熾火研究所*電子工作室

2013-03-23

きっと誰かの指で

「記号」の具象化。(などと言うと某先生には鼻で笑われそうですが)

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まあちょっと見に行ってみてください。「あのダイオード」が透明樹脂に封入されて指環になってます。なるほど、こういう手が、というか、こういう造形があったか…という。


「さのもの」さんでは今後、「はやぶさシリーズ」としてアイテム数を増やす予定もおありの御様子。また、既存のアイテムでは(たまに電子工作クラスタ的には)ぎょっとさせられるものもあったりするわけですが)、女性向けのピアス、男性向けのカフスボタン、そして男女どちらでもいけそうな基板リングなどもあり…

あまり言ってませんが筆者(熾火)も一時期シルバーアクセサリなどに手を染めていたことがあり、興味深く拝見しました。

こんなのですけどね f:id:OkibiWorksLabo:20130324002103j:image:small

普段は「アクセサリーをプレゼントするなど、ガラでもない」と敬遠気味なエンジニア諸氏、こういった方向性から攻めてみるのもありかもしれません。





紹介記事等

ブログも御紹介の「おこぼれ」にあずかっております次第。


「デイリィ・ニュウス・エィジェンシィ」という、最近ニコ動経由でもちょいちょい見かける先端系ウェブニュースサイトにて、いち早く取り上げられました。


電子工作界隈において絶大なる信頼度を誇る船田戦闘機さんによる執筆記事。ありがとうございます。


スマホ専用記事とのことで、4/19 時点では本サイト未掲載…それでも ITMedia の記事。888888888

2013-02-18

東芝2SC1815代替の最有力候補がやってきた。

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でました。(いまのところの)「最終解答」。*1


まず言っておきたいことがあります。

議論の端っこだけを捉えて「みんな 1815 が好きだねーwww」とか「なんで 1815 にこだわるのかイミワカンネ」とか言ったりしている人を最近見かけます。別に誰もこだわっちゃいないんですけどね。*2

自分で定数いじって回路をアレンジするだけの実力があり、且つ、自分の練ったプロトタイプを広く公開する気のないかたにとっては、ここには有益な情報はなにひとつありませんから、どうぞ今すぐブラウザを閉じてください。

まあ、そういう程度の内容であることを承知のうえで読んでやってもいいぞ! …というお心の広いかたのみ、続きをどうぞ。 m(_ _)m ↓↓↓







気を取り直して本題です

東芝が 2010年に 2SC1815 の NRND (新規設計非推奨)、そして 2011年に EOL Announced (生産終了予定)を通達するなか、これまで何回かにわたってブログ記事をエントリしてきたわけですが…

「結局のところ、どうしたらいいのか?」という問いに対する最終解答は誰も出せぬまま(勿論、当研究所も出せぬまま)徒らに時が過ぎ、いくつかの電子パーツショップでも値上がりが報告されるなど、ゆっくりとしかし確実にその「終焉」が忍び寄るのを誰も止めることができずにいた 2013年02月。


…やっぱり秋月さんなのかい!僕らの道を照らすのは!

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海外製互換品の発売開始です。HFE ランクは Y と GR 。価格も、発売当初価格で 20個 ¥100 、1000個だと ¥2400 。もともと破格であった東芝の純正品よりも更に安いという。これまで中国品番などの格安トランジスタ代替に考えていて「…でも、足の配列が違うし…」とか「結局日本で買うとそんな安くないし…」みたいに悩んでいた人たちにも、福音といえましょう。

因みに UTC こと Unisonic Technologies (友順科技股份有限公司)は台北に本社を持ち、1990年設立というまだまだ若い企業。所謂「互換半導体」(セカンドソース)の生産で知られ、2005年頃から生産されているらしき 2SC1815 / 2SA1015 もそのひとつ。


因みに型番中の「L」は「ローノイズ」ではなく「鉛フリー(Lead Free)」の L である、とのこと。


しかし…まだ早まるべきではない……?

互換性に関しては、必ずしもメーカー保証されているわけではありません。

UNISONIC社の半導体仕様書には、東芝製2SC1815との互換性についての記載がありません。 従いまして、互換に関する電気的特性等は、お客様ご自身で双方の技術仕様書を比較いただき、ご判断ください。 また、大量に使用する際には、試作・実証実験によって安定動作をご確認ください。

http://akizukidenshi.com/catalog/faq/goodsfaq.aspx?goods=I-06477

また、

※Unisonic社は東芝セミコンダクタ社より許諾を受けて生産販売するメーカーです。

http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-06477/

とありますが、←【後日修正追記】秋月に問い合わせたところ「事実確認ができなかったため削除しました」とのこと。現在、商品ページからこの記述は削除されています。【2013/02/21】

Unisonic社と東芝セミコンダクタ社との取り決めに関しては、プレスリリースなど公式文書によるソース未確認(私もひととおり探しましたが発見できず)、従ってその「許諾」(が仮にあったとして)内容がどういったものなのかについては不明のままです。



更に言うと、NRND が発表された 2010年よりもはるかに前から、UTC社は 2CS1815 の生産を開始していました。ネットで確認可能なデーターシートのタイムスタンプは 2005年。このことからすると、東芝は自社で生産を続行している最中にセカンドソースの許諾を出していることになります。…か、若しくは、無許可で生産していたものを途中から許諾した、ということになります。【2013/02/21】

このへん、内容的に、やや疑問です。

ほんとうに東芝は、UTC に対して「許諾」したのでしょうか? 「許諾」したとしたら、それは何を? (そもそも許諾が必要なものなのでしょうか?)



もう一点。秋月では 2SC1815 の扱いは開始しましたが、コンプリメンタリ・ペアである 2SA1015 の扱いに関する情報は(いまのところ)ありません。現在問い合わせ中です。2SC1815 に比較して需要がおそらく数分の1 以下と思われる 2SA1015 を同一メーカーで揃えてくれるかどうかは正直微妙な線です。 【後日修正追記】「少量ではありますが入荷を検討しております」とのことでした。【2013/02/21】


情報が揃うのを待ちたいところ。

 →→→ 【後日修正追記】いまのところ、Authorization については「不明」(というかソース確認できず)、コンプリメンタリについては「しばし待たれよ」とのことのようです。【2013/02/21】



データシート上の互換性は完璧といってよい。

「合点!トランジスタ回路超入門」庄野和宏:著)の p.248 によると(※ 相変わらず Appendix B しか読んでないのは内緒だ!)、互換性という観点から重要な電気的性質は以下のとおりとのこと。

  • 絶対定格のうち VCBO VCEO IC PC が同等かそれ以上であること
  • fT が同等かそれ以上であること
  • Cob が同等かそれ以下であること
  • hFE が同等であること
    • hFE - IC 特性が似たようなものであること
  • NF が同等かそれ以下であること)

データシートからこれらの数値を拾ってみると、

  TOSHIBA
2SC1815
UNISONIC
2SC1815
参考:Fairchild
KSC1815
参考:JCET*3
C1815
VCBO-60V60V 60V60V
VCEO-5V5V 5V5V
VCEO-50V50V 50V50V
IC-150mA150mA 150mA150mA
PC-400mW400mW 400mW400mW
hFEIC=2mA70〜700120〜700 70〜70070〜700
Cob-2.0〜3.5pF2.0〜3.0pF   〜3.0pF  〜3.5pF
fTIC=10mA400MHz *370MHz * 300MHz *210MHz *
NF6V,0.1mA,
1kΩ
1.0dB typ.
@1kHz
1.0dB typ.
@100Hz
1.0dB typ.
@1Hz
10dB max
@1kHz 10kΩ

     *:グラフより読取。*4

「2SC1815 の fT は 80MHz」という数字が独り歩きしている節があります。fT は測定条件に依存します。上掲のとおり、コレクタ電流をある程度潤沢にすれば「そこそこ伸びる」ことが知られています。

…ところどころ「都合のよい」データが見え隠れしていたりしなくもない。また、「互換品」をうたう部品のデータシートなのだから、当然同じ数字を書いてくるであろう、みたいなところはありますが、普通に使用するぶんにはまず問題なし、音響・計測など低雑音用途においては、テストが必要かも、といったところなのではないでしょうか。

いずれにせよ、静特性・動的特性はともかく絶対定格に関しては通常「データシートを信用するしかない」わけであり、この数字が同じということはつまり「同じように扱ってよし!」ということ…でしょう。


因みに hFEランクの区分けは同一です。

OYGRBL
TOSHIBA70〜140120〜240200〜400350〜700
UNISONIC-120〜240200〜400350〜700

   ※ Unisonic の BLランク品は 2013/02 時点で秋月扱いなし。



実際の性能に関してはどうなのか

とりあえず入手してみました。

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すみっこのピンク色のパッケージは、マルツで販売している Fairchild社の KSC1815(Y)です。 1個 ¥21 。→ http://www.marutsu.co.jp/shohin_136679/ *5


…で、 DCA75でもっていろいろ比較してみようかな、などと思っていたのですが、如何せん、どこをどう比較したらいいものか、全くわかりませんでした。

いま、私が、そして電子工作クラスタの皆様が知りたいのは「セカンドソースとして優れているのか、それはどの程度優れているといえるのか」ということだと思うのですが、不勉強ゆえ、それを知るためにどういう試験をして、どう評価すればよいのやら、さっぱり…。

誠にすみません。 m(_ _)m

しかも、DCA75 のトランジスタテストはほぼ完全にオートレンジな為、グラフのスケールがまちまちでした。(変更はできますが、どこにどう合わせるべきなのかもわかりません)

もう少し勉強して、出直したいと思います。


とりあえず IC / VCE グラフを置いておきます。


2SC1815L-Y-T92-K : Unisonic Technologies

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KSC1815YTA : Failchild

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2SC1815Y : TOSHIBA

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電子工作クラスタの皆々様の御尽力による実装運用テスト結果の積み上げを期待したいところです。(他力本願)…え、「焼いてみる」ぐらいおまえがやれ、ですか…? (´・ω・`)イヤダヨー…


…そんなわけで【後日追記】ざっくり御紹介

https://twitter.com/hmori/status/301937026683506688

f:id:OkibiWorksLabo:20130224025730p:image:w300

https://twitter.com/hmori/status/301645416599019520

f:id:OkibiWorksLabo:20130224025729p:image:w300


【後日追記】西からの援軍、妙楽堂。

見落としていましたが、海外パーツに強い京都の通販専門パーツショップ「妙楽堂」さんでも互換トランジスタが扱われています。…というか、2SC1815 のセカンドソースもだいぶ以前から扱われていたのですが(Fairchild)、価格的にはマルツよりも充分に魅力的であったとはいえ本家と天秤にかけると今一歩というのが正直なところでした。(また、一時的に品薄でもあったりしたようです)

しかし、新たに入荷していた JCET (長電科技;中国半導体メーカー)製 「C1815」「A1015」は、1個あたり ¥4.8 と価格的にも充分に魅力的なラインに来ています。(※ 2013/02 現在)

ただし注意。hFE ランクは選べません。(当研究所が試しに購入してみたところ、「C1815」は Yランク、「A1015」は GRランクの品が届きました)

また、JCET というブランドについても、知られていない企業だけにその品質や信頼性は未知数。

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刻印がほんとうの意味での「シルク」っぽいフォント

なお、JCET の「C1815」「A1015」は頭の「2S」がつかないのが正式のようです。理由はわかりません。


2007年時点でも既に数社が知られていたセカンドソース品。今後もこうしたセカンドソース供給元は増えてゆくのでしょうか……価格も勿論ですが、安定した品質と、継続的な供給を期待したいところです。そして、あんまり乱立カオス状態になるのも…ねぇ。


それからそれから。秋葉電子工作クラスタにはお馴染みの aitendo でも、 C1815 セカンドソースの扱いがありました。…いつの間に。ブランドは、秋月扱いと同じ UTC です。

こちらで扱われているhFE ランクは…「2SC1815」は GRランク、「2SA1015」は不明(おそらく Yランク)です。実質的に「ランクの選択不可」ということのようです。

10個で ¥45 (※ 2013/02 現在)と、ちょっと試すにはいちばんお値打ち




あと…

折角こさえたんで置いておく。

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1枚もの PNG はこちら

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適当に作ったもので クオリティ低いですけど御自由に持って行って使ってください。

*1:日本語おかしいです。暫定ならそれ最終解答じゃありませんよね…

*2:ICmax=150mA というスペックではマブチモーターやパワーLED のドライブには物足りないから、汎用とは言ってもなんでもこいってわけではないんですよね。> C1815

*3長電科技 http://www.cj-elec.cn/en/

*4:Unisonic のデータシートでは fT の測定条件が VCEO=10V IC=50mA とあるが、グラフを見る限りにおいては 0.5mA か 5mA の間違いではないかと思われる。

*5:2013/02 現在、Yランクのみ扱い。また、同一ブランド コンプリ扱い無し。

2013-01-27

トランジスタチェッカが進化した【DCA75】

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遊べるガジェットというのはいいもんです



電子工作クラスタの皆様こんにちは。あと、あんまり気の乗らぬまま半導体や電子回路の勉強をしている皆様もこんにちは。最近全く電子工作をしていない「クラスタ迷子」の熾火研究所です。…というか、ここのところ全く何かを生み出すという活動ができていないわけですが、ほんとどうしましょうね。


…などという繰り言はさておき

当研究所で(も)以前御紹介しまして、日本でも定番計測ガジェットのひとつとして定着した感のあるイギリストランジスタチェッカー「DCA55」。昨年、秋月電子がお手頃な価格で扱いを始めて、認知度もますます向上したこの子の、上位機種が登場しました。その名も「Atlas DCA Pro」。

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販売価格に関してはちょっとした出来事があったりなどしたのだけど、現時点(2013/01/27)では秋月電子ストロベリー・リナックスにおいて、ともに ¥14175(通販送料別) 。なんにせよ、ちょっと遊んでみる目的のおもちゃの為に「ポン」と出せる金額ではありません。

※ 価格は変動の可能性があります。(というかたぶん変動します)*1

秋月価格では、弟分 DCA55 の 優に 3倍以上。本体サイズは同一、操作方法など基本的なコンセプトも同一ですので、何がどう変わったか、がポイントとなります。逆に、増強された機能が大して必要でもなければ、DCA55 を選択するというのも賢明です。(トライアックとか普通のホビー電子工作では使いませんし、三端子レギュレータの特性を取ってみる必要も普通はないですよね。こちらも御参照ください。


そんな次第で、DCA55 との違いを中心に見ていきますが、ひとことで言うと「DCA55 でいまいち届いておらず痒かったところに手が届いている(価格は高いけど)」といったところでしょうか


いきなりの追記:

DCA75 をはじめとする Peak Atlas シリーズの裏面止めネジは、日本で普通に使われている所謂プラスネジ(PH)ではなく、ヨーロッパを中心に使用されているという「ポジドライブ」(POZIDRIV®)というものでした*2十字溝に対して45°の方向に入った「ひげ」が目印です。プラ用のタッピングビスなのでプラスドライバー(PH2)を使用しても即破壊といったトラブルは発生しませんが、本来的にはおすすめできることではありませんので慎重を期するかたは「PZ2」というビットを入手することをおすすめいたします。

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私も昨日知りました。☆(・ω<)【2013/04/20】


中身の違いはこんな↓です。(Twitter 公式アカウントより)

http://twitter.com/peakatlas/status/268658710128242689
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(写真では違って見えますが DCA55 と DCA75 は基板も同一サイズ・同一形状です)

DCA55 のほう(左上)も、初期型からだいぶ Rev.Up されているようですが*4、基本的に部品点数は少ない。対して、DCA75 はかなりぎっしり、部品点数も相当増えています。なるほど、価格差も納得、といったところでしょうか。*5

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CPU は、PIC18F47J53 。(私のところに来た DCA75 の基板は青色でした)

なんでも低消費電力駆動にして USB 機能やら RTC やら内蔵のデキる子らしいです。

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基板のおもて面。そのうちパーツを直挿しできるソケットでもつけようかとふと思ったので自分用に画像追加。リードの配列は、見えている面側で、左から 青、緑、赤。ランドピッチは残念ながら 2.54mm ではない(たぶん 3mm)。



おおまかには、DCA55 → 75 で だいたい以下のような点が改良されています。

  1. 液晶がグラフィックタイプ(フルドットマトリクス)になり、テキスト表示が 3行、部品図イラスト(アイコン)も表示対応となった。
    • 1画面に表示される情報量が格段に増えた。また、部品図アイコンのみによってサポートされる情報もあり(ボディダイオードの有無など)
    • ただし、本体のみでのグラフ表示機能はありません
  2. サウンド機能(BEEP 音)搭載
    • f:id:OkibiWorksLabo:20130202171445j:image:w320
      LCD 下(電池脇)の白い四角いのが圧電素子ピエゾスピーカー)。
    • ON/OFF 可能(電源投入時に ON ボタンを長押しすると状態が toggle(ON←→OFF) される)
  3. USB 接続により Windows PC との連携が可能となった。
  4. 判定対応デバイスの種類と判定項目が増えた。
    • 熾火研究所的には 青色白色LED の判定が可能となった点を評価したい
      f:id:OkibiWorksLabo:20130127233221j:image:w320
      f:id:OkibiWorksLabo:20130127233222j:image:w320
      LED をカーブトレースすると一瞬ちょっと楽しい。(余談)
    • 低電圧ツェナーダイオードの判別も地味に嬉しいかも。(ただし、表示されるツェナー電圧はテスト電流(5mA)に応じた値となる(概ねカタログ値よりは低めになります))
    • JFET の IDSS も調べられるが、残念ながら CRD には非対応。ただし、P-N 接合のカーブトレースを取る方法はあるので、小電流(12mA まで)の CRD なら PC で肩特性を見ることが可能(チートは必要)。
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       SEMITEC(石塚)と InterFET で特性カーブの違いがくっきりと(・∀・)
    • トライアックや SCR の判別もしてくれる(ただし制約あり:後述。
    • 三端子レギュレータの判定もしてくれるが、LDO を中心に誤判定率が高く、未知のデバイスを選別できるレベルではない。
  5. 測定値の分解能が上がった。
    • A/D は 10bit → 12bit 、測定値も小数点以下 2桁 → 3桁表示に
    • 電圧測定値の分解能も 20mA → 3mA に。
  6. 使用電池が 単4(アルカリ)× 1本となった。
    • 電池の入手がより容易となった。
    • 電池寿命(測定可能回数等)については未調査。ローバッテリ警告機能はある。

機能比較表(左が DCA55 、右が DCA75)

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Peak 社 公式サイトより


というわけで、PC(※ ただし Windows に限る。)と接続することによって簡易カーブトレーサーとしての機能を有する点が DCA75 最大の「売り」と言ってよいかと思われます。勿論、本格的な業務用途の半導体カーブトレーサーには及びもつかないわけですが、±12V 、±12mA という小電力デバイスの動作範囲であれば デバイス適当に接続してほぼ数クリックのみで特性カーブおよびその数値データが取得できてしまう手軽さは、相当な威力です。


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PC画面で情報表示。このテキストのコピペもできる。(因みにこれは 1N5231B (ツェナーダイオード; 5.1V 500mW))

デバイスの判定取得は本体の ON ボタンを押してもよいし、ソフト上の「TEST」ボタンをクリックしても、どちらでもよい。重要な注意点としては、特性カーブ取得前には必ずデバイス判定をすること。カーブトレースの際のデバイスの極性などは判定の際に得られたデータが使用される為。*8

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V-I 曲線グラフは重ね書きが可能。これは同じデバイス(5.1V ツェナー)のフォワード(順方向電流)側とリバース(逆方向)側を取得したもの。グラフ上で右クリックすることで、生の数値データをコピーできる。(※ Software Version 1.1.1.815 以降ではテキストファイルの保存も可能)

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コピーしたデータを Excel などのスプレッドシートに貼り付けて加工すれば、自由にグラフ化できる。(上のデータを逆電圧側反転してマージしたもの)


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トランジスタの場合。デバイスは、熾火研究所おすすめトランジスタ 2N2222A のコンプリメンタリ・ペアである 2N2907A(くどいししつこい!)



注意点としては、デバイスが DCA75 によって認識されない限りカーブトレースはできないという制約があります。たとえば既知の「仕様」として IDSS の低い JFET(e.g. 2SK198R)が「Voltage Regulator」と誤判定されることがありますが*9、誤判定あるいはデバイス不検出(「No component detected」)の場合には目的のカーブトレースはできません。

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何回か挑戦するとうまいこと認識されることもあります(笑)

 

勿論、トランジスタや FET で任意の 2端子間の P-N 接合を描くなどの操作は可能ですし、別のデバイスで判定させておいてデバイスを繋ぎ直し、カーブトレースさせることは可能です(デバイスや DCA75 を破損しても知りませんよ、飽くまで自己責任で)。


あと、違う種類のデバイス判定噛ますと既存のグラフが消えるバグ あり(普通は消えない)。同種のデバイスを診断してるからといって油断してると、誤判定で描き貯めたグラフが消滅することがあるので注意………といっても注意しようがないよ…これは。こまめに「Copy Imege」や「Copy Data」(※グラフ上で右クリックすると出るコンテキストメニューから)で退避するしかないですね。

(※ 出現頻度不明、低頻度ではあるもよう。ソフトウェア Ver.1.0.2 において 1度だけ確認。)

 

【少々追記】PC ソフトウェアには若干の不具合発生がありうるようですがバージョンアップが既に何回かされており、改善が期待できます。ダウンロードは公式サイトのサポートページから可能。(※注意:ダウンロードは「激遅」ですw)

なお、Peak社 Twitter アカウントをフォローしておくと DCA75 Software のアップデート情報もすみやかに入手できるようです。また、ソフトウェアの設定でアップデートチェックを「自動」に設定しておくと、ソフト起動時にダイアログで表示してくれます。

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ついでなのでここに(も)追記

PCソフトと本体ファームは必ずセットで更新するような設計のようで、ソフトウェアを更新すると接続された本体の更新も促されます。その際、ガイダンスに従って進めると必ず

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このようなダイアログが出てファーム更新に失敗するようです。*10

メッセージどおり慌てず騒がず、メニューから「ファームウェア書込」を選択し、再挑戦してみましょう。

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なお、Peak 社の同シリーズである「SCR100」(トライアック& SCR アナライザ)の機能を、DCA75 は一部カバーしています。ですが、そのテスト用トリガ電流は最大 10mA までであり、大型のデバイスは駆動できず判定できません。それ以上の電流でテストするには SCR100 が必要となります(ゲート電流 90mA まで対応)。

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その他に関しては、取扱説明書が PDF にて公開されていますので、そちらを御参照いただくといいかと思います。英文ですが、非常にわかりやすい部類に属すると思われます。f:id:OkibiWorksLabo:20130127233224j:image



このブログエントリ(ページ)も折を見て画像を増やすなど、内容をもう少し充実させる予定です。



【後日追記】公式説明動画が UP されました 【2013/02/25】

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21分と少々長いですが、使用方法と機能をひととおり紹介しています。マニュアルに載っていない隠しアイテムも出てきたりしているようです。…ただし全部英語です(当たり前ですが)

【2013/02/27】 Transcript (書き起こし)が付きました。Youtube サイトに行って「字幕ON」にするか、若しくは動画下のコンソールで「Transcript」を選択することで読めます。よく聞き取れなかったデバイスの型番なんかもこれでバッチリです。ただし言うまでもないですが全部英語です(しつこい)。日本語訳つけようかとも思ったのですがβ版の翻訳機能を使えばインチキ日本語にできますし(笑)



DCA75 が絶讃推奨されるケースとは

コストパフォーマンスに優れた DCA55 、高機能が売りの DCA75 。どちらがよいか、というのは難しいところだと思います。トランジスタの hFEダイオードの Vf 、あとはこれらの極性ぐらいが素早く判別できればよいならば DCA55 で充分です。逆に DCA75 がおすすめなケースは、以下のような場合でしょうか。

  • どうせ買うならおもしろいほうがいい
  • どうせ買うなら数値精度高めのほうがいい
  • 安価で簡便なカーブトレーサーが欲しいのです
  • 青色LED はちゃんと判定してくれないと気持ちが悪い
  • よくわからないガラス封止ダイオードを判定したい
  • Microsoft .NET Framework 4 をガッツリ入れても構わない(システム要件は XP(SP3)以降)
  • 12V 電池(23A)は使いたくない
  • 刻印がよく読めないであったりなど全く謎なデバイスを調べることが多い
  • 主に使用する半導体の動作点が ±5V・±5mA より上、±12V・±12mA より下にある
    f:id:OkibiWorksLabo:20130203120842p:image
    …ただし、デバイスチェック自体は DCA75 でも概ね 5mA 固定なので、そこは注意。

なお、デバイス判定所要時間は DCA55 のほうが早いものもあり、DCA75 のほうが早いものもあり、といったところ。MPUマイコン)の処理速度自体は DCA75 のほうが Microchip 社のカタログスペックで 2.4倍ですが、検出項目が多項目なぶんだけ DCA75 が特に速いわけではないです。


DCA75 にしても、DCA55 にしても、いろいろなシーンに持ち込んでいろいろ試してみると、非常に楽しい、且つ意外に役に立つのではないかと思います。


Enjoy your transistor life !!







…さて、あとはおまけ。



PSPのケースがちょうどいいですよ

写真は PSPgo 用のケースとのことで、ジャンク品扱いで格安だった。¥200.- 。

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PSPgo だとぴったりすぎて余裕が無いので、一回り大きい PSP1000/2000 用とかで安く売ってるものを探してくるのがいいのかもしれない。

Nintendo DS 用だとちょっと小さいのかな。LLならいけるんじゃないでしょうか。




すべては4日間のうちに起こった。

まずはこれを御覧頂こう。

【2013/1/26 10:08更新】 カーブトレーサ付 半導体チェッカー DCA75 の価格推移:秋月15,700円 → 苺linux15,540円 → 秋月14,700円 → 苺linux14,175円 → 秋月14,000円 → 秋月14,175円 ←NEW!!

2013/01/26/10:39:25

https://twitter.com/mutu56xx/status/294981856816930816

秋月での販売開始は 2013/01/22 。(Twitter 非公式 Bot による速報が 2013/01/22/10:00:54。)ストロベリーリナックスによる発売開始日は不明だが、おそらくこれに前後していたものと思われる。そして 23日夜*11、秋月突然の¥1000 値下げ。

これに対し苺リナックス、24日午後にまさかの反撃的値下げ。

これで終わりかと思いきや、25日深夜に秋月再度の値下げ、苺価格を下回る。*12

さらなる混迷が予想されたが、翌日26日 土曜日の開店前までに 秋月が苺里奈たんと同価格まで値上げすることによりこの無益な争いは収束したとみられる。


しかし秋月は土曜日の営業時点には既に価格改定済みのチラシを用意しており、「実は出来レースだったのではないか?」などという疑惑も浮上したりなどした。*13


というようなちょっとした騒動があったわけです。


熾火研究所的には、¥1000 そこいらの価格競争などより、安定供給してもらえるほうがよっぽどありがたいと思います故、各ショップの皆様方におかれましては、是非ともよろしくお願い申し上げます(※ 私は PEAK の回し者ではないのだが…)。



などと言ってるそばから*14

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勿論、安いのはいいことです。そこに異存はありません。

あと、出来レースではなかったことは確認できました。出来レースじゃなくて泥仕合でした




別に悔しくて言ってるんじゃないです。

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悔しくなんかないです。

*1ほら、もう変わった。(2013/01/30)

*2:参考:『IKEAのネジ』 http://chitei.blog108.fc2.com/blog-entry-220.html

*3:2012/11/14/01:16:43GMT

*4cf. http://d.hatena.ne.jp/OkibiWorksLabo/20110813/DCA55#pcb

*5:Peak 社の Atlas シリーズの価格は使用部品点数によって決まっているのではないか、という噂が一部にあります。勿論嘘です。

*6:ただし、Peak 社 公式サポートページによると 2013/01/27 現在の最新ファームは Rev.0004 となっているのだが 、私の手許にある DCA75 のファームは 0005 。…はて?
→ 2013/02/02 ソフトウェアが更新されました。PCソフトウェア:1.0.4.737 、本体ファームウェア 0007 とのことです。ファームはソフトウェアパッケージに同梱されています。ソフトによって対応ファームも異なりますので、秋月の FAQ や表示されるアラートメッセージなどをよく読んで、慌てず落ち着いて更新しましょう。
→ さらに追記。その後も更新がされています。記事中に追記しましたので御参照の程

*7USB 接続により電源は自動で ON となり、USB 接続中 オートパワーオフ・マニュアル操作による電源OFF ともに効かなくなります。
USBチャージャーなどから電源のみの供給も勿論可能ですが、その場合も電源のオフはできません(USBコネクタを抜くと強制 OFF)。

*8via秋月の Q&A ページ

*9cf. 同じく、秋月の Q&A ページ

*10:ファーム書き込み時にだけ DCA75 が「違うUSBデバイス」に変身する為に起こる現象のもよう。 → cf. 小坂先生の tweet

*11:確認 tweet2013/01/23/20:42:49

*12:確認 tweet2013/01/25/23:01:53

*13https://twitter.com/minicube/status/295091999999135744

*14:確認 tweet2013/01/30/01:42:21

2012-11-25

「こんな事もあろうかとダイオード」のローコスト版?が見つかった

「すべてのエンジニアに、あのダイオードを。」が、にわかに現実味を帯びてきた、というお話。

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見つかった、というか、2012年8月あたりから突如販売されるようになった、という表現がより正しい。


この記事は、今後追記や書き換えなどにより随時更新していく予定です。

ここをはじめて御覧になったかたは

とりあえず先に → 元記事から読んでいただくことをおすすめします。件のダイオードについて調べ、判明するまでをまとめています。


まず、謝らなくてはなりません

例の、探査機はやぶさに実装され、イオンエンジンの「クロス運転」を可能とした あのダイオードの話の、続報が本記事です。

以前の記事では「80円では入手できません」と書きました。しかし、その後 若干事情が変わり、日本国内でも一応「¥80 で入手できなくないは状況」が実現されています。書いていたことが嘘になってしまいました。すみません。

ただし、以前と比較して相当に「お値打ち」で入手可能なそれは「探査機はやぶさ」に搭載されたダイオードとメーカーも型番も電気的仕様も外形寸法も全く同じ(外観もほぼ同じ*1)、ではありますが、完全に同一というわけではありません。また、秋葉原など電子パーツショップで普通に購入できるようなものではない、という点に変わりはありません。それから「1個あたり」¥80 で入手するためにはディーラーを厳選した上で 100個程度以上のまとめ購入が必要です。敷居が高いことについても、変わりはありません。


あと、細かいことを言えば、JAXA人工衛星惑星探査機などの宇宙機に使用する半導体はすべて JANS クラスのスクリーニング試験を経ています。この試験費用は高額であり、製造原価がたとえ数10円であったとしても試験を経ることによりその価格は数千円にまで跳ね上がります。



…というわけで

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→ ショップ登録しました。1個から買えます。是非御検討いただければと思います。

【2012/12/16】

.


まず、2012年夏に何が変わったのか

これまでも入手可能であったダイオードが若干モデルチェンジしました。メーカーである Microsemi 社の新しいデータシートによると、2012年8月に更新されたデータシートにおける大きな変更点は以下の2点(+1?)です。

  1. ケースサイズがひとまわり小さくなった
    • Microsemi でいうところの E package → B package
      f:id:OkibiWorksLabo:20121126234929g:image:w320
      f:id:OkibiWorksLabo:20121126234930g:image:w320
  2. RoHS 対応が可能となった
    • ただし、MIL-SPEC との併用は不可。「Commercial Version」にて対応、とあります。
    • 旧品には RoHS 対応 Version はありませんでした。
  3. おかげで旧タイプの価格が下がった(っぽい)

そして、(データシートのタイムスタンプによると 2008年から既に存在していたようだが*2)「CB」というサフィックスのついたモデルが存在することが確認されました。


また、本記事とは直接関係ないので詳述はしませんが、「U4」と呼称される角型チップ形状・底面端子型の面実装モデルも2012年夏頃(と思われる)、Microsemi サイトにてカタログされました。

旧来の面実装モデル(「US」)は「MELF」*3と呼ばれる、リードタイプデバイスのリードを金属板に置き換えただけのような形状ですが、

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左:代表的な(古典的な)MELF パッケージのガラス封止ダイオード。画像は 1N4148 互換品。 右:Microsemi の MELF は端子板が四角く、転がらない親切形状。画像は 1N5618US(JANTX)*4

「U4」は完全にチップ形状であり、また、形状的に手半田不可です。

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via http://www.microsemi.com/existing-parts/parts/69241

宇宙産業の分野でも今後ますますパーツのチップ化が進行していくものと思われます。実装面積及び体積、重量、耐久性、信頼性、ほぼ全てにおいてリードパーツよりチップ(ネイキッドダイ)パーツのほうが有利です。



「C3」とはなんなのか?

さて、本題に戻りまして

2012年8月頃、電子パーツ通販サイトで(安価に)入手可能となった問題のダイオードは、所謂米国 JEDEC*5 登録型番(1Nxxxx)の後尾に「C3」というサフィックスがついています。

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あるいは(ディーラーによっては)「CAT3」「Category3」という表記もみられます。これがなんなのか、ということですが…まず大前提として、2012年11月現在、メーカーである Microsemi のサイト上には「C3」というモデルは存在しません。

かわりに、上記のとおり、「CB」というサフィックスのものが存在します。


調べまわった結果、この「CB」とは「Compression Bond(s)」の頭文字であり、これが MIL-spec でいうところの「 Category-III Metallurgical bond 」(カテゴリーIII金属学的接合)にあたるということがわかりました。*6 …つまり、「CAT3」→「C3」です。理屈の上では「C3」=「CB」と考えてさしつかえが無さそうです。

(いまのところの推測では、「C3」が製造終了となったのちに名称が「CB」と変更となって再リリースされたのではないかと。)

…とは言ってみたものの、飽くまでメーカー公式の型番は「CB」であって「C3」あるいは「CAT3」ではありません。「C3」が本当に純正品なのかどうかに関しては、販売サイトである Chip1Stop のメーカー表記、および[正規品]表記を信用するより他にはない、というのが現状です。それ以上は残念ながら調べようがない。


Microsemi 社に(酷い英語で)問い合わせもしてみましたが、梨の礫でした…


因みに「〜CB」は 2012/12 現在、日本国内からネット経由で入手する手段は「無い」模様です。(某 ▽・w・▽ に問い合わせてみましたが「入手不可」とのこと。たぶんロット(4000本)とかで見積もり出さないと取り合ってくれないのだと思われます)


当研究所では、ダイオードの外観や電気的仕様などを比較した結果、同一メーカーの製造品と考えて差し支えないものと判断しています。しかし、では

  • 何故メーカーによってカタログされていないサフィックスのモデルが存在するのか
  • それが何故突然(リビジョンアップに合わせるかのように)通販サイトに登場してきたのか

といった謎は、解決していません。

米国の販売サイトによっては、「C3」のデータシートとして「CB」のものをリンクしているところもあります。ひとまず、お墨付きは無いわけですが、合理的に考えて「「C3」も Microsemi の製造品であろう」と考えてよいと思われます。

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外観は刻印を除きほぼ同一。

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Microsemi 社によるラベリング。流石にこれを偽造する手合いはないだろう。
手書き文字は非常に汚いが、2行目はおそらく「No. 13745」。3行目の「D/C」は Date Code 、即ち「2008年11月製造」(たぶん)。 4行目「QTY」は「数量」ですね。

想像をたくましくするならば、2007年頃の NASA / JAXA における品薄を受けて緊急的に量産されたロットである…などというストーリーもありえなくはないでしょうか。



ではその”Category”とはなんなのよ?

異種金属(あるいは半導体)を「金属学的(Metallurgical)に」接合する方法として、大きく 3つの方法があります。MIL-spec仕様書のひとつである「MIL-PRF-19500」*7 の Appendix A.3.19 に関連する記載があり、3つの”Category”として規定されています。…まあ、この記載内容に関して云々するといささかアレなのですが、要するに、ざっくりというと

 Category I  溶接           
 Category II  ろう付け・はんだ付け 
 Category III  圧接・鍛接        

である、ということを言っています。*8 参考までに、「C3」ではない従来からのモデル(無印)は「Category I」であり、従来よりデータシートにも明記してあります。

データシートを紐解く限りにおいては、従来よりの無印品と「CB」(C3?)の相違点はこの Category の違い、即ち内部(Internal)接合方法の違いのみであり、その他の、使用素材や電気的性質等はすべて同一のようです。

なお、この I 〜 III の Category は「飽くまで分類のためであり、必ずしも優れている順の序列ではない」と、MIL-PRF-19500 A.3.19 に記されています。

実際、ひとくちに溶接といってもその内容は様々ですし、ろう付け(たとえば銀ロウ付け)とはんだ付けは現象面から見ると本質的に異なるものですし、圧接と鍛接もやってることは相当違います。飽くまで分類の為の Caterory であるということのようです。



参考までに、JAN とかそういうのはなんなのか?

宇宙用(あるいは軍事産業用)ハイスペック半導体について調べていると、「JAN」「JANTXV」「JANS」…などの文字列に必ずぶち当たります。ここでの「JAN」は「Joint Army (and) Navy (standard)」(米国海軍合同規格)の頭文字であり*9、勿論 日本のバーコードの規格のことではありません*10

MIL-spec でいうところの JAN シリーズは過酷な使用環境に耐えうるかどうか、のスクリーニング試験のことであり、MIL-PRF-19500/477 及び MIL-STD-750 に規定があります。たとえば「TX」は温度(耐熱)試験、「V」は(顕微鏡下の)目視確認による選別など、試験項目の種類により呼称が決まってくるわけですが、 JANS(「S」=「space」(宇宙))は JANTXV 以下のすべての項目を含むなど、やはりこちらもそれなりにややこしい規定のようです。

ただし、 JAN 関連の規定はすべて「スクリーニング試験」の規定であり、製造過程にかかるものではありません。厳しい耐久試験をパスするためには当然それなりの素材スペックと製造プロセスによらなくてはならないわけですが、とはいえ、そうして製造された製品が常に限界ランクのスクリーニング試験にかけられるかというと、必ずしもそういうわけではないです。

試験にかけるにも費用と時間がかかるわけです。一般に軍事用・宇宙産業用半導体が(信じ難いほど)高価なのはこの試験の実施によるものであるようです(勿論受注生産である・ロットが小さいなど製造にかかる理由もありますが)。スクリーニング試験を経なければ(当然宇宙機などには使用できないわけですが)製品コストは大巾に下がります。


ここまで読んでいただいたかたはもうお判りかと思いますが、ISAS / JAXA が実際に使用したダイオードは JANS クラスの試験費用が加味されたものですので、80円 どころか通常 1000円 出しても入手できません。しかし、同じ型番ということであれば、無試験のまま市場にリリースされたものがあり、比較的安価に入手が可能、ということです。



(ここからは邪推になりますが) 2012年08月に市場に投入された「1N5811C3」という型番も、JAN スクリーニングにかけられることなく(必要に応じての検査待ち状態で)半ばデッドストックと化していたロットが仕様変更を機に一般市場へと放出された形なのではないかと(当研究所では)考えています。

逆に言えば、宇宙探査機はやぶさに実装された当時のものに(外観形状等が)近いものであるということもできると思います。というか、きっとそういうことです。

*1:刻印の書体などは異なる。

*2:ただしこのタイムスタンプはあまり信用できない。PDF を書き換えた際に単に日付部分の書き直しを忘れただけの可能性もある。

*3:MELF : Metallized ELectrode Face

*4:600V 1A

*5cf. 『トランジスタの型名について』

*6cf. http://engineers.ihs.com/document/abstract/FYNCOCAAAAAAAAAA

*7:現在(2012/11)の最新版(たぶん): http://www.everyspec.com/MIL-PRF/MIL-PRF-010000-29999/MIL-PRF-19500P_26164/

*8:これらについてはここを読むとわかりやすい(日本語ページです(^^)):
http://www.kinzoku.co.jp/eng/setsugo.html

*9cf. http://www.datacraft-news.com/ontopics/39.html

*10バーコード規格の名称である「JAN」は J が Jananese であることからもわかるとおり国際的には通じません。国際的には「EAN」と呼称されているものです。バーコード物理層の規格内容は JAN ≒ EAN であるようです。

2012-06-02

2SC1815 の代替を再度真面目に考える

…が、やはり結論は出ませんでした。てへぺろ☆(・ω<)

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よく見れば読めます!



いろいろ書き散らかしてしまっておりますが、当ブログにおける「2SC1815 の代替に関するまとめ」としては、

このへんを見ていただくのがよろしいかと思われます。読みにくくて誠にすみませんが、お願いいたします。m(_ _)m



冗談と余談はさておき、2012/05/28 に新しいトランジスタ本が出まして。

合点!トランジスタ回路超入門 (エレ基礎シリーズ)

合点!トランジスタ回路超入門 (エレ基礎シリーズ)

私もトランジスタの勉強をしなければならないな…というわけで、これはよい教科書。…なのですが、とりあえず読むのは巻末の Appendix-B :「2SC1815 の代替部品は何がよいか」(pp.248-250)です。なにはさておき、おまけにかじりつきます(ぉぃ)。

ポイントとしては、2SC1815 の代替をちゃんと電気的特性面から考えているというところ。そして、データシート上の比較も基準値を揃え、更に実測による検証も加えられている。

…して、その結論は…? 知りたい方は、本を買って読んでください、というわけで、営業妨害するわけにもいきませんのでここに(テキストで)型番を書くのは控えておきます。


ただし、熾火研究所的には、この書籍で挙げられていた石は「選外」です。(言うだけ言っておいて否定かよ…てな話ではありますが…。)理由は「入手性」と「不明快さ」。確かに「秋葉原の主要パーツショップのどこかしらで店頭購入できる」という基準は一応クリアしていますが、コンプリメンタリ・ペアが手に入りません。あと、同シリーズの型番展開はいまいち理解し難い。どうなってるのか、よくわかりません。要は「これが無かった場合、「隣の型番」でもいいのか?」とか言い出すと、キリがない(=「定番」としては非常に弱い)。

というわけなので、熾火研究所的には、現状おすすめできません。…確かに特性面からするとドンピシャなのでしょうけど…。

あと、足配列にも要注意!です。顔正面から ECB(えくぼ)でないのは勿論ですが、海外で最も普通とされる EBC でもありません、「CBE 配列」…です。

(別に 2N2222A が早々に選外指定されていたからの恨み節ではあリませんよ。 2SC1815 の代替に 2N2222A というのに土台無理があることぐらいは先刻承知です。コレクタ電流からしても「違うクラス」の石です。それでも当研究所で敢えて 2N2222A を推しているのは、メタルキャンパッケージの美しさ(所有的価値)と熱的耐久性*1などからです。)


さて、あとは一般論。書籍の記事中にもあるとおり、トランジスタの使われ方からして、「普通のバイポーラトランジスタを音声周波数程度の帯域で使う限り、別の石を使ったぐらいで動作が変わってしまうのはむしろ回路設計が悪い」ということなので、実際、あんまり恐れることはないと思います。

たとえば、トランジスタ 1石を使用した増幅回路では、増幅特性(HFE)めいっぱいで仕事させるような設計は通常せず、抵抗で制限してたとえば 5倍とか 20倍とかの増幅率で使用したりするわけです。そうした回路においては、よほど耐圧が低いであるとか、周波数特性が悪いであるとかでない限り、別の石に置き換えても支障がないというわけです。

勿論、用途によってはこうしたことがすべて当てはまるわけではありませんし、それ以上の仕様が要求される世界の話であれば、それはもう定番の石がどうこうという話ではなくなってくることが容易に想像されますので、実力に応じた回路設計を各自すべきなのでしょう。


というわけで、やっぱり結論は出ません。当面は、 2SC1815 を使っておくのでいいと思います。2012年6月現在、まだ、充分売ってます。 ヽ(´ー`)ノ


おまけ

千石電商では、海外オーディオ製品の修理などのニーズからなのか、洋モノのトランジスタが比較的豊富なようです。

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高所恐怖症の人を徒らに刺激する画像をつい貼ってみたくなっただけですすみません。m(_ _)m


そしてやってきた

2013年、秋月電子の最終解答がこれだ。(大上段に振りかざしてみた)

*1:これはたぶん樹脂パッケージと比較して相当に良好で、実際、私が回路を間違えて数時間過熱させてしまった 2N2222A はその後も特に問題なく動作し続けた。