2010-10-29
■[イベント]愛知トリエンナーレ
各論的には好き嫌いは激しくあったのですが、
総体としては、人と空間、街全体が芸術祭を盛り上げようとする気運にあり、
年配の方から若い人まで、沢山のボランティアがいて、
こちらが質問をすると、誠実に応えてくれるし、
各ブース、誇りを持って仕事をしておられた。
芸術祭は、中心街から少し離れた所に、名古屋市美術館や愛知芸術センターといった大きな会場の他に、
長者町を中心に、空きビル、スキマ空間を利用した無料のインスタレーションもたくさんある。
この古い空きビル自体がすごく魅力的で、。
しかもそれなりに貴重なはずのその建物に直接絵を描いたり、手を加えてしまっている自由さも好感を持ちました。
芸術祭が終わっても作品は残り続けるのかもしれない。
保護物ではなく、消費物として芸術があるようで、大きな会場の有料ブースの作品のあり方よりも、
芸術祭の雰囲気を作っているように思われました。
名古屋駅に朝の6時に着き、朝一で営業していたマックで計画を練る。
徒歩で、9時半から開演する名古屋市美術館へ。
まず、台湾の映画監督ツァイ・ミンリャンのテレビモニターがある個室が集まったインスタレーションで身体を休める。
この後、愛知芸術センターでツァイ・ミンリャンの短編も見るのですが、
やっぱりそんなに好きな作家じゃないのですけど、
それでも、何をやってもツァイ・ミンリャンだとわかる強烈な作家性があるなあと感心する。
あと、島袋道浩が8mmフィルムで撮った漁場の映像が良かったな。
まあ、単にフィルムに心惹かれただけなのですが。
人の心を揺さぶるのは、意外とシンプルなもので良いものです。
この白川公園エリアでは、名古屋市美術館とは少し離れた所に、二葉ビルという倉庫のような所で、
よくテニスコーツと一緒にパフォーマンスをしており、今回も、気圧や重力の変化でゆっくりと、
それでいて動く時は急に変化する、インスタレーションを展開。
例えて言うなら「獅子落とし」のようなものなんですよね。
少しずつ水が竹に注がれ、臨界点になると、水の重みで、竹がその貯めた水を出しながら、
石を撃ち音を奏で、再びまた水を溜め始めるという「獅子落とし」。
その静と動の関係性がそのまま梅田哲也にも当てはまると思う。
そして、さらにはテニスコーツの音楽のあり方にも通じていると思う。
なんといっても、今回一番見たかった山本高之の子供を使った作品。
子供に地獄を作品化してもらい、それを前に、作品の説明をしてもらう姿を映像で収めた作品。
「地獄」っていうのが上手いですよね。
大人のイメージの手あかにまみれていない「架空」の場所ですよね。
子供の豊かさが見事にでていたと思う。
昔、キアロスタミの映画に出てくるイランの子供たちを見て、日本の子供には失われた輝きを見た気がしたのですが、
これは子供たちに輝きが失われたのではなく、
大人の側が輝きを見いだせなくなっただけなのだなあと痛感。
あともう一つ、子供たちによる動物園での、動物についての合唱も最高でした。
二つに共通しているのは、子供たちを完全に自由にさせておらず、
フレームがあるから、自由が生まれるのですよね。
その代わり、そのフレームを逸脱することに関しては寛容。
子供たちははっきり言えなかったり、歌えなかったりするのですが、
しかし、それはそれで味になっていて、作品の魅力に還元されている。
いやあ、本当に素晴らしいです。
会場と観客とインスタレーション(映像)が一体化した作品はなかったのではないでしょうか。
あとこのエリアで気に入ったのは、図鑑の蝶を切り抜いて無数に展示する渡辺英司の作品ですかね。
この人もやっていることは極めてシンプル。
蝶の数に感動します。
さらに、途中立ち寄った老舗カフェ「クラウン」の店主のおばちゃんがパワフルで魅力的でした。
<栄エリア>
草間弥生を始め、大きく、大胆な作品がたくさん展示してあります。
当日大人1800円は、この会場で元が取れると思いますが、
でもこの会場はトリエンナーレの雰囲気にもっとも貢献していない場所かもしれないなあとも思いました。
気軽さが他の会場と比べ一気になくなってしまった。
いや、別にこれはこれでいいのですけど。
ジャン・ホァンの牛皮で覆われた足を投げ出して座る巨人とか良かったな。
大仏とかロン・ミュエックとか、お台場のガンダムとかと同じ興奮ですね。
あと、ハンス・オプ・デ・ビークの映像インスタレーションが楽しかった。
ティム・バートンの箱庭を想起させる。
照明灯によって、ミニチュアの街になったり、海になったりしていく。
シムシティみたいな感じ。
映像のインスタレーションが多かった会場で、一番広く中心に位置した
小泉明郎の作品が心に留まりました。
二つのスクリーンが横並びにあり、後ろからプロジェクターで映写する形式。
鏡像(映像が逆さま)になっていないので、予め編集ソフトで加工していたと思われる。
まず、このスタイルが一度撮影でやってみたかったことで興味を引く。
つまり、ブルーバックとかではない合成映画を作ってみたいのですよねえ。
この形式はあまり見たことがないので、そのレアさにも惹かれました。
そして、最も焚き付けられたのが、街中と電車の中で撮られている映像そのものでした。
内容はともかくとして、街中を撮ることがとてもスリリングで、
何もないのにエモーショナルなのです。
まず、左側のスクリーンで、「新宿の大通りの交差点を見つめる定点カメラで映し出された街中の映像」が流れる。
定点カメラといっても、手持ちで、手ぶれもかなりある。
きっと撮影と気付かれないために三脚なしの望遠で撮影したのでしょう。
最初,誰が主体になっているのかわからないのですが、
次第に、左隅に佇む女性を映しているのだろうということがうっすらとわかりかけてくると、
その女性は次第に独り言を言い始め、最後は泣き崩れる。時間にして10分はなかったように思う。
その映像が終ると左の映写は停止し、続いて、右のスクリーンの「電車の中の映像」が始まる。
これまた、手持ち定点カメラで、最初は誰が主体かわからないのですが、
座席に座る男が挙動不審になり、独り言を言い始め、最後は泣き崩れ、叫んで終る。
この2本の映写が終ると、先ほどの2つの映像が今度は同時に流され、
さらに、それぞれ、環境音だけだったのが、今度は主体たる男女の声が被せられ、
どうやら、時間と空間を越えて、二人が会話しているというのがわかってくる。
その会話は、具体的で個人的な話ではなく、演者である自分たちの話でもあって、メタな会話にもなっている。
まあ、つまり、ここで街中で撮影していること自体の意味とシンクロしてスリリングな掛け合いになっているのです。
男が「俺はどうすればいいんだ」と泣き叫ぶと、
女は「あなたは演じているだけなんだから心配しなくていい」と励ますといった感じ。
ただ上手く言えないのですが、その過剰な演出の割には、環境音とセリフのバランスが、すごくお行儀良くて、
音が面白くないのですよねえ。
つまり、映像は、たぶんサクラとかも仕込ませながら、ゲリラ的に今ココの生々しさを映し出しているのですが、
本作の構成上のために行った音の細工が、音の生々しさを奪ってしまったと言おうか。
僕はやっぱり「インスタレーション」や「演劇」や「アート」の側ではなくて、
「映画」の側にいるから、一つの映像で、表現して欲しいのですよねえ。
だから、プロジェクターによる二つの映像構成によって奪われてしまった、
街中の生々しい音が半減してしまったことが非常に残念だった。
しかし、そうだとしてもこれほど街を魅力的に撮った映像を、僕は映画であまり知らないし、
ふと思い出したのが、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の『珈琲時光』だった。
電車と街。
僕も撮影したくなってきた。
- 14 http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20101029/1288403128
- 10 http://www.google.co.jp/search?q=山本高之&hl=ja&client=safari&tbo=1&rls=en&output=search&source=lnt&tbs=qdr:d&sa=X&ei=9oXLTITwOomOvQOQ543aDw&ved=0CAgQpwU
- 6 http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/
- 6 http://ezsch.ezweb.ne.jp/search/?sr=0101&query=愛知トリエンナーレ
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- 3 http://search.yahoo.co.jp/search?p=愛知トリエンナーレ+名古屋市美術館+画像&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&pstart=1&fr=top_ga1_sa&b=11
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- 2 http://d.hatena.ne.jp/keyword/小泉明郎