これはウケた日本美術家連盟の事務局長の発言

なんともかんともいいがたい気分になりますが、別に自らの最大限の利益を志向する考え方が悪いって言うわけではありません。大いにそうするべきなんだけど、それは規制によるものじゃなくて、個々の営業努力と市場によって成り立つものと言うことは意識しておいてほしいものですね。

小委員会の席上で意見を述べたのが社団法人日本美術家連盟の事務局長の方。当然ながらこの問題には「原則として利用の都度、個々の権利者から許諾を取るべき」というスタンスだ。その主張は「現実の権利処理の実態、その結果として生じた問題の実態について、まずは調査研究すべき」「法律家によっては著作権法32条の「引用」として処理できるのではないかという見解があるが、「引用」は批評・研究を主たる目的として権利制限されているものであり、商品の販売のための商品紹介の中で画像を提示するのは「引用」ではない」「滞納された租税の回収のために行政が行う場合であっても同様。補償金等の何らかの対価を著作権者に支払うべき」という3点で行われた。社団法人日本美術家連盟の立場からすれば、こちらもまた当然の主張であろう。
 それでは何にビックリしたのかというと、委員との質疑である。委員の方より「画像がネットオークションにアップされることによってどのような経済的な不利益・損失が有るのか?」という質問があった。委員の方は直接は言わなかったが、荒い画像(縦・横最大600ピクセル)がアップされることにどれほどの問題があるのか? ということを言いたかったではないのか? と推察される。これに対して、財産権ではなく「自分の著作物がネットに掲載されるされないは人格権の問題だ」とでも言えば良かったのに、ものすごい直球を事務局長の方は返してしまった。つまりこうだ、「そもそもネットオークションは、決められている相場を全く無視して取引が行われている。こうした価格破壊は困る」……、事務局長ぶっちゃけ過ぎ。これには中山主査も「二重価格の問題を著作権法で解決するのは難しいのでは?」と苦笑しながらコメントしていた。

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著作権って市場価格を守るために存在するって勘違いしてる著作者の人たちが沢山いるから私的録音保証金とかの話もあんなにこじれるんでしょうかねえ。こういった類の問題が起きないようにするには、やはりフェアユースの考え方を明示的に導入する必要が最低限あると思います。
著作物の価値って、「ただそこに存在する形に出来ない何か」に対する価値と、「それをこの世に固着させる何か」に対する価値が両方常に発生して、所有することそのものによって得られる価値が何であるかはモノによっても違いますし、人によっても違います。美術館が入場料を取って商売することが出来るのも、美術品が与える感動をそのままはお金に変換できないから、見せる事を制限することで、その制限を取り払うことに価値を持たせているわけです。
となると、確かに解像度が低いものであっても「見せる」という行為がもともとの価値をいくらか損なうだろうという発想はありです。が、この人たち、そんなに自らの作品に対して自信が無いんでしょうか。オークションで価格が下がると後発の作品も高く買ってもらえないってことかな。僕もオークションで楽器とかをたまに売買していますが、基本的には妥当な値段に落ち着くものです。だから、よっぽど不用品として出品されない限りは、中古市場として、間のマージンが無いことを加味した上での妥当な金額になっていると思うし、著作者の人がそう思わないのであれば、もともと乖離していたからなんじゃないか、と思ったりもします。
乖離していることが悪いことではありません。芸術作品と芸術家の関係を考えると、暮らしていける、育てる、と言う意味での応援価格だってありますし、あと政…脱…選挙…ごにょごにょ。でも一旦市場に出たものにそういう形での制限を加えるって本来は筋違いですよね。