中村てつじの「日本再構築」 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2014-10-08 「さと子の質問」第13回「お金を増やせば物価は上がる?」

[][]第13回「お金を増やせば物価は上がる?」 第13回「お金を増やせば物価は上がる?」 - 中村てつじの「日本再構築」 を含むブックマーク

(前回第12回「きんゆうかんわ」(金融緩和)と「きんゆうひきしめ」(金融引き締め) http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140722 のつづき)


てつ夫:世に出回るお金の量が増えると物価が上がる、というのはイメージできる?

さと子:うん。モノの量が変わらなくて、世に出回るお金の量が増えると、一つ何かを買うときのお金の量が増える、というイメージはできる。

てつ夫:そうすると、お金の量を増やしたら、物価が上がると思っていいのかな?

さと子:うーん、関係はあると思うんだけど、増やしたら上がる、っていう関係まであるかと言えば、うーん…

てつ夫:いいところに気づいた。実は、そこがポイントなんや。

世の中のお金の量を増やしたら、世の中の人が使えるお金の量は増える。でも、さと子ちゃんが、自分の使えるお金の量が増えたからって、必ずしもお金を使うってことにならないよね?

さと子:うーん、何か、もやもやする。もうちょっと説明して。

てつ夫:そやな。例えば、明日デートのとき、バイト料1万円入ったとする。さと子ちゃんはどうする?

さと子:今度の彼とは失敗したくないから、髪切ったり、ネイルに行って、ちょっとオンナを磨きに行くわ。

てつ夫:1万円、全部使うこともあるわな。それなら、田舎のお祖母ちゃんが、「さと子ちゃんが留学したいときのために」って言って100万円くれたとする。その時も、美容室に行ったり、ネイルに行ったりして使い切ってしまう?

さと子:そんなん、するはずないやん! 自分でバイトしたお金やったら全部使うこともあるけど、お祖母ちゃんが内職してコツコツ貯めたお金を100万円ももらって、遊びに使うなんてありえへん! てつ夫さん、おかしなこと言わんといて!

てつ夫:えらい剣幕やな。モノの喩えやがな…

ちょっと落ち着いてくれ。何か、気づかへんか。人間は、入ってきたお金を全部使いたがるものかっていうこと。1万円入ってきたときと、100万円入ってきたとき。何が違っていたんやろう?

さと子:うーん、1万円だと全部使ってしまえるけど、100万円だと恐れ多くてなかなか使おうという思いになれへん。将来のために取っておこうという気持ちになる。

てつ夫:そやろ。自分で使えるお金って、それぞれの人の中に基準があるんや。いま受け取ったお金を、すぐに使うということもありうるし、また、将来のために取っておこうということもありうる。

ここが人間の行動の難しいところやな。

だから、世の中に出回るお金の量を増やすと、物価を上げることに繋がると考えるのが普通なんだけど、増やせば上がるのかという関係まではない。ちょっと難しい言葉で言えば、相関関係はあるけれど、因果関係はないということ。

ここが、日本銀行が頭を悩ましているところでもある。

さと子:でも、何で、そもそも、世の中のお金を増えているのに、お金が使われていないんやろう?

私たち若い世代は、正直言って、将来にあんまり希望を持たれへん。大学出ても、非正規か、正社員といってもブラック企業ばっかり。一握りのええ大学出た人しか、公務員大企業には勤められへん。

お金があるんやったら、もっと若者にお金を回したらええのに。なんで、でけへんのやろう?

てつ夫:それも、ええことに気づいたな。実は、毎年毎年、世に出回っているお金は増えているんや。でも、物価が上がらん。それは、使う人にお金が行っていないということなんや。

使う人の典型は、子育て世代や学生という若い世代や。その若い世代にお金が回っていない。だから、物価が上がるどころか物価が下がり気味になってきたということなんや。

さと子:でも、そもそも、なんで物価を上げようとしているんやろう。

てつ夫:そやな。そもそも論やけど、次回は、なんで物価が下がるとアカンのか、っていう話をしよう。


(次回第14回「なんで物価が下がるとアカンの?」 (現時点では未発行)http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/201410** に続く)


追記【さと子の質問シリーズバックナンバー】

第1回・第2回「国債って何なん?」

(第1回「債券って何?」)

(第2回「国債の値段が上がったり下がったりって?」)

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140529

第3回「お金って何?」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140602

第4回「お金とは支払いの手段」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140603

第5回「銀行の銀行」日本銀行

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140606

第6回「銀行にとって預金は資産か借金か?」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140618

第7回「ふつうの銀行がお金を発行!?」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140619

第8回「資産と負債のバランス」(バランスシート)

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140621

第9回「銀行のバランスシート」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140622

第10回「銀行は手元にあるお金を貸すんじゃない」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140719

第11回「銀行にお金を返さないこと、返すこと」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140720

第12回「きんゆうかんわ」(金融緩和)と「きんゆうひきしめ」(金融引き締め)

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140722

第13回「お金を増やせば物価は上がる?」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20141008

2014-07-22 「さと子の質問」第12回「金融緩和」と「金融引き締め」

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(前回第11回「銀行にお金を返さないこと、返すこと」 http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140720 のつづき)


さと子:てつ夫さん、いとこのマサトくんから、「お姉ちゃん、「きんゆうかんわ」って何? 夏休みの自由研究で調べたいんやけど」って言われたの。

「小学生が、何で「きんゆうかんわ」なの?」って言ったら、「これが分かればお金のことがわかるんとちゃうん? お姉ちゃん、大学生やろ。勉強してないん?」て言い返されたの。くやし〜 てつ夫さん、小学生にも分かるように説明して!

てつ夫:(何や、今日はえらいやる気やな、と思たら、マサトくんにバカにされたんか〜 (^_^;)) ・・・そやな〜 お金の話は、みんなに関係ある話やから、小学生でも分かるようにせなあかんな。

でも、「きんゆうかんわ」(金融緩和)っていう話も、丁寧に説明すると、ちょっと時間がかかるで。それでもええか?

さと子:それは覚悟してる! 教えて!

てつ夫:まず、金融緩和とは何かという定義何やけど、この言葉を聞いてどういうイメージを持つ?

さと子:うーん、全く分からん。

てつ夫:「緩和」があるということは、逆は何?

さと子:うーん、あっ、「緊縮」かな?

てつ夫:そうやな。「緊縮」とか「収縮」という言葉も「緩和」の逆だけど、「金融緩和」に対する言葉としては「金融引き締め」という言葉が使われるんや。

さと子ちゃん、この「金融緩和」や「金融引き締め」というのは、誰が何のために行うもんやと、想像する?

さと子:「金融緩和」という言葉を見る時には、いつも「日本銀行」という名前を見るな。だから、日本銀行がする何かだとは想像できるんだけど。 でも、何のために、っていうのがよく分からんのよね。

てつ夫:そうやろうなあ。

さと子ちゃんが言うように、「金融緩和」も「金融引き締め」も、日本銀行が行う「金融政策」を言い表す言葉なんや。

金融政策」とは、世の中に出回るお金の量を調整することによって、日本銀行が、日本経済を安定的に発展させることをめざす政策のことや。

日本銀行が世に出回るお金の量を増やそうとして行う金融政策のことを「金融緩和」と言うんや。逆に、日本銀行が世に出回るお金の量を減らそうとして行う金融政策のことを「金融引き締め」と言うんや。

その目的の最大のものは、「物価の安定」や。物価が安定しないと、生活していくの、困るやろう?

さと子:うん。最近、お父ちゃんが「ガソリンが上がってきたから、ちょっと困るわ」とぼやいてる。ユウナがバイトしているパン屋さんでも、小麦の値段が上がったからパンの値段も上げざるをえないって言ってた。

生活に必要なモノの値段が上がると、ちょっと困るなあ。

てつ夫:そうやろ。だから、日本銀行にとっては、物価の安定のために世に出回るお金の量を調整する、というのが一番重要な仕事になる。

世の中に出回るお金の量が増えると物価が上がり、世の中に出回るお金の量が減ると物価が下がる、という相関関係がだいたいあるわけや。

だから、日本銀行は、世に出回るお金の量を調整する努力をするわけやな。


(次回第13回「お金を増やせば物価は上がる?」 http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20141008につづく)


追記【さと子の質問シリーズバックナンバー】

第1回・第2回「国債って何なん?」

(第1回「債券って何?」)

(第2回「国債の値段が上がったり下がったりって?」)

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140529

第3回「お金って何?」

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第4回「お金とは支払いの手段」

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第5回「銀行の銀行」日本銀行

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第6回「銀行にとって預金は資産か借金か?」

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第8回「資産と負債のバランス」(バランスシート)

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第9回「銀行のバランスシート」

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第10回「銀行は手元にあるお金を貸すんじゃない」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140719

第11回「銀行にお金を返さないこと、返すこと」

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第12回「きんゆうかんわ」(金融緩和)と「きんゆうひきしめ」(金融引き締め)(今号)

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140722

第13回「お金を増やせば物価は上がる?」

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20141008

2014-07-20 「さと子の質問」第11回「銀行にお金を返さないこと、返すこと」

[][]第11回「銀行にお金を返さないこと、返すこと」 第11回「銀行にお金を返さないこと、返すこと」 - 中村てつじの「日本再構築」 を含むブックマーク

(前回第10回「銀行は手元にあるお金を貸すんじゃない」 http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140719 のつづき)


さと子:そういうことか。銀行はお金を作ろうと思ったらいくらでもお金を作り出すことができるけど、貸す相手を見てちゃんと貸さないと、後で大変なことになる。

銀行がお金を作り出した瞬間、次の話が待ってる。現金渡すか、そのウラで日本銀行に預けているお金を送ったりせなあかんということが出てくるわけやね〜

てつ夫:そうや。銀行にとって、お金を貸すっちゅうのは、通貨を生み出すっちゅうことなんやけど、その代わりに、借金の借用書をもらうわけや。

借金の借用書っちゅうんは、利息付けて返してもらうっちゅう話やから、さと子ちゃんに渡したお金よりは幾ばくかの利息を返してもらうということになるから、銀行としての商売になるっちゅうことや。

でもな、もし、さと子ちゃんが返してくれへんかったら、100万円分まるまる大損ということになるわな。もし、他の預金者から預けているお金を返してくれと言われたときに、銀行はどうなる?

さと子:どうなるんやろ。

てつ夫:資産を売って、お金を返すということになるやろ。そんときに、預金の引き出しということは、借金の取り立てに銀行があうっていうことになる。

その時に、全部の資産を処分してもそのお金がまかなえんかったら、どうなる?

さと子:その銀行、潰れるな。

てつ夫:うん、そうや。それが、銀行が潰れるっちゅうことやねん。だから、自由にお金が作れるっちゅうことやからって、簡単には貸されへん、ということは分かる?

さと子:なるほどなあ。

ほんなんやったら、借金を返すっちゅうことはどういうことなん?

てつ夫:借金を返すということは、銀行から見れば、バランスシートの左側「資産」にある借金の借用書が消えるっていうことやろ? それと同時に、右側「負債」にある預金が消える、ということや。

私たちが銀行にお金を返すときというのは、まず、銀行にお金を入れるわな。入れるということは、預金通帳にいったんお金が入るわけや。例えば、100万円の借金を返すとき、100万円現金を入れたら、100万円の預金が増える。

で、銀行への借金を返すっちゅうのは、銀行がその預金通帳の100万円という数字を消すということになるわけや。その時に、借金の借用書もなくなる。

つまり、預金が100万円分、消えるっちゅうことになるんや。

さと子:ああ、そうか。借金をしたときに預金は増える、借金を返したときに預金は減る。

預金はお金やから、民間の人や企業が、借金を増やしたら世の中に出回るお金の量が増えて、借金を減らしたら世の中に出回るお金の量が減るということやな。

てつ夫:そや。

さと子:いや〜。これはなかなか分からんわ。こうやって順を追って説明されるから何とか分かりそうなもんやけど、こんなん自分だけで考えても分からへん。

てつ夫:そうや。それがポイントや。銀行というのは自分の債務を増やせば増やすほど、資産を増やせば増やすほど、世の中のお金の量が増えるっちゅうことやねん。

銀行にとって、資産を増やすっちゅうことも、負債を増やすっちゅうことも、まあ同じことなんやな。

さと子:でも、そんなん、よう分からんわ。

てつ夫:そうやろ。よう分からんやろ。常識的な感覚ではつかめんからな。ここがお金のしくみのところで一番分からへんところやねん。

お金の話は、ここからが佳境に入ってくる。「きんゆうかんわ」(金融緩和)の話とか、国債とお金との関係とか。もう少し、話を進めて行こか。


(次回第12回「きんゆうかんわ」(金融緩和)と「きんゆうひきしめ」(金融引き締め)http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140722につづく)


追記【さと子の質問シリーズバックナンバー】

第1回・第2回「国債って何なん?」

(第1回「債券って何?」)

(第2回「国債の値段が上がったり下がったりって?」)

http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20140529

第3回「お金って何?」

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第4回「お金とは支払いの手段」

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第5回「銀行の銀行」日本銀行

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第6回「銀行にとって預金は資産か借金か?」

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第8回「資産と負債のバランス」(バランスシート)

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第9回「銀行のバランスシート」

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