クリスマスに見る映画

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本体と並行して、ネット版号外として、この冬一番のクリスマス映画『サンタクロースがやってきた』(14日公開開始)の監督・蜂須賀健太郎さんとクリスマス映画トークを展開しているところです。

今回、蜂須賀監督がお勧めするクリスマスに見る映画を挙げていただきました。『三十四丁目の奇蹟』と『素晴らしき哉、人生』の二本です。


◇本物のサンタクロース

切通 まず、『三十四丁目の奇蹟』ですが、蜂須賀監督は『サンタクロースがやってきた』の中でこの映画の一場面をフィーチャーしているぐらい、お気に入りです。

これはサンタクロースを名乗る老人が出てくる映画ですね。

蜂須賀 『三十四丁目の奇蹟』は、四回ぐらい映画になっているんですよね。その二回めか三回めかのを見たのがきっかけでオリジナルを見たら、最高に素晴らしい映画だったんです。

古典と呼ばれる映画もしれないですけど、物語を語っていく上で、非常によく構築されている。

見ていて、一緒に、このサンタさんをなんとか助けてあげたい気持ちに、なっていく。六十年以上前の映画にも関わらず、感情が揺さぶられる。

切通さんは、ご覧になっていかがでしたか。

切通 大手デパートのサンドイッチマンのサンタが酔っ払いでどうしようもないんで、ある老人がその役を買って出るところから始まるんですが、半世紀以上前のこの映画のニューヨークでは、クリスマスっていうものが完全に商業戦略に組み込まれていて、もうあの時点でそうだったんだなと。

この映画のサンタさんはサンドイッチマンのサンタさんで、それが実は本物だという逆転構造なんですよね。まあ本物「らしい」ということだけど。

蜂須賀 この老人はとても誠実な人で、子ども達の欲しいものを聞いてあげて、それにふさわしいおもちゃがライバルのデパートにあったら、そこを紹介してしまうんですよね。サンタさんが、商業戦略を超えた、子どもにとって本当にいいことを優先させて教えてくれる。

切通 その言動が社内で問題になりかかるんですが、やがて子どもたちの親から感謝の声が届くようになる。

蜂須賀 「この次はサンタさんがいるデパートでお得意様になるわ」っていうような声が。

切通 それに気付いたデパート側は販売戦略の一貫として、他店の商品でも自分の所にないものならば紹介してあげるサービスを始める。するとライバル店も刺激されて、同じようなサービスをするようになって。

いまでも、大手デパートなどで、こういう宣伝をしているのを見たことがあります。うちは、他店でもいいものがあれば紹介しています……と。

三十四丁目の奇蹟』は、そういうことが始まった頃のことを、事件として描いているのだなと思いました。

大手デパートの人達は、ある意味クリスマスを利用して、商売で儲けようとしているんだけど、善意と、商売を両立させる。

蜂須賀 商業的ではない戦略が、逆に商業的なものに結びついてしまうという。

切通 この映画に出てくる子ども達も、ぶっちゃけプレゼントがほしいわけじゃないですか。後にサンタさんが裁判にかけられた時、法廷で「サンタはいる」って証言する子も、その帰りがけに「プレゼントはフットボールのヘルメットね!」とかってサンタさんにちゃっかりお願いをしてみせる。

そこがまた面白いなと思って。普通だったら「モノじゃないんだ、心なんだ」という話になるでしょう?

サンタそのものが存在するかしないかという話に、現実的なことも切り離してないところが面白い。



『サンタクロースがやってきた』

新宿K'sシネマにてクリスマスロードショー!

12/14(土)から12/27(金) 連日10:00より

大阪、シアターセブンにてクリスマスロードショー!

12/21(土)から12/27(金) 連日16:00より

『サンタクロースがやってきた』公式サイト

http://santa-movie.com/

サンタクロース上映前舞台挨拶&会見決定!

12月16日(月)午前10時より

新宿K'sシネマにて、映画に出演したフィンランドの、本物のサンタクロースの舞台挨拶&会見が行われます。

このブログ、明日も蜂須賀監督との対談が続きます。明日も「クリスマスにおすすめの名作映画」について語ります!

監督プロフィール

蜂須賀 健太郎(はちすか けんたろう)

1965年生まれ。デジタル•コンテンツ、ミュージックビデオ、アニメーション、キャラクターなどのさまざまな映像作品を監督。主にファンタジーを基盤としたものが多い。映画作品に、『黄昏のアインシュタイン』(ヴァンクーバー国際映画祭、サンフランシスコ•アジアアメリカ国際映画祭正式出品)、『アクアリウム』(福岡アジア映画祭正式出品)などがある。


三十四丁目の奇蹟』Miracle on 34th Street
監督・脚本ジョージ・シートン
原案ヴァレンタイン・デイヴィス
製作ウィリアム・パールバーグ
出演者 モーリン・オハラ
ジョン・ペイン エドマンド・グウェン
音楽 シリル・モックリッジ
音楽監督 アルフレッド・ニューマン
撮影 チャールズ・クラーク ロイド・エイハーン
配給 20世紀フォックス
公開 1947年
上映時間 96分
製作国 アメリ
DVD販売 http://p.tl/wpUA