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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2016-06-27 「個々の症状ごとに比べても意味がない」という批判の解説

[]薬害オンブズパースン会議の「個々の症状ごとに比べても意味がない」という批判の解説 薬害オンブズパースン会議の「個々の症状ごとに比べても意味がない」という批判の解説を含むブックマーク

名古屋市がHPVワクチン(いわゆる子宮頸がんワクチン)の接種者と非接種者を対象に行ったアンケート調査において、「社会的影響が大きく、市だけで結論は出せない」として最終報告書では評価を示さなかったことが報じられた。



■子宮頸がんワクチン調査で名古屋市が結論撤回:朝日新聞デジタル

 調査は、ひどく頭が痛い▽簡単な計算ができなくなった▽手や足に力が入らない、といった接種の副反応にみられる24の症状の有無などを尋ねるもの。その結果、接種者に「多い症状」はなかった。一方、接種者に「少ない症状」は、関節やからだが痛む▽杖や車いすが必要になった、など15症状あった。

 これを受け、市は昨年12月、「接種者に有意に多い症状はなかった」との評価を発表したが、薬害監視の民間団体「薬害オンブズパースン会議」が「副反応の症状は複合的で、一人が複数の症状を持っている。個々の症状ごとに接種者と非接種者との有意差を比べても意味がない」と批判していた。



ブックマークコメントで、薬害オンブズパースン会議による批判の意味がよくわからないという意見が散見されたので解説する。別に薬害オンブズパースン会議の肩を持つわけではないが、合理的な批判である(むろん批判に対して合理的な反論も可能である)。

「副反応の症状は複合的で、一人が複数の症状を持っている」という主張の意味するところは、HPVワクチンの被害者とされている患者さんは、単に「計算ができない」「手や足に力が入らない」という症状を単独ではなく、多様な症状を一度に発症しているということだ。

「個々の症状ごとに接種者と非接種者との有意差を比べても意味がない」という主張については、(「有意差を比べる」という表現はおかしいが)おそらく「個々の症状ごとに接種者と非接種者とを比べて有意差検定を行っても意味がない」という意味であろう。

ワクチンによって重篤な副作用が生じているにも関わらず、個々の症状ごとに接種者と非接種者とを比較しても有意差がみられないケースはありうる。極端なケースを例示するのがわかりやすいだろう。ワクチン接種者と非接種者それぞれ100万人ずつを対象に、10の症状について調査した結果、以下のような結果が出たとしよう。「個々の症状ごとに接種者と非接種者とを比べて」も有意差はない。



(説明のための仮想データです)
接種群 非接種群
症状1 10010 10000 有意差なし
症状2 50010 50000 有意差なし
症状3 100010 100000 有意差なし
症状4 5010 5000 有意差なし
症状5 7010 7000 有意差なし
症状6 30010 30000 有意差なし
症状7 200010 200000 有意差なし
症状8 150010 150000 有意差なし
症状9 8010 8000 有意差なし
症状10 300010 300000 有意差なし



しかし、この仮想上のデータにおいて、10の症状をすべて持っている重症者の人数は、接種者で10人、非接種者で0人であった。これは明らかにワクチン接種者に多い。



(説明のための仮想データです)
接種群 非接種群
症状1〜10 10 0 有意差あり



個々の症状ごとに比べても、接種者群に重症者が多いことはわからない。これは説明のための極端なケースを仮想したものであるが、個々の症状がありふれていると、ワクチン接種者に「複数の症状を持っている」患者さんがより多くいたとしても、個々の症状ごとの検定では背景に埋もれてしまって差が見えなくなりうることが伝われば幸いである。

そもそも、名古屋市の調査は7万人強にアンケートを送付し回収できた3万人強が対象であり、たとえば10万人に1人といった稀な副作用については差が検出できない。また、ランダム化されていないので選択バイアスは避けられない。健康に不安がある人ははじめからワクチンを受けない傾向にあるし、健康に問題がなければアンケートに回答しない傾向がある。前者はワクチンの副作用を小さく、後者はワクチンの副作用を大きく見積もる方向に働く。名古屋市の調査では限定的な情報しか得られない。

とはいえ、まったく意味がないわけではない。一般的に、疾患は重症例が少なく、軽症例が多いものである*1。HPVワクチンが複数の症状を呈する「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群」といった重篤な疾患を引き起こしているとしたら、単一の症状しか呈さない軽症例(いわば「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群・不全型」)が多く潜んでいるのではないか、というのは合理的な推測である。軽症例はわざわざ病院を受診しないので、アンケート調査でないと掘り起こせない可能性がある。

名古屋市の調査は10万人に1人の重篤な副作用は捉えられなくても、1000人に1人の軽症例を捉えることはできたかもしれない。薬害オンブズパースン会議は「個々の症状ごと比べても意味がない」と言っているが、もし個々の症状で有意差が出ていたとしたら、「重大な結果だ。これだけの数の軽症例は、重症例の存在をも示している」とか絶対に言うに決まっている。

名古屋市は結論を出すことを放棄したが、生データを出したので、その気になれば誰でも解析は可能だ。症状の数(症状を3つ以上有する人の割合に差はあるか?)や組み合わせ(症状7と症状12の両方を持つ人の割合に差はあるか?)で有意差検定を行うこともできるだろう。ただ、そうやって試行回数を増やすと、ワクチン接種と症状発生が無関係でも、偶然によって有意差が出てくる可能性が増す。

特に組み合わせの数は膨大になる。たとえば、アンケートで調査された24症状のうち任意の3症状を選ぶ組み合わせの数は(私の計算が正しければ)2024通りである。2024回有意差検定を行って、いくつか有意差が見つかったとして、別のデータセットで再現性を確認しない限り、意味がない。

つまるところ、現状ではHPVワクチンと「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群」といった重篤な副作用の間に因果関係があるかどうか、わからない。少なくとも「軽症例がバンバン起きている」ということはなさそうだとは言える。

どうしても副作用が心配であれば、無理にHPVワクチンを打たなくてもよい。日本人の子宮頸がんの生涯罹患率は1%強である。つまり、ワクチンを打たなくても99%弱の人は子宮頸がんにならない。ワクチンとはそういうものである(ついでに言えば、がん検診もそう)。

メリット次第では稀な副作用を許容できるなら、HPVワクチンを打ったほうがいい。HPVワクチンが前がん病変を減らすことは質の高いランダム化比較試験で証明されている。前がん病変を減らすなら子宮頸がんも減らすというのは合理的な推測であるし、子宮頸がん検診を受けるつもりなら前がん病変の減少は円錐切除術などの治療介入を減らすことができる。HPV-DNA併用検診を受けるつもりなら、HPV感染を防ぐことで検診間隔を空けることができる。

HPVワクチンは日本人の子宮頸がんの原因のうち50-70%にあたるタイプのHPV感染を防ぐ。1%の子宮頸がん罹患を0.5%に減らすことができるとすれば、ワクチン接種者の200人に1人が恩恵を受けることになる。ワクチンの効果を半分と見積もっても400人に1人である。一方、重篤な副作用は3万人規模の観察研究でも因果関係が明確にならないぐらい稀である。



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*1:「説明のための仮想データ」で示したような重症例のみで軽症例がない疾患は、まったくありえないとはまでは言えないが、あまり一般的ではない

AGAG 2016/07/15 22:15 HPVワクチンの副反応の話題をするときに、円錐切除時の麻酔の副作用、手術前後は妊娠できない事などのデメリットの話があまり出てこない気がします。
その辺りも踏まえた議論が為されると良いのでしょうが。

MTMT 2016/07/26 07:59 セキュリティの方面から、今回の処置は大問題なようです。
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20160716.html
これで研究して論文書いても、そっちの観点からリジェクトされそうですね。

あれあれ 2016/08/09 17:01 >MTさん
リンク先を見ると、「 もっとも、このアンケート調査は無記名方式であるので、元データからして、日本の個人情報保護法では(名古屋市個人情報保護条例でも)「個人情報」に該当しない」とあります。
ですのでセキュリティ面?からも問題ないのではないでしょうか?

NATROMNATROM 2016/08/09 17:47 日本の個人情報保護法には抵触しなくても、研究倫理に抵触する可能性があるのだと思います。

反NATROM反NATROM 2016/08/11 20:35 こんな奴氏ねばいいのに。

aXisaXis 2016/08/12 16:55 自分もオンブズ会議の主張の意味がよく分かりませんでしたが、ああなるほど、つまりは「都合が悪いデータは隠せ」という単なる圧力だったのかな、と納得しました

そろそろ訴訟が開始されるとは思いますが、原告側がどのようなデータを提示するのかはある意味興味深いですね
被告側はデンマーク(だったかな)の調査やこの名古屋市のデータを持ち出すでしょうが

紀州の仙人紀州の仙人 2016/10/30 22:29 NARTOMさんへ;下記の論文はご存知でしょうか?
WHOの副反応が疑われる国際データベースを使用し、クラスター解析という方法でHPVワクチンの副反応について調べた画期的な研究報告である。伝統的な方法では個々のシグナル(情報薬学・計量理薬学の専門用語:今まで知られていなかった、または根拠が不十分であった有害事象と医薬品の因果関係の可能性に関する情報)に頼っていた。4つのクラスターの中で一番多い副反応は、頭痛、めまいと疲労、または失神であった。この組み合わせの報告が、非HPVワクチン接種の9〜25歳女性と比較して、HPVワクチン接種群で不釣り合いに多いかを検証した。実際の数字は、下記のごとくである。

PRR (Proportional Reporting Ratios)
596/45,780 HPV patients (1.3%), 175/32,839 non-HPV patients (0.53%;他のワクチンを接種している患者)
PRRは、2.44倍であった。日本とデンマークの症例を除いても2.28倍であった。

HPVワクチン後の症候群は単一症状ではなく、複数の症状が組み合わさって、出現している。このクラスター解析を阪大の祖父江班の疫学研究でも、是非、取り入れてほしい。

http://link.springer.com/article/10.1007/s40264-016-0456-3

Drug Saf DOI 10.1007/s40264-016-0456-3
Chandler RE et al: Current Safety Concerns with Human Papillomavirus Vaccine: A Cluster Analysis of Reports in VigiBase®.

Abstract
Introduction
A number of safety signals—complex regional pain syndrome (CRPS), postural orthostatic tachycardia syndrome (POTS), and chronic fatigue syndrome (CFS)−have emerged with human papillomavirus (HPV) vaccines, which share a similar pattern of symptomatology. Previous signal evaluations and epidemiological studies have largely relied on traditional methodologies and signals have been considered individually.
Objective
The aim of this study was to explore global reporting patterns for HPV vaccine for subgroups of reports with similar adverse event (AE) profiles.
Methods
All individual case safety reports (reports) for HPV vaccines in VigiBase until 1 January 2015 were identified. A statistical cluster analysis algorithm was used to identify natural groupings based on AE profiles in a data-driven exploratory analysis. Clinical assessment of the clusters was performed to identify clusters relevant to current safety concerns.
Results
Overall, 54 clusters containing at least five reports were identified. The four largest clusters included 71 % of the analysed HPV reports and described AEs included in the product label. Four smaller clusters were identified to include case reports relevant to ongoing safety concerns (total of 694 cases). In all four of these clusters, the most commonly reported AE terms were headache and dizziness and fatigue or syncope; three of these four AE terms were reported in > 50 % of the reports included in the clusters. These clusters had a higher proportion of serious cases compared with HPV reports overall (44–89 % in the clusters compared with 24 %). Furthermore, only a minority of reports included in these clusters included AE terms of diagnoses to explain these symptoms. Using proportional reporting ratios, the combination of headache and dizziness with either fatigue or syncope was found to be more commonly reported in HPV vaccine reports compared with non-HPV vaccine reports for females aged 9–25 years. This disproportionality remained when results were stratified by age and when those countries reporting the signals of CRPS (Japan) and POTS (Denmark) were excluded.
Conclusions
Cluster analysis reveals additional reports of AEs following HPV vaccination that are serious in nature and describe symptoms that overlap those reported in cases from the recent safety signals (POTS, CRPS, and CFS), but which do not report explicit diagnoses. While the causal
association between HPV vaccination and these AEs remains uncertain, more extensive analyses of spontaneous reports can better identify the relevant case series for thorough signal evaluation.
(方法について追加引用;The data source for this investigation was VigiBase®, the WHO international database of suspected adverse drug reactions. VigiBase® is a computerised pharmacovigilance system in which information is recorded in a structured, hierarchical form. Reports are received from national pharmacovigilance centres in the 124 countries participating in the WHO Programme for International Drug Monitoring (PIDM). Reports submitted to national centres come from both regulated and voluntary sources. Limited details about each suspected adverse reaction are received by theUppsala Monitoring Centre (UMC))

紀州の仙人紀州の仙人 2016/10/30 22:43 下記の発表を御存じですか?一部、引用します。
http://npojip.sakura.ne.jp/sokuho/No174-1.pdf
医薬ビジランスシンポジウム資料(2016年10月16日)
HPV ワクチンは認知機能、運動機能を悪化させる−名古屋市調査の解析結果より−
NPO 法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック) 代表浜六郎
背景
名古屋市は本年6 月、昨2015 年9 月に実施したHPV ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)に関する調査データをpdf ファイルとして開示した[1-5](スライド1:S1)。
NPO 法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)は、このデータを解析し、その第一次解析結果を報告する[6]。事実上撤回された名古屋市による速報(2015 年12 月)[4]とは全く異なり、HPV ワクチン接種と認知機能や運動機能にかかわる様々な症状との関連が認められた。薬のチェックTIP 誌68 号(2016 年11 月号)[8]でも速報し、英文医学雑誌に投稿予定。
(中略)
全国でこれまでにHPV ワクチンの接種を受けた340 万人では、3000 人以上がHPV ワクチン接種後、様々な症状が重層するうえに「杖や車椅子が必要」になり、1000 人の若い女性たちが現在も、「杖や車椅子必要」な状態が続いていると推定される[スライド10]。
接種後の危険度は、前述した数字でも過小評価である。
例えば、「簡単な計算ができなくなった」という症状が、接種前(起点前)にすでに生じていた人のうち、半数以上にはHPV ワクチンが接種されず、接種から除外されていた可能性(いわゆる「病者除外」)があると推定される[スライド5]。したがって、「簡単な計算ができなくなった」人の危険度は、実際には、計算で求めたオッズ比(3.65)の2倍、すなわち7.3 以上になる可能性がある。また非接種で症状がなかった人の回答は接種者で症状がなかった人よりも少なかったと考えられるので、回答率が上昇すれば、更に危険度(オッズ比)は高くなると考えられる[スライド9]。
結論[スライド10、11]
名古屋市が開示したデータを解析した結果、HPV ワクチンの接種と、認知機能や運動機能に関係した各種症状の発症との間には、有意の関連が認められた。
様々な症状が重層するうえに現在もなお「杖や車椅子が必要」になっている人が全国でおよそ1000 人いると推定される。重篤な後遺障害について、更に詳細な調査や追跡調査を実施するとともに、被害救済が必要である。

NATROMNATROM 2016/11/01 07:43 紀州の仙人さん、コメントありがとうございました。浜六郎氏の発表のほうは存じていましたが、クラスター解析の論文は存じませんでした。浅学でして、いったいどのあたりが「画期的」なのが教えていただければ幸いです。

紀州の仙人紀州の仙人 2016/11/01 18:07 NATROM先生;
 ご質問のクラスター分析(解析)の論文ですが、オンラインで無料公開されているので、是非お読みください。裁判の原告側はこの文献資料を追加するのではないかと推定しています。

 画期的なポイント:
1.子宮頸がんワクチン副反応と推定される個々の症状についての対照群と比較検討は行われているが、複数の症状の組み合わせによるクラスター分析は行われていなかった。
2.抄録にも述べられているが、HPVワクチン接種後患者群で、対照群と比較検討して、有意に高いクラスター(頭痛、めまいと疲労、または失神)が初めて見出された。

追加の文献ですが、ご存じかもしれませんが、症例報告ではなく、多数例を検討した原著論文が最近、相次いで日本から英文誌に報告されました(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)。 HPVワクチン後の神経症状を呈する患者の症状がHPVワクチンによる副反応とは断定していませんが、関連性がある可能性が高いので、さらなる症例の蓄積と研究が必要であるとしています。

1.Takahashi Y et al: Immunological studies of cerebrospinal fluid from patients with CNS symptoms after human papillomavirus vaccination. J Neuroimmunol September 15, 2016 Volume 298, Pages 71–78
http://www.jni-journal.com/article/S0165-5728(16)30154-0/abstract
(ClincalKeyを購読していれば、無料で論文を読むことができます)
Abstract
In 32 patients with prolonged central nervous system symptoms after human papillomavirus (HPV) vaccination, we measured conventional and immunological markers in cerebrospinal fluid (CSF) and compared with the levels in disease controls. Our studies revealed significantly decreased chloride and neuron-specific enolase (NSE) levels in CSF of patients with CNS symptoms after HPV vaccination compared to disease controls. IL-4, IL-13, and CD4+ T cells increased significantly in patients, and IL-17 increased significantly from 12 to 24 months after symptom onset. Chemokines (IL-8 and MCP-1) were also elevated, but CD8+ T cells, PDGF-bb and IL-12 were reduced. Antibodies to GluN2B-NT2, GluN2B-CT and GluN1-NT increased significantly. These results suggest biological, mainly immunological, changes in the CSF of patients after HPV vaccination.
2. Takashi Matsudaira, Yukitoshi Takahashi, Kazumi Matsuda, Hitoshi Ikeda, Keiko Usui, Tomokazu Obi, Yushi Inoue:Cognitive dysfunction and regional cerebral blood flow changes in Japanese females after human papillomavirus vaccination. First published: 28 July 2016 Neurology and Clinical Neuroscience
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ncn3.12083/full
上記の論文抄録の直訳ですが、最近、無料で全文を読むことができるようになりました。
背景:
 HPVワクチンは思春期女性における子宮頸がん予防のために使用されている;しかしながら、少数のワクチン接種を受けた個人は長期に持続する症状を示している。
目的:
 HPVワクチン接種後の患者における認知機能障害と局所脳血流の変化を、その病的状態を推定するために、研究した。
方法:
HPVワクチン接種後の認知機能障害を有する患者を、レトロスペクティブに取り入れた。
患者のSPECT(3-D stereotactic surface projection and stereotactic extraction estimation methodsを使用)画像と10人の健常なHPVワクチン接種していない女性(19.6 ± 0.5歳)の画像と比較した。WAIS(第3版)スコアと局所脳血流が低下している解剖学的部位との関連も調べた。
結果:17例のHPVワクチン接種群で認知機能障害が見られた。その内訳は、記憶障害(17例、100%)、失計算(4例、23.5%)、一過性相貌失認様症状(3例、17.6%)、地誌的障害と半側空間無視(2例、11.8%)であった。
 有意な局所脳血流低下が下記の部位に見られた。
 右内側前頭回、梁下回、前帯状回、眼窩回、直回、海馬傍回、紡錘状回、左角回、上後頭回、両側視床
 有意な負の相関関係が、フル・スケールの知能指数と右内側前頭回と直回での局所脳血流の低下の程度、言語性IQと右梁下回、直回と左視床、動作性IQと右内側前頭回の間で見られた。
結論:
 HPVワクチン後の認知機能障害を有する患者において、局所脳血流が主として大脳辺縁系に連絡する部位で低下していた。HPVワクチン後の大脳辺縁系での灌流低下が主として記憶障害である、認知機能障害を反映する可能性がある
3.Tom Jefferson, Lars Jørgensen: Human papillomavirus vaccines, complex regional pain syndrome, postural orthostatic tachycardia syndrome, and autonomic dysfunction – a review of the regulatory evidence from the European Medicines Agency. Indian Journal Medical Ethics, Published online: October 17, 2016
http://issuesinmedicalethics.org/index.php/ijme/article/view/2473/5078
(EMAのHPVワクチン副反応審査が非公開で行われ、審査過程に問題があるのではないかという論文です。無料公開されています)

NATROMNATROM 2016/11/01 19:37 クラスター分析(解析)について、αエラーがかなり出るように思えるのですが、その辺りは検討してあるのでしょうか?

NATROMNATROM 2016/11/01 19:40 「追加の文献」については、HPVワクチン接種後に生じたとされる認知機能障害の病態についての情報は得られますが、別にHPVワクチンとの因果関係についてはさほど参考にならないと思います。