現代の封建領主

企業の酷い研修というより洗脳教育ってのは別に今に始まったことではなくて、まあ学生気分の若者に対して社会人としての責任を果たすとはどういうことか、を叩き込む程度なら反発しているのをみてああゆとりゆとりと思って終わってしまうけれども、会社の奴隷に仕立て上げるための根性を叩き込んでいるのはさすがにどうかと思う今日この頃です。

どれどれ、ちょっと拝見…うげぇ、これ…「無頼伝 涯」の署長そのものじゃねえかよ…。

http://d.hatena.ne.jp/Amerikan/20100908/p1

これ経由で。

中川八洋が指摘するごとく、東ドイツソ連の崩壊によって社会主義革命の夢を断たれたマルクス主義者たちは、誰一人として挫折も転向もしていない。進歩的文化人と言われる大学教授や評論家、著述家は社会主義を絶賛しなくなった代わりに、声高に「人権、平等、民主」を叫んでいる。その著書や学校教育において、以前にもまして"反日教育"に必死になっている。
日本の歴史と伝統と社会の慣習を一切否定して、悪魔の思想によって個人の幸福が叶えられると狂信する人々。この人を指導と教育の場から排除しなければならない。もちろん司法立法行政の国権に関わる政治や公務の場からも排除しなければならない。

最後の砦は会社である。会社の常識、会社の思想が国の崩壊を防いでいる。会社の指導者のみが日本を救う力を有している。

http://totsuka-yacht.com/ogori%27.htm

これが、話題のくら寿司の研修手法を仕込んだ会社の経営者の考え。こりゃあ奴隷研修にもなるわ。

会社にいる間は会社に尽くす、というのはまあそうはいっても仕事だからねとは思うけれども、コレほどまでに人の権利に差があることを声高に主張する人が会社の経営者としてやっていられるなんて日本の上流(成金方面)階級は崩壊しているんじゃないか?
たぶん、欧米諸国だったら思っても絶対に言わない類のものじゃないかなあ。トンデモ扱い上等なら別だけど。いや、意外と声高に主張している人がいるかもしれないけど。

人権の主張に対して反動的に人権の否定に走っている、単に反社会主義が行き過ぎただけの大して内容のない主張に見えなくもないけど、「会社の指導者のみが日本を救う力を有している」っていうこの選民思想はさすがにいただけない。
大体コレって戸塚ヨットスクールに寄稿したものだけど、

戸塚ヨットスクールは重症の情緒障害児を普通の社会生活が送れる状態に回復することができる日本唯一の訓練機関であった。

http://totsuka-yacht.com/ogori%27.htm

つーのは、「普通の社会生活」という、人権のない会社の奴隷生活を意味しているわけですな、きっと。
しかしこの人はこうもいう。

トップがひとつの厚い節(ふし)を突き破って「会社は人を育てる場、人間修行の道場である」という一段上の会社観に到達すると、会社は青天井の成長を始めます。
 社員教育に時間とお金を惜しまず使う会社が勝組になり、優良企業になります。

http://www.iwill-k.com/kaisya/index.html

一般人に人権を与えるなどとんでもないという思想の元で、育てられる人というのは一体どんな人になるのか。

良き専制と衆愚とどっちがマシ、的な発想で前者を選んでしまうことは社会情勢が悪いと往々にしてあるものです。会社も社会の縮図としては同じようなもの。1経営者としては、その世界である会社が自分の思想に従えばよいのかもしれませんけど、社会がその思想と相容れない以上、どちらかの側が崩壊せざるを得ません。幸いにも、日本は民主主義の政体を保っていますが、その土台が資本主義であるわけですから、経営者みんながみんなこっち向きになってしまうと大変なことになるかもしれない。

優秀な経営者が、社員に人権と引き換えに、まともな生活を送るための給料を「与える」。なんで人権奪う必要があるんだろうね。