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特許実務日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-01-02 ●平成10(受)332著作権「ゴナ書体事件」最高裁平成12年09月07 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

  本日は、『平成10(受)332 著作権侵害差止等請求本訴、同反訴事件 著作権 民事訴訟「ゴナ書体事件」平成12年09月07日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122319494763.pdf)について取り上げます。


 本件は、印刷用書体の著作物性について判示した最高裁判決です。


  つまり、

『                主    文

      本件上告を棄却する。

     上告費用は上告人の負担とする。         

                 理    由

 上告代理人花岡巖、同新保克芳、同木崎孝の上告受理申立て理由第一点及び第二点について

 一 著作権法二条一項一号は、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を著作物と定めるところ、【要旨】印刷用書体がここにいう著作物に該当するというためには、それが従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であり、かつ、それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならないと解するのが相当である。


 この点につき、印刷用書体について右の独創性を緩和し、又は実用的機能の観点から見た美しさがあれば足りるとすると、この印刷用書体を用いた小説、論文等の印刷物を出版するためには印刷用書体の著作者の氏名の表示及び著作権者の許諾が必要となり、これを複製する際にも著作権者の許諾が必要となり、既存の印刷用書体に依拠して類似の印刷用書体を制作し又はこれを改良することができなくなるなどのおそれがあり(著作権法一九条ないし二一条、二七条)、著作物の公正な利用に留意しつつ、著作者の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与しようとする著作権法の目的に反することになる。


 また、印刷用書体は、文字の有する情報伝達機能を発揮する必要があるために、必然的にその形態には一定の制約を受けるものであるところ、これが一般的に著作物として保護されるものとすると、著作権の成立に審査及び登録を要せず、著作権の対外的な表示も要求しない我が国の著作権制度の下においては、わずかな差異を有する無数の印刷用書体について著作権が成立することとなり、権利関係が複雑となり、混乱を招くことが予想される。


 二 これを本件について見ると、原審の確定したところによれば、第一審判決別紙目録(三)の書体を含む一組の書体(ゴナU)及び同目録(四)の書体を含む一組の書体(ゴナM。以下、ゴナUと併せて「上告人書体」という。)は、従来から印刷用の書体として用いられていた種々のゴシック体を基礎とし、それを発展させたものであって、「従来のゴシック体にはない斬新でグラフィカルな感覚のデザインとする」とはいうものの、「文字本来の機能である美しさ、読みやすさを持ち、奇をてらわない素直な書体とする」という構想の下に制作され、従来からあるゴシック体のデザインから大きく外れるものではない、というのである。


 右事情の下においては、上告人書体が、前記の独創性及び美的特性を備えているということはできず、これが著作権法二条一項一号所定の著作物に当たるということはできない。


 また、このように独創性及び美的特性を備えていない上告人書体が、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約上保護されるべき「応用美術の著作物」であるということもできない。


 三 結論

 以上のとおり、上告人書体が著作物とはいえないとした原審の主位的請求に関する判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は採用することができない。


 なお、予備的請求に関しては、上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除された。

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

裁判長裁判官 井嶋一友 裁判官 遠藤光男 裁判官 藤井正雄 裁判官 大出峻郎 裁判官 町田 顯)』

 という内容です。

 詳細は、本判決文を参照してください。