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夜になるまえに

December 17(Thu), 2009 50:50

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enboca東京にて、あやこちゃん、まさしと食事をした。


これはわたしの憶測なのだけど、"en"が「中」"boca"はイタリア語スペイン語で「口」周りの意味を持つ単語なので、"enboca"はつまり、「口の中」といういみになる。食べたりしゃべったり、口の中のことを純粋に陽気に豪快に楽しむお店だ。

誰よりも、マスターが率先して実践している。


自然薯の釜焼き

○長茄子のひすい蒸し

百合根のピザ

黒キャベツピザ

いちごと洋ナシのデザートピザ

ベルギービールワインとともに。


ピザ黒キャベツは、わたしたちの友達のいまいちゃんが勤めている軽井沢店のファームで育った野菜だ。誰かさんがこっそり、頂戴してきたらしい。


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カウンターに隣り合わせになった、お洒落な恋人たちが誕生日を祝っていた。アイスクリームに囲まれた小さなケーキには、ろうそくがわりの花火線香花火みたいにパチパチはじけるアレ)が点火され、チーズワインの香りに勝ってかすかに夏色のにおいを演出した。


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おめでとうございます、とわたしたちが声をかけると、それまでの会話が聴こえていたようで、あの、僕もSFC出身なんです、とバースデイボーイが言った。聴けばポールの後輩で、それぞれに共通の誰かしらを思い浮かべて、ニヤニヤしていると、彼女がキッチンの中に入っていき、ピザを焼いてくれた。まるで「魔女の宅急便」。ほっそりとして綺麗な彼女は、大人になったキキみたい。


ふとふりむくと、満員だったお客さんはみな帰った後だった。しんと静まりかえる店内で、マスターがだしてくれたピノ・ノワールをのむ。神経質なかんじはしないけど、くせがありつつ、のみやすい素直なピノ。彼はひとり、手製のからすみをかじりながら、日本酒をのんでいて、次々とおいしそうなものを放り込むその口周りは、フェンネルみたいにやわらかそうで真っ白な髭が立派に輝いているのだった。


キキのピザは、今夜のenbocaの竈で最後のいちまいとなった。


dark moonの話をしながら代々木上原の駅に帰る。バースデイボーイは、階段を上る途中、視界から消える最後の数秒で、とても綺麗なおじぎをしてみせた。とても、気持ちのいい晩となった。



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