2009-05-27
■アメニティの概念と3年前の7月
ハルヒアニメシリーズの新作が開始された。
ところでこれは本当に「新しい」といっていいのか。
第一期のTVシリーズが、個々の短編エピソードを、原作1巻「憂鬱」の構成に取り込んで順序づけしたように、「物語としては終わりが見えている状態で、延々日常が終わらずに続くというのが、涼宮ハルヒの日常だった。
それは、ゴールが見えているにもかかわらず、現状が居心地がいいので、動かずにこの場に留まっていようとするハルヒの思考の結果として描かれる。*1
この世界において、新しい日常を生み出すための方策は、「前進」ではなく「更新」だった。
つまり、物語的に先に進むのではなく*2、おなじ欠如感を意識しながらそれを決定的に充足してしまうことは回避するという方策が取られ続ける。
欠如感は満たさないまま、その代替物だけを量産する。ちなみに代替物の部分は様々なジャンル小説から引用されてくる。*3
そこで、今回のアニメ新作エピソードだが、これは「2期」として「1話」から開始するという形態をとらず、これまでのエピソードの中に埋め込まれる形での放送がされた。
つまり、これは「更新」であり、これによって物語的な前進をすることが、現状では否定されている。
3年間新作を待ち続け、七夕のエピソードにたどりついたという喜びは、これは逆に3年間延々終わらない日常の「更新」だけを待ち続けた心性が肯定されてしまったという事実と等価でもある*4。
涼宮ハルヒの憂鬱 2期(第8話)「笹の葉ラプソディ」がついに放送!! アニメ板は祭り状態で大パニック!!:【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´)
笹の葉ラプソディは原作4巻「消失」の伏線となるエピソードであることから、今期のハルヒにおいて、「消失」が扱われるのではないかという予想がされている。
ところで、消失においてキョンは重要な決意をする。
SOS団という終わりのない日常を自分は楽しんでいたのだと意識し、それを守ろうと考えるのだ。
つまり、決定的に前に進むことを回避し、日常の更新に尽力しようとし始めるわけであり、その姿勢は、「憂鬱」において異空間からハルヒを救い出したときの思考とは実は逆転している。
「続きがあった」と、「終わり損ねた」を区別することはできない。
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