イワン・イリイチの死

病気にかかり死に赴く判事とその家族、同僚たちとの理解し得ない苦悩を描く作品。一見順風満帆だった人生、しかし病で苦しむときに家族でさえ、こうも理解し得ないのか、これを自分の立場だったらそんなことはない、私の家族はもっと親身になってくれるはずだし、同僚たちは自分の抜けたポストや仕事を気にせず心配してくれるはずだ、と疑いもなく信じることは難しいなと思えてきます。自分が死ぬことで悲しむ人はいるかもしれなし、慰めはあるかもしれないですが、みとる側みとられる側という線引きがある限り、死ぬに赴くことを人と共感するのは難しく、孤独はつきないと思いました。

イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)

イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)