前立腺ガン治療は何もしないで様子をみるだけ」という主張は誤り

スウェーデンの事例は興味深いので調べてみた。当然のごとく参考文献などは明示されていなかったが、223人中19人というヒントから元論文と思われるものを発見できた。1992年とやや古いがJAMAというわりといい雑誌に掲載されている。


■High 10-year survival rate in patients with e... [JAMA. 1992 Apr 22-29] - PubMed - NCBI


サマリーのみ読んでみた。早期前立腺がん223人を追跡したコホート研究で、追跡期間の中央値は123ヶ月で約10年間である。223人中19人(8.5%)のみが前立腺がんで死亡、124死亡例のうち105人(85%)が他の死因だった。間違いなく元ネタになった論文である。223人中124人の死亡は多いように思われるが、おそらくはコホート集団に占める高齢者の割合が多いことに由来するのであろう。

「前立腺癌を放置しても、どうもならないことが海外ではわかっている」という主張が不正確であることは、この論文からわかる。この論文によれば10年間の無増悪生存率は53.1%である。つまり、早期前立腺がんを放置すれば10年間で半数近くが増悪する。「早期前立腺ガンの患者223人を『まったく治療せず』」「スウェーデンの前立腺ガン治療は「何もしない」で様子をみるだけ」というのも誤りである。論文によれば、症状が生じた場合はホルモン療法(睾丸摘出術またはエストロゲン投与)を行ったとある。

また、ごく当たり前の話であるが、症状があったり、進行していたりした場合は、スウェーデンであっても手術や放射線療法を行う。European Association of Urology(ヨーロッパ泌尿器科学会)のGUIDELINES ON PROSTATE CANCER(前立腺がんガイドライン)*1では、「治療延期(注意深い待機)」の他に、根治的前立腺摘出術、根治的放射線療法、ホルモン療法が治療の選択肢として挙げられている。日本におけるガイドラインと大差ない。


誰が騙しているのか

以上、海外では日本と異なり癌に対して積極的な治療を行わないという主張が誤りであることを示した。こうした主張を患者さんが信じてしまうと、適切な治療が行われない恐れがある。癌に対して積極的な治療を行わないほうが良い場合もあるのは確かであるが、主治医と相談して決定されるべきものである。

「100%、医者は患者を抗ガン剤漬け、放射線漬け、手術漬けにしていきます」という文章からは、日本の医師にかかるべきではないというメッセージが読みとれる。単なる無知と善意による場合もあるのだろうが、標準医療を避ける代わりに代替医療を選択させることで利益を得る人たちがこうしたメッセージを広めている。

最初の引用は、「すてきに活き活きホルミシス健康館旬(ときめき)亭」というサイトから行った。1500円から「免疫力を高め、自己治癒力を引き出すホルミシスルーム」を利用できるそうである。「細胞膜の若返りを促進し、脳細胞、内臓、血管などの機能を回復します」と効果を謳っているが臨床的には効果は証明されていない。「医猟の殺人罠に騙されるな」などと言っている人たちは、現代医学を否定することで利益を得る業者に騙されている可能性についてはあまり考慮しないようだ。



関連記事

■それはホルミシス効果なのか?東電顧問・加納時男氏のインタビュー

■船瀬俊介氏「日本の平均寿命統計は捏造である」

*1:URL:http://www.uroweb.org/gls/pdf/Prostate%20Cancer%202010.pdf

tenhorenhotenhorenho 2012/10/15 21:23 たぶん発端は近藤 誠氏の「がん放置療法のすすめ」あたりじゃないですかね。まああの方の著作では放置すべきがんと積極的に治療すべきがんを分けていましたが。

とおるすがりとおるすがり 2012/12/05 11:03 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121203-00000025-pseven-soci
今度は、肺がんの死亡者数は放置した方が少ないそうです。

att460att460 2012/12/07 23:33 >今度は

十年一昔といいますが、医学の進歩を無視して20年以上前の古いデータで断定されても(呆)

http://www.jacr.info/publicication/Pub/m_17/m_17_7-4.pdf
を見ると、(特に早期の)肺がんの生存率は結構向上しているようで。

NATROMNATROM 2012/12/08 08:03 死亡が増えるかどうかはともかくとして、肺がん検診が癌死を減らさないという話自体はあります。がん検診については近藤誠氏も正しいこともわりと言っています。胃がん検診を諸外国がしていないのは胃がんの罹患率の差で説明できそうですが、日本の公的な肺がん検診は再評価(もちろんRCT)したほうがいいかもしれないと思います。