2014年09月05日のツイート

頤医が説くノマド時代の縄文レトロモダンな茶文化・・・健康寿命&平和寿命のために・・1

  喫茶文化の始まり・・1

 医薬を含む喫茶の文化史を学ぶには、岩間眞知子著による「茶の医薬史ー中国と日本」が既存の喫茶史とは別次元のすばらし本だ
 頤医が求める「縄文レトロモダン」のノマド社会のための喫茶の法、茶食文化を提言、創生するためのキーとなる


 茶の最古の史料は前漢時代(紀元前59年)の「僮約」(ドウヤク)とされており、すでに商品として茶が売られていたことを示す事実だ。
 医薬書に茶が登場したのは、遅くとも4世紀始めの「葛氏方」(葛供原撰)とされている。
 茶の薬効としては「荼茗(茗采)」として取り上げ、「荼」に覚醒作用が認識されていたのだ。
 「名医別録」が成立した4〜5世紀には茶の薬効が医薬書に記載されるようになっていた。
 陶弘景による「神農本草経」は存在が疑問視されているが、『神農本草経集注(「本草集注」)』(斉、500年ころ)、李勣、蘇敬らによる「新修本草 20巻」(659年)などが書かれて、茶が注目されている。
 茶樹は現代では「木類」に分類されるが、唐代の医書では茶は「蔬采類」として秋済みの茶が羹(スープ)として茶粥などにして食されていた。
 明代の有名な李時珍による「本草綱目」(1578年に完成)では校正されて、それまでの薬書では「茗」を「木部」より分離して「果部味類」へ移された。
 茶が羹の蔬采として始まったことになる。
 それ故に、奈良時代の「荼」は「菜」だと決めつけることはできないと判る。


 茶は「荼」、「茗」、「苦菜」が用いられた時代では、著者によって茶の分類とともに混乱がある。
 奈良時代に「荼」の字が用いられていたら従来のように茶ではなく「菜」と決めつけるのは問題があることになるのだ。
 東晋の郭璞(276〜304年)がその著書「爾雅」(中国古代の字書)で、注を付けて次のように記している。
  「荼」:早く採るもの
  「茗」:晩に取るもの
  「檟」:苦荼(檟苦荼)
 そして、注に「煮て羹(あつもの)として飲むべき」として、茶の古い調理法は羹、野菜入りスープと言うもので、茶はその具となる蔬菜だったとしている。
 茶は羹の蔬菜として始まっているとなる。
 前述の蘇敬は「新修本草」では「苦菜」を「菜部」、「茗」を「菜類」ではない「木部」だとしている。


 日本列島に伝来した中国文化は6世紀までは、ほとんどが朝鮮半島を介して伝わっている。
 充恭天皇三年(446年)には新羅に使いを出して良医の派遣を求めた。
 そして、金武が来日して天皇の病を治療したとある(古事記日本書紀)。
 5世紀後半の雄略天皇期に、難波薬師の祖となった(続日本書紀)高麗人で百済に帰した徳来が朝廷の要請によって日本にわたっている。
 欽明朝では、百済から採薬師・班量豊や丁有陀が来日(554年、日本書紀)し、和薬使主と称する呉人・智聰が医薬書を含む経典類64巻をもって来日したとある(新撰姓氏録)。
 推古朝(602年)では百済から僧・勧勒が薬書も含む方術良書とともに医術を授けたのだ(日本書紀)。


 飛鳥浄御原宮から天武天皇が676年に着工を命じて、持統天皇が遷都(694年)した藤原京跡からは「本草集注 上巻」と書かれた木簡が出土しており、当時、すでに利用されていたことが判る。
 唐代の「新修本草」が奈良時代に渡来していたことは仁和寺伝来の「新修本草」の写本として伝わっている。
 つまりは、飛鳥・奈良時代には既に日本には「本草集注」序録にある「荼茗」、および、「新修本草」の「茗苦荼」は文字の上で知られていたことになる。
 「東大寺要録」にある「聖武の朝、行基茶を植う」、「正倉院文書」の「荼」とある事実は、当時、行基によって茶木が植えられており、実際にお茶を薬用として生活の中で人々の生活の中で飲まれていた可能性が高いと頤医は考えている。
 渡来者家系の行基奈良時代初めに庶民を集めて土木事業を進めたことで知られるが、空也上人と関係の深かった草庵の元祖たる「池亭」を築いた慶滋保胤(平安中期)が行基が参河州碧海群(今日の愛知県安城市)に創建して茶を植えたと伝わる薬王寺には行基伝説の菜圃や茶園がある。
 行基とともに茶に関する伝承のある聖武天皇は、施茶を行っていたが行基の宗教活動を排除していたにもかかわらず東大寺完成には民衆に信頼されていた行基の力を借りざる負えなかった。

 こうした事実があることから、「荼」が「菜」だとする従来の正史的な最澄空海栄西による茶史とは別の茶文化があったと頤医は考えているのだ
 今日のノマド社会の到来に頤医流の「縄文レトロモダン」な喫茶の法、茶食文化創生に努め、提言したい。 
  


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