2012-03-01
■臨床喫茶学・;ケガレ・ケ・ハレの生活律で健康で文化的な生活を!・・8
赤ワインはフレンチ パラドックスで有名であり、心血管リスクを予防する効果があると知られています。
しかし、ビールにも心血管リスクの予防効果があるとの研究が報告されました(Giovanni Paolo 2世ら、Eur. J. Epidemiol.オンライン版)。
既に発表されているアルコール摂取量と心血管リスクが有るか無いかの増減を検討した論文からのデータを解析した(メタ解析)結果です。
その結果は、ワインとビールには心血管の予防効果は認められたのですが、蒸留酒(ウイスキーや焼酎は蒸留酒)には無かったとあります。
ワインとビールとどちらに強い予防効果があるかについては、適量を飲むことが重要であり、どちらが優れた効果を持っているかは重要ではないようです。
少量から中等量のアルコール量であれば、ビールとワインとでは優劣は無いようです。
一日に25グラム以下のアルコール量に当たるビール、ワインを飲料した場合が、最も有効な心血管リスク予防効果ありとあります。
25グラム/1日のアルコール量であれば、ビールでは33%、ワインでは32%の心血管危険の低減が認めらるとのことです。
既に、2012・2月16日:「臨床喫茶学・:ケガレ・ケ・ハレの生活律で健康で文化的な生活を!・・17 もう一つの健康情報・・日本人は飲酒に強い!?」で取上げましたが、WHO(世界保健機構)によるアルコールの有害摂取量基準は男性24グラム/1日以下、女性12グラム/1日以下を適量推奨量としていますが、日本は、男性46グラム/1日、女性23グラム/1日以下が推奨量となっています。
今回のビール、ワインによる心血管リスクの予防効果については、WHO基準に従った方が良いと言えそうです。
我が国でのビール、ワイン、焼酎などの蒸留酒の飲酒と心血管イベントの予防効果についても国際的評価にたえられるような効果が判定できる調査・試験による検討が求められています。
それまでは、取りあえずは、WHOによる国際基準に従っておいたほうが良いと思います。
我が国の基準は、例えば、メタボリック症候群や糖尿病基準などのように、トドノツマリは次第に国際基準に近づいた変更がなされていくことが多いからです。
我が国では、こうした予防効果についての調査研究法は、多分に恣意性が入る調査が行われる傾向があるからです。
原子力発電所のような危険なことでも安全“神話”がまかり通る民政産官学による構造的な問題がある国家や社会体質があることからも理解できると思います。
「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(山中直樹著、アマゾン、Dr.BEAUT・ソフィーリッチなどのネットで販売中。 アップルのアップストア(App Store)の電子書籍としても販売しています)
Googleのブログ「Portable Power塾」で「B級市民のススメ」シリーズを取上げています(https://shintenoh.blogspot.com/)
2012-02-23
■『臨床喫茶学クリニック』・・ケガレ・ケ・ハレの生活律喫茶・茶の湯・・11
Λ(ラムダ)喫茶・茶の湯・・9・・神仙・仙薬による無縁社会のケガレ・ケ・ハレの生活律
ワタシ流日本社会の喫茶・茶の湯誌・・6・・栄西は最初の抹茶法、茶の実の伝来者ではない・・2
栄西による日本最初の茶書と言われる「喫茶養生記」には、茶木の育て方は書かれていませんが、当時、既に、茶園は各地にあり、ワザワザ、書く必要がなかった位なのです。
菅原道真(845〜903年)は大宰府に排斥されていた当時、栄西が茶の実を植えて開いたとされる背振山の茶園由来の茶を既に飲んでいたのです。
空也(903〜972年)は疫病の治療や予防に用いていたと伝わり、藤原道長は、糖尿病を病んでいたとされますが、1016年には茶を喫していたと日記・御堂関白記に記しているのです。
つまり、嵯峨天皇、永忠で有名な平安時代の喫茶は廃れたと言われますが、平安中期・後期にあっても喫茶は続いており、寺院の儀礼でも茶が使われていたのです。
公家や武士層にはあまり広まってはおらずに、むしろ、寺院、庶衆層・弱者の施薬救済として普及していたのだと私は思います。
我が国は、今も続く有名人の加上が優先される記録が作られやすく残されやすく、社会の実態が記録として残ることは少ないのが現実です。
聖武天皇、行基の時代からの伝説とされる季御読経に茶を振舞った引茶(「公事根源」一条兼良)が、1191年の九条兼実の日記・「玉葉」にも記されており、引茶行事が続いていたことを明確にしています。
当時、既に、所領からの公事(特産物献上)としても茶が用いられていたとの記録も残されているほどです。
つまり、栄西以前に茶園が各地にあり、茶の栽培法を説する必要はなかったと判ります。
栄西が臨済宗を我が国に伝え、禅院茶礼から茶が広まったとされる茶道史も「加上の理論」で、禅院の茶礼は栄西の没後に日本へ来た蘭渓道隆が中国式禅院修業を行う建長寺を1251年に創建して始まるのです。
栄西は「喫茶養生記」では、「昔より以来、自国他国ともにこれを尚ぶ」と既に我が国で茶が飲まれていたことを前提として、「養生延命の仙薬」であることを強調しており、「末世養生の良薬なり」として抹茶法に拘ってはいないようで、点て方よりも茶の薬効に主眼を置いていました。
栄西は桑茶にも注目し、散茶・抹茶の作り方、飲み方を紹介して、唐代の陸羽による「茶経」や前述の成尋が宋で飲んだ各種の茶の効用に注目しており、禅林での茶礼については「典座教訓」・「赴粥飯法」を重んじた曹洞宗を伝えた道元の方だと私は思います。
栄西は茶湯、桑湯などについて病気にならないための効能を重んじていますが、「点じ方」については煎茶法では用いられなかった茶筅についても、当時、宋では用いられていたにもかかわらず、言及していません。
陸羽時代の匙で攪拌していた可能性が高いのです。
我が国の茶樹について、DNA鑑定による調査が行われています。
日本の茶樹にはニ系列があり、茶の実が伝来したとすれば二回あったことになります。
一回目の茶樹は朝鮮半島とも同型のものであり、二回目は中国の杭州近郊から伝わった茶樹と同型なのです。
一回目の伝来は奈良時代、二回目は室町時代と考えられています。
一回目の伝来種が朝鮮半島と同型だと言うことは、渡来家系の行基が茶を飲み、非田院や施療所などで施薬救済として民衆に飲ませていたとの私の思いです。
また、二回目の伝来種は室町時代ということは、菅原道真、空也、藤原道長のみならず、栄西が宋から帰国後ニ十年を経過していた三大将軍・源実朝に奉じた茶も一回目の伝来種由来の茶を喫茶していたことになります。
茶が公家・貴族たちの養生の良薬、寺院の儀礼や民衆の施薬救済として用いられてはいたが、源実朝の話は武士層にはあまり広まってはいなかった可能性ありです。
栄西が茶の効用として養生の仙薬・良薬を強調していることは、寺院での引茶・供物、僧の眠気覚まし、修行への気を高める仙薬、行基・空也と伝わり、栄西・叡尊へとつながる施薬救済として民衆の間で根強く引き継がれ愛用されていたのだと思います。
そして、江戸後期になって、有名人と話を結びつける格好ずけがなされた“歴史”がもっともらしく今日に“権威”の「加上」が続いている!?
「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(山中直樹著、アマゾン、Dr.BEAUT・ソフィーリッチなどのネットで販売中。 アップルのアップストア(App Store)の電子書籍としても販売しています)
Portable Power塾で「B級市民のススメ」の連載を開始しました(http://shintenoh.blogspot.com/)
2012-02-20
■『臨床喫茶学クリニック』・・ケガレ・ケ・ハレの生活律喫茶・茶の湯・・10
Λ(ラムダ)喫茶・茶の湯・・8・・神仙・仙薬による無縁社会のケガレ・ケ・ハレの生活律
ワタシ流日本社会の喫茶・茶の湯誌・・5・・栄西は最初の抹茶法、茶実の伝来者ではない・・1
栄西が茶の実を持ち帰ったとしても、当時(1191年)、帰国が7月だったことから、種をまいても発芽はしなかったと考えられます。
それ故に、栄西の茶実の将来者説は疑いがもたれていました。
しかし、実際は持ち帰っていなかった可能性が高いのです。
そして、最初の抹茶法の伝来者としても否定されています。
栄西の生まれた頃、博多では、既に宋人によって抹茶が飲まれていたとする11世紀末の遺跡の発掘調査からも明らかとなったのです。
また、1072年に渡宋して帰国することのなかった藤原氏出身の僧・成尋(1011〜1181年)は当時の宋での喫茶の様子を記しているのですが(参天台五台山記;各種の点茶法や銭一文のような室町期の一服一銭の立ち売り茶のようなもの)が、帰国した弟子たちが栄西より前に抹茶法を伝えていた可能性も高いのです。
神津朝夫著「茶の湯の歴史」(角川選書)を読まれると栄西の茶実や抹茶法の伝来説に対してのみならず、茶の湯の歴史が如何に『加上の理論』(江戸時代の町人学者・冨永仲基・・思想や学説のみならず、世俗の家格や系図なども「加上」された変遷の歴史が今日に残るとする)で語られてきたかが良く判りますから、是非とも、ご一読をおすすめします。
明恵が宋に渡って茶実を持ち帰ったとか、栄西が明恵に茶実を贈り、闘茶で本茶の地位を誇った有名な栂尾茶となったとのお話は良く知られています。
「漢柿蔕茶入」に入れた茶実が贈られたと伝えられる明恵が高山寺の中興に乗り出したのは1206年であり、栂尾茶が闘茶での本茶と呼ばれてもてはやされた南北朝時代に作り上げられた「加上」の伝承話なのです。
しかし、栄西が明恵と出合ったことはなかったのみならず、茶の実を贈ったとの栂尾茶由来、明恵が宋に渡って茶を将来させたとのお話も鎌倉末期以来の伝説なのです。
その伝説を18世紀中ごろの千家家元制成立に貢献した川上不白が「不白筆記」に“茶の渡りたるは明恵上人唐より取り来る、はじめ栂尾へ植え候也」と知ってか知らずか、シャアシャアと記しています。
栄西の茶将来説は、神津朝夫著によれば、1686年刊の黒川道祐「雍州府志」や有名な藪内竹心の「源流茶話」にも書かれているのですが、茶人仲間に広まっていた江戸時代後期の「加上」話なのです。
「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(山中直樹著、アマゾン、Dr.BEAUT・ソフィーリッチなどのネットで販売中。 アップルのアップストア(App Store)の電子書籍としても販売しています)
Portable Power塾で「B級市民のススメ」の連載を開始しました(http://shintenoh.blogspot.com/)
2012-02-16
■臨床喫茶学・;ケガレ・ケ・ハレの生活律で健康で文化的な生活を!・・7
もう一つの健康情報・・日本人は飲酒に強い!?
日本と世界保健機構(WHO)での飲酒によるアルコール量と死亡率、健康被害、つまり、有害摂取量基準には違いがあります。
我が国でのエタノール換算グラム飲酒量の適量は、男性では46グラム/日 未満、女性では23グラム/日 未満となっています。
しかし、国際基準としての世界保健機構(WHO)は、エタノール換算グラム飲酒量は、男性は24グラム/日以下、女性は12グラム/日以下が推奨となっています。
つまり、日本が推奨する半分以下が良いとしているのです。
日本の非飲酒群と比べた調査で、飲酒と死亡の危険が増すのは男女それぞれ以下の如くでした。
調査対象としたのは合計で30万9,082人。
男性では、総死亡、ガン、心疾患、脳血管性疾患による死亡は、1日46グラム以上の飲酒量(アルコール量換算として)で増加となりました。
女性では、総死亡、過去に飲酒したが現在非飲酒や早期死亡を除いた人達などでも増加が見られる。
1日23グラム以上の飲酒量で増加となるのです。
しかし、女性の死亡原因との関係では1%未満に過ぎないことから、あまり飲酒による死亡リスクは高くないといえます。
今回、WHOは、M.Schutzeらの論文(BMJ,Published online 2011Aplril7;Alcohl attributable burden of incidence of cancer in eight European countries based on results from prospective cohort study)を基に過剰飲酒の注意を喚起したのです。
調査対象となった西欧の国・八カ国は、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、ギリシャ、デンマークでした。
調査対象とした人は36万3,988人。
アルコールが関連するガンの上昇は、男性32%、女性5%です。
アルコールによる発ガンが増すのは、上部気道消化器ガン(食道・胃、咽頭・喉頭ガンなど);男性44%、女性25%と最も上昇危険が高い。
肝ガン;男性33%、女性18%上昇。
大腸ガン;男性17%、女性4%の上昇。
乳ガン;5%の上昇。
世界で、アルコール有害摂取が関連する年間死亡数は250万人で、全ての死亡件数の4%を占め、男性では6.2%、女性では1.1%を占めています。
アルコールの有害摂取が理由となるのは、外傷、ガン、心血管病、肝硬変などが多いのです。
さて、皆さんは、日本基準、WHO基準のどちらを選びますか!
「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(山中直樹著、アマゾン、Dr.BEAUT・ソフィーリッチなどのネットで販売中。 アップルのアップストア(App Store)の電子書籍としても販売しています)
2012-02-10
■ 臨床喫茶学・;ケガレ・ケ・ハレの生活律で健康で文化的な生活を!・・6
もう一つの健康情報・・カルシュウム剤のサプリメントが心筋梗塞発症の危険を増す!
「もう一つの健康情報・・ビタミン類やミネラル類のサプリメントは高齢者女性の死亡危険が増すを用心!!」ではミネラル成分の内で、鉄、マグネシュウム、亜鉛、銅は死亡の危険を増加させるとの結果でしたが、カルシュウムだけは、死亡率を減少させるとの結果でした。
この論文では、心臓疾患も含めたすべての死亡原因も含めた結果です。
しかし、今回紹介する論文(Effect of calcium supplements on risk of myocardial infarction and cardiovascular events:meta-analysis,Bolland MJ,et al.,BMJ,2010)では、無作為化比較試験で行なわれた心臓病に注目して、既に出された研究論文を選んでカルシュウム剤摂取と心血管疾患の発症する危険の増減を検討したのです。
つまり、今回は心臓血管疾患による発症や死亡について検討したもので、既に紹介した論文のように発症はしても死亡はしていない人たちも検討されています。
その結果は、カルシュウム剤のサプリメント摂取は、心筋梗塞を発症する危険が増すというのです。
カルシュウム剤を1日500mg/1日以上を摂取した人を対象としています。
但し、今回の分析ではビタミンDを併用した場合は除いた結果です。
論文によれば、心筋梗塞発症の危険が増す程度は7つの論文の平均では、1.27倍となっています。
それぞれの論文では、一番危険が高いのは、1.59倍であり、低いのは、1.01倍でした。
心筋梗塞による発作と突然死亡の危険の増加は、8つの論文の平均では、1.12倍でした。
それぞれの論文の内で、一番危険が高かったのは、1.59倍であり、低かったのは0.97倍でした。
以上より、心筋梗塞の発生、発作や発作による突然死の増加は、カルシュウム剤摂取で危険が増すと判ります。
骨ソソウ症対策としてカルシュウム摂取を安易に行なうと心血管疾患の発症の危険を増す可能性があると、特に、心臓の悪い人は注意をした方が良いと言えそうです。
中年の日本人のカルシュウム摂取量は、男女ともに1日600mgと言われています。
しかし、白人では、1日800mgが平均的摂取量と言われますから、日本人の摂取量は、欧米に比べると少ないといえます。
日本人では、心筋梗塞は少ないレベルにあります。
取り分け、女性では心筋梗塞の危険は低いレベルにあります。
カルシュウム摂取量が少ないためとは言い切れませんが、少なくとも、骨ソソウ症のためとカルシュウム剤のサプリメントをセッセと飲むのは注意をすべきでしょう。
まずは、食生活、食卓を豊かにするような料理、食事からカルシュウムを摂取するように心がけることです。
インスタント食品などには、カルシュウムが沢山含まれているものもありますから注意をしてください。
また、サプリメントは薬ではないことを忘れてはなりません。
コスト的にも食材を豊かにした方がパフォーマンスは良くなると思います。
「信天翁喫茶 入門 益荒男が茶の道」(山中直樹著、アマゾン、Dr.BEAUT・ソフィーリッチなどのネットで販売中。 アップルのアップストア(App Store)の電子書籍としても販売しています)
