アニメのギャグシーンに生まれる「ツッコミ時空」


どう書いたらいいのか分からなかったので、記事タイトルが不明瞭なものになっちゃいましたけど。


こういう、ギャグに対するツッコミのシーンで、なぜ背景が実際の場を描かずに、塗りつぶしになったりするのか、その理由、みたいなことです。


(ここ追記)カトゆーさんが”ああいう背景は脳内の心理描写的なものを表現してるのだと思ってた。”とツッコミ入れられておりますが、仰るとおりですね、ごめんなさい、ボケてました、一つの考え以外全部抜けちゃってました。
この記事に書いてあること以前に(以前の効果に)、心理描写的な効果があります。例えば上のらき☆すた画像だと、受け手が青ざめるかのようなボケ、みたいな――つまり受け手の心理の色が表れてるとか。一色に染め抜かれているか、何色かに分かれているか、グラデーションになっているか、などにも表現が宿っているでしょう。
ギャグシーンと非ギャグシーンのギャップを大きくする(ギャグの特殊性を演出する)という意味合いもあるでしょう。(背景が)非現実空間を描くことにより、ギャグの非現実性・非日常性みたいなもの(特殊性)を演出している。
メインとなる意味合いはこっちで、以下の文章はこの塗りつぶし背景の、補足的な意味合いだと思います。そこが完全に抜けてました。本当にすみません。(追記ここまで)


恐らくこれは、人物配置の変更に対する違和感を極力排除するために、背景を塗りつぶしているのではないかと考えられます。
上の画像を見ると、ツッコミを入れたり呆れたりしている人物が二人並んでいますけど、直前のカット・直後のカットでは「並んでいない」ことがあったりします。



↑の画像は、つい先日放送された「ひだまりスケッチ×365」第一話のワンシーンです。ヒロさんに対し、ゆのと宮子が”並んで”呆れているみたいな描写ですけど、直前の描写から分かる位置関係でも、直後の描写から分かる位置関係でも、この二人は決して並んではいません。真ん中にテーブルを挟んで、奥にヒロさん、右に宮子、左にゆのという配置で座って会話する、その流れの中のワンシーンです。
つまり、↑の画像どおりならば、ゆのと宮子はこの描写の瞬間に一瞬でヒロさんの前に並んで、直後にはまた一瞬で元の位置に戻った、ということになります。


って、それだと違和感が大きすぎますよね。何で急に並んでるの*1、意味わかんねえ、と視聴している方は思ってしまいます。それを排除するために、こういった、背景を塗りつぶした空間(写実的でない空間)が使われるのでしょう。つまり、背景が実際のものを描いていないから、そこに在る(位置関係などの)細かい実際との違いに、不信を抱かなくなりやすい


実際の部屋ではなく「ツッコミ時空」とも言える別の空間だから人物の位置は関係ない、つまり実際の部屋を描いていないようにこれはイメージ・誇張空間だから人物の位置は関係ない、といった具合。大きな嘘(背景)という前提によって、小さな嘘(位置関係)を、そこの描写のルールの中に組み入れてしまい、視聴者が気にならないようにしているのでしょう*2

*1:そもそも何故並べるの、という点については、その方が相乗できる(呆れ×2とか)・対比できる(一人は呆れて一人はツッコミとか)・会話に参加していることの証明になる・誇張できるといった意味があるでしょう。たぶん。

*2:アニメと書いたけど、漫画でもありえそうな気がします。たぶん。