新・凡々ブログ

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新世紀前夜の決戦

 ラヴクラフトとロバート=バーロウの合作に「新世紀前夜の決戦」というのがある。西暦2000年の大晦日、ロバート=E=ハワードとバーナード=オースティン=ドワイヤーがボクシングで死闘を繰り広げるという掌編で、ラヴクラフトと愉快な仲間たちが変名で総出演している。原題は"The Battle That Ended the Century"なので、直訳すれば「今世紀最後の決戦」といったところだろうが、『定本ラヴクラフト全集』に収録されている福岡洋一訳で邦題が「新世紀前夜の決戦」となっているのは洒落ていると思う。
 主役にされたハワードも「新世紀前夜の決戦」を読んだことがあった。チャールズ=D=ホーニグに宛てて書いた1934年8月10日付の手紙でハワードは次のように述べている。

はい、「新世紀前夜の決戦」は頂戴しました。ワシントンDCから郵送されてきたのです。よく書けていますし、なかなか楽しいですね。きっとラヴクラフトさんが書いたに違いないと思います。なぜなら彼と僕が私信で議論した事柄に、漠然とではあるものの見間違えようもなく触れている箇所がいくつかあるからです。
戦いの場面は至って愉快ですが、体格の面ではドワイヤーのほうが僕よりもずっと有利だろうと思います。僕の身長は180センチですし、体重も95キログラムしかありませんが、ドワイヤーは背丈も目方も僕を遙かに上回っているのです。

http://www.rehupa.com/OLDWEB/bookshelf_l.htm

 ハワードもかなり立派な体格なのに、ドワイヤーは一体どんな巨漢だったんだよと突っこみたくなる。ハワードのまじめくさったコメントまで含めて味わえば「新世紀前夜の決戦」をいっそう楽しめるだろう。

文学における超自然の恐怖

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