NATROMの日記 RSSフィード Twitter

0000 | 01 | 02 | 03 | 04 |
0010 | 11 |
0011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 11 |
0012 | 04 | 05 | 06 | 07 | 09 | 10 | 11 | 12 |
0013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 11 |
0014 | 01 | 02 | 05 | 06 | 07 | 09 |
0015 | 05 | 06 | 09 |
0016 | 01 | 02 | 09 | 10 |
0017 | 01 | 03 | 05 | 10 | 11 | 12 |
0018 | 01 | 03 | 04 | 05 | 06 |
2004 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2007 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2008 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2010 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2014 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2015 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2016 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2017 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2018 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 |
cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2017-10-07 二重盲検法でオーリングテストの効果を実証したと称する「文献」?

[]二重盲検法でオーリングテストの効果を実証したと称する「文献」を読んでみた 二重盲検法でオーリングテストの効果を実証したと称する「文献」を読んでみたを含むブックマーク

オーリングテストはもはや由緒正しいニセ科学と言っていいだろう。指をアルファベットの"O"の字にして指が離れるのに抵抗する力から、薬を選んだり、病気を診断したりできると主張されている。詳細は■『謎解き超科学』のナカイサヤカさんの『「オーリングテスト」とはなにか?【筋肉の反応でなんでもわかる診断法】』の章か、拙著■『「ニセ医学」に騙されないために』の「オーリングテストは科学的? 」の章を参照していただきたい。

オーリングテストが機能することを証明するには二重盲検法による検証が必要である。たとえば、すでに対象となる患者の胃が悪いことを試験者が知っている場合、意図的にあるいは無意識に、胃を指したときに指が離れるようにしてしまうかもしれない。あるいは被験者が知らなくても患者の反応を読み取れば同じことが起こりうる。意図的/無意識に筋肉を動かすことによって、超能力のように未知の情報がわかるように見えてしまう現象は、「こっくりさん」やダウジングと同じ原理である。二重盲検法によってオーリングテストが機能することを証明した研究はほとんどない。

オーリングテストを信じている論者が「こちらの知る文献では、2重ブラインドテストで効果か実証されてます」*1と出してきた「文献」がひどかった。



■O−リングテスト反応の意味とスタンダード医学検査の比較



タイプ1エラーだってあるから、中にはオーリングテストが有効であったことを示す二重盲検試験の結果があってもおかしくはないのだが、それにしてもこれはひどい。日本補完代替医療学会の学術集会のシンポジウムの抄録のようである*2。他にもホメオパシーのシンポジウムも行われていた。

人間ドックの結果とBDORT(バイ・ディジタルO−リングテスト)の結果を突き合わせることで、オーリングテストを検証しようという趣旨はよろしい。ただし、上記したような理由で二重盲検下で行うことが望ましい。この文献では英文部分では"double blind check between BDORT and Standard Laboratory Test"(BDORTと標準的臨床検査の間の二重盲検チェック)とあるが、日本語部分に盲検についての記載がない。盲検化の方法について詳細な記載がないとかではなく、盲検にしたかどうかの記載すらないのだ。どういうこと?

試験者を盲検下に置くのは比較的容易だが、患者(被験者)を盲検下に置くのはどうやったのだろう?人間ドックの結果を開封せずにオーリングテストを受けてもらったのだろうか。それともオーリングテストを受けてから人間ドックを受けた?どちらにしろいろいろと問題があるけど、詳細は不明である。

結果もすごい。

【結果】

BDORT による異常出現率の高いものは、大腸(82%)、前立腺(70%)、心臓(65%)だった。スタンダード医学検査による健康診断(人間ドック)による異常出現率は肝臓(61%)、胃(55%)、心臓(45%)に高かった。

これだけ。オーリングテストは機能してないじゃん。オーリングテストで「大腸が異常だ」と指摘された人の多くが標準的臨床検査では大腸の異常を指摘されていないわけでしょう。だいたい、感度(標準的臨床検査の陽性者の中のオーリングテスト陽性者の割合)とか特異度(標準的臨床検査の陰性者の中のオーリングテスト陰性者の割合)とかを出してないのはどういうことですか。感度と特異度の数字を出すとオーリングテストが役に立たないのがばれてしまうからか、論者が感度と特異度の重要性を理解していないのか、どちらかまたは両方であろう。

結論もすごい。

【結論】

BDORT で異常なしとした中で、人間ドックで異常が発見される割合が極めて低い傾向にあった。また、BDORT で異常を早期に発見するので、著者がガンの自然史で発病予測をするように、ガンが発見されるまで5〜10 年かかる。定期的に BDORT で検査して異常なしとなるようにしていれば、病気に罹患する確率が低いといえる。BDORT の診断・治療及び有効薬剤の決定方法等についても解説する。

「BDORT で異常なしとした中で、人間ドックで異常が発見される割合が極めて低い傾向」とあるけど、具体的な数字は示されていない。【結論】で言及するなら【結果】に記載しなければならない。それに、有意差検定がされているかどうか不明である。「BDORTで異常ありとした中で人間ドックで異常が発見される割合」との比較をすべきである。

「ガンが発見されるまで5〜10 年かかる」という部分は、おそらくは「オーリングテストで異常あり、人間ドックで異常なしだとしても、オーリングテストが間違っているのではなく、5〜10年後にがんが発見されるのかもしれない」と言いたいのであろう。以前、■高価な「先端医療検査」の実力は?でも指摘したが、インチキ検査の常套手段である。インチキ検査で「異常」が出なくなる治療とセットになっていることが多い。

「定期的に BDORT で検査して異常なしとなるようにしていれば、病気に罹患する確率が低いといえる」と言いたいのであれば、「定期的にBDORTで検査して異常なしとしている群」と「そのような処置を行っていない対照群」を5年から10年間追跡して、病気に罹患する確率を比較しなければならない。そのような研究をしていない以上「病気に罹患する確率が低いといえる」と結論で述べてはいけない。

以上のように、この「文献」は医学生のレポートの水準にも達していないが、なんと「日本バイ・ディジタルO−リングテスト協会副会長」によるのだそうである。自分たちで作った学会内で発表したり論文にしたりすることで、お墨付きがあるかのように誤認させるニセ科学があるので注意する必要がある。



関連記事

■服に薬理作用があるから服用という?

■オーリングテストが明らかにした身体に悪いものリスト

*1:URL:https://twitter.com/ahare_asayaka/status/916254369632231425

*2:URL:http://www.jcam-net.jp/data/2010.html

aetos382aetos382 2017/10/08 18:31 オーリングテストで異常なしだからと標準医療を軽視して、症状が出た時には手遅れ…という様がありありと想像できますね

Zigk69Zigk69 2017/10/09 16:37  電子書籍サイト forkNより、出版された。
『医学革命の論理あるいは磁気医学の探究』
磁気療法はニセ科学ではない。健康であるためには、生体分子機械といわれ生命現象を進行させるタンパク質の立体構造が正常でなければならない。構造変化が起きると病気になるが、可逆的に復元させると健康を取り戻せる。それは量子力学に基づく「構造相転移」という物理現象であり、そのための最強の方法が磁気制御である。

NATROMNATROM 2017/10/09 16:59 Zigk69さん、コメントありがとうございました。

どのような患者さんに、磁気療法を行うと、行わない場合と比較して、どれぐらい良くなるか、臨床試験が行われていたら教えてください。臨床試験なしに、構造変化とか構造相転移とか言っているだけであれば、それはニセ医学です。

Zigk69Zigk69 2017/10/09 17:40 まだ、そんなことを言っているのですか。例えば、呼吸が苦しくてのたうち回る喘息の大発作中に磁気を作用させるだけで完治するのですから、比較なんてするまでもないでしょう。それだけで20年以上発作ゼロですから。過敏性腸症候群なんかも、その場で症状が解消される。事実を認めるか、認めないか、2つに1つですよ。まあ、私が行わなくても、皆さんが追実験、つまり治療を行ってみれば納得されるでしょう。

NATROMNATROM 2017/10/09 18:22 Zigk69さん、コメントありがとうございました。

症例報告はありますか。併用した標準医療が効いただけではないでしょうか。標準医療を併用していないとしたら、「呼吸が苦しくてのたうち回る喘息の大発作中に磁気を作用させる」という事例は倫理的に問題があります。

Zigk69Zigk69 2017/10/09 19:23 このような研究が通常の臨床実験で行えるはずがないだろう。すべては自己実験に決まっているだろう。

Zigk69Zigk69 2017/10/09 19:32 標準医療など併用しない。磁気以外に用いたものは何もない、磁気だけで10分もすると解消である。

NATROMNATROM 2017/10/09 23:00 Zigk69さん、コメントありがとうございました。

コメントありがとうございました。すべて自己実験ということは症例報告すらないのですね。また、Zigk69さん以外の人に効くかどうかの証拠もないわけですね。Zigk69さん自身に効いたかどうかすら客観的な証拠はない(自覚症状が改善したという主観的な所見のみ)のではないですか?

さすがにそれでは、他人に信用してもらうのは難しいと思います。私も信用しません。

Zigk69Zigk69 2017/10/09 23:43 苦笑、まあ、いいでしょう。特に反論しようとも思いません。
それが現代医学というものでしょう。ところで、誰だか知らないが、先程脅迫コメントが書き込まれた、これだけはちょっと困る。警察に届けておかなければ。

27162716 2017/10/16 16:42 こういうのをあちこちで見かけますが、「主観」と「客観」という概念って中学生くらいまでで学習しているはずですよねえ…。違いましたかねえ…。

hisahisa 2017/10/17 08:54 困ったことに、それ以前の感覚の方みたいですけど。

BL41XU userBL41XU user 2017/10/18 14:42 タンパク質の立体構造というときの「構造」と構造相転移というときの「構造」はまったく違う概念であるのに同じように使っているようですね。
今まで同時に語られなかった分野は対象や概念が異なることが多いのですが「新発見」される方は漢字や語感の類似性でよく混同されるようですね。
昨年のノーベル賞で話題となったオートファジーは構造異常タンパク質を分解することができますが、病気を引き起こす構造変化はまた別の概念なんでしょうか?
専門用語の取り扱いって本当に難しいですね。
「自分が使う〇〇という単語は今までとはまったく違う新しいもの(概念)だ」っておっしゃる方もいるのがさらに難しいところですね。