「嘘をつかない」は悪徳、「嘘をつけない」は甘え

嘘というのは時と場合によっては必要なものだというのはみなさん当たり前のように思っていることかと思います。嘘にもいいものと悪いもの(という言い方をするとまた物議を醸しそうですが)がありまして、人を騙すための意図でない嘘は社会を円滑にするために必要なことだったりします。

ぼくは嘘が嫌いです。気持ちわるくて仕方ない。ゆえに、会社をドロップアウトしてしまいました。

嘘を付き合って「和」を維持する日本の会社に耐えられません : まだ東京で消耗してるの?

まず、こういう言説に出会った時に考えなければならないのは、ここでいう「嘘」というのはどういうものなのかを見極めることですね。多分、こういう事をいう人も実際には「嘘」をついています。単に自分の言いたいことを好き勝手に言えないことを「嘘をついてはならないと抑圧される」と言い換えていることがままりますし、そういうのは一般的にはわがままと言いますね。

もしみなさんが今の会社、またはこれから入ろうとする会社を、将来のキャリアアップのための踏み台だと考えていたとしても、そのことは口に出してはいけません。

嘘を付き合って「和」を維持する日本の会社に耐えられません : まだ東京で消耗してるの?

まずもってここが短絡的なんですけど、それが口に出せないことが「嘘をつかなくてはならない」と感じる事自体が社会性の欠如に思われます。僕もたまに学生の面接をすることがありますが「将来起業したいと思っているんだけれども、まずしっかりと仕事をする会社で経験を積みたいと思っています」という学生、他の内容が伴っていれば採用に○しますよwだってそういうマインドを持っている人がきっちり仕事をしてくれて、もしこの会社でしかできないことというのを見つけてくれればもしかしたら会社の戦力として成長してくれるかもしれませんしね。

たとえば、面接の場で、「私の夢は貧困問題を解決することです。グローバルに活躍できる御社で経験を積み、将来はNPOを起業しようと考えています。御社にいる期間は全力で働きます。よろしくお願いします」と語っても、面接官は戸惑うばかりで、結局「あの人は扱いにくそうだから…」という理由で不採用にするでしょう。

嘘を付き合って「和」を維持する日本の会社に耐えられません : まだ東京で消耗してるの?

うん、扱いにくそうですね。だって自社にとって何を提供してくれるかを全く述べず、自分の希望ばかり述べていますもん。全力で働きますとかワタミかよwそうじゃなくて、自分のビジョンを明確に語って欲しいわけ。「グローバルに活躍できる」じゃなくて、これこれこういう経験を積みたい、御社の仕事にこう貢献して、将来NPOをこういう形で起業したいんですってくらいは言わないと。
これ、単によくある「自己アピールの失敗」ですよね。

または、上司に向かって「この会社でできることには限界がありますし、将来は転職しようと思っています。今はキャリアアップのために、この会社に勤めています」なんて言おうものなら、「あいつは会社を辞めるつもりだ、けしからん!」という理由で嫌われてもおかしくありません。

嘘を付き合って「和」を維持する日本の会社に耐えられません : まだ東京で消耗してるの?

これも典型的なコミュニケーション不全です。どっちかというと「お前そうは言ってもこの会社でできることすらできてなくね?」と思われるのが関の山。逆にそうじゃない人間に対しては「うーん、そうだな。こいつにはうちの会社はちっちゃいな」と思われるんですよ。
現に、「この会社ではできないことをしたいんです!」って飛び出していった人がその先で活躍している話をあまり聞かなかったりしますwむしろ同じ業界に出戻っていて、顔合わせづらいという話はよく聞きますw

本音(「ぶっちゃけこの会社は踏み台です」)を隠すことは、個人としての機会損失と、事業としての損失にもつながります。

嘘を付き合って「和」を維持する日本の会社に耐えられません : まだ東京で消耗してるの?

そうですよ。僕も「この会社に寄生して一生過ごしたいです」みたいな人の本音が聞きたいですw正直言って辞める気のある奴はそれをきちんと言ってくれないとうざったいし、辞める気のある奴に責任ある仕事を任せられないので早く言って欲しい。
最初っから辞める気でしか仕事をしていない人は相応の扱いをするだけです。

職場では「さすが部長ですね!」と語る口で、6時間後、居酒屋では「マジで部長クソだよな」と語る。こういう気持ちわるさに、ぼくは耐えられませんでした。

嘘を付き合って「和」を維持する日本の会社に耐えられません : まだ東京で消耗してるの?

どんな会社だよw僕そんなヨイショしたことないよw単に会社の選択間違ってないというかこれもまた古巣に対する攻撃だよね!はっきりと前いた会社はクソでしたって言えばいいのに。嘘嫌いなんでしょ?まあもう言っているようなものか。

「和をもって尊しとす」は大切な価値観ですが、嘘を付き合ってまで「和」を演出するのは、ぼくは不健全だと思います。どこかで我慢することになり、そのストレスは、自他に対する暴力として発散されるからです。

嘘を付き合って「和」を維持する日本の会社に耐えられません : まだ東京で消耗してるの?

実際のところ、こういう形での「和」はよくあります。でも、この程度の話で「自他に対する暴力として発散」しなければならない人間はそうはいません。多分器が小さいってこういうことを言うんだろうなあ…

思うに、嘘をつかない、というのは一見いいことに思われますが、TPOが大事なもので、嘘をついたほうがいい場合が世の中にはたくさんあります。そういうのを上手く選択していくのが社会性というものです。個人が多少気持ち悪い程度で嘘をつけないなんていうのはこれはもう社会に対する甘え。もっとも、ここで上げられている類の嘘は、きちんとコミュニケーションすればむしろ嘘をつかなくていいたぐいのものなんですけどね。

嘘をつくことは、それが相手を騙す目的でなければ、他人を慮るということからの帰結なんですよね。自分の考えを一方的に人に押し付けることが「嘘をつかない」ことで達成できると思っていたらそれはものすごい社会に対する甘えです。

いずれにせよ、非常に狭い範囲の社会経験で一般論をぶつのは大変アホみたいに見えるのでやめた方がいいと思います(正直な言