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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2014-06-10 メタモル出版から本を出したわけ

[][]メタモル出版から本を出したわけ メタモル出版から本を出したわけを含むブックマーク

■「ニセ医学」に騙されないためにを出すにあたって、なぜメタモル出版からなのか、疑問に思われた方もいたようである。もっともな疑問である。


怪しい出版社から執筆依頼メールが来た

これまでも「本を書きませんか」というオファーは何度かあった。名前ぐらいは知っている、とある出版社からブログについて「書籍化の可能性はないものか」というメールをいただいたこともある。しかし、「実際にお会いしてお打ち合わせ」できないか、という段階で問題が生じた。出版社は東京にある。実績のある著者の本ならともかく、一ブロガーの本の企画段階で九州までの出張費は出ない。というわけで、残念ながらこの話はご縁がなかったことになった。他にもちょこちょこ出版の話はあったが、たいていは自費出版を勧めるスパムまがいのものであった。

そんなとき、「執筆のお願い」というメールをいただいた。メールの差出人は「メタモル出版」とある。あまり聞かない名前である。どのような出版社であるか、検索して調べてみた。メタモル出版のウェブサイトの既刊書案内には、「元気健康ブックス」(読んで治す・納得する健康法を紹介)や、「危険・警告ブックス」(安全と信じられても実は体によくないものかも)や、「水シリーズ」(健康も身近な水から)などが紹介されていた。嫌な予感しかしない。実際の書名は以下のようなものである。


f:id:NATROM:20140607121917j:image

これあかんやつや


「執筆のお願い」というメールを、そっと閉じた。返事はしなかった。



怪しい出版社はまともな本も出していた

それきり忘れていたのだが、二ヶ月ぐらいして、また「執筆のお願い」メールをいただいた。要約すると、「弊社はニセ医学的な本も出してきたので怪しいとお思いになられているかもしれない。しかし、きちんとした内容の本も出している」というものであった。怪しいと思ったのはその通りである。「きちんとした内容の本」については、そういえば一通目のメールにもそんなことが書いてあったような…。完全にスパムと判定していたから読んでいなかった。「きちんとした内容の本」の例として挙げられていたのが『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』である。


cover

■小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK‐間違った助言や迷信に悩まされないために 森戸やすみ(著)


この本が決め手であった。この本の想定読者は、普通のお母さん/お父さん方である。「頭の形がいびつなのが心配」「母乳に食べたものの味が出るってほんとう?」「おしゃぶりはよくない?」といった育児中の親の不安・疑問に対して、簡潔にわかりやすく答えている。著者の森戸先生自身による、かわいいイラスト付き。必要に応じて医学文献の提示もなされている。確かに「きちんとした内容」の本であった。

加えて、単に「きちんとした内容」であるだけではなく、お母さん/お父さん方がプレッシャーから解放されて楽しく育児できるようにという思いが読みとれた。完璧な子育てを目指して疲れてしまうより、赤ちゃんと楽しく遊ぶほうがずっと大切である。著者自身の経験も通じて、頑張りすぎなくてもよいというメッセージを伝えている。長く読まれるべき本であると思う。

出版社そのものはともかく、この本の出版に関わった人たちは信用できそうであると判断した。懸念があるとしたら、「ニセ医学」の本を出している出版社から「ニセ医学」を批判する本を出すのは、マッチポンプになりはしないか、という点である。出版社の商業主義にうまいこと乗せられているのかもしれない。ただ、その可能性はそれほど高くはなさそうだ。こう言っては失礼だが、メタモル出版から出版された「ニセ医学」本は多数あるが、ベストセラーと言えるものはあまりなさそうである。そもそもマッチポンプと呼べるほど燃えていない。「ニセ医学」批判本も売れるとも限らないし。

出版社が意図的にマッチポンプを行っているのではなく、怪しい本を出している出版社の中にも良い本を出そうとしている人たちもいるのだと思われた*1。それならば、そういう人たちを応援したいと考えた。これが、メタモル出版から本を出した理由である。



関連記事

■「ニセ医学」についての本を書きました


外部リンク

■「育児の不安」解決BOOKはオススメよ(書評) - とらねこ日誌

*1:ちなみに「育児の不安」解決BOOK以外にも、専門医ママシリーズとして計3冊が出版されている。どの本も読む価値がある

一博士一博士 2014/06/10 21:56 出版社で決めてしまうというのは良くないのかも。
小学館、岩波、elsevierなどがいい本ばかりを出しているかというとそうでもないですし。

得てして、本当に読んでほしい読者には届かないという問題を、多くの先生方が抱えているようです。が、「売れる本」であれば、出版社もそちらに傾いていくわけですから、まともな本が多く売れることを期待します。

ひとごとひとごと 2014/06/11 06:52 本になると、図書館に入る。長い期間、誰かの目に止まる。図書館の選定基準は・・・

甕星亭主人甕星亭主人 2014/06/11 07:21  其処迄して著書が欲しかったのかなあ。 怪しげな出版社からの上梓ってだけで手が伸び無い読書人が大多数だと想うんだが。 勘違いして飛んでも本愛好家が購うかも知れんけれど。 硬派の真っ当な著述なのに勿体無い。

NのひとNのひと 2014/06/11 11:53 で、ネットの力で売れて発言力が増したら「「牛乳〜」「ミネラル〜」などは出版差し止めろ。増版していいかどうか基準は俺が決める」と交渉をはじめる公算まで組んであるということなんでしょうか…? 将来どこを軸足になさるおつもりか不明ですが、外からみればNATROM先生のお仕事もセンセーショナルなタイトルで売る出版社が「またやってる」シリーズの一つに組み入れられるだけでは。

NATROMNATROM 2014/06/11 17:04 出版差し止め要求なんてできるわけがありませんよねえ。トンデモ説でも主張するのは自由、出版するのも自由です。だから、カウンター情報を出していくしかないのです。

shinzorshinzor 2014/06/11 17:33 これもまた,薬の選択同様,功罪を比較考量しなくてはならない,グレーゾーンの判断かと。功罪どちらが勝るかは,結果が出ないと分からないところも有ります。簡単に白黒付ける人もいますが。

kerokero 2014/06/12 01:12 ちなみに 三五館 サンマーク、 三笠、マキノ出版、あたりからは出版の打診は来たのでしょうか?

7$¥ナナシー7$¥ナナシー 2014/06/12 01:21 出版社からの献本も10冊単位とかになるでしょうから、病院の待合室にこの本が多ければ、そこがNATROMさんの勤務先ってことに...(笑)。

リクエストが多ければ購入を考えるようですので、図書館で読みたい人は人を募って、リクエストをしましょう。

鹿狩り鹿狩り 2014/06/27 12:35 んーなんだかなあ。
この本結局騙されてる人にも騙してる人にも届いてないよね。そういう人こういうの絶対読まないから。
ニセ科学批判同好会の仲間でお互いの俳句褒め合うだけになっちゃってるので世界を少し良くしたいなら直接対決でもしてみたらどうですか。良くしたいならですけど

NATROMNATROM 2014/06/27 13:15 「騙されてる人にも騙してる人にも届いてない」のいうのはその通りですね。

「直接対決」なら、わりと私はしているほうだとは思いますが、それはそれとして、「直接対決」したら、「騙されてる人にも騙してる人に」届いて世界が良くなるかっていうと、そうでもないんですね。たとえばの話、「ニセ医学」の提唱者と対談なりの「直接対決」してコテンパンに論破したとしましょう。それで、騙してる人が改心するかっていうとしないでしょう、騙されている人が考え方を変えるかっていうとそれも難しいと思います。

どうしようかなと迷っていた人に、『やっぱり「ニセ医学」は止めとこう』と思わせるぐらいのことはできるでしょう。ただそれは、本を書くことでも達成可能です。

十六夜十六夜 2014/07/04 14:03 個人的には、俳句上等! いい俳句ありがとうNATROM先生。と思います。

この本、いわゆる「ニセ科学」に興味がある人の他に「医学一般」に興味がある人に読んでほしいですね。コメディカルの学生の課題図書として最適だと思います。

十六夜十六夜 2014/07/04 14:08 ついでに「メタモル出版から本を出したわけ」より「宋美玄先生推薦!」の方が気になったりしています。私の記憶の限りではNATROMさんはこの方の著書にも主張にも一度も触れたことがないように思いますが、帯で推薦文を書いていて、公式ブログでも本を宣伝しているこの有名人についてどう思われているのか…。

ちなみに本届きました。感想は後日他のエントリーで(多分、いつもの長文で)

NATROMNATROM 2014/07/04 23:29 読んでいただいて、ありがとうございます。

宋美玄先生については、メタモル出版から専門医ママシリーズの「産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK」を出しているのが直接のきっかけでしょうか。講談社プラスアルファ新書「女のカラダ、悩みの9割は眉唾」のほうが、このブログの読者には面白いと思います。そのうち書評を書くかもしれません。

出版社は…出版社は… 2014/07/16 21:08 出版社は「文化的価値のあるよい本を出版する」という社会的使命を持つ一方で、「売れる本を出版しておまんまを食う」必要があり…。手堅く売れる健康本(いわゆるバイブル本商法的なものも含めて)や、雑誌の広告収入で稼いで、そのカネで文化的な本もつくる体質のところも多かったんですよ。
もっとも出版不況により、昨今では「売れる本こそよい本だ」という風潮ですけどね。