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2008-03-25

SI関連業界の諸君、共感してないで学生を呼び込もう!

わかりやすいたとえ話でダメ事例を紹介し、上流工程の大切さと、SEに求められるもの、そこを頑張って改善していけばきっと全体が楽になる(といっても、可能性が上がる、だとは思いますが)からね、というわりと前向きな学生向けの話をしたつもりだったのですが、「あーあるあるwww」な同業者の反応ばかりだったことに僕は絶望すべきなのかどうか迷っています(苦笑

SI業界を目指す君達へ贈る「何故システム開発はテンパるのか」 - novtan別館で展開したたとえ話はとても一般的なたとえだと思っていたのですが、意外とウケが良かったのにもびっくりです。

さて、学生諸君にSI業界の恐怖を垣間見せてしまったとしたら、それは僕にも責任の一端があるので、頂いたコメント、ブクマ等もネタにしつつ、いくつかフォローエントリをたてていきたいと思っています。本日はイントロ的に。

システム開発の流動性と下請け

システム開発が建設にたとえられる理由の一つに、「モノを作るときにだけ大量の人数が必要」という点があります。つまり、元請け、下請け、さらに下請け…という構成ですね。これが発生する理由は開発の仕事は年中ありますが、元請けの会社がずっと継続して開発の部分を請け負える保証はありません。だから、工事の人足は別に集めることでコストのリスクを回避しています。開発要員は他の会社の仕事も請け負うことで労働者市場としては流動性が高まりますが、その一方で2重3重のピンはねが発生したり意思の疎通が不十分なままの丸投げが起こったりするわけです。

そして、元請の会社は丸投げ体質を身につけると技術がなくなっていきます。結果として、お客さんとの交渉力も設計力もないところが元請を行うことで、プロジェクト破滅へ一歩近づくわけです。

ところが、近年、システムの社会的な影響や様々な事件をきっかけに、厳しくなっているセキュリティーの問題や、大企業なんかは元々はシステム部が持っていた業務を絡めた技術知識がどんどんSI企業側に流出していく、SI企業側も下請けに流出していく、という構造的な問題を大きな課題と捉える向きが増えてきました。また、(通称)下請法ができたことにより、下請けを使うことへの制約も大きくなってきています。

そこで、システム開発の内製回帰(つまり、できるだけ企業内で頑張る)や、再委託禁止(請負先に多重の丸投げをさせない)という傾向が出始めています。これは、必ずしも良いことではなく、優秀なフリーエンジニアの雇用を阻害したり、システム部門やSI企業が人材を抱えるリスクを負担するということがマイナス要素です。それでも、本来決めるべき立場の人が、きちんと技術を持った上で、決めていく、という点においては正常化であるし、無駄に長いパスを通らないことで意思の疎通はスムーズになると思います。

単価下げ要請の中で、こうしたリスクまで抱えるのは正直辛いですが、偽装派遣に近い労働状態が、きちんとした請負になることで改善されていく(つまり、人月、ではなく成果に対しての報酬にきちんとなっていく)ことも期待されます。一見悪徳会社が社員をこき使って利益を上げる構図にも見えなくはありませんが、成果が出ないと儲けどころか損害賠償行きですし、どこも正規雇用を拡大しなければならないので、今まで以上に「イヤなら辞める」が通用する世界になるかも知れません。

SI企業としては、実力と関係次第では大ベンダーと組んで、あるいは、押しのけてポジションを確保する機会でもあります。もっとも先日某元政府系巨大SIerに酷い目に合わされましたが。ビジネスの仁義を守らないと腐ってくよホント。

若干希望的観測が入ってはいますが、そういうわけで、開発に携わる人という観点での正常化は今後進んでいくと思っていますし、それによって今までわりと分散していた責任がきちんと問われることにもなります。でも他の業種に比べていい加減すぎたのではという部分もありますし、むしろきちんと決まりごとがあればそれに従うことが一つの指針にもなります。

このあたりの話としていただいたコメントは別途項目立てして議論したいと思います。

ネットでは、SI関係者の愚痴が目立つ

目指す人も、従事している人も、ウェブのそれなりにヘビーな利用者であることは想像できますよね。なので、愚痴を目にする割合も比較的高いはずです。でも、大学の後輩のカード会社のやつとか、デベロッパーの奴の話を聞くと、どうも局所的にはともかく、定常的には僕よりはるかに大変な仕事をしている(過労死しないか心配)ようです。とはいえ、SI業界の悪いところは、巻き込まれ型で不幸になる人がそれなりにいることで、数多のデスマーチプロジェクトが存在する以上は、犠牲者も数多。その点の愚痴ばかり言うのではなく、きちんと現実側の改善を少しずつ進めていく。ウェブで物申す技術者みんなが戦えるプロジェクトリーダー足らんと頑張れば、きっと明るい未来が待っているし、そういう気概を持った人に就職して欲しいとも思っています。

正直なところ、志がないと難しい業界かな、とは思っていますけれども、まだまだ我々の手で世界を変える余地がたくさんあるということでもあります。SE諸君も学生に対して前向きな話をするorDieですよ!頑張りましょう!

宿題

幾人かに紹介いただいたコレ。

http://www.dashiblog.com/blog/archives/000140.html

もう四年も前に紹介されたものですが未だにあまり洒落にならない、実感を伴って迫ってくる絵ですね。

さてこの絵には重大な欠陥があります。我々SEはこれを見て大いに反省しなければならないのです。まあ、この絵が真実って訳じゃありませんが、実はそうなんじゃないか、と思わせるところもあります。

さて、なんのことでしょう。

yasuizoyasuizo 2008/03/27 22:01 ブクマコメントどうもです。

こちらの意見もうまく伝わってなかったなぁと思ったので、いちおーコメント。

前向きな学生向きのコメントには、ちょっと感じませんでしたよ?
なので、学生として疑問を持った点を指摘したつもりでした。
で、学生を呼ぶのに夢を語るのは必要だと思ったというところまで書いてみたんです。

お客さんが喜ぶ云々の部分が肯定的でなかったというのは、僕の読み違いでした。

NOV1975NOV1975 2008/04/01 00:43 コメントありがとうございます。僕も前向きなエントリ(コメント?)としては書いていません(テンパる理由解説だしね)が、入って騙されたっていって辞めていかれるよりもある程度実態を知ってもらう必要はあると思っています。実際、学生にもここまでじゃないけどしゃべっているしね。
まあもうちょっと夢は語りたい。自分が何を思って仕事をしているかというのは学生には伝えるようにしていますよ。ここではぼちぼち触れていこうかと思っています(というか、ブクマを集めた時点で方向性について悩んでしまったりしているので停滞中なのです)。

katzchangkatzchang 2008/04/03 10:24 ちょっと気になったので、質問させてください。
内製回帰や再委託禁止がフリーエンジニア雇用阻害(フリーの雇用ってのもちょっと変ですが)や人材を抱えるリスクには、どのようにつながるんでしょうか?
直感的には、フリー人材の期間契約や派遣契約を積極的に利用して、正規雇用打診する段階になれば…必要な人には声がかかるか、もしくは期間直接契約に切り替えるか(出来るかどうかわかりませんが)辺りだと思うので、むしろ逆の現象が起こるんじゃないかと思います。雇用形態の多様化と言えば耳には優しいですが。

NOV1975NOV1975 2008/04/03 13:47 大きい会社から小さい会社に発注がある流れの中で、フリーが大きな会社に直で契約できることは稀です。大会社には「資本金名恩億以上」みたいな発注先基準(何かあったときに賠償請求できるとか、そういったところが問題)があったりするので(もちろん全部ではないでしょうけれども)、そもそもの契約が委託先⇒再委託先⇒フリーみたいになっているとフリーの人は契約されません。
もちろん、フリーの人はフリーでやりたいからフリーになっているわけで、正規雇用(大抵収入そのものは下がります)を嫌がる場合も多いでしょうから、正規雇用のパイが増えることが必ずしも歓迎されるわけでもありません。
単に必要ってだけだと代わりはいくらでもいるし、優秀なフリー1人分が3人でしかできなくても、リスク回避のために直委託先プロパー3人を求めることだってそれなりにあります。
もっとも、僕は普段から銀行系の仕事しかしていないので、そういう意味では一番そういった点に厳しいところにいるのは確かです。なので、業界全体としてプラスになる可能性は否定しません。
人材を抱えるリスクってのは単純にコストですよね。仕事をなくなったときに首に出来る風土がありますから。解雇をもっと楽に出来るようにすれば逆に正規雇用の道は広がるはずですが、主に労働者側のほうが拒否の姿勢を見せていますよね。
実感として、最近は特定の一時的な大量需要のために人をかき集めるのが大変になってきているように思えます。

katzchangkatzchang 2008/04/03 14:30 >人材を抱えるリスクってのは単純にコストですよね。
期間契約や派遣契約の場合、仕事がなくなったときには契約解除になるわけで、一応要件は満たすんじゃないかと…。人月単位の請負契約や偽装派遣契約の場合、元請が下請の人材コストを負担してることと同義なので、現状でも「実質的には元請が人材コストを抱えてる」と言えますし、その意味ではあまり変化はないんじゃないかと思っています。
むしろ問題になりそうなのは、今まで工数や単価に薄く乗ってたはずのマネージメントなど間接コストや管理者人材不足、また「実は利益が薄い」という真実(笑)が表面化することかなぁという気もします。といっても、その辺の管理上のリスクを自身で管理できるわけで、同時に利点にも成り得る。この辺は結局やり方次第ですよね、と言ってしまうとあまり良い結論ではないですが(笑)。

>最近は特定の一時的な大量需要のために人をかき集めるのが大変になってきているように思えます。
受発注を平均化するっていう技術も、マネージメントに必要になってくるかも知れませんね。

NOV1975NOV1975 2008/04/04 10:52 元請けがコスト負担ってのも最近はIBMが本国の指令で先行発注は首になるのでできなくなりつつあって、それが顧客に非常に評判悪い(それ自体はおかしい話ですが)とかありますね。是正方向には向かっているけど足並みが揃わない。
受発注の平均化が企業集約になるのであれば、だんだん仕事の単価が下がりそうですが、仕事がコモディティ化(ここでは単純労働化)すると仕方がないことなのかも。
付加価値の高い仕事を心がけたいものですが、それが無償サービスにとられることが多いのが悩みの種ですね。

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