オール・ザ・キングスメン 【All The King's Men】

これを見た。





気持ち悪いほど清廉潔白な片田舎の地方公務員ウィリー・スタークがいきなり州知事になり、身も蓋もないほどあからさまな大衆迎合型の政策を連発する一方、既得権益層との暗闘を続ける様子を、上流階級出身でありながら知事のスタッフとなった元ジャーナリストであるジャック・バーデンの視点を中心に描いた映画。所どころ冗長な感じがしたけれど、まあなんとか最後までたどりついた。


知事を演じたショーン・ペンがとにかく最初から最後まで気持ち悪い。なんだかショーン・ペンの役はいつも気持ち悪く見えるんだけど。で、その知事をすぐそばで見ているジャックをジュード・ロウが演じているんだけども、かなりよい。これまで見た中で一番良かったかもしれない。ケイト・ウィンスレットアンソニー・ホプキンスマーク・ラファロもなかなかよかった。あとソプラノ親分ジェームズ・ガンドルフィーニがいい味だしていた(シーズン6がいつまでたってもDVDにならんの、なんとかしてー)。彼はいつもああいう役なのね。他にもTVシリーズでよく見る顔がちらほら出ていた。知事のボディーガード役のおっさんがビリー・ボブ・ソーントンを汚くした感じで良かった。


あくの強さ、押しの強さ、声の大きさ、という点で知事のキャラクターが飛びぬけて目立っているけれど、そしてこれが“実話”というのがすごいんだけど、それでもこの映画の主役はやっぱりジュード・ロウだ。彼と彼の幼馴染の兄妹、彼の母、そして世間から尊敬を集めている彼の父のような老判事との関係がこの映画のほとんどすべてを占めている。


暗く、ヒネていていつも傍観者でしかないお坊ちゃん(しかも金髪)で、これまたいいところのお坊ちゃんお嬢ちゃんと幼馴染で、いつもつるんでいたというジャックというキャラクターはどこかで見覚えがあるというか読み覚えがある。うむ。カスパールという名前でもいいかもしれない。


しかし、ずっと目の前に居ながら結局のところ大切なことは何一つ話せなかった、というのはほとんど致命傷なのではないかと思うんだけど、擦り切れたジャックがその後どうなったかは描かれていない。