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2016-06-20 イタリア買付道中記 2016春 その6 このエントリーを含むブックマーク

Trieste:トリエステへ。


イタリアの最東端、というか殆ど隣国スロヴェニア内にあるのではないかと思われる場所

Trieste:トリエステという街があります

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須賀敦子さんのファンの方でしたら縁の地ですのでご存知かもしれませんね。

またここはイタリアといわずヨーロッパの中でもコーヒーメッカですから美味しいコーヒーが随所で飲めるのです。


カフェ文化貴族文化人等々ハイソサエティの人達の間で花開き街そのものも落ち着きのある風情です。


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でもここを訪れた理由は実は他にありました。

Udine在住のイタリア人の知人に案内をお願いしていた事もあり、今回はそれに乗っかった感じでしたので、

ほぼ言われるがままについていくのが吉でした。


「コージ、Trieste:トリエステにProsciutto Cotto:プロシュット・コットを食べに行こう、旨いんだ。」


へぇー、そうなんだ、プロシュット・コットねぇ・・・


cotto:コット、というのは“火を入れた”という意味に由来し、茹でるか蒸すかしたもので、

生ハムに比べて足が早いので通常は調味料保存料が入るもので、味もポピュラーな感じもあって、

イタリア人にとってもソウル・フード的な位置づけにあります


プロシュット(クルード):生ハムならイザ知らず、何故にイタリアまで来て加工品である

プロシュット・コットなのかしらん??


とまぁ、連れて来てもらって言うのも何ですが、随分と???マークが頭の中に点灯していたのです。

しかも雨だし何か気持ちもややグレーがかっているというか。


店に到着。

流行ってます。ありゃ?!

まるでタバコ屋さんの窓口程度にあいたスペースからポンポンとパニーニらしきものが出てきて、

ワイン・・ではなくビヤジョッキに入った恐らくビールであろうものと一緒に立ち飲み喰いしている地元っぽい人の群れ、群れ!


お、何だこの良い雰囲気


友人のお陰で話もスムーズ、店主も大変感じ良く、というかいきなり


「おー、入れ入れ!ハム切ってみろ!」


てな感じでカウンターに入れてもらってプロシュット・コットを切るポーズして、はい写真


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ここはシチリアか?!と思えるほど大らかで陽気な雰囲気にすっかりテンション上がりまくりになってしまいました。

で今度は席に戻ってカウンター内の作業風景(手元)を見ていると


パンマスタードをさっと塗って

手切りしたプロシュット・コットを何枚もふんだんに重ね

その上にホース・ラディッシュを山ほど削って

ポンと出す


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で、それからクラフトビールをぐびぐびと注ぎドンと出す


というような作業が流れるように、しかも絶え間なく続くかのように引っ切り無しに入ってくるお客さんの手元に届いていくのでした。


店内外のお客さんもそれをパクつき、ぐびっとビール飲んでご満悦。

ヨダレが落ちそうな私の手元にも程なく届き、ではではと皆がやっているように


パクっとくらいついて、ぐびっと飲んで、ぷはぁ〜!


って何なに?!これ美味しいじゃん!!

え、これホントプロシュット・コット?


そうなんです(って後から聞いたのですが)

ここのプロシュット・コットはスペシャルなんです。


何でも、所謂通常の生ハムをつくるように塩をして3ヶ月ほど寝かせたあと、

それを数時間ゆっくりと蒸してつくるのだとか。

程よく脂も落ちてすっきりしていて、何より塩しか使っていないので味わいもいたってシンプル、それゆえに奥深い。


当然ながら熟成タイプではないですし、火を通したものですから賞味期限が短い、というか消費期限ですね、これだと。


なので当日朝に発注してその日使う分しか仕入れないという、これは現地ならではの、

しか生産者と販売者の相互理解が無いと出来ない代物です。


つまり、これこそスペシャルです。


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ですから輸入なんてとても無理!

手元に取り寄せる、ではなく、口を持っていく、というやつです。


そんな風にして輸入取り扱いは出来なくとも、これぞ、というものを見聞きし味を覚えて引き出しにしまう事も大切なのです。


他にもjota:イォータというザワークラウトを豆と一緒に煮込んだ様なスープがあってドツボに嵌ってしまいました。


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いやはや、どこまで凄いんだイタリア食文化というやつは。


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続く。

2016-06-13 イタリア買付道中記2016春その5 このエントリーを含むブックマーク

San Daniele del Friuli:サンダニエーレ・デル・フリウーリへ。


Parma:パルマと並び称される生ハムメッカ

訪れるのはこれで2度目ですから、まだまだ知らなければいけない部分満載のところです。


州都のUdine:ウーディネから北西に30Kmほどの山間にある小さな村、

そんな処から世界に名を轟かせる美味しいハムが世に送り出されているなんて。


Consorzio del Prosciutto di San Daniele:コンソルツィオ・デルプロシュット・ディ・

サンダニエーレ(サンダニエーレ生ハム協会)に所属している生産者現在たったの28社。

パルマのそれが約150ですから、規模としては5分の1。


そりゃぁそうでしょ、この小さな村ですもん。

と、そういうイメージです。


まずは食べよう!という事で、切りたてのハムが楽しめる店に入りました。

昼過ぎはいえ、平日なのに大繁盛していて店内は一杯。


雨上がりでまだ乾いていなかった外のテーブルやイスを拭きつつここにどうぞと座るや、

ほどなく出てきたのは、皿いっぱいのハム


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流行っているから酸化する間もなくフレッシュで美しいピンク色。

そのまま直ぐに食べるからこその薄切りなので、一人分として出てきたボリュウムも恐らく

100g程だったかと思うものの難なくペロリ。


そのまま食べても、グリッシーニに巻いても大変美味!

美しく透き通るような見た目通りに繊細で上品な味わい、しっとりと舌に伝わる蕩ける様な感覚

控えめながらじわりと記憶に残る余韻。

そういう変化が一枚食べる毎に楽しめる、それは楽しいものです。


同じく出てきたlardo:ラルド(豚背脂に塩とハーブをして熟成)も薄くスライスしてパンに乗せ、

黒胡椒バルサミコ酢を少し垂らした感じで出てきたのですが、これまたタマリマセン!


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現地の白ワインであるtokai friulano:トカイ・フリウラーノとの組合せもやはり良好でした。

地酒と地魚、ですね。


その後、この店で出しているハム生産者であるCoradazzi:コラダッツィ社の扉を叩いてみました。

生憎代表の方が不在だったのですが、頑張って交渉して中の工房見学させてもらうことに。


Gambero Rosso:ガンベロ・ロッソ紙でも評されている作り手で、

小規模ながら質の良いハムを作っているということで、味わいはつい先ほど確認済みです。


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色々と話しを伺いながらメモを取りつつ足を進めていきました。

で、sugna:スーニャを塗付けている工程で興味深い話が。


スーニャとは、豚のラードを主として胡椒や米粒などを混ぜたもので、

ハムがある程度乾いた段階で、足の付け根にあたる、いわゆる切断面に薄く塗り伸ばします。

腿肉であるハムのうち、切断面は唯一皮が無いところですから、そのまま乾燥を進めると

そこだけ極端に乾いてしまうので、それを避けるために塗りつける必要があるのです。


ハムの水分を吸収しつつも乾燥を防ぐ、というある意味矛盾した感じがあるのですが、

皮に変わる性能をもつものとして工夫されたのがこのスーニャと言われています。

で、豚のラードに加え、かつては小麦を混ぜていたそうです。

ところが、いつの頃から小麦アレルギーの人が増えたために、その代替として米粉になったそうです。


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さて今回サンダニエーレという街を訪れるにあたり、どうしても見たいものがありました。


それは地形、です。

パルマでもそうですが、ハムを作るのはやはり気候風土、何より風。


乾きすぎず湿りすぎず、程々感を保ちながら山肌を抜けてやってくる風があるからこそ美味しいハムが出来る、

そうそう真似の出来ない環境があり、それを肌身に感じられる職人がいるという文化


雨続きの今回ですが、ほんの少しの間、山頂付近奇跡的に晴れ。

雲を退けるように吹いていた風も収まり、光が戻り、静けさが戻ってきました。


山の上に広がる広場からあたりを見渡すと、

・前方に遠く見ゆるアドリア海から登る少し湿り気を伴う海の風

・背後に控えるアルプスから降りてくる乾燥した風、

が見えてくるかのようでした。


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あぁ、こんな中でハムが出来ていくんだなぁと腑に落ちた感じです。


続く。

2016-06-05 イタリア買付道中記2016春 その4 このエントリーを含むブックマーク

Colli Orientali del Friuli:コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリへ。


この丘を越えれば隣国スロヴェニアです。

イタリア北東部端に位置するこの丘は良質なワインの産地として名が知られています


Agienda Agricola Maion Lorella

  :アズイエンダ・アグリーコラ・マイヨン・ロレッラ


今回色々世話になっているUdine在住の知人が、日本駐在時にここのは本当に美味しいから

といつも食事の際に出してくれたワイン


インポーターの方にも事前にその旨伝え、いよいよ念願かなってこの造り手であるClaudio:クラウディオ

訪ねる事が出来ました。


PIATTIでももはや定番として欠かせ無い、

  ribolla gialla spumante:リボッラ・ジャッラ・スプマンテ(微発泡)

  tokai friulano:トカイ・フリウラーノ(白)

  schiopettino:スキオペッティーノ(赤)


  http://www.piatti.jp/prodotti/vini/vini.html


等々、改めて試飲させてもらい説明を聞きました。


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更にはかつてはAlpini:アルピニの一員でもあった彼が仕留めた猪を料理してもらい、

各種ワインの組合せの妙を学ばせてもらいました。


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勿論、各種ワインについては大いに熱く語るわけですが、とはいえそこかしこに滲み出る

大きくて深い人間性のほうがズシリと心に響き何とも言えない幸福感に満たされます


この土地に生まれ育ち、この土地を慈しみかのような実直で透き通るような目をした彼だからこその

味わいではないかとさえ思えてきたそんな満足の行く訪問でした。


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続く。

2016-06-03 イタリア買付道中記2016春 その3 このエントリーを含むブックマーク

から雨、Cormons:コルモンスへ。


フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州都のUdine:ウーディネから隣国スロヴェニアに向かって30Kmほど車で走った所にある村。


「Osvaldo:オズヴァルドの生ハムを食べたい」


というリクエストを友人にしたところ、工房ちょっと無理だけどハムを食べられるところがあるのでそこへ行こう!

と連れて来てもらったのです。


以前、オズヴァルドのSpeck:スペックは食べたことがあってとても良質なものと気に入っていましたので、

是非生ハムを食べてみたいものだと熱望していたのです。


連れて行ってもらった食事処では、地元食材を使った食事地元ワインが楽しめるということで、

もちろんオズヴァルドのハムも!という事なのです。


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雨なので視界も効かず、濡れるは寒いはでテンション上がりません...なんて思っていたのですが、

出てきた料理事態は一変。


「何だこのハムはっ?!

 しっとりと優しい口当りに始まり、徐々に舌に纏わりつくように蕩けていく様、

 あくまで上品さを保ちながらもどんどんと口中に広がり続ける旨味、変化していく香りの複雑なこと!」


思わず、食べては眺め、食べては眺め、ううむと唸っては食べ、

あっという間に「おかわり、ペルファボーレ」なのでした。


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おかわりして出てきたものは新しい原木の切り始めの所謂イニシャルの部位。

先ほどは膝あたりの所謂ガンベットの部位。

ということで、ねっとり濃厚な部位から逆にあっさりとした部位になるだろうと踏んでいたら、

イニシャルでさえあっぱれの旨さ。

で、またもやううむと唸ってしまいました。


気を配った良い原材料を上手にあつかった良い作り手なのでしょう。

ものの良さ、はまさに特筆すべきです。

更に、現地ならではの地の利といいますか、酸化ドリップ等々とは遠い所にある

最も良い状態であるという事も存分に感じ得ました。


現地で本当に旨いものを食べる理由がここにあります。


良いものって何だ?

良い状態って何だ?


その味や香り記憶自分の頭に焼き付けて脳みその引き出しに。

どういう理由や工夫があるから良いのか、を理解して叩き込む。


そんな事、一度や二度で出来るはずもありません。


から何度も同じ話を伺うし、何度も同じものを堪能する。


そんな風にして自分自身技量は知識、扱っている商品がどの辺りのレヴェルにあるかを知る必要があるのです。

そして少しずつでも前進していけば良いなぁと。


こうした物や事、には“絶対”や“一番”、など無いと思いますから、歩みを重ね、

見て聞いて書いて覚えて理解して、楽しんで食べるを繰り返すより他ありません。


自然相手にした彼ら、作り手にとって昨今の大きな気候変動は相当に大変な思いをしていると察します。

昨年より今年、今年より来年世代交代も含め、彼らも日々変わっていくのだと思います。


・・・なぁんて。

ハムときれ食べていろんな思いにふけってしまいました。


さてさて、これも美味しいよと注文してくれていた仔牛のタルタル。

はい生肉です。北イタリアならではの贅沢ですね。

パンバターを乗せて、タルタル乗せて、はぁもう絶句


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合わせたTokai Friulano(と現地愛を込めて)との組み合せも抜群!


また、この地方ならではのFrico:フリコと呼ばれる、地元チーズMontasio:モンタージオと

ジャガイモ若しくは小麦を練り合わせて焼いたもの、も堪能しました。


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から雨、Cormons:コルモンスはしかし良い所でした。


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続く。

2016-06-02 イタリア買付道中記2016春 その2 このエントリーを含むブックマーク

今回の旅では、Udine:ウーディネに戻った友人を訪ねるという目的が一つありました。


仕事関係日本に4年駐在することになっていた彼らとは知人を介して知り合い、

以後家族ぐるみ食事を共にし泊まりがけの旅も何度も経た友人です。


彼らのお陰で随分とフリウリ・ヴェネツィアジュリア食文化垣間見ることが出来ました。


日本での駐在を終え、故郷イタリア、ウーディネに戻ったのが約半年前。

帰国前に見つけて連れ帰った仔犬(柴犬)と共に久しぶりの再会となりました。


前泊地のTreviso:トレヴィーゾからウーディネまでは電車でまだ2時間ほどかかるところでしたが、

ホテルを何時頃出発するのか?ホテル名前は何というのか?と聞いてくるのでそれを教えると、

何とそこまで向かえに来てくれていたのです。

しか時間に正確に。

(実際のところ、私が15分ほど遅刻してしまい彼を待たせてしまったのです)


こんなに、というか私などよりも余程時間に正確でキッチリした性格イタリア人なんて見たこと無いです。


一緒に連れて来てくれた仔犬も私達を覚えていてくれたようで、飛び込んで歓迎!

顔中舐められて、嬉しさ一杯、胸が一杯になりました。


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彼らへのお土産殆どパンパンになっていたスーツケースを車に詰め込んでいざウーディネへ。


奥さんの方は、イタリアにいた頃に働いていたレストランに復帰し、その日はちょうど仕事だったので

夕食はそこで、という事に。


ウーディネの街中から車で20分ほど離れたところにあるレストラン


伝統的な料理を食べさせてくれるレヴェルの高い店で、ホワイトアスパラの正に本場に位置し、

季節もまさにドンピシャ

周りを見ると、相応の身なりをしたお客さんばかりですが、給仕は奥さんがしてくれるので超リラックス


まさにホワイトアスパラオンパレードでした。


・ポレンタ(白)を添えて

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ゆで卵スペックバルサミコ酢をかけてものと共に

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グリーンアスパラと共にリゾット

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ズッキーニの花と共にクレープで包んで

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クリーム状にしてキノコと一緒にトルテッリで

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グラタンに入れてグリルした肉に添えて

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等々、これでもか!っと来たのですが、


・少し柔らかめにしたアスパラには十分な甘味とそれを引き立てるホロリ最後にビターな余韻が残る味わいがあって、

 質の良さを十分に感じさせる物だったこと

・それの良い部分だけを見極めて使用している事、それぞれの皿にあった他の素材とのバランスが取れていること


でどれも存分に堪能しつつペロリと完食できました。

勿論、その食事を美味しいねと分かち合える友と食事出来たことも大きなポイントです。


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 ※もちろん柴犬も一緒に。


ほろ酔い加減、ホテルに戻る途中、真綿のようなものがヒラヒラと。

ポプラの種ですね。

初夏に舞い散る雪のようです。


心地よい、イタリアです!


続く。

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