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2007-12-24

ライブを収入源にすることとウェブでの宣伝の話

先のエントリは色々なコメントを頂きました。んで少し考えてみた。

ライブで直接的な収入が得られるってのはある程度の成功したアーティストにしかできないことだ。会場使用料もタダではないし、著作権使用料は自分の曲でも払わなければならない。だから、差し引きプラスになってあまりある、って言うのはごく限られた(と言っても、数だけで見たら少数ではない)アーティストの特権でしょう。会場も限られます。

だとしたら、録音は販促メディアで、ライブが収入の場、というのは広くは適用しづらい。一方で、YouTubeで販促活動してCDを買ってもらう、という手段もあります。録音を聞いて、空気を共有しに行くか、パッケージを買って応援するか。前者は自らの楽しみを追及する方向がアーティストの利益になっているし、後者は音楽そのものの価値もってアーティストに貢献するという方向です。もちろん、この二つの方向はオーバーラップしうるし、ここで一言で片付ける話ではありませんが。

で、ここでの大きな問題は、ライブはどうしても行かないと(どんなにライブDVDとかを見ても)本当には体験できないものであり、録音は、パッケージを買わなくてもいいと言う事ですね。大雑把に言うと、ライブと言うのは音楽でなくて、体験を売る場です。もちろん、その体験の中に音楽があるけれど、それを含めたトータル芸術としてのライブパフォーマンスと言ってしまえばよいでしょう。だから、行ってみるということが重要。その中で、更に音楽の部分は録音と違った形を見せることもあります。これも行く動機になりますね。

録音は、本当に中身に価値を認めれば認めるほど、メディアと形式には意味がなくなってきます。パッケージとしての付加価値は録音された音楽以外のところに求める必要があり、そして、それは努力されてはいます。

著作権を無視する形での音源の流布は、だから宣伝の枠の中に留まらないのであれば、アーティストにとっては全くプラスになりません。損害についてはダウンロードできなかったらそもそもイラネーという人の割合がどのくらいか、ということにも依存しますから、なんともいえません。宣伝効果については実証的な研究が待たれるところですが、実際の問題として、みんなが同じ宣伝をしたら、単に喰い合うだけ。お小遣いには限りがある以上、良かったものから順に利益を得られるってのはあまり変わらないはず。

だとしたら、ウェブでの宣伝というのは、売れるかどうかわからないデビュー時期に集中するか、ライブで収入を得ることができる大物(必ずしもメディア的に大物である必要はありませんが)に集中しそうな気がします。

既存であれば、宣伝にお金を掛けて、失敗する損失も見込んだ形で会社の収入の辻褄を合わせていく、というのがレコード会社のやり方なのであれば、その最初の宣伝費が減る=CDの値段が下がる、になったりしないですかね。ならないか。宣伝の効率化による増収増益。これかな。でもアーティストに還元されるのであればいいかなって気がしなくもありません。

さて、リスナーとしての我々は何をすればよいのか。言うまでもなく、アーティストが形態を模索するという負荷をかけることなく、利益をもたらすことでしょう。それは単に金銭的なものだけではありません。音楽(などの)活動を続ける動機を満たすこと(無論金銭もその一つとして)が、我々に利益をもたらすわけです。技術も資金も持たない人は他力本願にはなりますが、より直接的に貢献できるものを提示されたらちゃんと貢献するとか、そういった活動を行うべきですよね。アーティスト自身が「音源が出回ってしまって収入が減った。どうすればよいのだろう」と悩む必要のないように。

今、違法ダウンロードがあっても成功したアーティストが暮らしていけるのは、まだまだちゃんと買おうとしている人がほとんどだということを意味しています。もう一つ大事な視点として、まだまだ消費者がこの娯楽に愛想をつかしていないということがあります。対価を払う、と言うのは適切な対価だと納得できればその価値に応じて行われるし、そうでないと思われたら適切なところまで落ちていきます。

そういうところまで考えると、娯楽に費やすお金がある一定のパイに留まるのであれば、ライブを収入源にすればいいじゃないってことも本当にそうなのか、実効力の面では懐疑的ではあります。

関連エントリ:ライブこそが音楽?そうではないよね - novtan別館