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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2013-02-28 相変わらずの血液型の話題

[][]相変わらずの血液型の話題 相変わらずの血液型の話題を含むブックマーク

最近、血液型と性格の関連についての話題をよく見る。たとえば「ヒトメボ」というサイトからエキサイトニュースに紹介された記事。


■B型の祖先は遊牧民? 世界で共通する血液型と性格の関係(ヒトメボ) - エキサイトニュース

「血液型と性格の分析は日本が最も盛んで、海外ではそこまで主流ではありません。これは、日本ではA・B・O・ABの血液型分布が平均的で調査が容易だったからと考えられます。一方、最近の欧米諸国では、血液型と遺伝子研究などの体質的な因果関係を分析することが行われるようになりました」(血液型人間科学研究センター・市川千枝子さん)

(中略)

「これら地域による分布の偏りや、現在世界の遺伝子研究などで分かってきたことを考え合わせ、少しずつ事実をつかんでいます。これらのメカニズムは未だ研究進行中のため、あくまで仮説段階ですが、海外と日本の研究点で一致するのが下記の特徴です」(同)


以下、「O型:人類初期における狩猟、採取民族に代表される血液型」「潰瘍、コレラ、ペストなどの病気にかかりやすく、梅毒や結核などの感染症や他、全般的に病原菌に強い傾向」、「B型:遊牧生活に適応してきたとされています」「免疫学的には肺結核、インフルエンザ、梅毒などの感染症には弱く、コレラ、天然痘などにかかりにくいと言われています」などと続く。これらの主張は以前から藤田紘一郎や竹内久美子が言っていたことと似たり寄ったりである。というか違いを見いだせない。

ABO式血液型が感染症を含めていくつかの疾患と関連しているというのは事実である。しかしながら、ヒトメボで主張されているような関連の多くは、明確な根拠に乏しい。「海外と日本の研究点で一致する」というのはただのデマカセだと思う。原著論文を示してもらわない限り、私は信じない。

知識もアップデートされていない。2009年にABO式血液型と膵臓癌の関係についての論文がトップジャーナルに発表された*1。しかし、「ヒトメボ」の記事には膵臓癌についての記載は無い。市川千枝子氏は新しい研究の成果を得る努力などはせず、過去になされた根拠に乏しい主張を繰り返しているだけのようだ。

市川氏は、血液型人間科学研究センター所長という肩書で「識者」*2として紹介されているため、読者の中には信じてしまう人もいるかもしれない。しかし、実態は代表的なニセ科学である「血液型人間学」の継承者である。「末っ子のO型はとくに注意 マザコンになりやすいのはOとA」*3とか、「まさかの浮気しがちはA型妻 不倫に走りやすいのはB型説」*4とかいう主張を見るとよりはっきりする。

血液型人間学のような、いったん世間に受け入れられてしまったニセ科学を排除することはできない。できることは、定期的に批判を繰り返し、注意を促すことぐらいだろう。



関連記事

■パラサイト式血液型診断〜藤田紘一郎

■血液型ダイエット by ダダモ

*1:日本語で読める情報はたとえばここ。■膵臓癌リスクは、血液型を決定する遺伝子の変異に関連している | 海外癌医療情報リファレンス

*2:URL:http://www.tokiomonsta.tv/news/rel_expert.php?eid=150&p=1

*3:URL:http://www.excite.co.jp/News/column_g/20120813/Postseven_136212.html

*4:URL:http://www.excite.co.jp/News/column_g/20120808/Postseven_135892.html

nobuotakahashinobuotakahashi 2013/03/01 18:37 「血液型人間科学研究センター所長」は十分アヤシイ雰囲気を漂わせているのが、せめてもの救いですね。そういえばABO Fanはどうしているかと見に行ったら、まだやってました。そりゃそうか。

血液型の診断血液型の診断 2017/04/30 11:07 血液型の診断(例えば輸血のため)は、(「血液型という治療の必要がない事実」を診断している、という厳密な意味で)過剰診断です。「輸血可能か、どうかが分かる」という意味で、この過剰診断にはメリットがあります。

NATROMNATROM 2017/04/30 11:12 血液型は疾患でありませんので、血液型を検査することは過剰診断ではありません。

治療の必要のない疾患治療の必要のない疾患 2017/04/30 11:24 では、過剰診断の定義は「治療の必要がない疾患」を見出すということですか?
「治療の必要のない疾患」などというのは語義矛盾でしょう。
このような語義矛盾を含むような概念を乱用していることが誤解を招いている、という反省が(医学界に)足りないようですね。

正しくは正しくは 2017/04/30 11:30 「現在の医療技術では適当な治療法がない疾患」を見出すこと、と言えばよろしい。
適当な治療法がないというのは、例えば、「コスト(金)が掛りすぎる」ということも含まれます。

NATROMNATROM 2017/04/30 11:39 過剰診断の定義は「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」です。[「過剰診断」とは何か http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20150324 ]で詳しく説明しています。

語義矛盾のように見える人もいるのでしょうが、たとえば検診では発見された乳がんのうち20-30%ある、将来に症状や死亡を引き起こさないものをどう呼ぶべきでしょうか。なにかよい呼び方はありますか。症状や死亡を引き起こさなくても、それは病理学的には確かに乳がんなのですから、それは疾患と呼ぶのは適当であると考えます。

ちなみに「現在の医療技術では適当な治療法がない疾患」と過剰診断はまったく異なります。

ublftboublftbo 2017/04/30 13:58 今日は。

“「現在の医療技術では適当な治療法がない疾患」” を過剰診断と呼ぶとすると、たとえば、症状を訴えて発見された、手の施しようが無い膵がんなども、「過剰診断」と呼べてしまう事になりますね。

見つけられた疾病に対して有用な治療法がどのくらいあるか、というのは、検診の効果に関わる部分です。

“「治療の必要のない疾患」などというのは語義矛盾” これは、「治療の必要/不必要」のどちらかと当該の「疾患」との結びつきが排他的である場合です。「同じ疾患名でも治療が必要な場合とそうで無い場合がある」のであれば、区別する事は、おかしくありません。疾病の経過の予測というのは、疫学に基づいており、不確定な部分がありますから、治療の要否を完全に把握して、不要なもの のみを疾患として分類する、事は不可能でしょう。

uchitode2014uchitode2014 2017/04/30 22:09 過剰診断の話はなかなか理解しにくいですが、以下のコメントで、1つ理解が進みました。
>「現在の医療技術では適当な治療法がない疾患」と過剰診断はまったく異なります。

ublftboublftbo 2017/05/01 07:28 お早うございます。

過剰診断をシンプルに表現すると、
「症状が出る前に他の原因で死ぬような病気を発見」
する事です。

なのでたとえば、90歳の人が、進行の速い がんに罹った場合、それも過剰診断となる可能性がある訳です。他の病気で死ぬ可能性が高いからですね。
それを踏まえると、診断(発見)時点で過剰診断かを判断するのは不可能である、と言えます。従って、RCTなどを用い、統計的に程度を見出すのが、疫学における方法です。

個人レベルで過剰診断が判明するのは、厳密には、「他の原因で死ぬまで経過観察」出来た場合ですが、通常はそういう事はおこなわれないでしょう。

uchitode2014uchitode2014 2017/05/03 11:56 確認ですが、下記は「進行の遅い〜」でしょうか。
>90歳の人が、進行の速い がんに罹った場合、それも過剰診断となる可能性

ublftboublftbo 2017/05/03 22:30 今晩は。

uchitode2014 さん(Wrote:2017/05/03 11:56)
▼ 引  用 ▼
確認ですが、下記は「進行の遅い〜」でしょうか。
▲ 引用終了 ▲
「速い」ですね。

高齢の人は寿命が短いので、若い人ならその病気の症状が出るような進行の速さであっても、高齢の場合だと、症状が出る前に他の原因で死ぬ蓋然性が高い、というような意味合いです。

つまり、過剰診断は、単に進行の速さだけでは無く、見つかった時の大きさや、罹る人の、他原因による死亡のリスク、も併せて考える必要のある概念、という事ですね。

Welch と Black の論文では、
▼ 引  用 ▼
Thus, even a rapidly growing cancer may still represent overdiagnosis if detected when it is very small or in a patient with limited life expectancy.
▲ 引用終了 ▲
(https://academic.oup.com/jnci/article/102/9/605/894608/Overdiagnosis-in-Cancer)

このように説明されています。

uchitode2014uchitode2014 2017/05/07 09:45 返信ありがとうございます。
下記過剰診断の説明の続きの話をされていたのですね。
"2) the cancer progresses slowly enough that the patient dies of other causes before the cancer becomes symptomatic."