WebOSの普及モデルを考えてみる
上記Startforceの取り組みも参考にしながら、WebOSの普及モデルを「誰がサービス提供するか」という観点から列挙してみることにします。
- 既存ポータル系サービスやISPサービスへの追加
多数の既存ユーザを持つポータルやISPの付加サービスとして提供する事は、Webデスクトップ型サービスの普及モデルとして自然な形態のひとつでしょう。
フュージョン・ネットワークサービス株式会社が提供するStartforce、gooにおけるgooラボデスクトップ実験、AOLにおけるxdrive、などが徐々にWebOSとしてその存在を拡大するイメージです。
- 回線サービスへの付加
NTT,KDDI,Softbankといった企業の「ISP事業」ではなく回線サービス事業の一部として提供するケースも考えられそうです。もしかしたら、NGNに連動するアプリケーションとする事も考えられます。この場合、「キャリアグレード」という事で信頼性やセキュリティの高さをセールスポイントとすることになるのでしょうか?
- 既存アプリケーションサービスへの追加
単体で成り立つ秀逸なWebアプリケーションサービスも、数が増えて利用度が上がるほど、互いの連携無しにばらばらに存在する現状が長続きするとは思えません。WebOSには、こうした複数のサービスを整理して、密接に連携させる役割が似合いそうです。
たとえばZimbra、Flickr、Google Docs & Spreadsheets 等。
WebOS事業に参画しているストレージサービス事業者も、この分類に入れることができます。
- ケータイや家電分野からの展開
WebOSはマルチデバイスのサービス・プラットフォームとしての可能性を持ちますので、デジタルテレビ、ケータイ、その他各種デジタルデバイスのメーカが製品の差別化手段として(又は製品機能の一部を提供する場として)提供する可能性が考えられます。
XindeskはWebサイトでマルチデバイスで利用できる事をアピールしています。
XindeskのBlogでは、ホームサーバにWebOSを組み込む事を想定した記事も紹介されています。
家電分野でのサービスは、アクトビラのように業界共同でサービス運営する形態も考えられます。
- パソコンメーカよるサービス提供
WebOSは、「オンライン上にコンピュータ環境を提供するサービス」という側面を持ちます。そこで、こうしたサービスをHPやDELL等のパソコンメーカが提供する可能性が考えられます。
- Microsoftによる展開
Microsoftの既得権益を侵しかねないWebOSやWebデスクトップは、Microsoftにとっても注意すべき市場です。この分野の市場の成長度合いを見計らって、Windowsと親和性の高いWebデスクトップをMicrosoftが投入する可能性が考えられます。Microsoft社内でも、IE開発当初の1995年当時から、「インターネットによってコンピュータの概念が変わり、近い将来WebOS的なサービスがWindowsやデスクトップアプリケーション市場を脅かす事になる」と議論されていたと言います。Netscapeとの攻防も、Webブラウザ市場を獲得する為でなくWindowsとOfficeを守るための戦いであった考える事も出来ます。
現在はこの分野での動きが目立たない同社ですが、いざとなれば最も高い開発力を持ち、プラットフォームを提供した場合には、大多数のアプリケーション・デベロッパが追従する、最も影響力の大きい存在である事は確かでしょう。
- Google OSとしての登場
噂され続けているGoogle OSが、WebOSの形態を取る可能性については、多数の人が予測しています。
たとえば、「うわさの尽きないGoogleOS:結局のところ何が出てくる?」。
前述のGoogle Docs & Spreadsheets やGoogle アプリ 独自ドメイン向けがWebデスクトップ上で動作するのは、自然に感じられます。
但し、Googleが「邪悪にならない」為には、「Google OS」が、いろいろな意味でオープンな環境である必要性がありそうです。Google OSがどんな形で登場するのか、とても興味深いですね。
- サーバソフトとしての普及
eyeOSやORCAでは、WebOS(Webデスクトップ環境)をオープンソースとして提供しています。(ORCAの場合はライセンス料が有料ですが)
Blogのように、サービスとしてのBlog とMovableTypeなどのソフトウエアとしてのBlogエンジンが並存しながら成長する状況もありえそうです。
- 開発元の新興ベンチャー企業による直接サービス
一番最後に挙げましたが、既得権益を持たない新興企業が、新しい発想で優れたサービスを開発し、多くのユーザの指示を得て成長するものです。目からうろこの落ちるような、サービスが生まれる期待も有ります。
以上9件のパターンを挙げてみました。特に意識して整理していないので、分類も妥当ではありませんが、様々な可能性が考えられる事は、読み取っていただけると思います。
あなたなら、どんな風にWebOSを普及させますか?
Startforceが目指すWebデスクトップのかたち
ehubでStartforceのインタビュー記事が掲載されていました。
今回は、このインタビュー記事の一部を参考に、Webデスクトップのビジネスについて考えてみます。
Q:このプロジェクトを始めたきっかけは何ですか。 A:Web 2.0アプリケーションのeBayを世界が必要としているからです。
アプリケーションの機能・配布・ユーザの利用などを制御できる立場にあるのでi-modeにおけるiアプリ的なモデルは出来そうですね。これはシェアウエアの決済代行を手がけるVectorなどとの大きな違いです。
ユーザから見ると、ネット上に散在するアプリケーションを個別に探して選んで購入・インストールして利用するよりも、Startforceにより品質確認されたアプリをWebデスクトップ上で購読する方が手軽で安心感もあり、お金も出しやすい気がします。
アプリケーション提供者にとっては、課金決済が簡略化され、ホスティングの一部又は全部をStartforceにゆだねられる上、一定の広告宣伝効果も期待できるメリットがあります。
一方で、アプリケーションの充実とユーザベースの獲得という鶏と卵の関係のようなジレンマは、こうしたサービスの悩ましい側面でもあります。
また、携帯電話と異なり、フリーで品質の高い無償のアプリケーションやサービスが存在するPC向けの分野にあって、対価を支払う価値を感じさせる様なアプリケーションを集める事も課題です。
Q:あなたの設計哲学は何ですか。 A:Windowsのデスクトップの使用感を再現することで習得にかかる時間を 最短にすることです。
この考え方は、効率的でユーザを持たない弱者のアプローチとしては、現実的です。
Windowsのメタファを踏襲しておけば、ユーザインターフェースの設計に悩む事も無く、マニュアルを作る必要も無い。
Startforce以外の他のサービスでも、同様のWindowsに準拠しているものが大勢を占めます。
だけど、Windowsと違う部分は逆に目立ってしまい、「代用品」的な見られ方をする恐れはあります。
また、この戦略の場合、Microsoftがこの分野に参入したとき、どのように生き残ってゆくのかも気に掛かるところです。
Q:StartForceの基盤となるビジネスモデルがあるとすれば何ですか。 A:OEMとASPサブスクリプションです。
OEMなどで他社の市場開拓能力を併用しながら、自前でも有償サービスを提供して、ユーザを獲得してゆく考えでしょうか。
初期のGoogleが、YahooなどへのOEMで売り上げ確保とサービスノウハウの獲得を進めていた事とも共通性を感じます。
eBayのモデルを意識するなら、OEM契約の条件ではアプリケーション流通に関して一定の権利を残す事になるでしょう。
※そういえば、StartforceのAPIドキュメントの日本語版が3月30日に公開されましたね。開発者が増えるといいですね。
gooラボのウェブデスクトップ実験を眺めてみる
gooラボさんから3月15日にウェブデスクトップが発表されましたね。
企業の知名度からでしょうか、様々なニュースサイトで紹介されてます。
ちょうど良いタイミングなので、少し具体的に見てみましょう。
提供機能
- ウェブ検索機能
タブ切り替えで「サジェスト」「履歴」「総合ランク」「注目」「ディープ」といった候補リストを選んで検索できます。また、web、blog、画像、ニュースなど、最大10種のウインドウに検索結果が表示されます。
- ウェブメール機能
既存のWebメール(gooとOCN)をタブ切り替えで使えるようにしています。
- ファイル管理機能
100MBまでのオンラインストレージ。ファイル管理機能は、Startforceと類似した使い勝手ですが、イメージビュアーを含むファイル内容の表示アプリケーションは搭載されていません。ダブルクリックすると、Webブラウザでダウンロードしてローカルアプリケーションを起動する様になっています。
ストレージサービスは、デスクトップサービスと一体化されている様に見えますので、YouOSがAmazonS3を使っているようにcocoa等の外部サービスと連携する形態では無いようです。
- カレンダー機能
シンプルなカレンダー。
特徴は検索機能かな?IE7では、予定の追加が出来ませんでした。
- OCNフォトフレンド機能
検索ウインドウの検索キーワードに連動したコンテンツが表示されます。
- マルチデスクトップ機能
用途別に複数のデスクトップを使用できる機能。デスクトップに名前を付けて、リストから切り替えて(又は複数同時に起動して)利用できる様です。IE7では、エラーが発生して十分確認できませんでした。
この機能の目的がまだ良くわかりません。
- Webブラウザ(URLで開く)
技術面の特徴
外見などから判る技術上の特徴
- goo検索サービスを応用した検索アプリケーション
- マルチデスクトップ機能の提供
- AJAXライブラリとしてBindowsを使用
- 固定的なアプリケーション管理機能
- goo/OCNの他のサービスと連携したSSO(シングルサインオン)
SSOを実現しているかと期待したけど、そうではなかったみたいです。
といったところでしょうか?
Bindowsについて
参考までにBindowsのプライスリストを見ると無制限ユーザのランタイムライセンスフィーは企業の規模に応じて3段階に分かれていて、大手企業の場合年間 945,000円/CPU、(翌年以降50%)との事。資本や売り上げが小さければ、1/10ということです。
いずれにしても、AJAXライブラリであるBindowsだけでは何も出来ないので、ここに大きなお金を使うのはつらいかもしれませんが、こうした機能をゼロから作り込む事に比べれば十分安価かな。gooラボさんの事ですから、独自の条件でのライセンス契約かもしれませんね。
それにしても、なぜBindowsなのでしょうね?
他のWebデスクトップ系サービスの多くもそうですが、Windows UIのメタファを踏襲する事が、こうしたサービスにとって有るべき姿なのでしょうか?
Windows UIを作るなら、マイクロソフトが一番得意なはず。そのマイクロソフトを真似るのは・・・・。この件は、また別の機会に触れることにしましょう。
脱線ですが、マニュアルによれば、Bindowsにはサーバサイドのモジュールは無いようです。Bidowsのライブラリを置くサーバを限定して、フロントにキャッシュを置けば1CPUのサーバでもほぼ無限のサービス規模に拡張できるけど、これは違反かな?
アプリケーションの特徴
ファイル管理機能とカレンダー機能は、既存のWEBサービスに頼らない新たなサービスの様です。
ウェブ検索機能についてもWebサイトで直接提供していない機能を提供しています。
ウェブメール機能に関しては、単純に既存のWebサービスをインラインフレーム内に表示しています。
OCNフォトフレンド機能についても、インラインフレーム内に表示して検索キーワードに連動した表示をしている様です。
gooがWebデスクトップを提供する事の意味
「ウェブデスクトップ実験」と命名しているとおり、技術的にもサービス的にも実験の域を出ませんが、Startforceなどの他のWebデスクトップサービスとは明らかに違う点があります。
それは、既に多くのユーザを擁するgooのサービスと連動している点です。
充実したサービス群を持つgooが、今後Webデスクトップという概念をどのように発展させてゆくのか、楽しみです。
Alexaによれば、gooのアクセスランキングは国内10位。
YouTubeなどの非ポータル系新興勢力の影響からか、2006年は下降気味の様子。
新興勢力に押されぎみの既存のサービス事業者にとって、様々なサービスをまとめてその強みを引き立てる事のできるWebデスクトップ(又はWebOS)は、新たな突破口となる可能性を持っているのかもしれません。
その他
こうした点は、いずれ改良されてゆく事でしょう。
他の公開サービスと比べて、Webデスクトップとしての完成度はまだ低く、アプリケーションも少ないので、これを使うメリットがまだ見えません。Webデスクトップのメタファーの必然性にもちょっと疑問を感じます。
これからどのように発展させるべきか、ユーザに問いかけているのかもしれません。
サービス提供元企業の事を思いながら、さらに妄想して見ると、光サービス拡充後の新たな収益源に繋がるプラットフォームをWeb上に確保することを模索していると捉えることもできそうです。
WebOSの意味
はじめに
今回はWebOSのひとつのスタイルである、オンラインデスクトップ環境のあり方について考えて見ます。
よろしければ、一緒に考え、突っ込みを入れてください。
前回も触れましたが、WebOSという言葉には、認知された定義は無い様子です。
たとえば、次のようなシーンでもWebOSという言葉が使用されています。
今回は、オンラインデスクトップサービスを題材にWebOSの意味について考えて見ます。
オンラインデスクトップサービスの意味
シンクライアントモデルのオンラインデスクトップサービス
単純にオンラインのデスクトップ環境を提供するだけであれば、Linux+VNCにより、無料のソフトウエアのみで実現する事もできます。1台のサーバで、同時におそらく数十人が豊富なLinuxアプリケーションを持つLinux環境を利用できるわけです。JAVA版のクライアントであれば、クライアントPCへの事前のインストール作業も不要でお手軽です。
但し、動画や音声の再生までやろうとすると、VNCだけでは無理がありそうです。
もちろんWindwsでも、有償ながらTerminalServiceを利用する事で同様の機能を利用できます。
VNCやWindowsTerminalServiceのように、OSもアプリケーションもほぼ100%サーバOS上で動作し、端末側では、画面表示やキーボードやマウスの入力処理のみを実行するモデルは、シンクライアントと呼ばれます。シンクライアントスタイルの技術はWindowsよりも歴史が有り、UNIXシステムで標準的に使用されているX Window Systemもこの分類に入る技術ですし、いくつかの企業が様々な改良を施したシンクライアント関連製品を販売しています。
しかし、なぜかシンクライアント技術を利用して、デスクトップ環境を広く一般向けに提供するタイプのサービスの存在は聞きません。これはなぜでしょう?
シンクライアントでは、サーバOS上で動作する全てのアプリケーションが利用可能であり、ユーザはサーバOSが提供するデスクトップ環境をそのまま利用できます。これは大きなメリットです。
反面、サーバの負荷が比較的高くなるという短所があります。おそらく、1台のサーバで同時に利用できるユーザ数は数十人から多くても100人程度まで。しかも、原則として全ての操作や画面の描画処理で通信が発生するので、ネットワーク負荷も比較的高くなります。
サーバやネットワークなどのコストに加えて、端末側にもPCか専用のシンクライアント端末が必要である事を考えると、コスト上のメリットが乏しい事は容易に想像できます。
さらに、Windowsなどの有償OS環境を提供する場合には、そのライセンス料金も比較的高額です。
企業や公官庁では、セキュリティやシステム管理の観点から価値が認められて採用されるケースが有り、シンクライアント技術は、企業・公官庁向けの技術というのが一般的な見方の様です。
今後、世の中の変化により、シンクライアントモデルでのコンピューティングサービスが広く普及する可能性も否定はできませんが、現時点ではそうした兆候は見られません。
AJAXやFlashによるオンラインデスクトップサービス
いわゆるリッチクライアントと呼ばれる技術で構成されたオンラインデスクトップ環境です。
この技術では、処理の一部をクライアントサイドで実行する為、サーバシステムの負荷は、シンクライアントモデルに比べると、おそらく1桁程度以上小さくなります。通信量も減らせるので、ネットワークのコストも、低減できます。さらに、オープンな技術の利用によってライセンス費用を支払う事無く提供できる事から、一般コンシューマ向けのサービスへの適用が考えやすくなります。
その一方で、シンクライアント環境では可能であった、サーバOS上で動作するネイティブなアプリケーションやディスクトップ環境は利用できません。サービスを提供する為には、デスクトップ環境もアプリケーションプログラムも独自に用意する必要が生じます。
Desktoptwoは、こうしたサービスの中で、比較的完成度の高いサービスです。自分専用のコンピュータを持たない人が、ネットカフェや学校などで利用するのには便利でしょう。
無料のアカウントを取得すれば、1GBのストレージと共に、デスクトップ環境、オフィス系アプリケーションを含む、様々な機能を利用できます。メールアカウントも付いてきます。※OpenOfficeは、Webブラウザ上のVNCのコンソールで利用する仕組みになっています。
国内唯一の一般向けオンラインデスクトップサービスであるStartforceは、純粋なAJAX実装による安定したデスクトップ環境を提供しており、開発環境も公開して、アプリケーションの充実に努めています。
オンラインデスクトップサービスは、未来のWebOSに発展してゆくのか?
こうしたPCのデスクトップ環境を再現するスタイルのオンラインデスクトップサービスは、特定の隙間市場で、成功するかもしれません。しかし、それ以上の可能性を感じさせるには、まだまだ幼すぎる様に思います。
既に自分専用のコンピュータを持つ人が利用するだけの理由に乏しい事は、ちょっと使ってみれば判ります。多くの人が以下のような感想を持つことでしょう。
- 提供されている機能のほとんどが、ローカルPCで利用可能な機能と同等かそれ以下である。
- アプリケーションの種類や機能が限定されており、レスポンスなど性能的にも劣る。
- PCを起動した上でさらにオンラインデスクトップ環境を立ち上げなければいけない煩わしさがある。
- 管理すべきデスクトップ環境が増えてしまうという心理負担。
- オンラインで無いと基本的に利用できない。
- ローカルデスクトップとの連携に乏しい。(一部のサービスでは、フォルダー同期ツール、バックアップツール、アプリケーションランチャ等の提供がありますが、シームレスとは言いがたい連携です。)
結局は、オンラインデスクトップが、どんなにWindowsのデスクトップ環境に近づいても、その長所が短所を上回らない限り、大多数のユーザにオンラインデスクトップ環境を利用させるのは難しい様に感じます。Windowsのデスクトップ環境を置き換える事の難しさは、「デスクトップOSとしてのLinux」の歴史を見れば明らかです。
オンラインデスクトップサービスの未来
さて、それでは、オンラインのデスクトップサービスに未来は無いのでしょうか?
答えはYesでもNoでもあると思います。
オンラインデスクトップが、ローカルPCとの十分な連携を取れぬまま、ローカルPCのデスクトップ環境と同等の機能の実現を目指している限り、そこに未来は見えません。
裏を返せば、オンラインデスクトップサービスの未来は、ローカルPCのデスクトップ環境には出来ない事・困難な機能を提供し、ユーザにその価値を認めさせる事が出来るかどうかに掛かっているのではないでしょうか?
- オンラインサービスの特性を生かしたデスクトップ環境
- オンラインサービスの特性を生かしたアプリケーション
- オンラインサービスの特性を生かしたOS機能
- オンラインサービスの特性を生かした・・・
この議論を突き詰めてゆくと・・・OS、デスクトップ、アプリケーション、ひいてはパーソナルコンピューティングの概念を再定義する事になりそうです。(少し飛躍し過ぎですか?)
未来のパーソナルコンピューティングにおける、OS、デスクトップ、アプリケーションは、どんなものになるべきなのでしょうか?
次回は、もう少し視野を広めてWebOSのあり方について引き続き考えて見ましょう。
ORCAのサイトによれば、WebOSapi.orgという団体が存在し、以下の団体が属しているとのことです。
Webサイトは存在しませんが、ドメインは確保済みのようです。
ORCA | http://www.orcadesktop.com |
EyeOS | http://www.eyeos.org |
YouOS | http://www.youos.com |
WinLike | http://www.winlike.net |
XIN | http://www.xinteleport.com |
SameDesk | http://www.samedesk.com |
Challenger | http://www.challenger.se |
DALB | http://www.dalb.com |
Forcewebs | http://www.forcewebs.com |
Fenestela | http://www.fenestela.com |
MyDrive | http://www.mydrive.ws |
ZeppOS | http://www.empoweredinternet.com |
参加団体を眺めてみると、ストレージサービスの提供事業者が複数含まれています。
Web OSについて調べてみよう
はじめに
2005年頃からWebブラウザ上でデスクトップライクなUI環境を提供するサービスが相次いで発表されています。
Wikipediaによれば、こうした動きは、1999年頃にも有りましたが、ブロードバンドが現在ほど普及していなかった事もあってか、幅広く普及するまでには至ら無かったようです。
「WebOS」といえば、University of California, BerkeleyによるWebOS Projectを指す事もあるようですが、ここでは、以下の条件を満たす技術やサービスを「WebOS」と呼ぶことにして、関連する技術について調べてゆきます。
- Webブラウザ上で実行されるUIを提供するサービス又は技術である。
- プログラムマネージャ、ファイルマネージャ、ウインドウマネージャ機能を提供する。
- ローカルOSへのプログラムのインストールを前提としない。(一般に普及したブラウザプラグインは除く)
それでは、この1年余りの期間に発表されているWebOSと呼べそうなサービスや技術とその解説記事を列挙してみましょう。*2007年3月20日「gooラボ ウェブデスクトップ」を追加しました。
Desktoptwo
JavaとFlashを利用したサービス。
Java版vncビューアを利用してOpenOfficeまで提供している点が特徴的です。
fluxiom
マルチユーザのファイルサーバ的な利用を意図した有償サービスです。
script.aculo.usを利用しているということです。
gooラボ ウェブデスクトップ *2007年3月20日追加
3月15日にgooラボから発表された実験サービス
AJAXライブラリとしてBindowsを使用
gooIDによるシングルサインオン(SSO)
マルチデスクトップ機能が特徴的
goowy
Flashベースです。アプリケーションウインドウは半固定的なデザインとなっています。
ストレージには、Box.netのサービスを利用しています。
なお、goowy.comがリリースした新サービスにyourminisというものもあります。こちらは、ファイルマネージャを持たないので、WebOSの分類には入れないことにします。(StartPageとかWebTopといった分類が適当かな?)
雑感
今回は12種類のWebOSを掲げました。(*2007年3月20日「gooラボ ウェブデスクトップ」を追加して、13種となりました。)このほかにも列挙すべきものがあれば、コメントをお願いします。*1
このように、サービスを列挙して眺めて見ると、いったいどれが有力な技術として生き残ってゆくのか、気になります。
しかし、WebOSは未だその役割がまだ世の中に認知されたとは言い難い状況です。「Web2.0」というキーワードとともに、再び注目されているWebOSですが、その将来は未だ不透明です。
そもそもの開発コンセプトや開発目的の違い、これまで投入されてきた開発リソースの規模、サービス提供実績の有無、セキュリティや運用管理に関するポリシーなどがそれぞれ異なるので、一概に甲乙をつけることは出来ません。
また、未発表の技術も多数存在するはずであることを思えば、近い将来に、まだ登場していない技術が覇権を握る可能性もあります。
次回以降は、WebOSの意味を考えつつ、個別の技術について掘り下げてみる事にしましょう。