スティーヴン・キング「ビッグ・ドライバー」



ビッグ・ドライバー (文春文庫)

ビッグ・ドライバー (文春文庫)


小さな町での講演会に出た帰り、テスは山道で暴漢に拉致された。暴行の末に殺害されかかるも、何とか生還を果たしたテスは、この傷を癒すには復讐しかないと決意し…表題作と、夫が殺人鬼であったと知った女の恐怖の日々を濃密に描く「素晴らしき結婚生活」を収録。圧倒的筆力で容赦ない恐怖を描き切った最新作品集。



中編2本「ビッグ・ドライバー」「素晴らしき結婚生活」からなる短篇集。どちらもスーパーナチュラルな要素抜きのノワールですがブラックな味わい満載で大変楽しい作品でした。


「ビッグ・ドライバー」・・・レイプされ殺されかけた女性が「ヤラれた以上、この屈辱を晴らすためには殺らねばなるまい」と復讐に血潮を燃やす作品。そしてこの主役を務める女性がまた狂っておりまして大変ステキ。具体的には脳内会議をやってるあたり。一人暮らし長いと独り言が増える(注:ワシがそうです)ものですが、これだけ独り言を極めるとまったく寂しくなンてないね!バイオレンスにつぐバイオレンスであり「わーお」という感想しかでねぇイカすお話であった。


「素晴らしき結婚生活」・・・長らく一緒に過ごしてきた旦那がサイコな連続殺人犯だったと知った奥さんの話。日常が一転して非日常にシフトする、日常の恐怖の描写・・・よりも、正体がバレた旦那の行動やそれに伴う奥さんの行動などがまた良い感じにアレで大変こちらも楽しいお話であった。まぁそりゃ人間、日常をわざわざ崩すような行動はしないわな・・・(´・ω・`)


どちらも暗黒この上ないお話ですが、読み応えと読後感はかなり良いのであまりヘビーな感じはしないかな。むしろさわやかな感ある。暗黒ですが大変楽しいお話ですので本書と同系統の「1922」とあわせてオススメしたいところです。いやー面白かった。キングも未読のブツばかりなので読まにゃならぬな