中村てつじの「日本再構築」 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-01-13 クラウディングアウトのしくみ

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クラウディングアウトという現象について考えてみよう。

クラウディングアウトとは、広辞苑によれば「政府公債増発が民間の資金重要と競合して金融市場を逼迫させ、金利の高騰を招いて民間企業の資金調達が締め出されること。」と定義されている。

これはどのようなメカニズムで起こるのだろうか。

まず政府国債公債)を増発する。

これにより、政府は得たマネーを使って政府の支出を拡大する。

その支払の決済として、政府が(公債発行によって得た)マネーを民間に流す。この分のマネーは民間が保有するマネーが単純に増えるという結果になるので、マネーストックは増える。

マネーストックが増えるので、物価が上昇する可能性が生まれる。貨幣数量説の通り)

物価が上昇した場合には、中央銀行が金融の引き締めを行う結果、金利を上げるため、銀行による融資が抑制され、民間企業がお金を借りにくくなる。

以上がクラウディングアウトのメカニズムだと考えられる。

従来の通説的説明では、国債発行+政府支出増によるマネーストック増をハッキリと意識していないために物価が上がらない場合にもクラウディングアウトが起こるかのような曖昧な説明になっていると思われる。

上記の説明では、マネーストックが増えても、分配が不十分でマネーの所有者が偏在するようなケースでは物価は上昇しないこともありうる。

物価が上昇しないケースでは、中央銀行は金融引き締めを行わないので、金利は上がらず、銀行による融資姿勢には変化がないことになる。ただ、その場合も、そもそも(物価が上昇しないような不況下においては)銀行による融資姿勢は消極的なので、新規の融資は抑制され、信用創造の第1の経路でのマネーストック増は期待できないということになる。

このようにクラウディングアウトは起こっていないけれども、実際上は融資がなされないために、クラウディングアウトが起こっていると解釈する人が出てくるという点が、不況の場合にクラウディングアウトの理解をしにくくしている原因になっているとも思われる。