期待値(その3)
引き続き期待値についてです。
今日は次のステップ「最小損失額に応じて、任意の金額幅でグループ分け(この時点でシステムの1Rレベルを想定する)」へと移ります。
データは引き続き前回と同じデータです。(疑問はあるにしても)念のため、期待値計算の最初のステップであるポジションを平準化した時点の結果を載せておきます。
テストケースのポジションを平準化した場合の損益(前回のステップ終了時点での結果) | |||||||
参入価格 | ポジション | 撤退価格 | 利益 | 参入価格 | ポジション | 撤退価格 | 損失 |
500 | 100 | 510 | 1,000 | 650 | 100 | 630 | -2,000 |
1,200 | 100 | 1,300 | 10,000 | 1,000 | 100 | 950 | -5,000 |
750 | 100 | 770 | 2,000 | 200 | 100 | 195 | -500 |
350 | 100 | 380 | 3,000 | 3,500 | 100 | 3,200 | -30,000 |
38,000 | 100 | 40,000 | 200,000 | 25,000 | 100 | 24,500 | -50,000 |
200 | 100 | 210 | 1,000 | ||||
合計 | 217,000 | -87,500 | |||||
回数 | 6 | 5 |
では期待値計算の次のステップのグループ分けを行います。
この作業においては、魔術師たちの心理学 ― トレードで生計を立てる秘訣と心構え (ウィザード・ブックシリーズ)の著者・タープ氏の考えを推測すると、おそらく次の2つの目的があるのではないかと考えられます。
- 最小損失額の把握
- 単に次の出現確率を計算するための準備
出現確率を計算するための準備として、(本の中では)損益の額をおよそ50ドル前後(それ以上も当然ある)の任意の値幅でグループ分けをし、そのグループ毎にトレードの回数を合計するわけですが、今回のようにデータが少ない場合は、無理やりグループ分けをする必要はあまりないように思いますので、とりあえず今回は次のようにしてみました。
ケース1 グループ分け | |||
金額 | 回数 | 金額 | 回数 |
1,000 | 2 | (想定1R) -500 | 1 |
2,000 | 1 | -2000 | 1 |
3,000 | 1 | -5000 | 1 |
10,000 | 1 | -30000 | 1 |
200,000 | 1 | -50000 | 1 |
でもここには、微妙な問題があります。
(注 : 以下の内容は、上記のテストケースの分類からはあまり感じられない疑問ですが、トレード回数が多くなってくると、どうしても出てくる疑問だと思っています。なので、テストケースの例はあまり参考にはなっていない旨お知らせしておきます。)
タープ氏は、グループ分けは「任意の金額幅」としていますが、当然のことながら、金額幅が大きいのか小さいのかにより、差がでます。つまり、金額幅が大きいとより「アバウト」に、金額幅が小さいとより「正確に」になりますが、本を見る限り、グループごとの金額幅はかならずしも一定ではなく、ばらつきがあります。
本のなかで「数字はかなりまるめていることに注意するように」っといった感じの説明もありますが、問題はそのまるめかたにバラツキが生じている点です。あるグループは400ドル幅、あるグループは500ドル幅っといった具合です(けっして大きな差ではないのかもしれません)。
概ね、その幅が近い値であれば、それほど問題はないかと思いますが、「任意」である部分を信用して、グループ分けの時点で極端に金額幅にバラツキを作ってしまうと、次のステップの出現確率の計算時にそれなりの影響がでます。
この問題点は、それほど重要ではないかと思います。しかし、実際期待値を計算しようとすると、どうしてもこの疑問はでます。「いったい、どの程度の金額幅にするのか。その金額幅は本当に任意でいいのか。」といった部分です。単一のシステムの期待値を計算することだけを目的とするのであれば、あまり問題にしなくてもよさそうですが、少なくとも、期待値を違う投資システムの優劣を比較する指標として利用するのであれば、この部分はもう少しルールを一定にした方がいいように思います。
結局そんなに差はでないのかもしれないですけど・・・・・でもシステムの比較に用いるのであれば、それなりに明確でないといけないような気がします。
前回同様、うまく説明できていない気がしますが・・・とりあえず、一度魔術師たちの心理学 ― トレードで生計を立てる秘訣と心構え (ウィザード・ブックシリーズ)に添って期待値を計算したことがある方は、なんとなくわかっていただけるのではないかな?っという感じです。
こんなことをこだわらずに、先に進んだほうがいいのか?
でも、どうしてもスッキリしないんですよねーー。
今日はこのへんで。