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2009-03-16

中学校デビュー(笑)

A君は公立中学校に通う男の子。

自分の考えるもっとも自分がかっこよく見える姿を雑誌やインターネットで徹底的に調べ上げ、その姿になるべく夏休みすべてをそのために費やした。

だがここで、ひとつの疑問にA君は直面する。

『俺は今、最高にかっこいい姿になったぞ。さて、次は俺はいったいどうしたいんだろう』

一人で自分の部屋でかっこいい姿になったり繁華街を闊歩するのもいい。

でもやっぱり少しでも自分を知る人たちにこの姿を賞賛してもらいたい。

じゃあどうするか?


自宅以外で自分を知る人たちが多く居る場所、といえばA君には学校しかなかった。

そこで始業式の日、ばっちり格好を整えて中学校まで来てみたが、すぐに生徒指導とか担任とかなんとかいろんな大人が出てきてなんだかんだ面倒なことを言ってくる。


「いつ俺が校則に従うとか言ったんですか!」

義務教育なんだから俺には教育を受ける権利があって服装だなんだで教室に入れないってのは違法でしょ!」

とか反論してみたが、なにしろ相手は百戦錬磨の教師たち。

その迫力には勝てない。


こうなったらもうグレてやるもんね、学校なんてくるもんか、とか考えた。

だがしかし、小学校の時から憧れていたB子ちゃんの顔を見るためにはなんとしても学校に居つづけなければいけない!

今思い出したが、おしゃれしようと思いたったのも最初はB子ちゃんに顔を覚えてもらおうと思ったからだった。


どうしよう…A君は考える。

鬱陶しい奴らが問題にしているのは

  • キンキラキンの金髪
  • スーパーファッショナブルカスタマイズ制服・秋モデル

みたいだ。しかしこれ全部捨てると元の非モテもやしっ子に逆戻りしちゃうよう…


そこで彼はさらに頭をひねった。

ここまでで結構お金かかってるんだぞ。

お年玉全部はたいたんだからな。


次の日、中学校の校門に現れたA君の姿を見た教師たちは驚愕した。

あの金髪は真っ黒に光り輝いているし制服も普通だ。

ああ、A君も普通になってくれた、そう教師たちは胸を撫で下ろした。


だが、その日の放課後、教師たちはその目を疑った。

中庭で女の子に囲まれているA君の姿は昨日までのそれとまったく同じだったからだ!


怒鳴りながら駆けつけた教師たちにA君は言い放つ。

「これはあくまで僕が所属する演劇部の『衣装』で、僕もまだ慣れていないのですが役作りのため友人たちにアドバイスをもらっていたのです。髪の毛は一時的に色をつけているだけで、下校時は元の黒髪に戻ります。*1劇の舞台がこの学校なのでこの学校の制服を元に衣装を製作しました」

まだなにか教師たちは言いたげだったが、あまりにA君がすらすらと口上を述べるので天晴れとおもったのか、年配の先生が仲裁してくれ、中庭ではなく稽古場内でのみこの姿になることと引き換えにその姿を承認させてしまった。


当然この騒ぎは全校に瞬く間に広まり、B子ちゃんも知るところとなった。


数週間後、楽しそうに部室で歓談するA君とB子ちゃんの姿があったそうな。

ちゃんちゃん。*2

*1:どっちが"元の”色であるかはご想像のとおりである。

*2:この物語は、一部だけフィクションです

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