神林長平「言壺」



言壺 (ハヤカワ文庫JA)

言壺 (ハヤカワ文庫JA)


『私を生んだのは姉だった』───小説家の解良は、万能著述支援用マシン“ワーカム”から、言語空間を揺るがす文章の支援を拒否される。友人の古屋は、解良の文章が世界を崩壊させる危険性を指摘するが───「綺文」ほか、地上800階の階層社会で太古の“小説”を夢見る家族の物語「没文」、個人が所有するポットで言葉を育てる世界を描いた「栽培文」など9篇の連作集にして、神林言語SFの極北。第16回日本SF大賞受賞作。



言葉って凄い。


いや言葉っつーよりは文章か。とことン文章にこだわったSF。ワーカムデバイスによってある意味支配されてしまった人間たちの文章にかける熱い思いがあったりなかったりするお話ぞろいで、薄ら寒い思いをする一方「これあったら結構便利かもしれない」と思ったりも。人間って理不尽。


微妙に連作になってるのもニクいね。大いに楽しませてもらいました。いや面白かった。

東川篤哉「ここに死体を捨てないでください!」



ここに死体を捨てないでください!

ここに死体を捨てないでください!


「死んじゃった…あたしが殺したの」有坂香織は、妹の部屋で見知らぬ女性の死体に遭遇する。動揺のあまり逃亡してしまった妹から連絡があったのだ。彼女のかわりに、事件を隠蔽しようとする香織だが、死体があってはどうにもならない。どこかに捨てなきゃ。誰にも知られないようにこっそりと。そのためには協力してくれる人と、死体を隠す入れ物がいる。考えあぐねて、窓から外を眺めた香織は、うってつけの人物をみつけたのであった…。会ったばかりの男女が、奇妙なドライブに出かけた。…クルマに死体を積み込んで。烏賊川市周辺で、ふたたび起こる珍奇な事件!探偵は事件を解決できるのか?それとも、邪魔をするのか?



烏賊川市シリーズ。つまりはそーゆーことです。(何がだ)


このベタな内容、スラップスティック風味の展開、豪快なトリック、奇矯な登場人物。これぞ東川篤哉ですよ。読みやすさはピカイチ、読み終えた後の何も残らなさもピカイチ、東川氏にはこの路線を迷わず突っ走ってもらいたいものです。(注:わかってはいると思うのですが褒めてます。ワシ的に絶賛レベルですよ)


・・・まかり間違ってもメジャーになるような作風とは思えないのだが・・・これも時代か・・・