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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2015-09-15 時系列研究でも甲状腺がん検診ががん死を減らしたとは言えない

[][]時系列研究でも甲状腺がん検診ががん死を減らしたとは言えない 時系列研究でも甲状腺がん検診ががん死を減らしたとは言えないを含むブックマーク

cyborg0012さんによる「韓国ではスクリーニングブームが始まった2000年前後から年齢調整死亡率が低下している」という主張が正しくないことを指摘するために、前回のエントリー(■韓国において、1997年から2011年にかけて、甲状腺がんによる死亡率は低下したとは言えない)を書いた。これをわかりやすく一枚の図にまとめてみた*1


f:id:NATROM:20150915081845j:image

韓国における男性の甲状腺がんの年齢調整死亡率の年次推移からは「2000年前後から年齢調整死亡率が低下している」とは言えない


Y. M. Choi(2014)*2においては、5年おきのデータしか提示されていなかったので、「2000年から2010年にかけて死亡率が低下した」と誤って解釈してしまうのは仕方がない。しかし、こうして毎年度のデータを提示することで、少なくとも「韓国では2000年前後から年齢調整死亡率が低下している」という主張は取り下げていただけるものと期待した*3。しかし、cyborg0012さんは、主張を撤回することなく、別の新しい主張を持ち出してきた。



すごいよね。正直、対話を続けようという心が折れた。説明は要らないと思うけど、いちおう突っ込ませてもらう。「死亡率増加は15年間続いてないじゃん」。1999年から2003年にかけての4年間だけでしょう。この4年間に限っても意味のある増加とは言えないことは一目瞭然でしょ。フラフラ変動していて、たまたま連続して4年間増加しているだけじゃないすか。ちなみに線形グラフでexpectedの線を過去に伸ばすと、1993年ごろに死亡率はゼロになります。

前回のエントリーを書いたときに予想したのは、「確かに2000年から死亡率が低下したとは言えない。その主張は撤回する。しかしながら、1985年から2000年にかけて死亡率は増加しており、検診が開始された2000年以後にその増加傾向が止まった。これは検診によるがん死抑制効果を示唆する」という反論である。だが、予想の斜め上の反応であった。

予想した反論に対して、既に私からは「時系列研究の一例だけをもって検診の効果を評価するのは誤りである」と指摘したが、せっかく「愛好する図」とやらを拡大していただいたので、指摘を追加しよう。検診開始年の1999年以前の死亡率の推移に注目してもらいたい。5年おきのグラフでは確かに1985年から2000年にかけて死亡率は増加しているが、毎年度のデータからは1997年から1999年にかけての死亡率の増加は明らかではない。韓国における成人の甲状腺がん死亡率の増大傾向は検診開始前には止まっているか、または、偶然の変動によって消えてしまうほどの小さいものである。つまり、時系列研究においてすら、韓国における甲状腺がん検診が甲状腺がん死を減らしたとは言えないわけである。

甲状腺がんの過剰診断の問題を理解しようとしない人たちの動機には、福島県の小児の甲状腺がんについて国家や大企業による被害隠しを許さないという正義感があるのはわかる。しかしながら、視野が狭いと間違う可能性が高くなる。甲状腺がんの問題について知りたいときは、甲状腺がんの情報だけを集めるのではなく、その周辺の情報も調べてみよう。簡単なものでいいから疫学の教科書を通読するとか、他のがん検診、たとえば乳がん検診や前立腺がん検診についての議論も調べてみるとか。不正に対抗するためには幅広く正確な知識が必要であると、私は信じている。



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*1http://e-crt.org/journal/view.php?doi=10.4143/crt.2014.110 およびその参考文献から作成

*2http://synapse.koreamed.org/DOIx.php?id=10.3803/EnM.2014.29.4.530

*3:普通はいちいちブログのエントリーに書かなくても、この図→ http://e-crt.org/upload//thumbnails/crt-2014-110f1.gif を見ただけでご理解できるであろうが

OceanBlueOceanBlue 2015/09/15 20:25 疫学以前に、統計学やデータの扱い方、サンプリングの理解が問題のような気が…(^^;。ベースが怪しければ応用問題も扱えないわけで

あかべぇあかべぇ 2015/10/03 19:59 〉簡単なものでいいから疫学の教科書

この手の話題のたびに思っていたのですが、お勧めの教科書を挙げて頂けないでしょうか。
レベルとしては、門外漢でもなんとか話題について行ける位で。
批判的に話題に参加できる、というまで望みません。それは専門家にお任せします。

以上、クレクレ君ですいませんが、よろしくご検討をお願い致します。

NATROMNATROM 2015/10/03 21:45 あかべぇさん、コメントありがとうございました。

私のお勧めは、中村好一著『基礎から学ぶ楽しい疫学』です。用語の説明が丁寧で、具体的な数字を挙げているのでわかりやすく、脚注が豊富で楽しく読めます。初版序によると、

>学部学生に疫学を教えながら、「この程度をきちんとマスターすれば疫学の単位を与えてもよいよ」というレベルの教科書が欲しかった。

とあります。著者の恩師が「自分で書きなさい」というのが常であったそうで、『公衆衛生』という雑誌に連載されたものを改稿したのが本書です。なので想定読者は、「疫学を単位を取ろうとする大学生」ぐらいです。本書の一部を[「集団寄与危険割合」って何?疫学指標まとめ。 http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20120324#p1 ]に引用しています。

att460att460 2015/10/07 12:57 本来、”韓国における甲状腺がんの過剰診断”やそれ以前の記事の方が相応しいのでしょうけど、古い記事であるのと、まぎれてしまいそうですので、こちらに

日経Goodayに下記記事が掲載されていました。

50歳を過ぎたら検査必須! 急増する前立腺がん:名医が解説! 最新治療トレンド
http://mxt.nikkei.com/?4_40279_149889_4
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100023/090200013/?ST=medical
#どちらかで読めると思います。
#全文を読むためには無料登録が必要です。

「症状が出ることはむしろ稀」と書き、「最後の最後で骨転移が現れるケースが多いのも前立腺がんの特徴です。」と書いていますが、骨転移の確率はどの程度なのでしょうか?
#骨転移の前に寿命その他で死亡する確率の方がはるかに高い気がしますが。

治療の一つとして、PSA監視療法(定期検査だけで様子を見る)も選択肢に記載しています。
PSA監視療法の半分以上が、5年以内に治療を開始するそうですが、トップに挙げている理由が「不安になるからです」。2番目に数値の悪化を挙げていました。
やはり、がんと診断されるストレスはかなり多いのですね。それぞれの割合が気になります。大部分が不安からの手術だったりして...


「前立腺がんの多いアメリカでは、50歳以上の男性は7割以上がPSA検査を受けている」とも書いていましたが、効果が怪しいから、以前書かれていた「検診や早期発見そのものに対して否定的」という論文が出たのでしょうね。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20150630#20150630f5


インタビューを受けている先生は、毎日前立腺がんを見ているので、バイアスがかかっている気がします。

NATROMNATROM 2015/10/08 17:47 コクランによると、メタアナリシスでは前立腺がん検診はがん死を減らさない、ただ一つのRCTのみががん死を減らしたことを報告した、とあります。なぜかはわかりませんが、コクランは予防医療(検診やワクチン)に対してやや厳しめの評価を下す傾向がある気がします。

「前立腺がん検診は有効だぜ」派の人たちの言い分は、「検診の有効性を検証する研究において、対照群の人たちも(研究とは別に)検診を受けちゃうから有意差が出ないのだ」、というものです。なにせアメリカ合衆国では「50歳以上の男性は7割以上がPSA検査を受けている」そうですから。対照群に振り分けられたからといって、「君、勝手に検診受けないでね」って強制するわけにはいきません。前立腺がん検診の有効性を示したのはヨーロッパの研究です。アメリカ合衆国と比べて前立腺がん検診があまり普及しておらず、ちゃんと対照群の人たちが検診を受けないままでいたため、実際の検診の効果が評価できたのだ、というのが「有効だぜ」派の主張。一理あるとは思います。

「骨転移の確率」は探せませんでしたが、骨転移も含む転移全体の確率は論文がありました。前立腺がんががん死を減らしたことを示すただ一つのRCT研究の派生論文です。

Screening for prostate cancer decreases the risk of developing metastatic disease: findings from the European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer (ERSPC).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22704366

55歳から69歳の男性(ヨーロッパ人)36270人を、PSAによる検診を行い12年間フォローアップすると、3940人が前立腺癌と診断される(10.9%)。そのうち、256人が転移性の前立腺がんになる。256人のうち、前立腺がんの診断時にすでに転移があるのが121人、フォローアップ中に転移が確認されるのが135人。一方、PSAによる検診を受けない群では、40543人のうち、2744人(6.8%)が前立腺癌と診断される。そのうち、410人が転移性の前立腺がんになる。410人のうち、前立腺がんの診断時にすでに転移があるのが280人、フォローアップ中に転移が確認されるのが130人。(ちなみに、前立腺がんによる死亡は、検診群と対照群でそれぞれ121人と198人)。


検診群では、前立腺がんと診断されるほうが多いけれども、転移性前立腺がんと診断される人は少ないです。有効ながん検診の典型的なパターンです。「早期発見して早期に治療介入したから、転移にまで至る人が少ないんだ」と解釈できます。大雑把に言って、12年間で、検診を受けていれば、10万人中1万人が前立腺がんと診断され、700人が転移性の前立腺癌になります。一方で、検診を受けていないと、10万人中7000人が前立腺がんと診断され、1000人が転移性の前立腺癌になります。

改めて調べてみたら、わりといい感じです。そりゃ、泌尿器科の先生は検診を推すよね。ただ、これは「検診の効果が一番高かった研究」の成果です。「検診ダメだった」という研究もあるわけで、その辺の解釈が難しい。

そじおじさんそじおじさん 2015/10/09 08:37 「福島の子供の甲状腺がん発症率は20〜50倍」 津田敏秀氏ら論文で指摘
http://m.huffpost.com/jp/entry/8262682
こんなニュースをみつけました。
>津田氏は「精度向上や過剰診断ではせいぜい2〜3倍、あるいは6〜7倍、1桁の上昇しか説明できない。統計学的な誤差の範囲もはるかに超えている」と、国や福島県の姿勢を批判した。
とありますが、先日のNATROM先生のエントリを拝見した限りでは、やはり過剰診断じゃないのかなあ、と思ってしまいます。
しかしわざわざ不安を煽るメリットもなかなか感じられない気がしますし、大学教授(いろんな人間がいるのは承知しているつもりですが)が会見を開いて説明されていることですから、NATROM先生はどのようにお考えなのか、教えて戴けるとありがたいです。
環境疫学と言われると、なんだか胡散臭さを感じてしまうのですが….

NATROMNATROM 2015/10/09 09:26 福島県の小児の甲状腺がんについては、信頼できる対照群が存在しないので、現時点では明確な結論を出すことはできません。小児においてもけっこうな過剰診断が存在すると仮定しても、あるいは被曝による真の増加がけっこうあると仮定しても、現在のデータは説明可能です。

とは言え、推測ぐらいはできます。福島の被曝量で何十倍もの真の増加はありそうにない、と個人的には考えます。見かけ上の罹患率上昇は、過剰診断だけでなく、被曝とは無関係に発症した将来に症状を呈するはずのがんを前倒しして発見する分でも説明可能です。津田先生は、潜在期間(latent duration)を4年と見積もっていますが、これが「検査で診断可能になった時点から自覚症状が生じる時点までの期間」だとすると、たぶん、4年よりずっと長いことだってありえます。たとえばこの数字が10年だったとしたら、比較の対象は、「単年の小児の甲状腺がん罹患率」ではなく、「小児の10年後までに甲状腺がんの累積罹患率」です。

小児の「検査で診断可能になった時点から自覚症状が生じる時点までの期間」は誰も知りません。(なお、過剰診断の場合は、この期間は無限大ということになります)。というか、成人であっても「かなり長い」とは言えますが正確なところはわかりません。検診で見つけたがんが、「じゃあ、このがんはいつから診断可能だったのか?」というのはさかのぼって調べようがありません。

shinzorshinzor 2015/10/10 09:18 >信頼できる対照群が存在しないので、現時点では明確な結論を出すことはできません。

長崎などで福島並みのスクリーニングをしたら、同じ程度の発生率だったというのは、信頼できる対照群と言うには不足なのでしょうか?津田氏の主張が正しいとすれば、長崎や青森も被ばくの影響があることになるという批判もあるようですが。よくわかっていないので、ピンボケの質問かもしれませんが。

NATROMNATROM 2015/10/10 09:28 他県の検査については調査対象数が足りなくて、B判定相当については(おそらく)差がないとは言えても、甲状腺がんについては何も言えなかったと、記憶しています。

shinzorshinzor 2015/10/10 11:29 NATROMさん、ありがとうございます。

2015-09-07 韓国の最近の甲状腺がん死亡率の推移

[]韓国において、1997年から2011年にかけて、甲状腺がんによる死亡率は低下したとは言えない 韓国において、1997年から2011年にかけて、甲状腺がんによる死亡率は低下したとは言えないを含むブックマーク

私の知る限りにおいて、一般集団に対しての一律の甲状腺がん検診を推奨する専門家はいない。それどころか、過剰診断をはじめとしたデメリットが大きいことに警鐘が鳴らされている(参考:■韓国における甲状腺がんの過剰診断)。しかしながら、必ずしもその理由については十分な理解がなされていないようである。

たとえば、cyborg0012さんによれば、韓国の甲状腺検診はがんの死亡率の低下に寄与しているのだそうである。



再発率はがん検診の有効性の評価には使えない。放置しても症状を引き起こさないがんを発見することでも再発率は下がるからである。死亡率の経時的変化についても、最後に述べるように、がん検診の有効性を証明することにはならない。しかも、「韓国ではスクリーニングブームが始まった2000年前後から甲状腺癌の年齢調整死亡率が低下している」という主張は疑わしい。cyborg0012さんが提示したグラフをみると、確かに2000年と比較して、2005年、2010年と順調に年齢調整死亡率が低下しているように見える。


f:id:NATROM:20150907181804j:image

■Standardized Thyroid Cancer Mortality in Korea between 1985 and 2010のFig1より引用


しかしながら、5年おきではなく、連続した年齢調整死亡率の推移を見ても、「2000年前後から年齢調整死亡率が低下している」と言えるであろうか。■Age-Period-Cohort Analysis of Thyroid Cancer Incidence in KoreaのFig1より引用する。青の四角が年齢調整罹患率、緑の三角が年齢調整死亡率である。縦軸の目盛りは対数であることに注意。


f:id:NATROM:20150907181724j:image

■Age-Period-Cohort Analysis of Thyroid Cancer Incidence in KoreaのFig1より引用


死亡率の推移には特に上昇傾向も下降傾向もないように見えるがどうか。もうこの図だけで「検診開始後に韓国の年齢調整甲状腺がん死亡率が低下したとは言えない」としていいが、論文中では統計解析も行われている。APC(annual percent changes:年次変化率)という指標で言えば、調査期間の1997年から2011年にかけて、男性の死亡率のAPCは0.03%(95%C.I. -1.9%〜2.0%)、女性は0.4%(95%C.I. -1.5%〜2.3%)であり、統計学的に有意ではない。韓国において、1997年から2011年にかけて、甲状腺がんによる死亡率は低下したとは言えない。

以下は余談である。

よしんば、cyborg0012さんのご指摘通り、甲状腺がん検診開始後に甲状腺がんの年齢調整死亡率が低下していたとしよう。しかし、それだけでは「検診によって死亡率が低下した」とは言えない。がん検診の効果は、理想的には無作為化比較対照試験(RCT)で、つまり、検診対象者を無作為にがん検診を受けた群と受けなかった群に振り分け、死亡率に差があるかどうかで評価されるべきである。さまざまな制約によりRCTが行えない場合は、コホート研究や症例対照研究で評価することもあるが、エビデンスレベルは低くなる。

「がん検診開始後にがん死亡率が減少した」あるいは「がん検診開始後にがん死亡率の増加傾向が止まった」というのは、時系列研究にあたる。時系列研究はコホート研究や症例対照研究よりもさらにエビデンスレベルは低いとされる。がん検診以外の死亡率に影響する因子の補正が困難だからである。韓国における時系列研究の一例だけをもって「検診によって死亡率が低下した」と結論するのは誤りである。



関連記事

■韓国における甲状腺がんの過剰診断

■過剰診断に関する疑問に答える

■時系列研究でも甲状腺がん検診ががん死を減らしたとは言えない

カツヲカツヲ 2015/09/08 08:17 最初のグラフですが、減少傾向がないのに、都合のよいデータを抜き出してさも減少傾向があるように見せかけているのは、捏造ではないですか。

NATROMNATROM 2015/09/08 08:59 カツヲさん、コメントありがとうございました。

変動のあるが一定の傾向のないデータのうち、実際には存在しない傾向があるかのように見せかけるため、【意図的に】データを選別したら捏造と言えるでしょう。しかしながら、今回の場合は5年の倍数の年度という切りのいい数字ですので、捏造とまでは言い難いのではないかと考えます。切りよく5年おきにデータを抜き出したらたまたま傾向があるように見えた、というのが実情ではないかと。

問題は、今後です。私の指摘があってもなお、5年おきのデータから「スクリーニングブームが始まった2000年前後から年齢調整死亡率が低下している」と主張するような論者は、「間違ったデータでも自分に都合がよければ採用する」という、捏造と同じくらい不誠実な態度をとっていることになりましょう。

児斗玉文章児斗玉文章 2015/09/09 20:49 なるほど、意図的でないにせよ、もっけの幸いと不誠実なデータの扱いをしてはいけないということですね。
確かにそのとおりです。

OceanBlueOceanBlue 2015/09/11 15:23 年毎のデータも、例えば5年ずつ移動平均を取れば減少傾向にあると見えなくもないです。しかし、年毎のばらつきの方が大きいので、そこから何か結論は出せないとするのが普通だと思います。