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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2012-11-02 「近親婚タブー」は血縁淘汰説を否定するか?

[][]「近親婚タブー」は血縁淘汰説を否定するか? 「近親婚タブー」は血縁淘汰説を否定するか? - NATROMの日記 を含むブックマーク

「自分の皮膚細胞から卵子と精子を作り、それを受精させて、もう一人の「若々しい別な自分」(クローン)を誕生させることも、理論的には可能になる」と書いちゃったダイアモンド・オンラインの安藤茂彌氏による記事に、以下のようなブックマークコメントがついた。


■はてなブックマーク - blueboy のブックマーク - 2012年10月30日

blueboy 「自分で卵子と精子」はクローンでなくて何か? 血縁度100%の究極の近親婚だ。それで劣性遺伝病発現(id:NATROM)ということは血縁度の高さが不利なことを示す。「自分の遺伝子を増やすため」というドーキンス説を否定。


『「自分で卵子と精子」はクローンでなくて何か? 血縁度100%の究極の近親婚だ』という部分は二通りの解釈が可能である。一つは『「自分で卵子と精子」はクローンではない。クローンではなく「血縁度100%の究極の近親婚」である』という解釈。もう一つは『「自分で卵子と精子」がクローンでないとしたら何だというのか。「自分で卵子と精子」はクローン、つまり、血縁度100%の究極の近親婚のことである』。後者であれば安藤茂彌氏と同じ誤りに陥っているということになる。念のためにご本人に確認したところ、前者の解釈とのことである。

後半の「それで劣性遺伝病発現(id:NATROM)ということは血縁度の高さが不利なことを示す。「自分の遺伝子を増やすため」というドーキンス説を否定」という部分も、意味がよくわからないという人もいるだろう。これは、■Open ブログ: ◆ 近親婚のタブー(自分の遺伝子)および、そのコメント欄にヒントがある。ブックマークコメントを書いたblueboy氏はOpen ブログの管理人である南堂久史氏であると思われる。南堂氏は、「生物学的に近親交配が厭われている」という事実は、「血縁淘汰説や利己的遺伝子説の発想とは、矛盾する」と主張している。その結果「(生物は自分の遺伝子を残そうとするという)血縁淘汰説や利己的遺伝子説の説明は、成立しない」と結論している。

ハミルトンが提唱しドーキンスがその著作「利己的な遺伝子」にて紹介した血縁淘汰説(および関連する進化理論)は、教科書にも載るようなオーソドックスな学説とみなされている。だが、南堂氏は「血縁淘汰説は間違った学説」だと述べている*1。私の知る限りでは、その主張を論文としては発表していない。ブログのエントリーにて述べているだけである。論文になるような質の主張ではないからであろう。相手にする専門家はいない。

もし仮に「近親婚のタブー」が血縁淘汰説を否定するものだとしよう。となると、ハミルトンやドーキンスをはじめとして、血縁淘汰説を受け入れた進化生物学者たちが全員見落としていた事実に、南堂氏のみが気がついたということになる。南堂氏はご自身を超天才だとでも思っているのであろうか。実際、南堂氏は文字コード現代数学量子力学医学にも一家言ある。これら各分野の南堂氏の主張が妥当であるなら、南堂氏は平成の万能大学者ということになろう。

私は文字コードや現代数学や量子力学についてはまったくの専門外である。しかしながら、これらについての南堂氏の主張は間違っており、南堂氏を批判する側が正しいであろうと推測している。なぜならば、進化生物学については「ちょっと詳しい素人」として、医学については現役の内科医として、南堂氏の主張が誤っていると自信を持って言えるからだ。

原理的には分野Aについてデタラメを言っているけれども、分野Bについてはまっとうなことを言っている、ということもありうる。たとえば分野Bの専門家が専門外について述べている場合がそうだ。しかしながら、南堂氏の場合においては、自分の主張を内省的に検討する能力の欠如(つまり「近親婚のタブーが血縁淘汰説を否定する」という主張が正しいならプロの科学者がとっくに思いついているはずではないか、だとしたらこの主張は間違っている可能性高い、などと思えるかどうか)が、さまざまな分野における主張に結びついているように思われる。文字コードか現代数学か量子力学には詳しいという読者のみなさまにはご同意いただけるものと思う。

「近親婚のタブー」が血縁淘汰説を否定するという主張に対する反論は容易である。近親婚で劣性遺伝病が発現しやすいならば、近親婚を避ける個体(あるいはそのような行動を促す遺伝子)は、近親婚を厭わないライバルの個体(あるいは遺伝子)と比較して、ダーウィン的な意味で成功を収める。このことはドーキンスからして、その著書「利己的な遺伝子」で述べている。


…近親相姦は単に緩やかに有害なだけではない。それは潜在的に破滅をもたらすものである。積極的な近親相姦の回避への淘汰は、自然界でこれまで計測されてきたいかなる淘汰圧に劣らず強力なものでありうる。(2006年「利己的な遺伝子 増補新装版」P455、1991年版だとP468)


「生物学的に近親交配が厭われている」ことは別にオーソドックスなダーウィン進化論と矛盾しない。「近親婚のタブー」が「血縁淘汰説や利己的遺伝子説の発想と矛盾」しているように見えるのは、単に南堂氏が血縁淘汰説を理解していないからである。驚くべきことに、南堂氏はドーキンス説を批判する(あるいは「修正する」)にあたって、ドーキンスの著作からほとんど引用していない(その代わりに「YAHOO!知恵袋」から引用したりしている)。ほとんどいうか、私が読んだ範囲内では皆無である。南堂氏は「利己的な遺伝子」を読んでいないと私はにらんでいる。

この私の記事に対する南堂氏による反論も概ね予想できる。おそらくは内容についてはまともな反論はできず「トンデモマニアが誤読で的外れな批判をしている」というものであろう。どちらか正しいかは読者が判断することである。最低限の科学リテラシーを持った読者なら、南堂氏の以下の主張を読んだだけで正しい判断ができるであろう。


■進化論 Q&A

 Q  学会誌に投稿すれば?

 A  学会誌というものは、既存の学会を発展させるためにあるのであって、既存の学会を全否定するためにあるのではありません。そんな論文は、ボツです。(「おまえらみんな間違っているぞ」と言われたら、誰だって、怒り狂うでしょう。)

 「天動説」学会に、「地動説」の論文を提出しても、ボツは確実です。ガリレオの場合、猛烈な批判を浴びて、吊し上げでした。宗教裁判。彼はひどい実害を受けました。


関連記事

■利己的な遺伝子 by ドーキンス

■神は言っている 串ぐらい通せと

■利己的遺伝子と男の浮気

*1:URL:http://openblog.meblog.biz/article/10798064.html

sebesutsebesut 2012/11/04 13:41 こんにちは。ちょっと興味のある論争なのでwatchしています。
南堂氏は反論を書かれているようですが、その内容についてどう思われますか?
<http://openblog.meblog.biz/article/12199329.html>

NATROMNATROM 2012/11/04 22:41 南堂氏の反論は間違っているか、正しいけれども反論になっていないかの、どちらかですね。逐一反論するのは無駄ですが、sebesutさんが「この点については南堂氏の反論には理があるのではないか」という疑問をお持ちなら、個別の論点についてご質問していただければ南堂氏の反論のどこが不適切なのかご説明いたします。sebesutさんに限らず、南堂氏を含めて誰でもご質問をいただければご説明する用意があります。

cc 2012/11/05 20:14 ナンドーさんに対しては、何となくそんな人がいてもおかしくないなあ…と思えます。
しかし、ナンドーさんの言うことを真に受ける人に対しては、とても不思議な気持ちになります。

えるだえるだ 2012/11/06 19:32 ネットの話し合いが往々にして不毛なのは、「主張を撤回するメリット」も「主張を続けるリスク」もないことだと思いますね。
まぁどこかの森口さんのようにリスクに対して無敵な人や
まじめに話し合わないことでメリットが生まれる「コッカイ」という不思議な場所が日本のどこかにあるようですが。

fnorderfnorder 2012/11/06 19:46 国会は「不思議な場所」ではないと思います。そもそもあれは話し合いよりも議決のためにある場所でしょうし。

moorhenmoorhen 2012/12/05 20:14 南堂氏の疑問は「有性生殖の二倍のコスト」に類似のものですね。
有性生殖(異系交配を含む)が血縁淘汰と一見矛盾するように思えるのはそのとおりです。したがって血縁淘汰説に立つ研究者は血縁淘汰と矛盾しない理屈で有性生殖の有利さを説明する必要があります。その1つがハミルトン自身による「赤の女王仮説」なんですがね。

南堂氏の理屈だと、ニュートン自身が力学の法則をいくら確立しようが、月が地球に落ちてこないのなら万有引力の法則は間違いということに。

1ボクサー1ボクサー 2014/07/03 09:09 大学の授業で進化論習った程度で南堂氏のブログを拝見しましたが、氏はおそらく大学教育を受けてない(あるいは教授に質問したことがない)のでは、と思いました。

kazima1956kazima1956 2014/09/22 17:26 http://blog.goo.ne.jp/kazuma1956
Banach-Tarskiのパラドックス 選択公理 区体論
で、南堂氏の「数学の実績」の一部を解説しました。最初、ある程度、実力のあるひとだと思いました。しかし、なんというか、自分の都合に合わせて、仮定を肯定したり、否定したりという感じです。最後の方は、私の「推測」を交えておりますが、彼の「数学の実力」、「全般的な論省力」はこんなもんだろうと思います。

kazuma1956kazuma1956 2014/09/23 21:32 南堂氏の記事について

医学については、ノーコメント
文字コード・ソフトウェアについては、特定のコンピュータの特定のソフトに関する体験談を、一般論として述べています。(WindowsXP以外はほとんど知らない)

その他は、まともな記事が多々見受けられます。

全般に、インターネットからのコピペが多く、基本的な文献は当たらない。書物の内容のおおざっぱな把握に巧みだが、ウラをとらない感じです。
自信過剰という感じですね。

2011-05-16 進化に関係する本3冊

[][]進化に関係する本3冊 進化に関係する本3冊 - NATROMの日記 を含むブックマーク


みんなが知りたい化石の疑問50

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■みんなが知りたい化石の疑問50 北村雄一(著)


2011年初版。著者の北村雄一は、カバーによれば、「フリージャーナリスト兼イラストレーター」と紹介されている。おそらくは中学生〜高校生向けに書かれたのだろう。文章は平易で読みやすい。カバーに「Webリサーチで集めた疑問をもとに、化石が具体的になにを解き明かしてくれるのかを、写真や復元図を交えながら解説していきます」とある。タイトルにあるように、化石についての疑問、たとえば、「化石と鉱物はどう違うの?」「いつの時代の化石ってどうすればわかるの?」「人工的に化石をつくることは可能?」などといった疑問に答えていく形式だ。オールカラーで写真も豊富である。黄鉄鉱化したアンモナイト、建物の壁の石灰岩に含まれる化石の写真などが美しい。

この手の本は、どうかすると、とんでもないハズレのときがある。ライターが不勉強で、手抜きで書かれることもあるからだ。しかし、この本については、私は著者を信用して買った。この本の著者である北村雄一氏のサイトは以前から知っていた。とくに分岐学について異様に詳しい*1。また、ずいぶん前だが、「恐竜と遊ぼう」 博物館で恐竜を100倍楽しむ方法については買って読んだ*2。子供向けでありながら、それでいてマニアックな本であった。

「みんなが知りたい化石の疑問50」も、文章は平易であるが、内容が低レベルと言うわけでは決してない。とくに分岐学に関してはそうだ。後述する2冊の本にも共通するが、化石だけでなく、科学の方法論についての本でもある。


ありえない!? 生物進化論 データで語る進化の新事実 クジラは昔、カバだった!

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■ありえない!? 生物進化論 データで語る進化の新事実 クジラは昔、カバだった! 北村雄一(著)


同じサイエンス・アイ新書のシリーズ。2008年初版。正確には、クジラは昔カバだったわけではなく、クジラとカバは比較的新しい共通祖先を共有するということだろう。この本は主に分岐学を扱っている。それも、単に、「クジラとカバは近縁だった」「鳥は恐竜である」という結論を述べるだけではなく、なぜそのような結論が得られるのか、というプロセスを説明している。言いかえれば、歴史を扱う科学の方法論について述べている。

通俗的な科学者のイメージは、フラスコを持った白衣の人物である。フラスコ内で物質Aと物質Bを混合すると現象Cが起こることは、何度でも繰り返せる。「科学は再現可能性を必要条件とする。歴史は再現できないので科学の要件を満たさない」などという誤解はよく見られる*3。ならば、進化生物学は科学ではないのか?過去に起こったことをどうやって科学的に検証できるのか?タイムマシンがない限り、過去に起こったことは科学的に扱えないのではないか?進化生物学者であり、科学エッセイでも有名だった故グールドはしばしば歴史を扱う科学の方法論についての話題を扱ったが、この本ではグールドよりもわかりやすく説明されている。イラストが読者の理解の助けになっている。このようなイラストが、ほとんど毎ページに出ている。



f:id:NATROM:20110514121023j:image

サイン配列とは、短い散在性の反復配列で、自分自身をコピーして増える性質を持つ。一旦ゲノムの特定の部分に挿入されたらその変化は遺伝する。本書では、羽毛のような表現型と比較して、サイン配列は強力な証拠であると論じている。羽毛は独立に複数回進化したかもしれない。一方、ゲノムの全く同じ部分に独立してサイン配列が挿入される確率は事実上ゼロである。



ダーウィン『種の起源』を読む

中高生向けの本ばかりではない。cover■ダーウィン『種の起源』を読むでは、2009年の「科学ジャーナリスト大賞」(日本科学技術ジャーナリスト会議主催)を取っている*4。タイトル通り、ダーウィンの「種の起源」を解説した本である。「いまさら種の起源?」と考えるのは間違いである。


『種の起源』は現代進化理論の始まりとなった本だ。しかし、150年前に書かれたその内容たるや、初心者向けとは決していえない。学生向けの教科書ですらないだろう。この本を読んでそれを十分理解するには現代進化学の知識と成果が必要だろう。ダーウィンがこの本で申し述べたことは古いと同時にとても新しいのである。私たちは150年前のこの本を読むことで、150年の歳月と150年の知識と150年前から届いた最先端を知ることになるだろう。(P16)


理解しにくい部分は、著者によって、「日本人にとって身近な生物の例や、最近の研究成果も取り上げて」説明が補足されている。思うに、「種の起源」という本は、それぞれの時代や地域の解説者によって解説されるべき本なのだろう。「種の起源」の原著は、150年前のイギリス人(その中でも教育水準の高い人たち)向けに書かれた本なのだから。

*1:いまだ工事中であるが、■架空進化シリーズ:ボウシ島の冒険は、一読の価値がある

*2■進化論と創造論についての掲示板ログ113によると2002年であった。9年前

*3:URL:http://twitter.com/#!/HayakawaYukio/status/38749858563239936

*4■科学ジャーナリスト大賞2009北村雄一さん「サイエンスライターは絶滅す」 | 科学技術のアネクドート

素猫素猫 2011/05/16 18:19 北村さんの本っていいですよね。NATROMさんが推薦する本は面白いものが多いので,書評やおすすめ本の記事を楽しみにしています。あと、ばかにしていませんので、おっぱいの記事もたまには書いてください。

tadano--rytadano--ry 2011/05/17 09:33  医大生のころ京大の旧宮田研でお会いしたことがあります。私は小遣い稼ぎのため統計解析のお手伝いに行っていました。解析プログラムのアルゴリズムについて熱心に質問されたのを覚えています。

標準モデル標準モデル 2011/05/19 21:05 プールがきれいになる!酸っぱい臭いのEM菌
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20110519-OYT1T00397.htm
東日本大震災:高校わきにがれきの山 生徒らに広がる不安−−宮城・石巻
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20110515ddm041040176000c.html
>周辺住民や同校の苦情を受けて市環境課も、臭いを緩和するEM菌(有用微生物群)の散布や、囲いを高くするなど対策をしたが、効果は上がっていない。

NATROMさん何とかして下さい

NATROMNATROM 2011/05/19 21:12 EM菌は微妙に専門外ですので、きくち先生に何とかしてもらいましょう。

EM菌投入は河川の汚濁源(kikulog)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1205503037

0-11110-1111 2011/05/25 14:30 これってウソ?

NATROMの日記を書いている最低な医師グループ達
http://blogs.yahoo.co.jp/tetsuyajpn/50005351.html

通り猫通り猫 2011/05/25 16:07 ↑しばらくこのサイトのROMやってれば、誰でも知ってるデマですね。他の記事を見ればどんな人たちが書いてるかわかります。
 
 しかし、こいつらまだやってたのか・・・

QAZQAZ 2011/06/05 19:36 >『ありえない!? 生物進化論 データで語る進化の新事実 クジラは昔、カバだった!』

これは去年読んで、良い意味で期待が外れた本だった(いやだって、タイトルがねえ…)。

ぶっちゃけ、「ダーウィン『種の起源』を読む」はどの程度お勧めですか?
学校の図書館に無いんで買うしかないけど、二千円台の本はバイト生活だと少しきついんで…

おっぱいおっぱい 2011/06/06 20:48 >ぶっちゃけ、「ダーウィン『種の起源』を読む」はどの程度お勧めですか?

「どの程度お勧めかどうか」は、読者の年齢や「読者が何を求めているか」によって違ってくるので何とも言及しがたいですが、ダーウィンの「種の起源」を光文社文庫や岩波文庫で読もうとした場合、上・下巻で合わせて1800円前後しますから、「科学ジャーナリスト大賞」の受賞作品で、著者が北村雄一さんということを考えるなら、「2100円出しても読んでみる価値はある」と、私は思いました。

「種の起源」は若い頃にチャレンジしましたが、私には難解で挫折しました。
「ダーウィン『種の起源』を読む」のほうは、文系の人間でも「『種の起源』がどういう書物か?」ということがよく理解できる、とても分かりやすい内容なので、少しマニアックな感じもしますが、一読する価値はあると思いました。

みっちゃんみっちゃん 2011/06/07 14:34 『ありえない!? 生物進化論 データで語る進化の新事実 クジラは昔、カバだった!』
>これは去年読んで、良い意味で期待が外れた本だった(いやだって、タイトルがねえ…)。

当方、この本は未読ですが、読んで良い意味で期待を外したとお感じならば、
「ダーウィン『種の起源』を読む」もお勧めできると思います。
こっちは当方面白く読みました。

んで、学校ではなく、市や県の図書館で借りることはできませんか。ちなみに埼玉県の公共図書館全体では24冊確認できます。お住まいの地域がわかりませんが、最寄になくても、図書館同士の連携で取り寄せてもらえるはずです。

QAZQAZ 2011/06/08 20:08 > おっぱいさん
> 「ダーウィン『種の起源』を読む」のほうは、文系の人間でも「『種の起源』がどういう書物か?」ということがよく理解できる、とても分かりやすい内容なので、少しマニアックな感じもしますが、一読する価値はあると思いました。

ありがとうございます、私も『種の起源』は頭が追い付かなかったクチなので、わかりやすい本であればありがたいです。
最終的には『種の起源』を読んで理解したいところなので、助けになりそうです。

> みっちゃんさん
> 学校ではなく、市や県の図書館で借りることはできませんか。ちなみに埼玉県の公共図書館全体では24冊確認できます。お住まいの地域がわかりませんが、最寄になくても、図書館同士の連携で取り寄せてもらえるはずです。

おお、、そういえば地域の図書館を忘れていました。
目黒区立図書館を訪ねてみようとおもいます、無くても取り寄せてもらえるのはありがたいですね。
教えてくれてありがとうございます。

左手左手 2011/06/10 00:37 こんにちは。ホームページ「進化論と創造論」から飛んできました。
信念で科学について語る人々との論争という、気の遠くなるほど困難な作業、100回の尊敬に値します。

2010-01-04 「進化の存在証明」

[][]「進化の存在証明」 「進化の存在証明」 - NATROMの日記 を含むブックマーク

ドーキンスの新刊の進化の存在証明coverを読み終えた。垂水雄二訳。巻頭に30ページ以上のカラー口絵がついている。本屋で見かけたら、口絵の部分だけでもざっと見るべき。私のお勧めは、シファカ(マダガスカルのサル)のダンス。

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シファカのダンス


さて、本の内容はタイトル「進化の存在証明」そのまんま。さまざまな証拠を提示しつつ生物進化が事実であることを示している。科学について少しでももののわかった人ならば生物進化を疑ったりはしないが、それにも関わらずドーキンスがこの本を書いたのは、もちろん、主に宗教的な理由で進化を信じない人たちが少なからず存在するからである。残念なことに、一番この本を読まなければならない人たちのほとんどは、これほどのボリュームのある本は読まないだろう。かような本を読むだけの能力があれば、それほど簡単に進化論否定にはまったりしない。


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お手軽に読めるという厚さではない


想定読者は反進化論者ではなく、別に進化を否定はしていないがもうちょっと詳しく知りたいと思っているような人たちなのだろう。他の科学の分野と同じく、進化生物学は驚きに満ちており、知的好奇心を刺激してくれる。化石証拠の「ミッシンクリンク」については第6章および、特に人類化石は第7章で述べられる。第9章と第10章では、たとえ化石がまったく残っていなかったとしても、現生種の地理的分布や比較によって、進化が起こった証拠として十分であることが示される。第11章「私たちのいたるところに記された歴史」では、生物の体の「設計」が系統発生に伴う制約を受けていることを扱う。

総論としては、目新しい主張はない。中間種についての説明はもはやFAQと言えるし、現生種の地理的分布や比較は、ダーウィンからして「種の起源」で述べている。系統発生に伴う歴史的な制約については、スティーブン・J・グールドの「パンダの親指」というエッセイが有名だ。だいたいが、生物進化は100年以上も前に科学者の間では受け入れられていたわけで、いまさら新しい証拠は必要ない。だけれども、より詳しく知りたいという科学者の欲求によって、進化生物学に関する知見は現在も更新され続けてきている。「進化の存在証明」では、最新の知見も取り入れている。

P266にて、鰭脚類(アザラシ、アシカ、セイウチ類)の進化の空白を埋める「新しい化石が見つかった」ニュースについて述べられているが、これはNature誌の2009年の4月23日号*1のことである。P275の追記では、「2009年5月19日、この本の校正をしているときに、キツネザルに近い霊長類と真猿類に近い霊長類のあいだの「ミッシング・リンク」がオンライン科学雑誌PLOS Oneに報告された」とある。アマゾンを見てみたら、原著は2009年9月22日発売だった。訳書の発行日は2009年11月25日。垂水雄二が2ヶ月でやってくれました。他のドーキンスの本も早く訳して欲しい*2



関連記事

■ドーキンスの「祖先の物語」

■利己的な遺伝子 by ドーキンス

*1:Rybczynski et al., A semi-aquatic Arctic mammalian carnivore from the Miocene epoch and origin of Pinnipedia, Nature 458, 1021-1024 (2009)

*2:原著を読めって?ごもっとも。でも、私が原著を買って読み始めたときに限って、すぐに訳本が出版されるのだ

桜子桜子 2010/01/05 00:24 あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

ダンスの真ん中の写真ですが、キューバンルンバを思い出しました。(o ̄∇ ̄)o

exelexel 2010/01/05 10:16 不可能の山に登るはこのまま邦訳が出版されないままなのでしょうか

NATROMNATROM 2010/01/05 11:33 思い切って原著を買おうかなあ。そしたら、きっとすぐに邦訳が出版される。

電気屋電気屋 2010/01/05 15:29  それはジンクス?むしろ呪いかも。

桜子桜子 2010/01/05 19:48 NATROMさま

桜子は英語が出来ませんが、NATROMさまはお出来になるのですから、原著のほうが読みやすいのではないでしょうか。

お薦めに従いまして、絵だけ見ました。(o ̄∇ ̄)o
http://sakurako.iza.ne.jp/blog/entry/1400079/

ophitesophites 2010/01/05 20:14 ドーキンスは好きなんですが、やり方がけんか腰過ぎてあまり効率的でない気がします。
彼には是非ディール・カーネギーの「人を動かす」あたりを読んで欲しいですね。

wadjawadja 2010/01/05 23:48 ↑原題は「The Greatest Show on Earth」なんや、知らんかった。進化の存在証明(進化の証拠)は副題なのね。知らんかった。

bamboobamboo 2010/01/06 18:28 ショウなのか。それでダンスから始まるんですね。

moorhenmoorhen 2010/01/06 23:15 桜子さん。初めまして。
日本の将来を危惧されるのは結構ですが、それと進化生態学でいう"arms race"とがどう関係してるのかについて、
どうしようもなく誤解されてる可能性は大きいんではないかという気がするんですが。

ドーキンスをはじめ進化の啓蒙書を何冊か、きちんと読まれたほうが良いですよ。きちんと。

桜子桜子 2010/01/10 02:07 moorhen さま

こんばんは、桜子です。
折り紙を折りたくなって、薔薇に変身する立方体を折って、その写真をプログに載せることで、予想外に時間がかかってしまって、お返事が遅れてしまいました。

■2010/01/06 23:15
> ドーキンスをはじめ進化の啓蒙書を何冊か、きちんと読まれたほうが良いですよ。きちんと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
桜子は調べることは好きですが、本を読むのは大嫌いで、今までほとんど本を読んでおりません。
進化論についても読みたいとは思いません。
古事記上巻の神さまがお生まれになるところですが、まず単細胞ができて、雄雌の生殖器官が出来て、だんだんにいろいろな物が生まれます。生まれかたにも何種類かあります。
進化論につきましては、「突然変異」と「自然淘汰」しか知りませんが、この古事記の「神生み」と似ています。
また母乳の仕組みを知るにつれ、進化の過程が感じられます。

でも、おっしゃるとおり、「どうしようもなく誤解」しているかもしれませんね。(o ̄∇ ̄)o
この言葉をずっと考えましたが、よくわからないのです。

moorhenmoorhen 2010/01/10 11:47 桜子さん、お返事ありがとうございました。

> 本を読むのは大嫌い

そうですか。それは仕方ありませんね。大嫌いなことをお勧めして申しわけないことをしました。
結論を端的にいうと、国際関係を生物の生存競争と結びつけるのは間違いです。
よろしければ「社会ダーウィニズム」について調べてください。その思想に共感するか否かは個人の自由ですが、最小限、ダーウィン進化論とはまったくの別物であることは理解していただければと。

桜子桜子 2010/01/10 14:14 moorhen さま

こんにちは、桜子です。
わかりやすいご説明をありがとうございます。

■2010/01/10 11:47
> 結論を端的にいうと、国際関係を生物の生存競争と結びつけるのは間違いです。
> よろしければ「社会ダーウィニズム」について調べてください。その思想に共感するか否かは個人の自由ですが、最小限、ダーウィン進化論とはまったくの別物であることは理解していただければと。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ウィキの「社会ダーウィニズム」を飛ばし読み致しました。
こういう言葉や考え方があることを知りませんでした。
おっしゃるとおり、「まったくの別物」ということは理解しております。

昨年、以下のような地図をネット見まして
http://tsukurukai.webdeki-bbs.com/data/tsukurukai/img/221_55c4381093.jpg.jpg
実際にも中国の留学生がもうじき日本は中国のひとつの省になるのだという話をひとづてに聞いたりしました。
そして、日本にいる中国人のほうが在日朝鮮人よりも多く100万人だそうで、この1月に外国人に参政権を与えるという法案が出るとか・・・
桜子の住んでありますところは外国人が多く、すれ違って日本人かと思えば日本語ではない言葉でしゃべっています。

そういう心境の時にドーキンスの"arms race"の図を見ました。
それであのように喩えました。
国家に遺伝子はありません。
単なる喩えですが、適当ではなかったですね。(o ̄∇ ̄)o

「社会ダーウィニズム」というのは、誰でもが思いつく程度の話で、地球の長い歴史を考えますと意味がない話だと思いますが、誰かに説明するときは便利かも知れませんね。

電気屋電気屋 2010/01/10 14:43 >桜子の住んでありますところは外国人が多く、すれ違って日本人かと思えば日本語ではない言葉でしゃべっています。

 うあー、腹筋直撃ktkr
 自然体おそるべし。

 「社会ダーウィニズム」が誰でも思いつけるものだってのにしちゃーミームは思いつけんのかのー。んー、実に興味深い…てほどでもなくて、コロンブスの卵の実例の一つってだけだけどサ。ワカった気に「だけ」はなれるんだねー。もっともコレはおちいり易いナではあるから、もって他山の石としますか。

ウォトカで動くロボウォトカで動くロボ 2010/01/11 17:30 科学や医療について考えていると、外国人参政権も桜子さんが参政権を持っている事に比べれば些細なことに思えてしまいます。

医療や科学教育と言う物は政治の側面を強く持っている物ですので
桜子さんのような有権者が多くなれば、
「科学的に間違っていても民意に沿った医療(や科学教育)」が
採用されてしまうわけです。ヨーロッパでのホメオパシー保険適用や
アメリカでの創造論教育など、前例にも事欠きませんね。

pikapika 2010/01/12 19:37 図書館で所蔵していたので予約しました(現在、貸し出し中)。
動物の生態や進化の過程を知るのは好きなので、読むのが楽しみです。
スティーブン・J・グールドの「パンダの親指」とドーキンスの「虹の解体」も読んでみたいです。

小学生の頃、オリの手前の柵から身を乗り出して手を出したら、怒ったボスザルに手を摑まれ、2人ともにらめっこしてしばらく身動きが取れなくなったことがありました。クラスの男の子達が、ボスザルの顔目掛けてポップコーンをぶつけてくれて、ボスザルがひるんだ隙に手が離れました。ニホンザルでしたが、サルの手は小さくてザラザラしていて、握力がとても強かったです。(笑)

素人A素人A 2010/01/15 11:18 シロアリの社会性のエントリでドーキンスをお勧めいただいた素人Aです。
このような本を薦めていただけたことに感謝してもしきれません。
生物学は高校でも選択しなかったのですが、また本を読む時間が
できたら高校生向け教科書あたりを読んでみたいと思います。
本当にありがとうございます。

pikapika 2010/02/07 18:02  じっくりと読みたかったのですが、貸し出しの予約者が順番を待っているので返却しなくてはならず、さらっと読みました。ドーキンスの著作物は初めてでしたが、意外と読みやすく楽しめました。詩的なところもいいですね。(笑)
 1番気に入った箇所は、ここです。ね、ね、可笑しいでしょ!?(笑)
「P426・427」から引用。

******************************
 しかし、この話の要点は、まったくちがう種類の、甲殻類とはまるでちがった、ヤスデの「pill bug」(タマヤスデ類)がいるということである。こうした虫が丸まったのを見ると、ほとんど同じ動物だとしか見えない。しかし、一方は改変されたダンゴムシであり、他方は改変された(同じ方向に改変された)ヤスデなのである。もし、丸まったものを伸ばして注意深く見てみれば、ただちに重要な相違点がわかるだろう。
・・・・・・(中略)・・・・・
ダンゴムシとの類似点は表面的なものである−−−−収斂現象なのだ。
 専門家でもないかぎり、ほとんどすべての動物学者は、上に示した頭骨をイヌのものだと言うだろう。しかし専門家なら、口蓋天井にある二つの顕著な穴に気づき、それがイヌでないと見抜くはずだ。
********************************

月猫月猫 2010/02/07 22:10 やっと決心がついて購入。ただ「神は妄想である」を読み終わったばかりなので(遅い・・・)、
当分積むことになるかもしれません。同時に「代替医療のトリック」とapjさんのところで
紹介されていた「その科学が成功を決める」もamazonで購入してしまい・・・。
読みたい本が多すぎ。

2008-04-30 ヒトの出生性比はコントロールされているか?

[][]ヒトの出生性比はコントロールされているか? ヒトの出生性比はコントロールされているか? - NATROMの日記 を含むブックマーク

妊娠前に栄養状態が良い母親からは男の子が生まれやすいというネタをやろうと思っていたが、stochinaiさん@5号館のつぶやきに先を越されてしまった。


■ヒトの性比が妊娠前の女性の栄養状態で変わる(5号館のつぶやき)

 イギリスの750人の初産の妊婦さんを調べた調査結果で、妊娠する前と妊娠してからの食生活について詳しく聞き取り調査して、妊婦さんを3つのグループ(カロリーの摂取量が多い、中くらい、少ない)に分け、その人達の子供の性を調べたところ驚くべき結果が出たというものです。

(中略)

 妊娠前に栄養状態のもっとも良く、朝食もしっかり食べていたお母さんからは56%の男の子が生まれ、栄養状態のもっとも悪かったお母さんからは45%しか男の子が生まれなかったというのです。


元論文や「5号館のつぶやき」のコメント欄でも言及されているのだが、この話は社会生物学的に説明可能かもしれない。社会生物学においては、性比のコントロールはトピックの一つである。いささか古い本だが名著とされているロバート・トリヴァース*1の「■生物の社会進化 」は、一次性比に一章を割いている。一次性比とは各世代が始まるときの性比のこと。多くの種で一次性比は概ね1:1、つまり、オスとメスはだいたい同じ数だけ生まれる。その理由は、1:1から極端に外れた状態は不安定だからである。仮にメスが極端に多い集団があったとすると、その集団ではオスはメスより多くの子を持つことになる。娘より息子を多くつくる個体は多くの孫を持つ、つまり繁殖に成功する。息子を多くつくる個体が数を増すと集団中のオスは多くなり、性比は1:1に近づいていく。1:1の性比は平衡状態というわけ。

集団全体からみて1:1の性比が平衡状態であっても、各個体が子の性比をどうするのかは別の問題。「[集団全体の性比が]平衡状態に達して以後は、息子と娘の繁殖成功に相対的な差をもたらす要因にあわせて子の性比を調節できる親が選択されるのである(P341)」。つまり、たとえば、栄養状態が良ければオスを多く生むように性比を調節できる親が選択されるのかもしれないわけである。「生物の社会進化」では実例を多く引用しているが、アカシカにおいて母親の順位が出産性比に影響を与えている例を挙げている。


子の出生時平均体重など,繁殖に関連するさまざまな尺度に関して,優位メスは劣位メスに優っている.優位メスの息子は娘より多くの子を残し,逆に劣位メスの娘は息子より多くの子を残す.期待されるとおり,母親が優位であるほど出生時性比はオスに偏るようになる。(P355)

f:id:NATROM:20080430232825j:image

「社会生物学」P354の表11-6を複写して引用


他にも、「標準以下の餌しか食べていないフロリダモリネズミNeotoma floridanaの親は,息子に対する授乳を拒むことによって順に殺していき,最後には娘の世話だけをするようになる(P354)」。この例は一次性比とは違うが、十分な栄養が取れない環境下では、親による子に対する投資が息子よりも娘に偏る一例にはなっている。なぜ栄養状態が良いときには息子に、栄養状態が悪いときには娘に投資したほうが良いのか?通常の種においては、オスはメスをめぐって争う。「成熟時に平均以上に良好な状態にある(たとえば平均より大きくなっている)オスは,平均以上に良好な状態にあるメスより高い繁殖成功をあげるだろうし,平均以下の状態では逆になるだろう(P353)」。正確さを犠牲にしてわかりやすく言えばこうだ。

栄養状態が良ければ息子に投資しろ。立派な息子はライバルたちに勝って、多くの孫を作るだろう。栄養状態が悪ければ娘に投資しろ。貧相な娘でも繁殖相手がいないってこたないから、最低限の孫は得られる」。

ここまでがヒト以外の生物の話。冒頭の報告は、「栄養状態が良ければ息子を産め戦略」が、もしかしたらヒトにも適用可能かもしれないことを示唆している。「生物の社会進化」では人類における性比の変異についても述べられている。


同一集団内でも性比は状況により変化する.良好な状況では男の子が生まれやすいという一般法則があるようだ.たとえばオーストラリアでは受胎時に雨が多いと,ポルトガルでは出生時に豊作であると,男の子が生まれやすい.いくつかの人類集団で性比に影響している重要な変数の一つに社会経済的地位がある.(P359)


アメリカ合衆国では社会経済的地位の高い人ほど男の子を産みやすく、同様のことがインドやイギリスでも知られているそうだ*2。妊娠前に栄養状態が良い母親からは男の子が生まれやすいのも、「良好な状況では男の子が生まれやすいという一般法則」の一例であり、生物学的に説明可能と言い切ってしまいたいが、ヒトについては関与する因子が多いので断言はできない。

元論文によれば、ここ40年間は先進諸国で出生性比の低下がある、つまり男の子が生まれにくくなっているそうだ。環境ホルモンなどのせいにされがちであるが、妊娠前の栄養状態が関与している可能性が元論文では述べられている。日本の出生性比をググってみたら、1970年ごろをピークに現在は減少傾向にあるとのこと。日本人の摂取カロリーも1970年ごろをピークに減少傾向にあるようで、なるほど、当てはまるように見える。

*1:Triversは元論文でも言及されている

*2:社会経済的地位は交絡要因かもしれないよね。特に「生物の社会進化」が書かれた古さを考慮すれば。社会経済的地位が低くても十分な、もしくは、むしろ過剰な栄養を取れる社会ではどうなるのか知りたい

wadjawadja 2008/05/01 00:26 そ、そうやったんか。うちが娘二人なんは、社会経済的地位が低かったからなんや…orz

bamboobamboo 2008/05/01 06:15 我が家は男ばかりの家系ですが、思い当たることはあります。
車は中古車でも、高級な食材は使ったことはなくても、食事の量だけは確保していました。
でもなあ、この飽食の時代、みんな男ばっかり産んでも良さそうな気が。

gryphongryphon 2008/05/01 07:20 中学の時、理科の先生が「男は抵抗力が弱いので死亡率が高い。そのために男性の出生はもともとちょっとだけ多いのが普通なのだが、人間は医療を整備させたので男子新生児の死亡率も減った。だから必然的に世界は男性>女性になる」というような理屈を言ってました。どこまで本当かなあと思いつつ十数年たちましたが。

lets_skepticlets_skeptic 2008/05/01 09:29 > wadjaさん、bambooさん。
統計的な(ちょっとした)差異を個々の例に当てはめて考えるのは間違いです。血液型性格判断でも同じような間違いをおかしがちですね。いや、本気で言っているのかいまいちわからないのですが。

tontontonton 2008/05/01 15:56  この話は面白いけれど、学問的には不完全です。というのは、オスのデータが欠けているからです。オスの方を見ると、
 「栄養状態が悪いときには、息子の比率が多くなる」
 のかもしれません。その可能性は十分にあります。もしそうならば、差し引きして、何も変わらないことになります。物事の半面を見ただけでは、結論は何も下せません。

 なお、本項の趣旨が単独で正しいとしても、その理由は、「息子よりも娘の方が生存率が低い」ということでしょう。そういうことはありえそうです。
 先進国はともかく後進国では、子供の生存率は50%程度です。日本でも長い間ずっとそうでした。破傷風などで死んでしまうことは珍しくもありませんでした。
 
> 「栄養状態が良ければ息子に投資しろ。立派な息子はライバルたちに勝って、多くの孫を作るだろう。栄養状態が悪ければ娘に投資しろ。貧相な娘でも繁殖相手がいないってこたないから、最低限の孫は得られる。」

 これは明らかに間違いでしょう。娘だけ増やしてどうするんですか。オスがいなければ子を残せません。それに、この理屈では、オス(Y染色体)の立つ瀬がありません。
 NATROMさんは利己的遺伝子説を理解していません。競争する遺伝子は、同一遺伝子座に属する遺伝子(変異したもの)だけです。利己的遺伝子説では、Y染色体とX染色体が競合することはありえません。Y染色体とX染色体が競合する(ように見える)ことがあるとしたら、利己的遺伝子説とは別の理由によります。

NATROMNATROM 2008/05/01 16:04 >娘だけ増やしてどうするんですか。

毎度毎度tontonさんはすごいや。さすがに、「NATROMさんは利己的遺伝子説を理解していません」と指摘するだけのことはありますね。

tontonさん以外に理解できていない人はいませんか?追加の説明は必要かな?

stochinaistochinai 2008/05/01 16:32 TBありがとうございました。こちらを読んで、あの論文のおもしろさが倍増しました。さらに、コメントを読んで勉強させていただきました。あと、こういう話題の時は俗説にまみれて、せっかくの面白い結果がズタズタにならないことを祈りたい気持ちもあります。これからもよろしくお願いします。

ssd666ssd666 2008/05/01 16:36 そういえば、一人っ子政策の中国でも性別差が出ているようですね。
なぜなんだろう。わかんないなあ。

赤ガエル赤ガエル 2008/05/01 18:13 開高健氏の対談集「悠々として急げ」(S52年刊)での宇田一氏(遺伝学者)との項で、「(父親の)栄養と性的疲労度に出生性比は影響される」という説が紹介されてます。要約しますと、
・父親が性的に若いと女子が多く生まれ、疲労すると男子が増える。
・また性的疲労はタンパク質摂取によって進行を遅らせられる。
・昭和23年頃の調査では漁村と農村では男女比が異なり、漁村は女子・農村は男子が多いという結果が出た。
・性的疲労については遺伝学者のクルー(英)の「セックス・ディタミネーション」ですでに説かれており、XY型の哺乳類では上記の通り、ZW型の鳥類では雌が疲弊するとオスが増えるとされている。
となっています。とはいえその後この説が裏付けられたというような話も聞きませんので、ぽっと出て消えてしまったお話なのかな?という気がします。

ちなみにわが家は「女・男・男」・・・やはり疲労しているのか!?

ちょちょんまげちょちょんまげ 2008/05/01 23:51 ちなみに、私のツレアイは7人娘(女ばっか)の末っ子、ツレアイの母(私の義理の母)は9人娘の長女。(男の子が一人生まれたんだけど、若くして亡くなったらしい)これ、ネタじゃなくてホントです。よっぽど食い物なかったのかな?今度マジでその後の出生性比を調べてみよう。

kmori58kmori58 2008/05/02 00:30 > 一人っ子政策の中国でも性別差が出ている
間引きしてるからです。
農家などは男の子を欲しがる人が多いので男の子だけを正式な子として届け、女の子は捨てたり戸籍のない黒孩子として育てるそうです。
ですから公式統計だと男が多くなります。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8220.html

mimizukukkoguremimizukukkogure 2008/05/02 02:29 某サイトからURLに懐かしい名前があるので飛んできました。
私のことは覚えていらっしゃらないかもしれませんが、別にいいです。
NATROMさん、突然お邪魔いたします。

上のレス
>統計的な(ちょっとした)差異を個々の例に当てはめて考えるのは間違いです。
とは、わかっているのですが、昨今の女児マンセーの中、
息子二人を授かった身の私は「ふふふ…」と溜飲を下げてしまいます。

別のレスで
>私のツレアイは7人娘(女ばっか)の末っ子、ツレアイの母(私の義理の母)は9人娘の長女。

少し前、ブライアン・サイクスの本を読んだのですが、
女児ばかり産む女系血族の女性と、男児ばかり儲ける男系血族の男性の話がありましたが、
彼の本の内容はともかく、そういう家系は実在するそうですね。

や、ただあんまりお名前が懐かしいんでちょっとコメントを書こうと思っただけです。

diamonds8888xdiamonds8888x 2008/05/04 09:09 出生比を決める遺伝子はまだ特定されてはいないと思いますが、どの程度の精度でどんなメカニズムで働くのだろうかという疑問を昔から持っています。例えば成熟時の性比を50:50に制御するとして、一方の極端では男だけ生む遺伝子と女だけ生む遺伝子が対立していて集団中で50:50の平衡になるという機構があります。他方の極端では、53:48,52:48,59:41,50:50,49:51,48:52、といった連続的形質を示す遺伝子があり、50:50の遺伝子のみが淘汰されて残されるという機構があります。前者のように極端な形質はヒトでも他の生物でもあまりなさそうですが、後者でも個々の遺伝子がどの程度までの精度での制御を行えるのかがわからないのです。ヒトのように出生数の少ない場合、50:50の遺伝子と49:51の遺伝子の間でうまく淘汰が働くかどうかという問題がわからないので。このあたりを書いた良い本など御存知の方はいらっしゃいますか?

あんごるもあちゃんあんごるもあちゃん 2008/05/10 03:37 自分は3人兄弟だが、明らかに貧乏だった。
自分の子供は2人姉妹だがひもじい思いはさせた事がないはず。
VDT作業者(IT関連業種)では子供の女性比率が高いとかなり前に目にしたので、そうかそうかと納得していた。
親(自分)だけ貧乏じゃないと思ってたのか…ショックだ。

diamonds8888xdiamonds8888x 2008/05/14 06:20 「○○の職業では子供の女性比率が高い」というのはかなり良く聞きますね。○○にはたいがい発言者の職業が入りますが、実証データ付きで聞いたことは私はありません。「○○の職業の者はアルコールに強い」というのもよく聞きますね。

ranranranran 2015/09/26 20:56 素人考えではあるのですが
卵子にはx染色体しかなく精子にはx染色体とy染色体がありますよね
子の性別は卵子の持つ染色体ではなく精子の持っている染色体の種類に依存しますよね?
母親側の条件を調べてもあまり有意義ではなく男性側の条件を調べなければならないように思えるのですがどうなんでしょうか?

NATROMNATROM 2015/09/27 08:43 ranran さん、コメントありがとうございました。ご指摘の通り、哺乳類では子の性別は父親由来の性染色体に依存します。父親側の条件も子の性差に影響している可能性は十分にあると思います。

それはそれとして、子は母親の胎内で受精し、着床し、育つわけですので、そこで母親側の条件が影響してくるのでしょう。母親は何らかの方法で精子や受精卵を「選別」し、母親の遺伝子を効率的に子孫に残せるような性比に近づけさせている、とされているようです。

2008-02-19 何がシロアリの真社会性を進化させたのか?

[]何がシロアリの真社会性を進化させたのか? 何がシロアリの真社会性を進化させたのか? - NATROMの日記 を含むブックマーク

シロアリの遺伝的カースト決定のエントリーを書くためにいろいろ調べ物をした。その過程で「シロアリはなぜ真社会性を進化させたのか?」という疑問に対して、納得のいく答えを得たような気がするので忘れないうちに書いておく。まず、真社会性とは何か、から。E.O.ウィルソンは以下の3項目を真社会性を満たす条件としてあげた。


(1)複数の個体(ハチではメス)が共同して育児を行なう。

(2)二世代以上の個体が共存し、娘がコロニーの維持のため母親の仕事を手伝う。

(3)繁殖(=産卵)にかかる個体間の分業とカーストが存在する。


真社会性昆虫とはアリとかミツバチとかアシナガバチとかシロアリとかがそう。実はアブラムシにも真社会性を持つものがいる。アシナガバチの仲間には、複数のメスが巣を共有するけど別に分業していないとか、娘が育児を手伝うがその気になれば産卵もできるというカーストが未分化な種とかがある。生物進化を考えれば、アシナガバチはコロニーを作らない祖先種から漸進的に進化してきたはずであり、さまざまな段階の社会性を持つ種があっても不思議ではない。この話もすごく面白いのだが置いといて、なぜチョウやバッタやカブトムシは社会性を進化させなかったのに、アリやミツバチやシロアリは社会性を進化させたのか?という話をする。

社会性昆虫の進化はダーウィンにとって難問だったとされている。だって自然選択説とはつまり、「より繁殖に成功するような性質が選択されて進化する」てことだぞ。不妊になって他の個体の世話をするような「利他的」な性質がどうやって進化した?全然繁殖に成功していないじゃん。この難問に答えたのが、ハミルトンによる血縁淘汰説。自分は不妊であっても、血縁個体の繁殖成功を通じて自分の遺伝子を残すのだ(遺伝子からの見方をするならば、血縁個体を世話させる遺伝子は血縁個体を通じて自己を残す)。

アリ/ハチ(膜翅目)についての4分の3仮説は有名であろう。アリ/ハチの性決定システムはちょっと特殊で、オスは半数体(染色体数=n)、メスは二倍体(染色体数=2n)である。性染色体はない。減数分裂がないから一匹のオスの産生する精子は遺伝的にどれも同一(これ重要!)。卵子は普通に減数分裂して生じるが、未受精のままだとオス(n)、受精するとメス(2n)になる。アリのオスにはお父さんはいないわけ。重要なのは、精子が遺伝的に同一のため、同一ペアから生まれたメス同士は血縁度が近くなることだ。

f:id:NATROM:20080219173018g:image

アリ/ハチの4分の3仮説:オス個体では減数分裂が起こらず、その配偶子(精子)は遺伝的に同一である。メス個体(女王アリ)由来の配偶子(卵子)は減数分裂が起こるのでそれぞれ異なり、お互いに遺伝子を共有する度合いは平均して50%である。受精卵はメス個体になる(ワーカーもしくは女王)。父親由来の遺伝子はすべて同一、母親由来の遺伝子は50%だけ同一。血縁度は100×0.5+50×0.5=75%となる。

ややこしい計算については興味がある人は「社会性昆虫 血縁度」とかでググってもらうとして、アリのメスにとっては、妹の血縁度は75%(つまり4分の3)、娘の血縁度は50%となる。コストが同じなら娘を一匹育てるよりも、妹を一匹育てるほうがお得(遺伝子的な意味で)。同胞を育てるほうが得というのはオスには当てはまらない。だから、アリ/ハチのワーカーはすべてメス。アリの遠い祖先に、いちいち家を出て苦労して巣を作って娘を育てるぐらいなら、家でおかんの手伝いして妹を育てたほうがマシだと気付いた奴がいたんだよ。実際のところ、アリ/ハチの社会性の進化はハミルトンの4分の3仮説だけで説明できるような簡単なものじゃないようなんだけど、それはそれとして4分の3仮説は納得力の高い話である。

アブラムシについては簡単。奴ら、クローンだから。血縁度100%。血縁淘汰で説明可能。じゃあ、シロアリは?シロアリの性はXY性染色体で決まる。4分の3仮説は使えない。単為生殖もするけど、あくまでパートナーが見つからなかったときの代替手段。シロアリはなぜ真社会性を進化させたのか?専門家の間でも議論があるようだけど、とりあえず以下のような話で私は納得できた。

シロアリの祖先種って、どんなだったろう?ゴキブリとシロアリは近縁であることは結構知られている。ゴキブリは家の中で見かけることが多いのだけどそりゃ単に人の近くいるからよく見かけるだけで、ゴキブリの多くは林の中に住んでおり、朽ち木なんかを食べる。シロアリの祖先も、多分、朽ち木の中に住んでいた。朽ち木って結構でかいよね。小さなシロアリが食べきるまでには時間がかかる。朽ち木の中で生まれたシロアリは、わざわざ危険を冒して遠くの朽ち木を探しにいくよりか、そこにたっぷりある朽ち木を食べればいい。問題は、交配相手。近くには近親しかいない。近親交配はデメリットもあるんだけど、分散のリスクのほうが大きければ近親交配したほうがよい。実際、現生のシロアリでは、繁殖ペアのどちらかが死んだら、息子か娘かが新しい繁殖虫となる。

というわけで、シロアリの祖先は近親相姦し放題。実験用マウスを扱っている人なら分かると思うけど、同系交配をどんどん続けていくと、ホモ接合の度合いが高くなり、いわゆる「純系」に近くなる。となると、いわば娘も息子も妹も弟も遺伝的には皆同じ。クローンみたいなもん。もう自分で繁殖しなくても、弟や妹を育てても一緒。アリ/ハチと違って、シロアリのワーカーはオスメス両方いる。ここまででもだいぶ納得しそうになるけど、話はこれだけではない。

近親相姦の花園であった朽ち木も、いつかは無くなるときがくる。そうなればいやがおうでも 分散せざるを得ない。分散の過程で多くの個体は死ぬが、運よく生きのびて、パートナーと巡りあった個体は新しい花園を築くであろう。パートナーも、おそらく別の花園で長い同系交配を続けてきた、別系統の「純系」である。純系に近い個体は、ホモ接合の度合いが高いがゆえに、その配偶子は同一性が高い(アリ/ハチの精子と同様に)。同一性の高い配偶子同士が受精した受精卵も、同一性が高くなる。

f:id:NATROM:20080219174225g:image

循環的同系交配理論:王アリおよび女王アリは、何代もの同系交配によって、どの遺伝子座もホモ接合となっている。減数分裂は起こるが事実上配偶子は遺伝的にほぼ同一である。よって受精卵同士も遺伝的にほぼ同一であり、血縁度は100%である。図には性染色体は示されていない。子はオスもメスも生じうる。

つまり、コロニー創設ペアの子は、お互い同士ほとんど同じ遺伝子を持つことになる。血縁度ほぼ100%。一方、自分で繁殖しても血縁度100%の子は作れない。コストが同じなら、自らが繁殖するよりも、同胞を育てたほうがお得(遺伝子的に)という状況が生じるわけである。利他的な不妊のカーストが進化しやすい状況だ。一言でまとめれば、近親相姦がシロアリの真社会性を進化させた。実際、この話がどれくらい正しいのか私には分からないけれども、自分では納得できたからこれでいいのだ。というか、利己的な遺伝子 <増補新装版>のP488あたりに書いてあった。やっぱりハミルトンの説だ。

たまごどんたまごどん 2008/02/19 22:13 なるほどぉ〜。利己的な遺伝子を読み直したくなったけど、引越しの真っ最中で、段ボールの奥底にあるという罠。ハミルトンは偉大な学者だピョンなあ。

diamonds8888xdiamonds8888x 2008/02/20 06:07  1991年版だとp264「10.僕の背中を〜」ですね。「両者は少なくとも親と子の関係ぐらいの近縁関係をもたねばならないのである。〜それが実際に起こったのは社会性昆虫においてのみだったようだ。(p276)」。これを受けて、ハダカデバネズミに関しては補注(p497〜)で触れられていますね。近縁関係の強さが要因である点は同じと。

tontontonton 2008/02/20 10:59 > 自らが繁殖するよりも、同胞を育てたほうがお得(遺伝子的に)という状況が生じるわけである。

 とすれば、そのような遺伝子が増えるはずです。(遺伝子淘汰)
 アリならば不妊のワーカーが大部分となったように、シロアリでも不妊で子育てをするものが大部分になったはずです。

 一方、Wikipedia 「シロアリ」によると、こうあります。

> シロアリは親が子の一部を不妊の兵アリにすることによって真社会性になったと言っていい。

 全部ではなく一部が不妊になるだけです。
 不妊であることでたくさんの遺伝子を残せて有利であるなら、どうしてほぼ全部が不妊にならないのでしょう? アリならばほぼ全部が不妊になるのに、どうしてシロアリではそうならないのでしょう?
 不妊であることでたくさんの遺伝子を残せて有利である、ということは本当なのでしょうか?

RORO 2008/02/20 11:15 シロアリはアリと違っていつかは巣である木から出て行かないといけないわけで、
そのときのために繁殖機能を残してあるのでは?
離散したときに繁殖機能をもつ個体が僅かしかいなければ遺伝子が残せなさそうですし。

NATROMNATROM 2008/02/20 11:44 tontonさんは、Wikipediaだけで分かった気になって「〜のはず」などと判断するのは止めて、一度、きちんと進化生物学を学んでみてはいかがでしょうか。それ以前の問題のような気がしますが。

アリやミツバチでは、なぜ完全に不妊のカーストが大多数を占めるのか、という問題は確かに興味深いです。ROさんが理由の一つを指摘してくれました。だけど、この問題を議論するには、細部の知識が必要だと思います。

shinok30shinok30 2008/02/22 19:38 >近親相姦がシロアリの真社会性を進化させた。実際、この話がどれくらい正しいのか
>私には分からないけれども、自分では納得できたからこれでいいのだ。というか、
>利己的な遺伝子 <増補新装版>のP488あたりに書いてあった。やっぱりハミルトンの説だ。

ハミルトンは膜翅目についても3/4仮説では説明が困難な事例(永久的多女王制など)については,
「個体群粘度」という概念を持ち出して,
「複数のメスが産卵する場合でも,限られた地域個体群に由来するならば遺伝的に近縁である」と考えたようですね
(「アシナガバチ一億年のドラマ―カリバチの社会はいかに進化したか」のp234-あたりに出てきます)

「血縁度」というのは「祖先から受け継いだ遺伝子を共有する確率」であり,
遺伝子を次世代に残す方法として「血縁度の高い個体」というバイパスを想定したところが新しかったのですが,
もし,自分と遺伝子を共有する確率の高い個体がいるなら,
必ずしも「血縁」ということにこだわらなくても良いということなのかも知れません

素人A素人A 2009/04/18 08:24 不勉強故トンチンカンならすみません。

>遺伝子からの見方をするならば、血縁個体を世話させる遺伝子は血縁個体を通じて自>己を残す

これがちょっとひっかかります。血縁個体を世話させる遺伝子が意思をもって遺伝子を残そうとしているように聞こえてしまいますが、そうなのでしょうか?
自然選択というものを考えると、"世話する遺伝子をもつ体を産む遺伝子"が
残れば淘汰されず続いていくので、"世話する遺伝子"が100%だろうと50%だろうと
特に残る必要がないように思えます。いかがでしょうか。
うーん系統だって勉強したい

素人A素人A 2009/04/18 08:38 変な文になりました。
>血縁個体を世話させる遺伝子が意思をもって遺伝子を残そうとしているように聞こえてしまいますが、そうなのでしょうか?

血縁個体を世話する遺伝子が意思をもって自分の遺伝子を残そうとしているように、でした。

つまり、"世話する遺伝子"は、"世話する遺伝子を生む親"という、似た親からうまれたためいわばたまたま似てるだけであり、
親とは似ても似つかぬ遺伝子や形質をもっていてもOKではないでしょうか?
つまり、本家の遺伝子からみたときに世話さえしてくれればなんでもよい。
とすると、血縁淘汰、種淘汰、群淘汰なんていう概念自体があまり意味を
なさないようにおもえてしまいます。

NATROMNATROM 2009/04/18 17:22 もちろん遺伝子に意志はありません。遺伝子に意志があるかのようにたとえるのは、説明のための方便です。ドーキンスの「利己的な遺伝子」が読むとしたら手頃です。ネット上なら、Wikipediaの血縁選択説の項がよさそうです。私も専門的に学んだわけではありませんので、細部については保障できませんが、大まかなところは正しいと思います。

"世話する遺伝子をもつ体を産む遺伝子"についてですが、世話をする対象を選ばない遺伝子は、自己増殖に寄与せず、搾取されるだけなので消えてしまいます。"世話する遺伝子"が生き残るためには、世話をする対象を選ばなければなりません(意志をもって選んでいるのではなく、比喩的表現です)。世話をする対象が"世話する遺伝子"を持つ(あるいは持つ確率が高い)ときに限り、"世話する遺伝子"は生き残れます。

どの個体が"世話する遺伝子"を持つかどうかは、血縁関係でわかります。言いかえれば、遺伝子をどれくらい共有しているかでわかります。親が子の世話をする種は多いですが、子は親と遺伝子を共有しているため、子も"世話する遺伝子"を持っています。同胞(兄弟姉妹)も遺伝子を共有し、同胞の世話をする種も知られています。シロアリの場合は、このエントリーで書いたような特殊な繁殖形態を持っていますので、子よりも同胞のほうが遺伝子を共有する割合が高くなり、社会性が進化しやすいのです。

素人A素人A 2009/04/19 15:51 ありがとうございます!
とりあえずドーキンス買いに行こうとおもいます。
>世話をする対象が"世話する遺伝子"を持つ(あるいは持つ確率が高い)ときに限り、

世話をする対象が ”世話する遺伝子を体を生む遺伝子”を持つ、のタイポでしょうか?
これであれば頭でイメージがわきました。
わかるとパズルがはまるようにすっきりしますね。
素人の初歩的な質問に親切な回答をありがとうございます。
これからも進化学系のエントリもかいてください〜