DS文学全集(藪の中、トロッコ)
藪の中 −芥川龍之介−
盗人と、侍、侍の妻を巡る事件についての、
木樵、旅法師、放免、媼(おうな)、
多襄丸(盗人)、女(侍の妻)、死霊(侍の霊)の7人の供述から成る物語。
最初の4人の供述は特に問題ないのですが、残りの事件の当事者3人の供述が、
それぞれ食い違うというのが話の肝です。
盗人は俺が侍を殺したと言い、侍の妻はわたしが夫を殺したと言い、
巫女の口を借りて話す侍の霊は自殺と語る。
結局最後まで真相はわかりません。
僕の読み方では、一番最後に語る侍の霊の言うことが真実に思えます。
盗人の証言は死を前にしての最後の見栄っ張り、
侍の妻の証言は事件のショックによる混乱でおかしくなった為ではないかと。
ちなみに事件の真相がわからないままになる事を「真相は藪の中だ」と言うのは、
この小説の題名が元になっているそうです。
(この作品は青空文庫で無料で読めます。興味がある人はこちら。)
ブックレビュー
- 総合評価 8点
- 感想 不思議