スコット・トゥロー「無罪」



無罪

無罪


かつて検事補殺しの裁判で無罪を勝ち取り、今や判事の座に昇りつめたラスティ・サビッチ。彼の妻バーバラが変死した、遺体の発見から通報までに空白の一日があったことに疑惑を抱いた検事局の調べで、サビッチに愛人がいたという事実が浮かび上がった。次々に状況証拠が積みあがる中、かつてサビッチの裁判で屈辱的な敗北を喫した地方検事トミー・モルトは、ついにサビッチを妻殺しで訴追することを決意した。そして因縁の法廷が幕を開ける。サビッチは妻を殺したのか、遺体発見後の空白の時間は何を意味するのか、彼は何を隠しているのか?嘘と真実と駆け引きが白熱する。そして衝撃の真実はすべてが終わったあとに明かされる。それはあまりに悲しく痛ましく、人間の愛と憎悪を描き出す───歴史的名作『推定無罪』続編の名に恥じぬ重厚なる傑作。



推定無罪」から20年の時を経てもサビッチさンは何一つ成長していなかった。というか相変わらずのクズっぷりを発揮しまくっておりある意味安心してしまったわい。そして前作にも登場し、その際かなりの塩濃度でワシを楽しませてくれた検察側のトミー・モルトさンが今回もサビッチ相手に法廷バトルを繰り広げるのですが、こちらは「おいおい別人かよ」と言わンばかりの成長っぷりで大変素敵。というかもうモルトさンが主役でいいンじゃね?と思ってしまうほどの堂々たる態度ですよ。


前作「推定無罪」は話が動くまでにかなりかかったのですが、本書もまぁ法廷が始まるまでかなりかかることには違いないけど前作よりもサスペンス性が増しているので大して苦にはならなかったとです。というか検察側が捜査すればするほどサビッチさンに不利は証拠と事実が明らかになってきて「おいおいサビッチ大丈夫かよ」と先がかなり気になる作りになっているわけでして、これはもうページをめくりまくるしかないわけですよ。そして良い感じに緊迫したところで法廷が開始されるので、つまりは全編通してダレることなく楽しく読めたワシでしたとさ。本書も前作同様に法廷シーンはかなり楽しい。そして前作では塩濃度あふれンばかりであった検察側が本書ではかなり善戦しててこちらも読み応えがありました。やはり法廷ものはいいな。


一応前作「推定無罪」の真相はぼかしたまま話が進むので本書からでも問題ないとは思うのですが、まぁやっぱ前作読ンでることが大前提みたいなところありますので本書を読まれる際には「推定無罪」からどぞ。前作からとなるとちょっとハードル高いよーですが、まぁ面白いので読ンでみてちょーよ。おすすめよ。