プリズナーズ・イン・パラダイス / ヨーロッパ

最近EUROPEは「Start From The Dark」でジョンノーラム(G)が復帰して久々のアルバムを出しました。Vocalのジョーイテンペストがしばらくの間ハードロックとはかけ離れたアルバムを出していたので、半ばEUROPEの復活は無いかと思われていました。その復活アルバムはまだ聴いていないので沈黙する直前のアルバム「プリズナーズ・イン・パラダイス」('91)を紹介します。EUROPEのサウンドにはかなりHeavyなギターサウンドもあるのですが、そのHeavyさとはかけ離れた高音がすばらしいクリアなジョーイのVocalが印象的であり、そのVocalに合う曲はある程度POPさを持った「アメリカン」なサウンドであると私は思っています。そのサウンドを一番実現しているアルバムが他でもないこのアルバムです。1.オール・オア・ナッシングはそんな私の理想のEUROPEサウンドをガツンと聴かせてくれます。Mr.BIGエリックマーティンとの共作であることもお気に入りになっているひとつの原因でもあります(実はその事実を忘れていて、さっき「なるほど〜」と、うなってしまいました)。2.ハーフウェイ・トゥ・ヘヴンは一転して先週紹介したFairWarningにも通じるような、ヨーロッパ(国の意)的なメロディを持った快作です。3.アイル・クライ・フォー・ユーがその名の通り、彼らの真骨頂の泣きのギターポップバラードです。ジョーイの高音はこういう曲では微妙に嫌味に感じる感があるのですが、本当に微妙な所でそれが良さとなって生きています。4.リトル・ビット・オブ・ラヴィンはしっかりとしたリフと「ウォーオウォオ」と言うサビのメロディが昔からのEUROPEのハードロックを聴かせてくれます。6.セヴンス・サインでは今度はポップさを抜いた骨太なアメリカ的なハードロックを見せてくれます。ここではジョーイも泥臭いVocalを披露し、聴いているほうを飽きさせません。タイトル曲7.プリズナーズ・イン・パラダイスはヨーロッパ(こちらも国の意)のバンドに特徴的な幻想的なキーボードを効果的に使った名ロッカバラードです。ジョーイのVocalがそのメロディに乗りまくっています。一転ホワイトスネイクを思わせるフックの効いたロック8.バッド・ブラッドは曲名も似ている気が。。いい曲ですよ、もちろん。10.ガット・ユア・マインド・イン・ザ・ガターではMr.BIG的なリズムカルなアメリカンロックンロールを11.ティル・マイ・ハート・ビーツ・ダウン・ユア・ドアでは"かったるい系"なロックで始まりながら、サビでは涼しいメロディを聴かせ、曲の幅の広さを感じさせます。そろそろ聴きたいスケール感の強いEUROPE的な(こちらはバンドの意)哀愁をもったハードロックが12.ガール・フロム・レバノンで、最もHeavyでSpeed感あふれる13.ブレイク・フリー、1曲目に自然にループできるようなリズム&POP&アメリカンROCK14.イエスタデイズ・ニュースという名曲3曲で見事にアルバムを締めくくります。
91年と言う時代はダーク系サウンドがもてはやされており、典型的なハードロックが冷遇されていました。そんな中リリースされたこのアルバムはその中に埋もれてしまいました。しかし、2004年の今ならきっと素直にこの良さがわかるはず。改めて今、新作として出して欲しい位の名ハードロックアルバムです。

10/3-10/10's song : BREAK FREE / EUROPE
プリズナーズ・イン・パラダイス