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Pentaroの日記

2015-07-20

ポスドクのお給料

アカデミアにいるとなかなか聞けないハナシの一つに「お給料」の話がある。

常勤の教員/スタッフであれば、国公立大か私立大か、都市大か地方大かで、大体の「相場」が知られているし、その組織の給与規定が明示されている。

しかし一方で、ポスドクの懐事情は千差万別である。
博士取得者で、任期付研究員をやっている人間が十把一絡げにされているわけだから当然と言えば当然の話ではあるが、下手な准教授並みに貰っているエリートPDもいれば、いわゆる「無給PD」と呼ばれる収入がゼロのPDも存在する。

PDの収入を始めとした現状に関しては日本学術会議の調査がある。
現在大学院、または研究者を志す若者には是非見てほしい資料である。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t135-1.pdf
(このデータは任期付の特任助教もアンケートに含めており、純粋なPDの割合は7割程度であることに注意してほしい。)

29ページ目に年収に関するデータがある。
これによると、同じPDと言えどもその年収には大きな幅があることがわかる。
500万円以上の年収がある25%の上位層はおそらく特任助教の人々だろう(13ページ目にアンケートに答えた人の職位の割合が載っている。特任助教は21%でだいたい年収上位層の割合と一致する)。そうすると、多くのPDは年収500万円以下であり、PD内で見れば20%ほどは年収が300万円を割り込むし、100万円を割り込む極貧PDも確かに存在する。ちなみに学振PDは約430万円であり、PD内でみるとかなり恵まれた収入が得られ、狭き門であることも大いに納得できる。


なぜ、こうもPDの収入に差が出るのか?
それは、雇い先も雇用形態も多様だからである。
最もベタなPDの雇い主は、ラボのPIであり、その資金科研費をはじめとする競争的研究費である。雇用形態も多様で、任期付の常勤研究員として雇う場合もあれば、週○○時間のパートタイマー雇用もある。
前者であれば組織の規定通りの収入は得られるが、後者の場合はボスの意のままになる。

極端な話、書類上は週10時間(つまり週給1万円ちょっと、月給にして5〜6万円程度)という額でPDを雇うこと可能である。ここで問題なのは、「本当に週10時間しか働かなくていいのか否か」ということである。

ご存じのとおり、PDにとってイチにも二にも必要なのはこの後の仕事を探す上でアピールポイントになる「業績」であり、業界での雇用を繋ぐ可能性を広げる「データ」である。だから、週10時間契約だからといって時間通りにしか働かないのは、実はPDにとっても不利な状況になり得る。そのため、書類上は週10時間の雇用であろうと実働時間は普通に40時間、50時間、60時間、、、、とフルタイムPDか如く働くケースがまま見られる。

つまり、PIからしてみれば、極端な話、週40時間働くPDを雇うのに杓子定規に月給25万円を出す必要はない。PDが「そのくらいなら、なんとか、、、」とギリギリ飲める額を提示すればいいし、あとはうまいコト言いくるめれば(あるいはそれすらも必要もなく)、月給5万とか10万で、週40時間働かせることができるわけだ。

また、ポスドクとして雇われる方からすると、雇われる前に「給料はいくらですか」というのは正直聞きにくい。アカデミアには少なからず「研究が第一で収入なんて二の次。給与を気にするなんて浅ましい三流の研究者がすること」という時代錯誤な風潮が残っている気がする。

もちろん、収入に関することを問い合わせることになんら問題はない。衣食足りて礼節を知るというように、収入面が安定しなければ研究どころではない。「この実験一回で、俺の月給分か、、、」と思いながら実験するのは大変精神に悪い。
また一方で、予め給与額を明示し、「うちの資金事情ではこれだけしか出せない。だから君も時間以上に働くことはないし、他のラボでパートタイマーを掛け持ちしても構わない。すまん」と正直に事情を打ち明けたうえで雇ってくれる真摯なPIもちゃんと存在する。逆に言うと、PDが実際に赴任するまでその給与について話してくれないようなPIは要注意だ。4月になってから給与額にショックを受けるも、いまさらどうしようもなく一年間泣き寝入りを余儀なくされた友人・知人は片手に余るほど知っている。

博士を取ったら(そしてアカデミアに残る決意をしたら)、もう「プロ」の研究者として生きて行かなければならない。
仕事はきっちりしなければならないし、もちろんそれに対してきちんと対価を要求してしかるべきだ。

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